生活保護打ち切りへ=中国人の集団申請問題で―大阪市
7月22日20時54分配信 時事通信
中国人が入国直後に大阪市で生活保護を集団申請した問題で、市は22日、生活保護受給を目的として入国した場合などは外国人への生活保護法の準用はしないとする見解を厚生労働省から示されたと発表した。これを受け、市は現在26人に対し支給している保護を打ち切る方針だ。
外国人への生活保護支給では、1954年に当時の厚生省が「特定の在留資格を得て、要保護状態であれば生活保護法を準用する」旨を自治体などに通達している。これに対し市は今回の問題を受け「自治体に裁量権がない」などとして、集団申請への対応について意見を求めていた。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100722-00000164-jij-soci
7月23日7時56分配信 産経新聞
中国・福建省出身の日本人姉妹の親族とされる中国人48人が入国直後、大阪市に生活保護を大量申請した問題で、市は22日、「身元引受人の保証実態がないのは明白。生活保護受給を目的に入国したと見なさざるを得ない」として、現在支給している26人の生活保護を打ち切るとともに、審査中の2人の申請を却下する方針を明らかにした。平松邦夫市長は「根拠のないものは続けるわけにはいかない」と話した。現在、大阪入国管理局が在留資格を再調査しており、市は結果を待って最終決定する。
市は今月13日に厚生労働省に外国人への生活保護法の準用の是非を照会。21日に同省の保護課長名で「身元保証人による保証の実態がないなど、生活保護受給を目的とした入国であることが明らかである場合や、結果的にそう見なさざるを得ない場合は対象としない」との回答があった。
この見解を受け、市は今回のケースについて「定住者」の在留資格で入国した48人が直後に生活保護を申請していることや、身元保証人が2人しかいなかったことなどから、保証の実態はなかったと判断した。
現在、生活保護を支給している26人の8月分については支払いを保留し、大阪入国管理局の再調査の結果を待つが、市の担当者は「(急に生活に困窮する理由があるなど)特別の事情が明らかにならない限り、生活保護の廃止と申請の却下を行う」と話した。48人のうち20人はすでに申請を取り下げている。
厚労省によると、生活保護法の準用について、今回のような見解を明らかにしたのは初めてだが、厚労省は「あくまで大阪市に対する回答で、一般化するつもりはない。法令に基づくものではなく行政上の判断」としている。
配信元:2010/07/23 00:33更新
中国人48人が生活保護を大量申請した問題で、22日に支給打ち切りの方針を決めた大阪市。入国直後に生活保護申請をするなど「極めて不自然」な経過が浮上する中、市は国に、在留資格が認められれば保護制度を適用せざるを得ない現行の法運用の見直しを粘り強く要望し、市独自で支給の是非を判断できる“裁量権”を手にした。一方、48人の在留資格申請にかかわった弁護士は「生活保護目的の入国という市の判断は明らかに間違い」と反発している。
中国・福建省出身の残留日本人孤児姉妹の親族とされる中国人48人が大阪市に生活保護を大量申請した今回の問題が発覚したのは先月29日。市のプロジェクトチームの会合で、区役所幹部の指摘で表面化した。
その後、入国直後の外国人登録から最短3日で生活保護申請するなど、不自然な経過が浮上した。
産経新聞の取材に応じた日本人姉妹は、「親族と一緒に日本で暮らしたかった」と生活保護目的を否定した。しかし、48人の在留資格を認めた大阪入国管理局に市が照会した結果、48人の身元引受(保証)人はわずか2人と判明。申請者と身元引受人の数のあまりの格差に、市の担当者も、身元引受人の当初からの扶養の意思や保証能力に疑問を抱いた。
こうした事情に加え、財政難の大阪市では、膨らむ一方の生活保護関連の予算が財政を圧迫している。市では再三にわたり厚生労働省に対して、在留資格が認められれば自治体の意向にかかわらず生活保護を支給しなければならない現在の生活保護法などの運用見直しを要望し、今月21日に「結果的に生活保護の受給を目的として入国したと見なさざるを得ない場合」などは、市が独自に打ち切りを判断できるとの回答を得た。
