「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」  | 日本のお姉さん

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 

 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)7月29日(木曜日)
       通巻3030号  臨時増刊
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ラジオ日本よりお知らせ
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7月30日(金曜日) 1230-1500 「マット安川のずばり勝負」
 宮崎正弘が生出演!
「李登輝元総統と会ってきました」
李登輝さんの生の声とともに、いま台湾で何がおきているか
 宮崎の出演は1250-1425を予定

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日本文化チャンネル桜
http://www.ch-sakura.jp/

討論闘論倒論「いま日本は?」
(これからどうなる日本経済)
31日(土曜日) 午後800-1100
(出演)
上村シーラ千賀子(シスコシステムズ上級管理職・早稲田大学、秋田大学講師)
田代秀敏(エコノミスト・ビジネス ブレークスルー大学教授)
三橋貴明(経済評論家・作家)
宮崎正弘(作家・評論家)
渡邉哲也(作家・経済評論家)

 この番組は後日、インターネット、U~Tubeでご覧になれます。

★読者の声 
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(読者の声1)貴誌3029号の拙文に対しての貴見に、「保守の人たちは少数保守新党の主張に大きく賛同しても、土壇場では死票にはしないという投票行動をとります。ひるがえって、今度の参院選挙、民主党は基礎票を減らしていない。浮動票を殆ど「みんなの党」がかっさらい、自民の確信的保守票が、立ち上がれ、創新党へ流れたとみることも出来ます。ですから「みんな」は第二民主党でしょう」
(引用止め)。
この見方は大きく頷けると思います。
自民党は勝ったと喜んでいますが、議席数では勝っても得票数では大きく差をつけられています。あれだけの失言や失政また幼稚で傲慢な運営にも関わらず、民主党の基礎票は減っていないのです! 驚きです。
これをどう見るべきなのでしょうか。小澤が見通しているように多くの国民は馬鹿なのでしょうか。
依然として民主党にある種の幻影を抱いているのでしょうか。それとも民主党の基礎票層には民主党の危険な側面が伝わっていないのでしょうか。
いずれにせよ、国民を覚醒させるだけのインパクトのある仕掛けを考え出さないと3年待っても大勢は変わらないことになるように思います。
それが何なのか! 日本再生にとって大きな課題が突きつけられております。
(宮崎太郎)


(宮崎正弘のコメント)あれほど保守が束になって闘った山梨でさえ、日教組と左翼団体と、おそらく投票日三日前くらいの土壇場で自民から離れた某政党も加わり、左翼陣営は総力をあげて、まなじり決しての籠城戦(議席死守)に耐えた。
 最後の決め手は山梨県ナショナリズム? ですかね。
選挙は日本に唯一のこる戦争ですから、最後の最後に手抜きした保守陣営の油断でもあったのでしょう。
 全体で見ても自民党は比例区で公明党とバーターして一人区をずいぶんと抑えましたが、得票率を前々回より減らしている選挙区があります。
 ということは近くに衆議院選挙がもしあっても、自民党の復活はないでしょう。

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(読者の声2)先日貴誌に掲載して頂いた拙文中誤り「射程距離500キロの巡航ミサイルを開発したの(韓国)は、米国、ロシア、イスラエルに次いで世界で4番目」を1500キロに訂正。
http://www.melma.com/backnumber_45206_4914022/

仙石官房長官が8月の日韓併合100周年に向けて韓国人個人補償請求権問題で怪しい動きを見せていますが、7月17日の朝鮮日報社説によると空気を察知したのか三菱重工は戦争中徴用された韓国人女性に対する補償交渉に応じる意向を表明したそう。

