『軍事情報 第437号 (最新軍事情報) 』しかも菅氏は首相にして、自衛隊の最高指揮者なのだ。
『軍事情報 第437号 (最新軍事情報) 』
◇◆◇ 発行講読者数:11357名/平成22年(2010年)7月5日(月)発行 ◇◆◇
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想記」(隔週木)、別冊「スペイン・ラテンアメリカ講座」(隔週木)、
別冊「数学者が見た戦史」(毎週金)、本の紹介(不定期)の定番マガジン
と、その他随時に記事を配信しています。
● もくじ
◎ 【最新軍事情報】「重要な資料を紹介します」など
◎ 【国民年金の花柳な生活】「「熱烈歓迎」??」「50年前」
◎ 【「田母神塾」のご案内】来週金曜日放映です。「今年もヒロシマで・・」
◎ 【編集雑記】「口の軽い御仁」
◎ 【おたより】なし
こんにちは!!
おき軍事のエンリケ航海王子です。
今週も目を通していただきありがとうございます。
今週の最新軍事情報をお届けします。
受け取っていただいたあなたに、心より感謝しております。
日曜日に、
在沖米海兵隊3機動展開部隊司令部グアム移転(8000名規模)に伴う、わが国の拠出金負担増に関する報道が出ましたね。小鳩政権のつけがこれから回ってくるのでしょうか。選挙を控え、厄介なことになりそうですね。
昨年末頃だったと思いますが、グアム側の受け入れインフラ整備がほとんどできていないとの情報をお届けしたことがあります。その際、「できれば移転はないほうが良い」と書いたかに記憶しています。
これも以前お届けした話ですが、
いざというときにわが方の指揮官と米の指揮官が共同作戦を展開する上で、日米双方が常日頃から顔を合わせ、ツーカーの仲になっておくことはきわめて重要。
だから、司令部機能が後退するのはあまりよいこととはいえない、とするご意見も紹介しました。
この件を通じて大局を見失わないよう、心がけていただきたいものです。
今日の記事もぜひご覧ください。
以上思うところを述べました。
今週もよろしくお願いします。
(エンリケ)
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■シナの謀略に対抗するための国防倫理観涵養
「日本安全保障倫理啓発機構(JSEEO)」
詳しくは ⇒ http://www.jseeo.com/
● 最新軍事情報
【軍事理解のための「3つの土台」】
1.せめてこれくらいは国民として把握しておきたい軍事の常識
⇒軍事は政治の延長線上にあるもので、決して特別なものではない。
だから、軍事を忌み嫌う人は、政治を正しく理解することが出来ない。 一方で、軍事を必要以上に神聖なものと捉える人も、全体を見誤まる。
2.国民の軍事理解でイチバン欠けている部分
⇒国際政治がバランスオブパワーの関係で成り立っているということを知らな い。一方で、そのようなことを知らないお人好しが、あたかも善良な人で あるかのように捉えられる傾向にある。残念ながら、現実の国際社会は 単なる仲良しクラブにあらず。
3.ナゼ国民は、軍事理解に乏しいのか?
⇒自国への帰属意識が希薄であるため。守るべき対象(日本)を感じることが 出来ないのだから、軍事を理解することなど到底不可能。国家観に対する
教育を怠ってきたことのツケ。
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■「勢力均衡」と「遠交近攻」
「勢力均衡」「遠交近攻」は、古今東西変わることのない国際情勢を把握するための
普遍ツールです。
韓国の戦時作戦統制権移譲の時期が二〇一二年から二〇一五年に延長されたことについて、見識ある韓国の方々からは「当たり前のことだ」「再延長すべき」「永久に移譲されない方が望ましい」という話が出ているようです。
この件を考える上で必要なのは、東アジア情勢の流動化と核攻撃能力に対する意識です。支那の大国化、ロシアの復活、北鮮核武装という周辺大陸諸国の変貌の影響をもろに受けるのが、わが国と韓国という海洋国家です。
上にあげた大陸諸国はすべて核武装しています。
しかし、わが国も韓国も核武装していません。
「勢力均衡」が国際政治の常識である以上、国の存立を維持するにはそれに見合う武力を保持する必要があります。そのためわが国と韓国は「遠交近攻」という古来からある常識を通じて、同じく海洋国家である核武装大国・米と同盟を結んでいるわけです。
核攻撃能力を持たないわが国と韓国は、米の核攻撃能力を自方につけてはじめて、国際社会における存立を確保しうるといえましょう。
