グーグルが中国本土から遮断 | 日本のお姉さん

グーグルが中国本土から遮断

せっかく、ふるまいよしこさんが
チュウゴクのやり方を褒めていたのに、これか!↓

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グーグルが中国本土から遮断
7月30日(金) 09時12分配信
 【ニューヨーク共同】米インターネット検索大手グーグルは29日、香港を拠点に展開している事業のうち、主力サービスの検索と広告が中国本土から完全に遮断され、利用できなくなっていることを明らかにした。原因は不明で、長期化すれば同社の中国事業に重大な影響を及ぼす恐れがある。ただ、同社は中国でのネット業務に必要な許可証の更新を同国政府から受けたばかり。技術的トラブルの可能性もある。
共同通信

2010年7月15日発行
JMM [Japan Mail Media] No.592 Thursday Edition
 
http://ryumurakami.jmm.co.jp/supported by ASAHIネット

■編集部より:寄稿家ふるまいさんが来週、日本で講演されます
◎テーマ:現地識者らの声から探る「今の中国」
ふるまい氏の最新の著書『中国新声代』は、長年中国を観察する筆者が「日ごろから自分が中国社会の理解のために参考にしている中国人識者の声を、そのまま日本に伝えられないか」という動機から、女優、漫画家、ブロガー、企業家、経済学者、映画監督、ビデオクリエーターら18人に行ったインタビュー集である。彼らは日本ではほぼ知られていないが、中国では社会に向けて熱心に発言している。本書の内容を基に、

既存のメディア報道では十分にすくいきれない中国社会の姿を探る。

  □ ふるまいよしこ :北京在住・フリーランスライター

 ■ 『大陸の風ー現地メディアに見る中国社会』          第180回

「邪悪か、偽善か」

 前回お伝えした検索エンジン「グーグル」が公式ブログで発表したエントリ「中国におけるアップデート」。同社がユーザーの検索結果に対する中国当局の検閲要求を拒否したのが1月で、中国サイト「谷歌」にアクセスするユーザーをすべて香港サイトに自動的に転送し始めたのが3月、そしていつしかそのページには「谷歌」というロゴすら表示されなくなっていた……グーグルの中国における運命や、いかに?!
 
 ……という憶測が、6月末の同エントリ発表直後に中国内外のメディアを飛び交っ
た。中国市場撤退を示唆して世界中を驚かせたグーグルが中国市場への復帰を口にしたことで、「中国当局の勝ち、グーグルの負け」というタイトルの記事も多く出回り、

台湾のタブロイド紙「旺報」などは中国市場におけるシェア、グーグルの携帯電話
「アンドロイド」の売れ行き、そしてグーグルの株価が1月より3割も下がっている
ことを挙げて、「北京(=中国政府)の三勝」とまで言い切った。
 
 中国外交部(外務省にあたる)の秦剛報道官は定例記者会見で、外国メディアから
グーグルが申請したライセンス継続が認可されるのかという質問が出た際に、「中国
国内で営業活動を行うインターネットコンテンツプロバイダーは必ず、中国の法律と
関連法規を遵守しなければならない」と、どこの国の人が聞いても当たり前すぎるほ
ど常識的に答えた。そして中国の政府系メディアはそのライセンス認可が明らかにな
ると、「谷歌(グーグル中国)は国内の法律を守ることを承諾した」と、まるでグー
グルがこれまで中国に法的お目こぼしを求めていたかのような報道だ。いや、これま
でも実際に中国人ユーザーからは「グーグルは中国の法律を守れ!」という抗議の声が上がっていたし、日本人からも「ここで商売するんなら法律守るのが常識でしょ」
といった感想を聞いたこともある。
 
 しかし、グーグルの営業ライセンスは延長された。グーグルの検閲拒否が違法だっ
たのなら、確かにこれは中国当局の大勝利だ。ライセンスの延長を申請によってグーグルは「中国の法律」に屈し、13億人の人口を持つ市場での商売のためにはどんな
「悪法」でも守らなければならないと認めたのだから……だが、そんな論理がすんな
り形成される裏には、実はグーグルだけではなく、日本を含めた海外からやってきて
中国で生産、ビジネスを行っているすべての企業が実際にそれを受け入れているとい
う現実がある。市場として、生産地として、中国と付き合うためには、「邪悪なこと
をするな」なんて正義漢ぶるんじゃないよ……それがすでに「悪法」を受け入れたビ
ジネス界の一部がグーグルにぶつけた「常識」だった。
 
 ただ、本当に、ほ、ん、と、う、に、この問題を報道した海外のメディアも含めて
ほんの一部のメディアしか取り上げていないのだが、グーグルは1月の声明において「我われは中国政府と、法律の許す範囲内で検閲されない検索エンジンの運営について話し合う」と書いている。その上で「撤退することになるかもしれないことも考慮
している」と言ったのである。つまり、グーグルはここで、「法律が許す範囲」と
「検閲されない検索エンジンの運営」は両立するのではないか、とやんわり主張した
のだった。
 
