【台中ECFA調印】李登輝元総統「棄馬保台」を
【台中ECFA調印】李登輝元総統「棄馬保台」を
台湾の声
台湾の対中窓口である海峡交流基金会の江丙坤理事長と中国の対台窓口である海峡両岸関係協会の陳雲林会長は、6月27日に中国重慶市で会談し、台湾と中国の関税減免や貿易自由化を促進する「両岸経済協力枠組協定」(ECFA)に調印した。
今後、台湾から中国に輸出する工業製品の部品などの関税が撤廃されるようになるが、東南アジアに完成品を輸出する場合、中国からは免税だが、台湾からは関税がかかる。台湾は東南アジア諸国との自由貿易協定(FTA)を進めたい考えだが、中国はこれに反対する立場を明確にしており、進展していない。
その結果、台湾のメーカーは中国で生産して東南アジアに売ったほうが儲かるということになり、工場の中国移転が進み、台湾の産業空洞化が懸念されている。
さらに、貿易の自由化促進で中国の安価な製品が台湾に流入し、台湾の伝統産業が影響を受け、中小企業の倒産、台湾人労働者の失業率上昇や給与減少などが懸念されるほか、一部のサービス産業を中国に開放しなければならなくなるため、中国人経営者が台湾に流入してくる。
ECFAは「枠組協定」であり、今回の「アーリーハーベスト」(先行実施項目)はあくまでも第一段階に過ぎず、台湾は今後中国からさらなる市場開放を迫られることになる。
李登輝・元総統(元大統領)は、6月26日の反ECFAデモで「棄馬保台」(馬英九を総統から下ろして台湾を守る)を呼びかけた。中国傾斜をひたすら続ける馬英九総統に対しては国民党内からも不満がくすぶっており、ECFAによる台湾経済の悪影響がはっきりすれば、国民党内からも「棄馬保台」に呼応する動きが起こる可能性がある。