米との軍事関係のキモは
「勢力均衡を維持するために必要な核攻撃能力の確保にある」
という現実を理解しておく必要があります。
わが核武装論議については、
勢力均衡に必要な核攻撃能力を一部分担するという意識が必要ですね。
戦時作戦統制権といえば、こんなニュースもありました。
■在韓米軍、年内に「韓国集団」に再編
ニ日の聯合ニュース等によると、在韓米軍司令部は同日報道資料を通じ、年内に在韓米軍を韓国集団(KORCOM)に再編すると明らかにした。
一部報道で、戦時作戦統制権の移譲延期に伴い、韓国集団創設計画も延期されるのでは?と報じられたが、在韓米軍司令部はこれは事実でないと否定している。
在韓米軍司令部は、韓国集団の組織構想を先月に完成しており、再編計画は予定通り進行していると強調。韓国集団創設に関していかなる変化もないと述べている模様。
なお、在韓米軍司令官シャープ大将がニ日に行った演説によれば次のとおり。
・韓国集団は、米軍運用と韓国軍合同参謀本部への指揮統制支援、人的支援を行う。
・在韓米陸軍八軍司令部はこれに伴い「陸軍支援機能集団」から「地上軍戦闘作戦司令 部」に改編され、米軍、多国籍軍団・部隊への戦闘指揮統制能力が付与される。
・韓国集団要員は、現在の在韓米軍要員と同じく、米韓連合集団との2つの帽子を かぶることになる。
・韓国集団司令部は、二〇一五年の戦時作戦統制権移譲後もソウル近くの龍山基地に 留まる予定(韓国内報道では、現在建設中の平沢米軍基地内庁舎に2015年まで に移転するとしている)
http://www.usfk.mil/usfk/ShowContent.aspx?ID=483
韓国集団は、韓国軍合同参謀本部と共に作戦を展開する米の半島戦域統合司令部に相当するものといえる。
野戦司令部に改編される米八軍司令部のカウンターパートとなると思われる韓国軍の地上作戦集団も二〇一五年までに立ち上がる予定。
在韓米軍司令部はこうした変化について、米韓連合集団の強化、ひいては2015年の
戦時作戦統制権移譲に向けたものとしている。
⇒在韓米軍司令官は大将で(在日米軍司令官は中将)、太平洋集団司令官隷下にあるとされます。在韓米軍司令官には「在韓米軍司令官」「米韓連合集団司令官」「在韓国連集団司令官」という三つの帽子があります。
ここでは「在韓国連集団」に対する言及はありませんが、大変気になるところです。
特段動きがなければ司令官は三つの帽子をかぶり続けるのでしょうか。
(「韓国集団司令官」「米韓連合集団司令官」「在韓国連集団司令官」)
「韓国集団」設置には「国連部隊撤収後も半島で機能する統合司令部を設置しておく」
との米の意思を示す意味も大きいのではないか?と思ったりします。韓国集団司令官の権限、在日米軍司令官との関係がどういうものになるか、興味あるところです。
現在韓国で展開する駐留米軍は35000人規模で、わが国で展開する駐留米軍は50000名規模です。
米には、大統領に直隷する軍最大単位として、中央、北方、南方、太平洋、アフリカ、欧州の6つの戦域統合集団と輸送、特殊作戦、統合戦力、戦略の4つの機能統合集団があり、いずれも司令官には大将が補されています。
「韓国集団」がアフリカ集団につづく7個目の戦域統合集団に相当するのか否かはよくわかりません。
■支那の大国化
台湾併合を嚆矢とする地域大国化を支那の中共が目指している以上、地域をコントロールする実力を確保し、東アジアの勢力均衡を崩すための軍事膨張が中共の最優先課題となります。その実施にあたっていちばん目障りとなるのは日米同盟です。
だから日米同盟を無にするために支那はあらゆる手を使ってきます。
その際、次の記事で紹介する論にもあるとおり、もっとも効果的かつ現実的な戦略は「米軍重要戦力が集中する沖縄を日本から切り離せばよい」ということになるでしょうね。
具体的には「日本国内で本土と沖縄の対立をあおって日米の対立につなげ、日米政治意思を各個撃破する」方向でしょう。
よく似た動きは韓国ですでに見られています。金大中、ノムヒョン政権がそれです。
あのときは米韓分断のみならず日韓分断も行われ、日米同盟・米韓同盟という、東アジアの2大海洋同盟の抑止力を崩壊させるために必要な環境醸成が着々と行われました。あの時代に中共が飛躍的な軍事膨張をしたことを忘れてはなりません。
大切なことは、わが国・地域に混乱・不穏な情勢をもたらそうとする外国が、その種の行動・工作をしかけてくることへの備えと覚悟を、国家指導部が常々持っていなければならないということです。
それに関連する、重要な資料を次に紹介します。
■重要な資料を紹介します。
