ルール無視と悪しき習慣で、全世界で嫌われている中国人 | 日本のお姉さん

ルール無視と悪しき習慣で、全世界で嫌われている中国人

中国人はなぜ世界中で嫌われるのか

日本、韓国だけではない~中国株式会社の研究~その74

さらに事件後、このバスの前で撮影されたフィリピン警察官と女子学生の無神経な「記念写真」がネットで掲載されるに至り、中国人の怒りは頂点に達した。なるほど、これでは中国人が激怒するのも至極当然だと思う。

フィリピンで高まる嫌中感情

事件発生後、香港で行われた犠牲者の追悼集会〔AFPBB News

 問題はここからだ。

 香港政府は8月23日、香港住民に対し、フィリピンへの旅行を控えるよう警告した。マニラの中国大使館は、射殺された犯人の棺にフィリピン国旗がかけられことに対し厳重抗議を行った。

 香港では反フィリピン感情がエスカレートした。ある政治家は雇っていたフィリピン人メイドを突然解雇し、フィリピン人排斥を公然と呼びかけた。

 さらに、地元テレビ局が今回のバスジャック事件の血生臭い「再現アニメ」を作成したことも、中国人の嫌比感情を一層煽ったようだ。

 フィリピン政府は過ちがあったことを認め、ベニグノ・アキノ大統領は犠牲者の遺族に哀悼の意を表した。それでも中国人の怒りは収まらず、ネット上では今も敵対意識剥き出しのフィリピン批判が続いている。

 これに対し、フィリピンでもネットを中心に「嫌中感情」が広がり始めた。現在香港には10万人以上のフィリピン人メイドがいるそうだが、彼女たちの間では「香港人はフィリピン人メイドを奴隷のように扱っている」との不満が絶えないらしい。

 香港への出稼ぎは彼女たちの重要な収入源だ。弱い立場にいるメイドを解雇するなど香港の理不尽な動きに対しては、フィリピン国内でも「中国人は視野が狭い」「民族主義的である」「内政干渉である」といった批判が高まっているらしい。

 ここまで来ると、フィリピン側の反発もよく理解できる。いくら無辜の中国人が犠牲になったとはいえ、感情的とも言える香港人・中国人の反応には、フィリピン現地の事情を理解しようとする姿勢が全く見えないからだ。

ちなみに、この事件直後、ツイッターでフィリピン当局に同情的なコメントをつぶやいた俳優のジャッキー・チェンがネット上で炎上し、チェンは全面謝罪に追い込まれたという。香港の反フィリピン感情がいかに強いかを示す興味深いエピソードだ。
世界中に広がる嫌中感情

アジアはいま、国際結婚ブーム。写真はシンガポールで結婚紹介サイトを見る男性〔AFPBB News〕
 フィリピンだけではない。中国にとってより深刻な問題は、こうした現象が近年世界中で起きていることだろう。嫌中感情の高まりは、今や日本や韓国だけの専売特許ではない。
 例えば、ベトナムだ。最近の報道によれば、現在ベトナムでは中国人男性とベトナム人女性の国際結婚が問題になっている。
 結婚適齢期の女性が圧倒的に不足する中国では、ベトナム人女性との結婚斡旋(という名の「人買い」)がビジネスとして成立するからだ。
 実際に、ベトナムでは中国人の国際結婚ブローカーが逮捕されるケースも少なくないらしい。最近ベトナム人の間で嫌中感情が高まり、逆に中国人はネット上で「ベトナム人は恩知らず」などと反発している。
 このような例はほかにもたくさんある。特に目につくのは韓国、ベトナムのような周辺国ではなく、むしろパプアニューギニア、アフリカ、欧州など近年中国が新たな進出先、投資先として多くの中国人を送り込んでいる地域でのケースだ。
現地文化を尊重しない中国人
 これらに共通するのは、進出した中国人が「現地の文化を尊重しない」ことだと言われる。最近の報道の中から、外国に進出する中国人の典型的な行動パターンをいくつか抜き出してみよう。
●国外で華人、華僑に絡むトラブルが発生した場合、かなりの案件は中国人自身が招いた問題である
●進出する華人・華僑は、作業員からトイレットペーパー、インスタント食品に至るまで、すべてを中国から持ち込み、現地の労働力や製品を購入しようとしない
●数年後、華人・華僑は自分の家族・親戚を大勢呼び寄せ、安い中国製品の販売を始め、地元経済を支配しようとする
●中国側は、個人、企業ともに法律意識が欠けており、商業道徳にも違反する
●現地社会と良好な関係を保てず、現地の風俗習慣にも無頓着である
●管理が粗暴で、現地人従業員をないがしろにする傾向がある
 といった具合だ。もちろん、中国政府も決して手をこまぬいているわけではない。昨年末には、海外の華人・華僑問題を担当する中国国務院・僑務弁公室が「海外同胞の文明的イメージを樹立するための調査研究」と題する報告書を作成し、海外に進出する中国人に警鐘を鳴らしている。
同報告書によれば、中国人のイメージが特に悪いのはイタリア、スペイン、フランス、英国、南アフリカなど最近在留中国人が急増した先進国が多く、特に、商業上の「ルール無視」や生活面での「悪しき習慣」が中国人のイメージを損ねているという。
 さらに同報告書は、「中国人はグループ同士で対立することが多く、現地社会に十分溶け込んでいない」「一部少数による犯罪が中国人全体のイメージを傷つけている」とも述べている。
嫌中感情は今後も続く
 なるほど、中国政府も問題点を結構よく理解しているではないか。それではなぜ、この種のトラブルがなくならないのだろう。
 一部の反中・嫌中派識者は海外で中国人が嫌われる理由として、中国人に特有の自己中心、ご都合主義、独善、責任転嫁、人間不信、土匪性などを挙げている。しかし、これは必ずしも正しいとは思わない。
 「ジコチュウ的」振る舞いは決して中国人の専売特許でなく、むしろ開発途上国共通の国民性だ。この点は以前詳しく述べた(中国株式会社の研究:その24)ので、ここでは繰り返さない。
 海外に進出する中国人が嫌われる最大の理由は、ズバリ、その物理的人数の多さだと思う。
 これだけの数の中国人が海外に出ていけば、彼らは昔のような国際派のエリートよりも、外国に行くのが初めての人たちが圧倒的に多いはずだ。
 1970年代の日本人ビジネスマンや農協の海外パックツアーのことを思い出してほしい。日本人ですら外国でトラブルを起こさないノウハウを体得するのに何世代もかかったではないか。
 今中国が経験しているのは、40年前に日本人が経験したことと基本的に変わらない。このことに中国人自身が気づくまで、「嫌中感情」は今後も世界中で続くだろう。これが、今日の中国海外進出の悲しい現実である。