日本は、北方領土を奪ったロシア、竹島を奪った韓国、尖閣諸島と沖縄を狙うチュウゴクに囲まれている島
7月8日11時57分配信 読売新聞
【モスクワ=山口香子】ロシア下院は7日、第2次大戦で日本が降伏文書に調印した9月2日を新たに大戦終結の「記念日」として指定する法案を可決した。ロシア政府は法案を支持しており、近く大統領の署名を経て発効する見通しだ。
ロシアでは5月9日を「対独戦勝記念日」としてきたが、これに加え、事実上の対日戦勝記念日を制定することになる。日本の北方領土返還要求をけん制する狙いとみられる。
対日戦勝記念日の制定は、北方領土を管轄する極東サハリン州がロシア政府に要請していた。
最終更新:7月8日11時57
7月9日7時57分配信 産経新聞
■提出から5日
7日に可決された法案は「軍の名誉と記念日法」を修正し、9月2日を「第二次大戦終結の日」に定める内容。下院のザワルジン防衛委員長らが2日に提出したばかりだった。通常、下院では3度の読会(本会議)を経て法案を採決するが、今回は第1読会だけで即決された。
ザワルジン氏は法案について「日本の降伏文書で第二次大戦は終結し、ソ連が連合国の責務に従って対日参戦したことの正当性が確認された」と説明。ラブロフ外相も先に「9月2日には太平洋での終戦が祝われるだろう」と述べており、メドベージェフ政権は「対日戦勝」のプロパガンダを強めるとみられる。
政界筋によると、法案には下院(定数450)の350人が賛成した。
■65周年の節目
対日戦勝記念日の制定は長年、日本の北方領土を事実上管轄するサハリン(樺太)州の議員らが陳情してきた。法案は記念日に「軍国主義日本に対する戦勝」といった名称を冠さず、休日扱いにしない形で提出に至った。ただ、その目的が、「戦勝65周年」の節目に自国に都合のよい歴史観を固定化することであるのは明白だ。ロシアでは日本の終戦記念日である8月15日が認知されておらず、一方的に侵攻したにすぎないソ連軍が「日本を降伏させた」との説が流布している。
北方領土をめぐっては今月、ロシア軍が択捉島で大規模な軍事演習を行ったことも明らかになり、日本政府が抗議した。北方領土はロシアにとって事実上、唯一の領土問題となっており、軍事的にも日本を牽制(けんせい)する動きが強まっている。
【用語解説】北方領土問題
1945年8月9日、ソ連は41年に署名され当時有効だった日ソ中立条約を無視し、対日参戦した。ソ連軍は終戦後の8月18日、千島列島への攻撃を開始。その後、南進し28日に択捉島、9月1日から4日に国後島、色丹島、歯舞群島をそれぞれ武装解除し、同月5日までに北方四島(北方領土)を占領した。サンフランシスコ平和条約で日本は千島列島を放棄したが、北方領土は含まれていない。北方領土には終戦時約1万7300人の日本人が居住していた。四島の総面積は約5千平方キロメートルで福岡県とほぼ同じ。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100709-00000067-san-int
2010/07/08 21:26
【モスクワ=遠藤良介】ロシア下院が事実上の対日戦勝記念日を新たに制定したことは、一方的な侵略行為にすぎなかったソ連の対日参戦を「戦争の勝利」と誇大宣伝し、歪曲(わいきよく)した歴史観を固定化しようとのメドベージェフ政権の意向を反映している。ロシアの狙いは戦後65年を機に、北方領土問題をめぐる日本の主張を封じることにほかならず、「対日勝利」史観を軸に中国や旧ソ連諸国との結束も強めている。
「ソ連軍は極東で日本の関東軍を粉砕し、中国東北部と北朝鮮、南サハリン(樺太)とクリール諸島(日本の北方四島と千島列島)を解放し、それによって第二次大戦の終結を早めた」
“対日戦勝記念日”を制定する法案が可決されたのを受け、与党・統一ロシアの有力議員、サブリン氏は7日、国営ロシア通信にこう語った。同氏は「(新記念日は)祖国と連合国の責務に身をささげた同胞に関する記憶の印だ」とも言う。
そこでは、ソ連が日ソ中立条約を侵犯した事実はおろか、日本がポツダム宣言受諾を通告した45年8月14日の時点で、満州の重要都市が全く陥落していなかった事実も抜け落ちている。北方四島の占拠完了は、対日終戦記念日よりも遅い9月5日だった。
氏のいう「連合国の責務」は対日参戦を密約したヤルタ協定(45年)を指す。だが、日本が参加も調印もしていないヤルタ協定に拘束される法的根拠はない。日本が連合国の前に放棄した「千島列島」に北方四島は含まれず、そのソ連による占拠は、連合国側が「領土不拡大の原則」をうたった大西洋憲章(41年)やカイロ宣言(43年)にも反する。
旧ソ連・ロシアでは対ドイツ戦(41~45年)が「大祖国戦争」と呼ばれ、その5月9日の戦勝記念日は最も重要な祝日とされてきた。独裁者スターリンによる判断ミスや大粛清の影響で緒戦に大敗北し、2700万人ともされる犠牲者を出す総力戦となったためだ。
これに比べ、ロシア側の情報でも死者8200人という「対日戦争」はロシア社会での認知度も圧倒的に低かった。今回可決された法案は“格下”の記念日とはいえ、ナチス・ドイツと日本を同一視して「戦勝」を内外に誇示するものだ。
「戦後65年がたち、退役軍人らの高齢化も進んでいる。この節目をとらえることが政権には重要なのだろう」と日露関係筋はみる。
米ソ冷戦時代の「超大国」の地位から転落したロシアにとって、国連安保理常任理事国に代表される「戦勝国」の地位は大国路線の“生命線”だ。内政面でも、今のロシアには過去の戦勝以外に国民を統合する理念がない。
ロシアは昨年5月、治安・武力系省庁の代表者らによる大統領付属の「反歴史捏造(ねつぞう)委員会」を設立し、日露関係を含む国定史観の宣伝に躍起だ。有力関係者の一人は「日本の領土要求には全く法的根拠がない」と断じる。
今年5月9日にはモスクワで対独戦勝65周年を祝う大規模な軍事パレードが行われ、中国や旧ソ連諸国など約20カ国の首脳が参加した。特に、中国の胡錦濤国家主席はプーチン露首相と会談し、「(対独、対日の)歴史の真実を守り抜くために連携を強める」(胡主席)ことで一致した。
一方、ロシアは2月に改定した軍事ドクトリンで「ロシアと同盟国への領土要求」を主な軍事的脅威として掲げ、日本を強く牽制(けんせい)。ロシアは「日本の民主党政権下で日米同盟が揺らいでいる」という点も見越しており、政権派の専門家からは「日本は根拠のない領土要求よりも、米国からの『独立』を選ぶべきだ」といった発言も聞かれる。