同社説≪(引用始め)日本政府や裁判所は、請求権に関する問題は1965年の韓日基本条約で韓国政府と一括して決着しており、個別に補償を行う義務はないとの判断を下してきた。(中略)今回、三菱重工業が補償の意向を打ち出したのは、日本企業としては初めて、個別補償の可能性を示唆したケースとして、大きな意味合いを持つ(引用終わり)≫
によると、戦争中日本に動員され賃金を受け取れなかった韓国人は20万人に達し未払い賃金は当時の額で2億円に達するそうですが、同社説では御丁寧に戦時日本とナチスを比較し、
≪(引用始め)ドイツは(中略)被害国に国家次元での補償を行い、ナチス時代にドイツ企業に動員された外国人に対しても、一定の個別補償を行った。(中略)過去の過ちを認め、その過去を洗い流したドイツは統一を成し遂げ、欧州の中心国家となった。日本による韓国併合100年を迎える今年、日本政府と民間の次元で過去を見つめ直して反省し、問題を解決しようとする動きが見られるようになったのは注目すべきことだ。日本がこうした取り組みをどれだけ実践できるかにより、国際社会における日本の地位が変わってくるだろう(引用終わり)≫
とお説教。

だが騙されてはいけない。
ドイツは大戦で独立国家ポーランドと戦争占領したが、日本と朝鮮とは戦争した訳ではなく朝鮮住民は統治国日本の軍に参加している。英国委任統治領パレスチナのユダヤ人が英国軍に参加したのと同じ現象である。
ここで来たるべき日本国首相=西村眞吾氏の『眞吾の時事通信』528号を参照すると、何と日韓条約で日本は当時の韓国国家予算(1260億円)の十倍相当額(1兆2千億円)の賠償をしているのだ!
気前が良過ぎるではないか。
http://www.n-shingo.com/cgibin/msgboard/msgboard.cgi?page=528


古代エジプトで400年もの間奴隷だったユダヤ人を解放したのは預言者モーセであったが、20世紀半ばまでインドネシアの人々は350年もの長い間アパルトヘイトの生みの親オランダ人により奴隷同然とされたが、何百年待ってもインドネシア人には預言者モーセは来なかった。
ところが救いはやって来た。それが日本軍進駐であった。

ところで350年間もの気の遠くなる植民地支配を続けたレイシストのオランダ人はインドネシアの人々に対してどれだけの国家及び個人賠償をしたのだろう?
天文学的数字になるはずであるが答えはゼロ。



さて朝鮮日報社説に戻るが戦争中日本に動員され賃金を受け取れなかった韓国人は20万人に達し、未払い賃金は当時の額で2億円に達するそうだが、もし韓国人が日韓条約を反故にするならば日本は対抗して旧資産を再請求出来るので安いものじゃないか。
1兆円-2億円=9998億円(×物価上昇分)を(オランダみたいに)韓国政府に要求しよう!
 (道楽Q)

(宮崎正弘のコメント)日本はリビング仏陀(活仏)。なにしろ失業外国人の生活保障もするんですから。
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樋泉克夫のコラム(その1)
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 ともかく長い、そして誤訳だらけ。カネ返せ。
 『毛沢東(上下)』(フィリップ・ショート 白水社 2010年)
           
 BBC放送でアジア地区担当を経験したジャーナリストである著者は、2008年に同じ白水社から同じ訳者による『ポル・ポト』を出版している。
本文が686頁、脚注その他が207頁で全900頁ほどの分厚い本に相応しく、膨大な資料に基づいて謎多きポル・ポトの一生を細大漏らさず調べ上げている。

「ある人生」という副題を付し上下に分かれたこの本もまた、同じようにブ厚く重く、本文が900頁余で脚注・索引などが260頁余。上下2冊の総計が1200頁ほど。先ずは巨冊と表現するほかなさそうな労作、といっておこう。

 帯封に拠れば上巻では「誕生から共産党創立、長征まで」を、下巻では「抗日から文化大革命、死後まで」を扱い、全体として「(毛沢東の)成長と変化を丹念にたどり、思想の変遷、世界情勢の中にも位置づけて描く。新資料と綿密な取材を基に、偏見や扇情を排し、二十世紀の巨人の実像に迫る!」とのことだ。