以下では、
国家観・国防意識なき現首相の軽率発言が導きかねない「沖縄分断への流れ」について、0801の新華社論文を通じ、2次大戦後の「蒋介石の大失策」から継続する問題として、詳細かつ重要な分析・指摘がなされています。
1.自分の発言・行動が何をもたらすかを意識すらできない国家・国防意識なき国家指導部は、今のわが国にとって亡国をもたらす存在以外の何者でもないことが皮膚に刺さるほどの痛みを伴って感じられます。
国民すべてが読まねばならない内容と思います。
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■ルーズベルトは沖縄を中国に引き渡そうとした
菅直人首相が国家戦略担当相だった昨年九月の政権交代直後、「もう沖縄は独立した方がいい」と語っていたとのニュースは、中国でも盛んに報じられ、ネット上でも話題になっている。
たまたま喜納昌吉参院議員に漏らした言葉を喜納氏が新著で書き記したものだが、おそらくあの国ではこれを、日本の首相の歓迎すべき態度表明と受け取っているはずだ。
それは沖縄を中国の領土(あるいは勢力範囲)であるべきとする中華民族主義的な領土拡張欲があるからだけではない。さらにはそれと表裏一体である軍事戦略思考の上からも、関心を寄せざるを得ないのだろう。
さてその中国では、蒋介石の外交上のある「大失策」談が有名である。
第二次大戦中の四三年十一月、ルーズベルト、チャーチル、蒋介石と言う連合国の「三巨頭」によるカイロ会談が行われた。対独戦の方針を話し合うためのこの会談に、なぜ中国の蒋介石が参加したかを一言で言えば、対日戦でやる気のない蒋介石を煽て上げるため、ルーズベルトが「巨頭」の一人と祭り上げ、面子を与えようとしたからだ。
この会談後に発表された「カイロ宣言」(実はこれは条約ではなく、単なるプレスリリースだが)には、「日本は台湾を中華民国(当時の中国政権)に返還すべし」とあるが、これは数年前に台湾の豊かさを知った蒋介石が、ルーズベルトに求めて挿入された一節である。
戦後台湾に進駐した中華民国軍はこの「宣言」を根拠に島の領有を勝手に宣言し、そしてそのことが今日の中華人民共和国の台湾領有権の主張の根拠となってしまっている。
さて蒋介石の「失策」談だが、国営新華社の電子版が〇八年一月に掲載した論文によると、そのカイロ会談でルーズベルトは蒋介石に「琉球列島を管理しないか」と打診した。
「日本は不正な手段で列島を奪ったが、琉球は地理的に貴国に近く、歴史的にも貴国とは緊密な関係にある。もし望むなら戦争終了後に管理権を渡そう」と言うのである。
この思いもかけない話に蒋介石は戸惑ったようだ。少し考えた上で「私は中米両国で占領し、その後国際信託を受けた中米共同管理がいいと思う」と答えた。
■蒋介石は日本との争いを恐れて沖縄を拒否
十一月二十五日に再び蒋介石と会見したルーズベルトは再び聞いた。
「もう一度考えてみたのだが、琉球列島は台湾の東北に位置し、太平洋に面するなど、貴国の東の防壁であり、きわめて重要な戦略的位置を占める。あなたたちが台湾を獲得しても琉球を抑えなければ台湾の安全は保障されない。さらに重要なのは侵略を天性とする日本に占領させてはならないと言うことだ。台湾とともに貴国の管轄下に入れないか」
だが蒋介石はやはり米中共同管理を主張した。「琉球問題は複雑だ」と言うのが理由である。
このときルーズベルトは米中共同出兵による日本占領も提案したが、これも蒋介石に婉曲に断られたそうだ。かくして「カイロ宣言」には、「台湾返還」は記されても、「琉球」への言及はなされなかったのいだと言う。
会見後に蒋介石は随行する王寵恵に意見を求め、次のような会話となった。
王寵恵:琉球の戦略上の地位は重要。軍事面から見れば必要だ。
蒋介石:しかし将来日本と、こんなことで言い争いになったらどうするのか。
王寵恵:さまざまな角度から言えば、琉球は歴史的には我が国の付属国であり、我々に渡すのが情理にかなっている。日本が批判しても道理に合わない。
蒋介石:それなら、なぜそれを早く私に言わなかったのか。
王寵恵:あなたは中米共同管理を提案した。私は部下としてあなたに従うのが当然だ。
蒋介石:ルーズベルトが我々に琉球を差し出そうとした話は少数の者しか知らない。だから今後は口外するな。もしこのことを聞かれたら、「条約も証拠もなく、理由は言えない」と話すのだ。
かくして国民党の資料、記録、雑誌、書籍などはこの問題に関し、「根拠なし。ルーズベルトは琉球問題に言及せず」と書かれるようになったと言う。
■中国人は沖縄を自国の版図内と考えている