 実際、中国の法律関係者の間でも、インターネット検閲の具体的な施行要求にはどこまで法的な強制力があるのかとずっと議論が続いている。次から次へと追加される検索禁止用語、そして突然行われるネットの取り締まり、それをきちんと定めた法律
はなく、ほとんどが担当者が基本を定めた法規を拡大解釈した結果、行われている。
たとえば「胡錦濤」、「温家宝」という単語を「百度」などに打ち込むと、「関連法
規に基づき、すべての検索結果を表示することはできません」という表示されるが、
その「関連法規」とはどれなのかと管理担当者に尋ねても、答えは返って来ない。
ネット規制の多くがこういった状況で強制執行されている現実を、グーグルは「やん
わり」と突いたのだった。
 
 ただ、その主張はあくまでも「やんわり」だった。その証拠に、その後ヒラリー・
クリントンまで出て来て引き起こされた「知る権利の自由」についての大議論でも、
グーグルは「中国政府の検閲こそが中国の法律違反だ」などと声高な主張をしなかった。だから、メディア上で外野が自分の利益に立って水の掛け合いのような論争を展
開し、さらにそれしか眺めていなかった(つまり、関係各者のオリジナル発言を読み、

聞いたりしなかった)人たちはそのやんわりした主張に気付かなかった。そして、そ
れは非常に観念的な勧善懲悪のレベルか、あるいは上述したような「ビジネス界の常識」でしか語られず、結局のところ、グーグルがこうべを垂れるか、それとも中国が
負けを認めるかを期待するかだな、というところに落ち着くしかなかった。
 
 だからこそ、今回の中国営業ライセンス継続申請は「グーグルの負け」だという論
調が先走った。本当にグーグルはそのライセンス継続認可と引き換えに、検索結果の検索を受け入れたのだろうか? それを知りたい方は今すぐ(
http://www.google.cn )
にアクセスして、検索欄に日本語でも英語でもご存じの単語を打ち込んでみるとよい。

  すると、そこに現れるのはグーグル香港( google.com.hk )だ。中国の当局者に
「香港サイトへの全自動リダイレクトでは(営業ライセンスの継続は)ダメだ」と言
われたはずなのに、7月のライセンス継続認可後もグーグル中国「谷歌」は香港に誘
導されていく。ということは、「谷歌」は引き続き香港のサーバーを使ってこれまで
と同じように無検閲の検索結果をユーザーに提供し続けている。これはいったいどう
いうことなのだ。
 
 ここでもう一度上述のリンクをクリックして確認していただきたい。最初に現れる
ページの検索欄の下には中国語の「音楽」「翻訳」「ショッピング」というリンクが
並ぶ。それらをクリックすると、それぞれのサービスページが開くが、それらのアド
レスは依然として「google.cn」のままだ。
 
 つまり、グーグルのいう「新しいアプローチ」とは、「谷歌」にアクセスするユー
ザー全員を自動的に香港に誘導する「全自動リダイレクト」ではなく、「谷歌」サイ
トでは音楽やショッピング、翻訳サービスを提供し、検索だけ香港サイトへの「自動
リダイレクト」だった。引き続き、ユーザーに無検閲の検索結果を提供することで、
グーグルは「Do Not Be Evil」(邪悪なことはするな)という社訓を守ったのである。

 
 となると、今回のライセンス継続認可で、こうべを垂れたのはグーグルと中国政府
のどちらだったのか。
 
 実はどちらもこうべを垂れなかった。今回は両者が少しずつ歩み寄って結果を引き
出した。グーグルは狡猾ながら、中国サイト「谷歌」で音楽やショッピングの検索と
いうサービスを提供することで中国の要求に応えた。そして中国当局は、「谷歌」の
検索サイトは引き続き無検閲の香港に転送されることを承知の上で、検閲のことなど
口にせずそのライセンスの継続を認可してお茶を濁した。
 
 グーグルが、検閲の是非を巡って政府トップまで巻き込んだ政府間大激論を引き起こしながら、自らは「やんわり」とした態度を崩さずに論争の渦の中に飛びこんで行
かなかったのは、こんな譲歩を中国側に求めるつもりだったからだろう。これまでの
例を見ても、中国は相手が声を張り上げれば張り上げるほど、負けじとばかり同様の手段に訴える。お互いに頭から湯気を出し、怒鳴り合い、援軍を集めてイニシアチブ
の奪い合いが続くうちにいつしか両者ともに疲れ果て、しかし歩み寄るにも大きな勇
気が必要となり、今度は自己陣営に加わった論客たちを納得させることのできる、小
綺麗な理論を組み立てることに忙殺されるようになる。
 