 さらに「訳者あとがき」では『中国の赤い星』(エドガー・スノー)、『毛沢東伝 一八九三~一九四九』(金冲及)、『毛沢東』(竹内実)、『毛沢東』(スペンス)、『毛沢東と周恩来』(矢吹晋)、『マオ』(チアン&ハリディ)など現時点で入手可能な内外の代表的毛沢東伝記・評伝を俎上に挙げて批判した後、「これらの伝記や評伝と比べたとき、本書の毛沢東伝としての位置づけはごく単純なものとなる。

まずは、詳しいこと。次に誕生から死後までをきちんと網羅していること。そして特定の立場に偏っていないこと。その意味でも、本書は毛沢東理解のベースとして使える本だと考える」と語る。

その高揚した物言いに訳者の大いなる自負を読み取れるが、率直にいわせてもらえば夜郎自大で唯我独尊的訳文だ。原著者の努力が水の泡であり、その主張も誤解されがち。

気になった誤りを例示すると、
 第1に、訳者が地名や人名に振っているカタカナのルビが杜撰に過ぎるのだ。
たとえばローマ字のZhで表記されるものを、なぜか「ゾ」「ザ」と表記する。周:Zhouが「ゾウ」(敢えてカタカナ表記すればチョウ)、中:Zhongがゾン(チョン)、張:Zhangがザン(チャン)、趙:Zhaoがザオ(チャオ)、州:Zhouが「ゾウ」(チョウ)。Yanの表記を「ヤン」と読み、延安を「ヤンアン」、譚延闓を「タン・ヤンカイ」と綴る。だがYanと表記してイエンと読ませて、延安はイエンアン。こんなこと、中国語ローマ字表記のイロハだろうに。
 
第2に1911年の辛亥革命によって誕生した中華民国のトップは大総統であるにもかかわらず、訳者は時に大統領としている。因みに大総統の英訳はPresidentである。

第3に1916年と22年の2期にわたって中華民国大総統を務めた黎元洪を指し、「自分が北京で副大統領になり、やがては台湾で国家元首になるとは予想もしていなかった」と。1928年に死んだ彼自身、まさか「台湾で国家元首になるとは予想もしていなかった」ろう。
 
第4に「秦の宰相曽国藩」とするが、不注意にも秦:Qinと清:Qingを取り違えている。
 
第5に、「柴の上に休み臓物を食べている」との訳だが、これは「臥薪嘗胆」の英文意訳を日本語に直訳したことからくる悲しいまでのズレ。無知からくる誤訳、いや迷訳だ。
 
第6に、老荘思想の荘子を「庄子」と綴る。確かに現在の中国では荘子を庄子と表記するが、やはり日本では依然として荘子としておくべきだ。庄屋さんでもあるまいに――かく間違いは尽きず。上下2冊で5800円+税金。本代の一部でもいい、カネ返せ!
《QED》

(宮崎正弘のコメント)おそらくローマ字表記の中国語辞典であたったのでは? ペキンをベイジン、中国をチョンクォではなくてザングオって発音する欧米人と同様に。それにしても、よくそんなお粗末訳を本にしたモノですね。白水社も。
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樋泉克夫のコラム(その2)
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   ――いよッ、皆様、お揃いで・・・よござんしたネェ、あの頃は
         『輝煌的十年』(生活・讀書・新知三聯書店 1959年)  
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先ず、この本に納められた論題と執筆者を挙げておくと、「マルクス・レーニン主義の中国における勝利」(劉少奇)、「偉大なる十年」(周恩来)、「党の総路線と毛沢東軍事思想の紅旗を高く掲げ雄々しく前進しよう」(林彪)、「中国人民の大団結と世界人民の大団結」(!)小平)、「世界平和と人類の進歩の事業のために奮闘した10年」(陳毅)、「我が国社会主義建設の大躍進を論ず」(李富春)、「中国共産党は中国人民による社会主義建設の最高統帥である」(劉瀾濤)、「高速度で発展する我が国の鋼鉄工業」(王鶴壽)、「十年来の農業戦線における輝かしき成果」(廖魯言)、「二回目の十年のさらに偉大な勝利のために奮闘せよ」(人民日報社論)――