ちなみにこの論文のタイトルは「蒋介石が琉球接収拒否を後悔」。新華社がこれを掲載したのは、その内容が国益に有利だと判断したからだろう。
論文は、次のように沖縄の歴史も語っている。
「琉球列島は中国東部に位置し、十四世紀初めに中山、山南、山北と言う三小国が現れ、一三七二年に中国明朝に進貢し、国王はそれぞれ冊封を受けた」
「十五世紀初め、統一された琉球王国も中国封建統治者に朝貢。一六〇九年、日本薩摩藩の武力征服を受ける。その後琉球王は明朝と薩摩藩に進貢するも依然として中国の冊封を受け、それが清朝まで続いた」
「一八七二年十月、日本の明治政府は中国との協議も経ず、琉球国廃止を強行して琉球藩となし、七九年三月には兵を侵入させ、琉球併合を強行し、沖縄県を設置した」
そしてその上でこう主張するのだ。
「琉球列島は人口が多く物産も豊富。そして中国の東の大門だ。歴史上は中国の付属国で、日本とは無関係である。日本が武力侵略した琉球列島を、ルーズベルトが中国へ引き渡そうとしたのにはおのずと道理があるのだ」と。
日本の沖縄県がかつて明朝、清朝から冊封(外臣認定)を受けたとの理由で、いまだにそれが中国の版図に入るべきだとするが如き主張を、新華社が容認していると言う事実に着目しよう。
■菅直人の軽率発言は中国軍への誤ったメッセージ
一九六二年、米国が沖縄における日本の主権を承認しようとしたとき、台湾の「聯合報」は「中国東部の海防に大きな穴を開けることになる」として、カイロ会談での「失策」を非難した。この記事に危機感を覚えた蒋介石は、ルーズベルトの提案には一切触れず、中米共同管理の建議を行ったことを自ら認めた。
この事実を報じるのは人民日報系の環球時報が〇五年七月に掲載した「釣魚島の禍根─蒋介石は琉球を二度拒否した」なる記事だ。
そこでは「蒋介石が琉球を求めなかったことで、日本がその利益を深く受けた。
米国も大きな利益を受けた。今日のこの地域における政治、軍事態勢や各種の資源を巡る紛糾は、このように設定された枠組みの下で生まれたものなのだ」と非難しているが、今になってそうする背景にはもちろん、中国の軍事力が東支那海への伸長を本格化させている状況がある。
つまり海軍力の東支那海での制海権確立と太平洋への進出に欠かすことができないと強く認識される今日だからこそ、「なぜ蒋介石はあのとき、沖縄を拒否したのか」と恨んでいるのだ。
中華民族主義が充満する在台中国人勢力の雑誌「海峡論壇」(〇六年十一月)に掲載の論文「琉球は独立国の地位を回復すべき」では、中国人の戦略思考の一端をうかがい知ることができる。
「琉球列島は東海(東支那海)に挿し入り、中国を内陸へと閉じ込めるものだ。
日本はこれに拠ることで、釣魚島に侵入し、東海で覇を唱え、石油資源を強奪することを可能とした。そして今日ではさらに台湾をその勢力範囲と見做し、中国統一を妨害している」
「台湾を日本の勢力範囲と見做し」と言うのは、いかにも中国人的な表現である。日米同盟が台湾を防衛範囲に組み込んでいることを指しているのだ。
そしてこう言う。「琉球独立は歴史と国際正義の問題であるとともに、東海の争いを解決し、釣魚島を回復し、両岸統一を達成するためにも最も優れた、最も合理的な方法である」と。
このように、東支那海、台湾を勢力下に収めるとの中国の軍事戦略を抑止するのが日米同盟であり、その重要拠点が沖縄の基地である以上、沖縄は何としてでも日本から切り離してしまいたい、と中国人は考えるのだ。
ところがそうしたなか、今回首相に就任した菅氏が「沖縄問題は重くてどうしようもない。基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくない」とし、「もう沖縄は独立した方がいい」とまで言い放ったわけである。これに中国側が色めき立たないはずがない。
おそらくあの国の政府、軍部には、菅政権には中国の軍事膨張の前における国防の決意が欠如していると認識されたことだろう。
こうした無責任な発言が中国への誤った「メッセージ」となり、我が抑止力を大きく阻止してしまうのだ。
国家意識が希薄ゆえに国家分断容認発言を平然と行うことのできる政治家の存在が、いかに危険なものであるかがわかるだろう。しかも菅氏は首相にして、自衛隊の最高指揮者なのだ。
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(おき軍事情報部)
● 編集雑記
その政治家眼力の鋭さに私も敬意を払う高志さんは、現首相を「口の軽い御仁」と評されています。
確かに、
G8の席では「中共もG8に加えるべきだ」と口にしたそうですし、記事でも紹介したように「沖縄分断」を容認するような言葉も残しています。
