2004年からデング熱は流行っていたようです。
1回、デング熱にかかった人が再度かかると
重い症状がでるらしい。家庭内感染も恐いのですね。
こんど、蚊帳を見つけたら買っておこう。
じゃかるた新聞は役に立つわ。↓
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2004年3月5日 じゃかるた新聞掲載
デング熱にどう対処する インドネシア全土で大流行
「ブ~ン」と来たら要注意 栗田医務官に聞く
インドネシアでデング熱が記録的な猛威を振るっており、ジャカルタ在住の外国人駐在員の入院患者も報告されている。熱帯特有の感染症にかかるのを防ぐため、在留邦人はどのような対策を講じれば良いのか。在インドネシア日本大使館の栗田実・医務官に話を聞いた。
◆デング熱が流行する背景は何でしょう
──デング(ウイルス)が土着するための条件は、(1)デング熱患者の移動(2)患者や蚊の増殖に対する対応がない状況(3)ウイルスを媒介する蚊が生息しやすい環境─の三点です。
ジャカルタの現状は、(1)非常に雨が多く水たまりができやすい(2)蚊の増殖に対する行政対策が過去に取られていない(3)ごみ放置が非常に多い(4)不衛生な環境で多くの低所得者が生活している─で、流行の条件と一致し、ウイルスが繁殖しても不思議ではない。
デング熱流行で在留邦人に注意を呼び掛ける栗田医務官
◆今年に入ってのデング熱の国内感染者はすでに約二万人に達しています。これほどの大流行に至った原因は何でしょうか
──感染症はある時点で爆発的に増加するのが一般的。保健省の統計によると、毎年十万人当たり十人程度がデング熱に罹患(りかん)した。二〇〇三年の感染者数は約五万人。この数字は、過去の統計に当てはめると十万人当たり約二倍の二十三人が感染したことになる。(感染者数は)放物線を描いて増加しており、これまでの平均値を超える規模になった。
月ごとの比較では、例年二─六月で一年分の感染者が出ている。八─十一月はほとんど患者が出ないのが普通だが、昨年八月以降、外国人の入院患者も途絶えなかった。年末以降はさらに増えるのではないか、という話が医療関係者の間で出ていた。
ただ、その要因については、人の移動もあれば、ウイルスの変異説もある。環境問題や気候問題もあり、断定はできない。
◆在留邦人が取るべき具体的な予防策は
──第一に、蚊を家の中に入れないこと。窓や戸は必要のないときは閉める。掃除のときの閉め忘れも注意する。車についても同様で、蚊がいないことを確認して乗車し、不必要に窓を開けないこと。
二番目に、蚊に刺されないようにすること。屋内の蚊は徹底的に駆除し、心配であれば蚊帳(かや)に入るのが良いでしょう。
最後に、蚊を増やさないための対策として、(1)庭やバルコニーを含めた家の中に水たまりをつくらない(2)植木鉢や空き缶を放置しない(3)家の中のごみをきちんと捨て整理整とんを心掛ける─が挙げられる。
また、(1)スラムが近い(2)近隣に建築現場がある(3)近隣にごみが放置されている─などの住環境の人は注意が必要。特に一軒屋、長屋、アパートメントの低層階に住んでいる人は注意を。
万一、感染した場合、完全に熱が下がって血小板数が正常に戻るまで入院するか、それに準じた対応を取り、家庭内感染を防止すること。また、デング熱に感染した経歴がある人、ほかの病気に感染している人、高齢者、乳幼児が感染した場合は特に注意が必要。
デング熱の感染予防策
蚊を屋内に入れない
・窓や戸の戸締りを徹底
・大きな通風孔にも注意
蚊に刺されない
・蚊を見つけたらすぐに駆除する
蚊を増やさない
・家の中に水たまりを作らない
・植木鉢や空き缶を放置しない
・ごみや食べ残しはきちんと片付ける
ただ、ここ三、四年に限った話では、外国人の駐在員がデング熱に感染して死亡した例はないと聞いている。きちんとした対策を講じれば、外国人が死に至る可能性は極めて低い。
◆インドネシア政府は適切な対策を講じていますか
──患者の増加を認め、きちんとメディアに広報した点を一番評価している。患者が病院へ行きやすい環境をつくり、病院の敷居を下げたという点、蚊の駆除などの対策を始めた点も大事。
病院に入った患者数を政府が把握し、その上で地域ごとの対策が講じることができるように機能させることが重要だ。
■ネッタイシマカ媒介に感染
デングウイルスは、日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科に属するウイルスで、ネッタイシマカ(一部ヒトスジシマカ)などの蚊を媒介に感染する。
蚊に刺されて約一週間後、頭痛、目の奥の痛み、筋肉痛、関節痛、倦怠感とともに突然の発熱がある。一週間以内に治癒するケースが多いが、特に再感染の場合、デング出血熱という重症型になることがある。
デングウイルスには四種の血清型があり、インドネシアでは3型のウイルスが最も多いが、保健省は現在、遺伝子が変形した新種ウイルスが発生した可能性が高いとみて調査を続けている。
2004年3月2日 じゃかるた新聞掲載
猛威振るうデング熱 幼児の死亡が相次ぐ
患者であふれる病院
デング熱の流行に衰えが見えない。保健省によると、感染者数は全国で一万九千三十一人に増加、死者は三百三十六人(一日午後現在)に達した。政府は、これまでに治療費の一部無料化や各地域での蚊の駆除などの対策に乗り出したが、デング熱流行のピークとされる四月を前に、感染者は日に日に増加する一方。ジャカルタ市内の病院の多くは患者のベッドが廊下まであふれ、重度のデング出血熱を発症した幼児の死亡が相次いでいる。