 今は両者の価値観が違うのだから、結局は戦争で相手(の価値観)を完全に叩きつぶすのでなければお互いが譲歩するしかない。ならば、怒鳴り合い、罵り合いは、時
間とお金と精神力の浪費となる。一企業にそこまでの余裕はない。「中国の検閲こそ
が違法だ!」と怒鳴るのは簡単だが、グーグルは「やんわり」で中国のメンツをつぶ
すのを避けた。それはこれまで外国とさまざまな怒鳴り合いを経験してきた中国当局
にとってもありがたいことだった。だからこそ、「ライセンスの継続」という場面で
中国の譲歩を引き出すことに成功した。戦略面においてはグーグルが上だったと言えよう……そんなふうにグーグルの戦略に注意して米国本社のブログエントリを読み返
すと、彼らが中国政府を刺激しないよう注意深く言葉を選んでいることに気づくはず
だ。
 
 これは以前も書いたが、グーグルはブログでは「撤退する」とは断言していない。
13億の人口を超える中国は間違いなく未開発の特大市場なのだ。しかし、そこでグ
ーグルをしのぐ勢力を誇る「百度」は検索だけではなく、音楽やショッピングなど海
外の検索エンジンにないサービスで業績を大きく伸ばしている。「谷歌」でもそれに
対抗して音楽やショッピング検索を提供し始めたことは、「グーグル、百度と谷歌の
こと」で中国のプログラマー霍炬さんが触れている。つまり、それは他国のグーグル
にはないもので、もともと中国国内向けの特設サービスだから新「谷歌」サイトで展
開するにはぴったりのサービスだったのだ。
(
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report4_1921.html )
 
 そんなグーグルの中国市場「復帰」の意味を読みとくために資料を集めていた時、
さらに興味深い分析に遭遇した。「グローバル・ボイス」という、世界中の市民の声
を収集して伝えるブロガーたちのネットワークサイトがあるが、その設立にかかわり、

自身もネット上の発言空間について観察を続けている、元CNN北京支局長のレベッ
カ・マッキノンさんのブログエントリである。レベッカさんは米議会で開かれたグー
グル事件についての公聴会に参加する予定だったほど中国のネット事情に詳しい人物である。彼女は「中国がネットにおける新たな権威主義を作り上げようとしている」
と主張する一方で、グーグルのライバルである百度の代表者5人のうち2人がアメリ
カ人であることについて触れ、次のように述べている。

「アメリカの投資するドルは、人権保護団体や環境保全活動家たちがモラルに反する、

あるいは我われの健康や地球に破壊的な影響をもたらすと指摘するビジネスの多くを支えている……(中略)……我われが検閲や監視といった分野に投資を続ける限り、世界中の自由、そして民主への希求はしぼみ続けるのだ。道徳心のある投資家ならこのような問題に対処する方法は二つ。まずはすべての道徳に反する事業から手をひくこと、もうひとつはその経済面のてこを使って産業界の現場、さらには政府の法規に
前向きな変化を引き出すこと。もちろん、それには根気と時間がいるが、社会的な責
任感を持った投資態度はいつか、必ずしや違ったものを生みだすはずだ」(「グーグ
ルの中国問題は続く」RConversation・7月9日)
 
 グーグルの「中国市場撤退示唆」騒ぎの報道で、どれだけのメディアがこのような
態度で問題の焦点をえぐり出そうとしてきただろうか。わたしが見たのは、「中国に
投資するための常識」を振りかざしてグーグルをあざ笑う者、あるいは徹底的に「中
国=悪」と決めつけてグーグルに肩入れし、つばを飛ばしまくった者、挙句の果てに
は「Do Not Be Evil」というグーグルの社訓を偽善とまで言ってせせら笑う人すらい
た。そんな中で、グーグルが勝つか、中国が勝つかばかりが討論され、注目されたのだ。
 
 グーグルの検閲拒否騒ぎはこれで終わったわけではない。実際には中国国内のユーザーが、国内で禁止されている用語を検索しても、その結果のページにはたどり着けない。当局がその検索を許可したわけではないので、結果ページへのアクセスをブロックしているからだ(アクセスブロック越え用のサービスを利用していれば、結果を見ることはできるが、そんなサービスもモグラたたきのように当局は規制対象にしている)。
 
 しかし、この一連の動きを、単純にどちらが「善」か「悪」かと決めつけ、つばを
飛ばした外野手にとって今回の両者の歩み寄りは、今後それぞれの中国へのアプローチを考え直す良い例になったはずだ。
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ふるまいよしこ
フリーランスライター。北九州大学外国語学部中国学科卒。1987年から香港在住。
近年は香港と北京を往復しつつ、文化、芸術、庶民生活などの角度から浮かび上がる中国社会の側面をリポートしている。著書に
『香港玉手箱』(石風社)
(
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883440397/jmm05-22 )
『中国新声代』(集広舎)
(
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4904213084/jmm05-22 )
個人サイト:(
http://wanzee.seesaa.net )
JMM [Japan Mail Media]                No.592 Thursday Edition
【発行】  有限会社 村上龍事務所
【編集】  村上龍
【発行部数】128,653部
【WEB】   (
http://ryumurakami.jmm.co.jp/ )

歩み寄りもクソも主力サービスの検索と広告が中国本土から完全に遮断されて
本国から利用できなくなっているから、やはり、チュウゴク人は上から下までウソつきまのかなと、、、。技術的トラブルなら、早く直してください。