あまりといえばあまりに国を代表する人間としての言葉が不用意にすぎますね。
それと思うのは、為政者としての物の本末をつかんでおられないように見受けられる点です。国家存亡に関わることには口が軽く、どうでもいいことでは口が堅いという印象をもちます。党のほうから発言への総量規制がかかったようですが、このことがわかったからでしょうか・・・苦笑
こんなことは言いたくありませんが、どんなに頭が良くても、国家観を失うとここまでになるのか・・・
暗然たる思いがします。
笑い事ではないですよね。
(エンリケ)
◇◆◇ 発行講読者数:11357名/平成22年(2010年)7月5日(月)発行 ◇◆◇
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昨年末頃だったと思いますが、グアム側の受け入れインフラ整備がほとんどできていないとの情報をお届けしたことがあります。その際、「できれば移転はないほうが良い」と書いたかに記憶しています。
これも以前お届けした話ですが、
いざというときにわが方の指揮官と米の指揮官が共同作戦を展開する上で、日米双方が常日頃から顔を合わせ、ツーカーの仲になっておくことはきわめて重要。
だから、司令部機能が後退するのはあまりよいこととはいえない、とするご意見も紹介しました。
この件を通じて大局を見失わないよう、心がけていただきたいものです。
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以上思うところを述べました。
今週もよろしくお願いします。
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1.せめてこれくらいは国民として把握しておきたい軍事の常識
⇒軍事は政治の延長線上にあるもので、決して特別なものではない。
だから、軍事を忌み嫌う人は、政治を正しく理解することが出来ない。 一方で、軍事を必要以上に神聖なものと捉える人も、全体を見誤まる。
2.国民の軍事理解でイチバン欠けている部分
⇒国際政治がバランスオブパワーの関係で成り立っているということを知らな い。一方で、そのようなことを知らないお人好しが、あたかも善良な人で あるかのように捉えられる傾向にある。残念ながら、現実の国際社会は 単なる仲良しクラブにあらず。
3.ナゼ国民は、軍事理解に乏しいのか?
⇒自国への帰属意識が希薄であるため。守るべき対象(日本)を感じることが 出来ないのだから、軍事を理解することなど到底不可能。国家観に対する
教育を怠ってきたことのツケ。
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■「勢力均衡」と「遠交近攻」
「勢力均衡」「遠交近攻」は、古今東西変わることのない国際情勢を把握するための
普遍ツールです。
韓国の戦時作戦統制権移譲の時期が二〇一二年から二〇一五年に延長されたことについて、見識ある韓国の方々からは「当たり前のことだ」「再延長すべき」「永久に移譲されない方が望ましい」という話が出ているようです。
この件を考える上で必要なのは、東アジア情勢の流動化と核攻撃能力に対する意識です。支那の大国化、ロシアの復活、北鮮核武装という周辺大陸諸国の変貌の影響をもろに受けるのが、わが国と韓国という海洋国家です。
上にあげた大陸諸国はすべて核武装しています。
しかし、わが国も韓国も核武装していません。
「勢力均衡」が国際政治の常識である以上、国の存立を維持するにはそれに見合う武力を保持する必要があります。そのためわが国と韓国は「遠交近攻」という古来からある常識を通じて、同じく海洋国家である核武装大国・米と同盟を結んでいるわけです。
核攻撃能力を持たないわが国と韓国は、米の核攻撃能力を自方につけてはじめて、国際社会における存立を確保しうるといえましょう。
米との軍事関係のキモは
「勢力均衡を維持するために必要な核攻撃能力の確保にある」
という現実を理解しておく必要があります。
わが核武装論議については、
勢力均衡に必要な核攻撃能力を一部分担するという意識が必要ですね。
戦時作戦統制権といえば、こんなニュースもありました。
■在韓米軍、年内に「韓国集団」に再編
ニ日の聯合ニュース等によると、在韓米軍司令部は同日報道資料を通じ、年内に在韓米軍を韓国集団(KORCOM)に再編すると明らかにした。
一部報道で、戦時作戦統制権の移譲延期に伴い、韓国集団創設計画も延期されるのでは?と報じられたが、在韓米軍司令部はこれは事実でないと否定している。