市の担当者は今回の厚労省見解について、「ここまで踏み込んだ意思決定をしてくれるとは期待していなかった。正直言って驚きだ」と評価する。
一方、48人の在留資格申請にかかわった弁護士は「生活保護目的というなら市にはそれを立証する責任がある。今回は中国残留邦人の親族が永住帰国し、仕事がみつかるまで援助してほしいと申し出たにすぎない」と市の対応を批判している。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/dompolicy/419097/
不正受給根絶へ全国初の対策本部 大阪府警
2010/07/20
生活保護や就職安定資金融資など国や自治体の給付事業を食い物にする「貧困ビジネス」を排除するため、大阪府警は20日、「不正受給事犯対策本部」(本部長・安田貴彦警務部長)を設置した。刑事、生活安全、警備部など各部署を横断して情報を集約、所轄署と連携して貧困ビジネスの抑止・検挙を進める。
府警によると、不正受給に特化した対策本部の設置は全国初という。
この日は府警本部内で発足式が行われ、安田警務部長が「セーフティーネットの信頼性を揺るがす事件が相次いでいる。組織の総合力を発揮し、大阪から不正を根絶する強い覚悟で臨んでほしい」と訓示した。
大阪府内では、生活困窮者を囲い込み、保護費をピンハネする貧困ビジネスが社会問題化。府警は今年に入って、保護費をだまし取っていた団体を相次いで摘発するなど、取り締まりを強化している。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/417907/
中国人の生活保護大量申請 制度の不備明らかに2010/07/19
■「もはや限界」市は国に制度見直し訴え
中国・福建省出身の日本人姉妹の親族とされる中国人48人が入国直後、大阪市に生活保護を大量申請した問題は、入国管理や生活保護をめぐる制度の不備を次々と浮かび上がらせた。現状では入国審査は形式的で、就職先の実態も調査しないまま在留資格を認めており、そのまま生活保護に申請が集中。大阪市では、過度の財政負担に「もはや制度は限界」と悲鳴をあげており、国に対して今後、制度の抜本的な見直しなどを要請していく方針だ。
■「極めて不自然」
「住むところも仕事もない」。5月18日、入国直後の中国人3人が外国人登録のため大阪市西区役所を訪れた。付き添っていた市内在住の中国人男性は彼らの家系図を示し、ワンルームの3室に10世帯25人が暮らしている窮状を訴えた。
結局、中国人の親族48人全員が保護受給を申請。これに対し市は、「入国直後に一斉に受給申請しているのは極めて不自然」として6月29日、緊急会見を開いた。
「事実関係を問い合わせたが、会見を開くまで何も回答がなかった」。平松邦夫市長は、在留資格を審査し、定住者として認めた大阪入国管理局の対応に不信感をあらわにした。
■審査は形式的
大阪市は、入管難民法第5条が定める「生活上、国または地方公共団体の負担となるおそれのある者は上陸できない」との規定を根拠に、今回の入管の対応を問題視する。
48人の扶養を約束した身元引受(保証)人は、同郷出身の中国人2人だけ。来日後の雇用予定先として大阪府内の5社を記載した陳述書も提出されたが、入管が従来、雇用予定先まで実際に調査することはなく、形式的な書類審査にとどまっていた。
48人の在留資格を申請した弁護士も「書類の内容は虚偽ではないが、内定を確約するものでもない」と、あくまで“形式的”であることを強調する。
■各種制度に不備も
入管難民法は平成2年に改正され、日系2、3世と配偶者は就労制限のない定住者の在留資格が認められた。
この法改正の背景には、当時の好景気で労働力不足に悩む経営陣の意向もあったとされ、改正後は日系ブラジル人や中国残留邦人の親族呼び寄せも急増した。
