頂門の一針メルマガより。 日本も巡航ミサイルの配備を再検討する時期 | 日本のお姉さん

頂門の一針メルマガより。 日本も巡航ミサイルの配備を再検討する時期

日本も巡航ミサイルの配備を再検討する時期
 古澤 襄

北朝鮮が日本に対するノドン・ミサイル攻撃をした時に防ぐ手段を持っているだろうか。残念ながら米国の軍事的な報復に依存するしかない。
その米国も沖縄の米軍基地を攻撃されれば、報復攻撃をするだろうが、日本の都市が攻撃されても、ただちに反撃するのは期待できない。

米国が反撃すれば、北朝鮮が米本土を攻撃する危険性があるからである。
軍事報復よりも外交交渉で北朝鮮に圧力をかける道を選ぶと思われる。
日米同盟に過度な期待をかけるのは危険である。と言って日本には独自で国家を守る力はない。

一時よく言われたのは、ノドン・ミサイルの第二波、第三波攻撃を阻止するために、自衛隊機が北朝鮮の基地に攻撃をかける生存権をかけた発動が必要になるが、憲法上、自衛隊機には敵地攻撃をしても、日本に帰投する燃料は持たずに飛び立つので日本海に不時着するしかない。

こんな漫画的な自衛力しか持っていないのが、日本の国防の実態である。
ひたすら日米軍事同盟の抑止力に期待して、北朝鮮の暴発を抑えるしかない。

日本海に不時着するしかない自衛隊機の敵基地攻撃が現実的な抑止力にならない以上、これに代わるものとして日本も巡航ミサイルを保有すべきだという意見がかつての防衛庁で検討された時期がある。

2004年に策定された中期防衛力整備計画(平成17年度~平成21年度)で、射程300キロの巡航ミサイルの導入が検討された。しかし連立与党の公明党の反対で日の目をみなかった。

2007年11月7日の第10回日米安全保障戦略会議で当時の玉澤徳一郎元防衛庁長官がボドナー元米国防副次官に対して「中国の膨大な数のミサイルを考えた場合、発射されたこれらすべてを撃ち落とすことは不可能である。

ミサイル攻撃を受けた場合、まず重要施設をミサイル防衛で防護し、すかさずアメリカ軍機による相手発射施設の破壊を期待するより他ない」
と日本側の見解を述べている。

また同時に「今後、わが国の防衛力を高めるには戦術抑止システムの配備を検討しなければならない」と提議し、具体的には「米国の協力を得
てわが国も巡航ミサイル保有したい」と述べた。

日本は独自で巡航ミサイルを作る技術力があるが、日米軍事同盟に配慮して米レイセオン社によるトマホークの導入を提案していた。しかし中
国を刺激する提案だったから具体化は見送られた。

その間に韓国の巡航ミサイル化が先行して実戦配備されたいきさつがある。日本が巡航ミサイルを保有していないのは、国内外への政治的な配慮が優先してきた。

この流れは民主党政権になって、さらに固定化されている観がある。ただ2004年当時とは異なって北朝鮮に対する危機意識が高まっている現実がある。

日本が万が一、北朝鮮からのミサイル攻撃を受けた場合、敵国の出撃拠点や補給線といった軍事目標を攻撃するのは正当な行為(鳩山一郎内閣の統一見解)という意識は国民各層で認知されている。

専守防衛を堅持しながら、日本も巡航ミサイルの配備を再検討する時期に来ているのではないか。
2010.07.20 Tuesday name : kajikablog

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