在韓米軍司令部は、韓国集団の組織構想を先月に完成しており、再編計画は予定通り進行していると強調。韓国集団創設に関していかなる変化もないと述べている模様。
なお、在韓米軍司令官シャープ大将がニ日に行った演説によれば次のとおり。
・韓国集団は、米軍運用と韓国軍合同参謀本部への指揮統制支援、人的支援を行う。
・在韓米陸軍八軍司令部はこれに伴い「陸軍支援機能集団」から「地上軍戦闘作戦司令 部」に改編され、米軍、多国籍軍団・部隊への戦闘指揮統制能力が付与される。
・韓国集団要員は、現在の在韓米軍要員と同じく、米韓連合集団との2つの帽子を かぶることになる。
・韓国集団司令部は、二〇一五年の戦時作戦統制権移譲後もソウル近くの龍山基地に 留まる予定(韓国内報道では、現在建設中の平沢米軍基地内庁舎に2015年まで に移転するとしている)
http://www.usfk.mil/usfk/ShowContent.aspx?ID=483
韓国集団は、韓国軍合同参謀本部と共に作戦を展開する米の半島戦域統合司令部に相当するものといえる。
野戦司令部に改編される米八軍司令部のカウンターパートとなると思われる韓国軍の地上作戦集団も二〇一五年までに立ち上がる予定。
在韓米軍司令部はこうした変化について、米韓連合集団の強化、ひいては2015年の
戦時作戦統制権移譲に向けたものとしている。
⇒在韓米軍司令官は大将で(在日米軍司令官は中将)、太平洋集団司令官隷下にあるとされます。在韓米軍司令官には「在韓米軍司令官」「米韓連合集団司令官」「在韓国連集団司令官」という三つの帽子があります。
ここでは「在韓国連集団」に対する言及はありませんが、大変気になるところです。
特段動きがなければ司令官は三つの帽子をかぶり続けるのでしょうか。
(「韓国集団司令官」「米韓連合集団司令官」「在韓国連集団司令官」)
「韓国集団」設置には「国連部隊撤収後も半島で機能する統合司令部を設置しておく」
との米の意思を示す意味も大きいのではないか?と思ったりします。韓国集団司令官の権限、在日米軍司令官との関係がどういうものになるか、興味あるところです。
現在韓国で展開する駐留米軍は35000人規模で、わが国で展開する駐留米軍は50000名規模です。
米には、大統領に直隷する軍最大単位として、中央、北方、南方、太平洋、アフリカ、欧州の6つの戦域統合集団と輸送、特殊作戦、統合戦力、戦略の4つの機能統合集団があり、いずれも司令官には大将が補されています。
「韓国集団」がアフリカ集団につづく7個目の戦域統合集団に相当するのか否かはよくわかりません。
■支那の大国化
台湾併合を嚆矢とする地域大国化を支那の中共が目指している以上、地域をコントロールする実力を確保し、東アジアの勢力均衡を崩すための軍事膨張が中共の最優先課題となります。その実施にあたっていちばん目障りとなるのは日米同盟です。
だから日米同盟を無にするために支那はあらゆる手を使ってきます。
その際、次の記事で紹介する論にもあるとおり、もっとも効果的かつ現実的な戦略は「米軍重要戦力が集中する沖縄を日本から切り離せばよい」ということになるでしょうね。
具体的には「日本国内で本土と沖縄の対立をあおって日米の対立につなげ、日米政治意思を各個撃破する」方向でしょう。
よく似た動きは韓国ですでに見られています。金大中、ノムヒョン政権がそれです。
あのときは米韓分断のみならず日韓分断も行われ、日米同盟・米韓同盟という、東アジアの2大海洋同盟の抑止力を崩壊させるために必要な環境醸成が着々と行われました。あの時代に中共が飛躍的な軍事膨張をしたことを忘れてはなりません。
大切なことは、わが国・地域に混乱・不穏な情勢をもたらそうとする外国が、その種の行動・工作をしかけてくることへの備えと覚悟を、国家指導部が常々持っていなければならないということです。
それに関連する、重要な資料を次に紹介します。
■重要な資料を紹介します。
以下では、
国家観・国防意識なき現首相の軽率発言が導きかねない「沖縄分断への流れ」について、0801の新華社論文を通じ、2次大戦後の「蒋介石の大失策」から継続する問題として、詳細かつ重要な分析・指摘がなされています。
1.自分の発言・行動が何をもたらすかを意識すらできない国家・国防意識なき国家指導部は、今のわが国にとって亡国をもたらす存在以外の何者でもないことが皮膚に刺さるほどの痛みを伴って感じられます。
国民すべてが読まねばならない内容と思います。
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■ルーズベルトは沖縄を中国に引き渡そうとした