東ジャカルタ・チャワンのブディ・アシ総合病院。デング熱に感染した入院者数は一日現在、百七十六人。
入院者の約半数に当たる八十七人は小学生以下の子供で、昼夜を問わず、院内に幼児らの泣き声が途絶えることはない。
南ジャカルタのマンガライに住むシャムスディン君(七つ)は二月二十六日に突然、四十度以上の高熱に襲われ、二十九日に入院。吐き気、せき、食欲不振は現在も続いている。
1日に入院した女児を心配そうに見守る母親
看病する母親のスミヤティさんは「息子が発病した時点ではデング熱に感染したとは想像もしなかったが、血液検査で陽性反応が出たときは恐ろしくて涙が出た。もう少し早く入院させるべきだったと後悔している」と語った。
■「病室が足りない」
同病院によると、今年に入り毎日二十-四十人がデング熱感染で入院。毎週少なくとも一人が死亡し、死者の総数は十四人に達した。
患者のベッドは廊下まであふれ、薬の配布カウンターや受付は、市場のような人だまりができていた。祈とう師が患者に対して祈りを施して回る姿も見られた。
ある医者は「デング熱の治療でできることは、寝かせる、点滴を打つなどの対症療法のみ。医者や薬に不足はないが、とにかく患者を収容する場所が足りない」と嘆いた。
■蚊の侵入予防が最善策
デング熱は基本的には軽症で済むケースが多いが、デング出血熱を疾患した場合、致死率は約一〇%まで高まるとされる。
デング出血熱は、デング熱に感染した患者の皮下、鼻腔、歯肉などから出血が見られる重度の疾患で、これまでに死亡した幼児のほとんどはこのデング出血熱を発症している。
比較的軽症のデング熱も重症型のデング出血熱も、予防方法はウイルスを媒介する蚊に刺されないよう心掛けることのみ。
在インドネシア日本大使館の栗田実・医務官は「戸や窓の開け閉めを徹底し、室内への蚊の侵入を防ぐだけでかなりの予防ができる。ウイルスを媒介する蚊が活動するのは日中だが、夜、窓を開けて寝る場合は必ず蚊帳を使うべき」と在留邦人にも注意を呼び掛けている。
■大統領が患者を激励
メガワティ大統領は一日、東ジャカルタのプルサハバタン、ラワマングン各病院、西ジャカルタのタラカン病院を訪れ、デング熱に感染した入院患者を初めて慰問した。夫のタウフィック・キマス氏、アフッマド・スユディ保健相らが同行した。
大統領は、患者に病状を尋ねたり、励ましの言葉を掛けたりして、各病室を訪問。ある患者の家族は、大統領と会えた感激の余り「大統領選では必ずあなたに投票します」と約束していた。
デング熱患者への慰問は、これまでにタウフィック・キマス氏、ハムザ・ハズ副大統領、スティヨソ・ジャカルタ特別州知事らがすでに行っており、政治家にとっては市民に福祉重視をアピールする絶好の機会。
メガワティ大統領は、先月末に初めてデング熱の警戒を呼び掛けるテレビ演説を行ったのみで、問題への対応の遅れを指摘する声が上がっている。
2004年2月18日 じゃかるた新聞掲載
デング熱が全国で流行 昨年2倍の死者91人
ジャワなど7州で4500人感染
保健省によると、今年に入り、首都ジャカルタを含むジャワ各地で流行の兆しを見せていたデング熱は、明らかになっている七州だけで約四千五百人に感染し、少なくとも九十一人の死者を出していることが十七日までの調べで分かった。カリマンタン、スラウェシ各島などでも感染者は増えており、デング熱はすでに全国規模で流行しているとみられる。
十七日までの感染者数はジャカルタ特別州で二千七百十二人(死者十七人)、西ジャワ州で七百七十人(同十二人)、東ジャワ州で千百八十九人(同三十八人)に達した。このほか、ジョクジャカルタ特別州で十五人、東ヌサトゥンガラ州で十人の死者が出ている。
一九九八年からの統計では、デング熱による死者数は最高となり、前年同期比のほぼ二倍に達した。
デング熱に感染した幼児の血液検査を行う医師=アンタラ通信
アフマッド・スユディ保健相は十七日までに、主要病院にデング熱の専門家らを派遣、高熱を出した患者に対して早急に血液検査を行うよう全国の医師に指示した。
解説 新種ウイルス発生か、背景に環境整備の遅れ
首都ジャカルタやジャワ各地で今年、デング熱が急速に広まった理由について、保健省の専門家は、(1)衛生環境の悪化(2)ここ数日間続いた大雨で蚊が生息しやすい環境となった(3)蚊や人を媒介に新種のウイルスが発生した-を挙げている。
蚊は、古タイヤや空き缶にたまった水などに産卵し繁殖するため、感染防止策として衛生環境の改善が不可欠。
市民の間でデング熱が流行する背景には、ごみ問題など環境対策の遅れがあり、感染を防ぐためには、これらの課題を早急に解決する必要がある。
(3)について、保健省のウマル・ファフミ伝染病管理総局長は「異なる二種が結合し、新種のウイルスが発生した可能性が高い」と述べ、来週にもウイルスの調査結果を発表するとしている。
デング熱は蚊を媒介に感染し、大人の場合八-十日間、子供の場合四-六日間の潜伏期間があり、体力のない子供は発症後に死に至るケースも多い。
世界保健機関(WHO)によると、デング熱はアジアやカリブ海一帯など熱帯地方を中心に年間一億人に感染。致死率は約五%。
ジャカルタでは現在、毎日、平均約二百人がデング熱を発症しており、保健省は、頭痛、吐き気、発疹、三十八度以上の高熱などの症状が出た場合、すぐに病院に知らせてほしいと市民に呼び掛けている。
http://www.jakartashimbun.com/pages/dengue.shtml