毛沢東を除いた当時の共産党最高首脳陣が雁首揃えての揃い踏み。
いわば、この本は彼らの“自画自賛集”といったところだろう。

いずれも懐かしい名前ばかりだが、以後の彼らが歩み、また歩まざるをえなかった千変万化・紆余曲折・栄枯盛衰・卑怯千万・老獪無比な人生模様を改めて振り返ってみれば、『輝煌的十年』の共同執筆は、互いが心に含むところなく「同志」と呼び合うことのできた牧歌的で幸せな時代の、最期の一瞬の“輝煌”だったともいえそうだ。いま思えば、彼らの精神は夢のように高揚していたに違いない。

やがて『輝煌的十年』も終わり「二回目の十年」が始まるや、北京の奥の院では権力をめぐっての権謀術数が渦を巻き、文化大革命に向かって疾風怒濤の時代が始まるわけだが、それにしても、よくもまあ、こう嘘八百を並べてくれたものだと呆れ果てる。

たとえば文革で毛沢東一派から悲惨極まり体験をさせられ、いまや“殉教者”の如くに祭り上げられている劉少奇は、「中国革命の勝利は中国社会の生産力を徹底して解放し、社会主義建設を一日千里の猛烈な速度と勢いで前進させたがゆえに、貧しく遅れた中国の姿を超高速で改変させた。

全国解放後の最初の3年間、つまり1950年から52年、国民経済を回復させるという任務は順調に回復し、農業生産は旧中国の最高水準を達成した」。かくして第1次5ヵ年計画が完成した57年には「工業化のための初歩的な基礎をうち立てた」。

第2次5ヵ年計画が始まった58年には「国民経済は大躍進が達成され、57年に較べ工業生産は66%、農業生産は25%と、それぞれ増加している。・・・工業主要産品の生産量は、すべて第2次5ヵ年計画が想定した62年の完成目標に近似で、あるいは超過して達成されるだろう。

中国社会の生産力のこのような超速の発展は、如何なる資本主義国家でも較べることはできないし、もちろん旧中国においては夢想だにできなかったことだ」と成果を誇り、かくて「我われをしてマルクス・レーニン忠義の旗を高く掲げ前進させしめよ! 全世界におけるマルクス・レーニン主義勝利万歳!」と論文を締め括る。

だが、現実はそうならなかった。食糧生産量は59年は1.7億トンで54年の水準に、60,61年は1.4億トンで51年の水準まで下がってしまう。食糧不足は危険水域を超え、58年から3年間の餓死者は4000万人前後。現実を無視し、国を挙げて大躍進に狂奔した結果の飢餓だった。いまになって全責任を毛沢東に押し付けるとは、虫がよすぎませんか。

それにしても60年代、つまり「二回目の十年」が悲惨であればあるほどに、『輝煌的十年』と力み返る彼らの姿が可笑しくもあり、痛々しくもあり、ブザマでもある。
《QED》


(宮崎正弘の新刊予告)
『上海バブルは必ず崩壊します』(仮題)
 九月十日頃発売、清流出版、予価1680円。詳細は八月下旬のこの爛で告示します。
<宮崎正弘の最新刊>
宮崎正弘 v 佐藤優『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社、1575円)

どころか厚かましいオランダ人はインドネシアに石油施設などの資産を残す賠償を請求したのだ。Welcome to the real world(これが国際社会である)!
だが独立直後のインドネシアには金が無くて泣く泣く敗戦国日本が払う事になった。まるで日本人は生き仏の様であるが、少なくとも政治家はいくらアホ(例えば仙石)でも歴史を学べ!
それもドイツなどではなく強かでずるいオランダにより学べ!
http://www.amazon.co.jp/dp/475931122X/
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/
<宮崎正弘のロングセラーズ>
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 ◎宮崎正弘のホームページ 
http://miyazaki.xii.jp/
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