菅直人首相が国家戦略担当相だった昨年九月の政権交代直後、「もう沖縄は独立した方がいい」と語っていたとのニュースは、中国でも盛んに報じられ、ネット上でも話題になっている。
たまたま喜納昌吉参院議員に漏らした言葉を喜納氏が新著で書き記したものだが、おそらくあの国ではこれを、日本の首相の歓迎すべき態度表明と受け取っているはずだ。
それは沖縄を中国の領土(あるいは勢力範囲)であるべきとする中華民族主義的な領土拡張欲があるからだけではない。さらにはそれと表裏一体である軍事戦略思考の上からも、関心を寄せざるを得ないのだろう。
さてその中国では、蒋介石の外交上のある「大失策」談が有名である。
第二次大戦中の四三年十一月、ルーズベルト、チャーチル、蒋介石と言う連合国の「三巨頭」によるカイロ会談が行われた。対独戦の方針を話し合うためのこの会談に、なぜ中国の蒋介石が参加したかを一言で言えば、対日戦でやる気のない蒋介石を煽て上げるため、ルーズベルトが「巨頭」の一人と祭り上げ、面子を与えようとしたからだ。
この会談後に発表された「カイロ宣言」(実はこれは条約ではなく、単なるプレスリリースだが)には、「日本は台湾を中華民国(当時の中国政権)に返還すべし」とあるが、これは数年前に台湾の豊かさを知った蒋介石が、ルーズベルトに求めて挿入された一節である。
戦後台湾に進駐した中華民国軍はこの「宣言」を根拠に島の領有を勝手に宣言し、そしてそのことが今日の中華人民共和国の台湾領有権の主張の根拠となってしまっている。
さて蒋介石の「失策」談だが、国営新華社の電子版が〇八年一月に掲載した論文によると、そのカイロ会談でルーズベルトは蒋介石に「琉球列島を管理しないか」と打診した。
「日本は不正な手段で列島を奪ったが、琉球は地理的に貴国に近く、歴史的にも貴国とは緊密な関係にある。もし望むなら戦争終了後に管理権を渡そう」と言うのである。
この思いもかけない話に蒋介石は戸惑ったようだ。少し考えた上で「私は中米両国で占領し、その後国際信託を受けた中米共同管理がいいと思う」と答えた。
■蒋介石は日本との争いを恐れて沖縄を拒否
十一月二十五日に再び蒋介石と会見したルーズベルトは再び聞いた。
「もう一度考えてみたのだが、琉球列島は台湾の東北に位置し、太平洋に面するなど、貴国の東の防壁であり、きわめて重要な戦略的位置を占める。あなたたちが台湾を獲得しても琉球を抑えなければ台湾の安全は保障されない。さらに重要なのは侵略を天性とする日本に占領させてはならないと言うことだ。台湾とともに貴国の管轄下に入れないか」
だが蒋介石はやはり米中共同管理を主張した。「琉球問題は複雑だ」と言うのが理由である。
このときルーズベルトは米中共同出兵による日本占領も提案したが、これも蒋介石に婉曲に断られたそうだ。かくして「カイロ宣言」には、「台湾返還」は記されても、「琉球」への言及はなされなかったのいだと言う。
会見後に蒋介石は随行する王寵恵に意見を求め、次のような会話となった。
王寵恵:琉球の戦略上の地位は重要。軍事面から見れば必要だ。
蒋介石:しかし将来日本と、こんなことで言い争いになったらどうするのか。
王寵恵:さまざまな角度から言えば、琉球は歴史的には我が国の付属国であり、我々に渡すのが情理にかなっている。日本が批判しても道理に合わない。
蒋介石:それなら、なぜそれを早く私に言わなかったのか。
王寵恵:あなたは中米共同管理を提案した。私は部下としてあなたに従うのが当然だ。
蒋介石:ルーズベルトが我々に琉球を差し出そうとした話は少数の者しか知らない。だから今後は口外するな。もしこのことを聞かれたら、「条約も証拠もなく、理由は言えない」と話すのだ。
かくして国民党の資料、記録、雑誌、書籍などはこの問題に関し、「根拠なし。ルーズベルトは琉球問題に言及せず」と書かれるようになったと言う。
■中国人は沖縄を自国の版図内と考えている
ちなみにこの論文のタイトルは「蒋介石が琉球接収拒否を後悔」。新華社がこれを掲載したのは、その内容が国益に有利だと判断したからだろう。
論文は、次のように沖縄の歴史も語っている。
「琉球列島は中国東部に位置し、十四世紀初めに中山、山南、山北と言う三小国が現れ、一三七二年に中国明朝に進貢し、国王はそれぞれ冊封を受けた」
「十五世紀初め、統一された琉球王国も中国封建統治者に朝貢。一六〇九年、日本薩摩藩の武力征服を受ける。その後琉球王は明朝と薩摩藩に進貢するも依然として中国の冊封を受け、それが清朝まで続いた」