厚生労働省によると、21年度までに帰国した残留邦人は6646人。ただし、在留邦人が親族として呼び寄せた2世や3世の数については「把握していない」という。
20年4月には、在留邦人の生活を支援するため月額最大約8万円を支給することなどを盛りこんだ改正帰国者支援法も本格施行されたが、2世や3世などの親族は主な施策の対象外とされ、受け皿は生活保護しかない。
しかし、大阪市では生活保護受給者の急増で財政を圧迫、制度そのものが限界にきている。平松市長は入管に審査の厳格化を求めるとともに、「生活保護という観点だけで市に判断を委ねるのは間違い。国として制度そのものの抜本的な見直しが必要だ」と訴える。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/417685/
生活保護のススメ? 中国人大量申請、華字紙が特集
阪市西区に住む中国福建省出身の日本人姉妹の親族とされる中国人48人が入国直後、市に生活保護を申請した問題が、国内の中国人ら向けの新聞(華字紙)で大きく報じられている。不況の中、生活に困窮する在日外国人は多く、生活保護に対する関心の高まりが背景にあるとみられる。ただ、中には受給ノウハウを指南するような特集記事もみられ、“生活保護のススメ”とも取られかねない内容が波紋を呼びそうだ。
週12万部を発行している華字紙「東方時報」(東京)は、8日付の1面トップで今回の問題を報じた。主に日本の報道機関が伝えた内容を紹介したほか、2ページにわたって「在日華人はどのように生活保護を申請すればよいか」と題する特集記事を掲載。厚生労働省や法務省入国管理局に直接取材して得た回答を一問一答形式で紹介している。
◇具体的に記述
この中で、外国人の生活保護受給の可否について「生活保護法の対象外だが、昭和29年に出された当時の厚生省通知に基づき、生活が困窮している外国人には法が準用される」と記載。申請条件として、原則10年以上の日本在留など、一定の要件を満たせば許可される一般永住者や日系・難民などの定住者-といった在留資格が必要と説明しているほか、「原則は本人申請」「扶養義務者や同居する親族も申請できる」などと具体的に伝えている。
在日中国人が親族らを日本に呼び寄せるケースは多く、法務省によると、国内の外国人登録者は近年中国籍が急増。平成19年に韓国・朝鮮籍を抜きトップとなり、21年末で68万518人と全体の3割超を占める。
一方、大阪市によると、在日外国人の4月現在の生活保護受給率は、市全体の受給率(5・3%)を上回る8・3%。在日外国人の生活支援に取り組む同市のNPO関係者は「外国人は生活基盤が脆弱(ぜいじゃく)で不況などの影響も受けやすい」と指摘する。
特集を担当した東方時報の男性記者によると、定住の在留資格を得て来日しながら、派遣切りや雇い止めで職を失うなど生活に困窮する中国人らは多いという。記者は「今回の問題が発覚する前から特集記事の掲載は決まっていた。(日本社会では)生活保護の受給に厳しい意見も多いが、外国人でも本当に困窮すれば受給の権利があることを知らせたかった」と話す。
◇高い関心
また、週10万部発行の「中文導報」(東京)も、8日付の1面記事で大量申請問題を報じた。申請を受け付けた西区役所にも電話取材し、「定住者の資格があり生活が困窮している以上、支給を認めざるを得なかった」とする職員の談話を掲載。大阪市の今年度の生活保護費は2863億円で、市税収入の5割近くに迫ることにもふれ、「不正受給に敏感」と解説した。楊文凱編集長は「大量申請問題は中国国内でも高い関心を集めている」と話す。
ただ、生活保護の受給を推奨しているとも受け取られかねない記事には厳しい声もある。日中情勢などに詳しい中国出身の評論家、石平氏は「中国国内では生活に困窮している人は何億人もいる。華字紙の特集には、中国人永住者や帰化した人らに対し『中国からどんどん家族や配偶者らを呼び寄せ、すきを突いて生活保護をもらえ』というメッセージや発想が感じられる」と話している。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/414056/