「一八七二年十月、日本の明治政府は中国との協議も経ず、琉球国廃止を強行して琉球藩となし、七九年三月には兵を侵入させ、琉球併合を強行し、沖縄県を設置した」
そしてその上でこう主張するのだ。
「琉球列島は人口が多く物産も豊富。そして中国の東の大門だ。歴史上は中国の付属国で、日本とは無関係である。日本が武力侵略した琉球列島を、ルーズベルトが中国へ引き渡そうとしたのにはおのずと道理があるのだ」と。
日本の沖縄県がかつて明朝、清朝から冊封(外臣認定)を受けたとの理由で、いまだにそれが中国の版図に入るべきだとするが如き主張を、新華社が容認していると言う事実に着目しよう。
■菅直人の軽率発言は中国軍への誤ったメッセージ
一九六二年、米国が沖縄における日本の主権を承認しようとしたとき、台湾の「聯合報」は「中国東部の海防に大きな穴を開けることになる」として、カイロ会談での「失策」を非難した。この記事に危機感を覚えた蒋介石は、ルーズベルトの提案には一切触れず、中米共同管理の建議を行ったことを自ら認めた。
この事実を報じるのは人民日報系の環球時報が〇五年七月に掲載した「釣魚島の禍根─蒋介石は琉球を二度拒否した」なる記事だ。
そこでは「蒋介石が琉球を求めなかったことで、日本がその利益を深く受けた。
米国も大きな利益を受けた。今日のこの地域における政治、軍事態勢や各種の資源を巡る紛糾は、このように設定された枠組みの下で生まれたものなのだ」と非難しているが、今になってそうする背景にはもちろん、中国の軍事力が東支那海への伸長を本格化させている状況がある。
つまり海軍力の東支那海での制海権確立と太平洋への進出に欠かすことができないと強く認識される今日だからこそ、「なぜ蒋介石はあのとき、沖縄を拒否したのか」と恨んでいるのだ。
中華民族主義が充満する在台中国人勢力の雑誌「海峡論壇」(〇六年十一月)に掲載の論文「琉球は独立国の地位を回復すべき」では、中国人の戦略思考の一端をうかがい知ることができる。
「琉球列島は東海(東支那海)に挿し入り、中国を内陸へと閉じ込めるものだ。
日本はこれに拠ることで、釣魚島に侵入し、東海で覇を唱え、石油資源を強奪することを可能とした。そして今日ではさらに台湾をその勢力範囲と見做し、中国統一を妨害している」
「台湾を日本の勢力範囲と見做し」と言うのは、いかにも中国人的な表現である。日米同盟が台湾を防衛範囲に組み込んでいることを指しているのだ。
そしてこう言う。「琉球独立は歴史と国際正義の問題であるとともに、東海の争いを解決し、釣魚島を回復し、両岸統一を達成するためにも最も優れた、最も合理的な方法である」と。
このように、東支那海、台湾を勢力下に収めるとの中国の軍事戦略を抑止するのが日米同盟であり、その重要拠点が沖縄の基地である以上、沖縄は何としてでも日本から切り離してしまいたい、と中国人は考えるのだ。
ところがそうしたなか、今回首相に就任した菅氏が「沖縄問題は重くてどうしようもない。基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくない」とし、「もう沖縄は独立した方がいい」とまで言い放ったわけである。これに中国側が色めき立たないはずがない。
おそらくあの国の政府、軍部には、菅政権には中国の軍事膨張の前における国防の決意が欠如していると認識されたことだろう。
こうした無責任な発言が中国への誤った「メッセージ」となり、我が抑止力を大きく阻止してしまうのだ。
国家意識が希薄ゆえに国家分断容認発言を平然と行うことのできる政治家の存在が、いかに危険なものであるかがわかるだろう。しかも菅氏は首相にして、自衛隊の最高指揮者なのだ。
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(おき軍事情報部)
● 編集雑記
その政治家眼力の鋭さに私も敬意を払う高志さんは、現首相を「口の軽い御仁」と評されています。
確かに、
G8の席では「中共もG8に加えるべきだ」と口にしたそうですし、記事でも紹介したように「沖縄分断」を容認するような言葉も残しています。
あまりといえばあまりに国を代表する人間としての言葉が不用意にすぎますね。
それと思うのは、為政者としての物の本末をつかんでおられないように見受けられる点です。国家存亡に関わることには口が軽く、どうでもいいことでは口が堅いという印象をもちます。党のほうから発言への総量規制がかかったようですが、このことがわかったからでしょうか・・・苦笑
こんなことは言いたくありませんが、どんなに頭が良くても、国家観を失うとここまでになるのか・・・
暗然たる思いがします。
笑い事ではないですよね。
(エンリケ)