人民元切り上げで、日本企業のトップはチュウゴク人になるー仕方ないですね。
★人民元切上げで日本と中国はどうなるの?
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世界経済、先週最大のできごとは、
中国人民銀行が19日、人民元の為替レートの「弾力性を高める」と発表したことでしょう。
日本でも世界でも大騒ぎされている。
今回は、「『人民元切上げ』で日本や中国はどうなるの?」かを考えてみましょう。
▼人民元問題ってなんですか?
まず基本をおさえておきましょう。
そもそも、人民元問題とはなんでしょうか?
2005年まで、人民元は表向き「管理変動相場制」でありながら、実際は1ドル8.2765元前後に固定されていました。
事実上のドルペック固定相場制だった。
しかし、2005年7月に管理フロート制に移行します。
「管理フロート制」とは、中央銀行が自国通貨の変動幅を固定する制度をいいます。
固定相場ではないので変動はする。
でも、その変動幅を中銀がコントロールしている。
これで人民元は、じりじりと上がりはじめました。
05年7月から08年7月までの3年間で21%上昇した。
しかし08年夏、世界的経済危機が深刻化する中、中国は再び、1ドル=約6.83元で固定してしまいます。
そして、約2年後。
中国人民銀行は10年6月19日、人民元為替レートの「弾力性を高める」と発表したのです。
世界はこの発表を大歓迎しました。
ところで、なぜ世界中が「人民元」を問題にするのでしょうか?
世界といっても一番問題にしているのはアメリカなのですが。
1、アメリカは人民元が不当に安いと思っている
2、人民元が不当に安いので、世界市場で中国製品は異常に安い
3、中国製品は安いので競争力がある
4、結果、中国の対米輸出は多く、アメリカの対中輸出は少ない
5、結果、中国は膨大な貿易黒字、アメリカは膨大な貿易赤字になる
こういうことです。
それで怒っているのですね。
で、人民元を切上げたらどうなるの?
理論的にはですよ。
1、人民元が高くなる
2、世界市場で中国製品は高くなり競争力が落ちる
3、結果、中国の対米輸出は減るであろう
4、人民元高はドル安を意味するので、アメリカ製品は安くなり競争
力が高まる
5、結果、アメリカの対中輸出は増加するであろう
6、結果、中国の対米貿易黒字は減り、アメリカの対中貿易赤字は
減るであろう
7、米中の貿易不均衡は是正されるであろう
理論的にはこういうことなのですが、
実際にはそうならないものです。
これは、日米間で既に証明済み。
▼人民元切上げで中国はどうなる?
次に「人民元切上げで中国はどうなるか?」を考えてみましょう。
まず、「近い将来、目に見える大変化は見られないだろう」と認識しておいてください。
なぜかというと、中国は「急激な切上げは行わない」としている。
<人民元切り上げは段階的に…中国人民銀行
6月20日21時37分配信 読売新聞
【北京=幸内康】中国人民銀行(中央銀行)は20日、前日に公表した人民元制度改革の方針を解説する談話を発表した。
「1回限りの大幅な調整は行わない。
基本的に安定した水準に保つことが改革の重要な部分だ」と述べ、変動幅を抑えながら徐々に切り上げていく方針を示した。>
実をいうと、日本も以前、今の中国と同じ立場にたたされたことがあります。
当時世界の工場だった日本に対し、欧米は「円が不当に安すぎる!」とバッシングしていた。
それで1985年、プラザ合意で「円高・ドル安」に誘導することが決定されます。
で、どうなったか。
円はプラザ合意前1ドル240円だったのが、1年で150円まで上がってしまった。
1年で実に60%の上昇です。
これがバブル景気や、工場海外移転による「産業空洞化」の理由になったのです。
中国は日本のように人民元を急速に切上げません。
なぜ日本が円の大切上げに賛成したかというと、「政治力」がなかったからです。
アメリカ幕府から「おい!切上げろよ!」と命令されれば、どうすることもできない。
しかし、中国には政治力があります。
安全保障をアメリカに依存しているわけでもない。
核兵器もある。
政治力一番の源泉は、「世界一アメリカに金を貸している」ということでしょう。
ということで、人民元が切上げられても、それは緩やかなものになる。
ですから、影響を考えるときも「人民元が緩やかに切上げられた時の影響は?」と質問しなければならない。
中国はこれまで、「安い労働力を求める外資」により成長してきました。
人民元が高くなるということは、ドルや円での「賃金水準が上がる」ことを意味しています。
よって、「世界の工場」としての中国の魅力は、ゆっくり失われていきます。
安い労働力を求める企業は今後、中国ではなく別の国に進出していくことでしょう。
中国の賃上げ圧力について
↓
< また中国では、賃上げなどの待遇改善を求めるストライキが相次いでいる。
2010年5月以降、ホンダの部品工場や日産、トヨタ系列の工場でもストが起き、賃上げで労使合意するなどしている。
台湾系電子機器工場で工員の自殺が相次いだことも注目され、会社側は大幅な賃上げを発表している。
賃上げ要求の波は、沿岸部だけでなく、沿岸部より低賃金とされていた内陸部へも広がりを見せている。>
(6月22日19時2分配信 J-CASTニュース)
賃上げ圧力が強まるとどうなるのでしょうか?
< こうした中国の人件費増圧力は、「世界の工場」の存在意義を脅かしている。
中国の経済成長や人件費増に伴い、海外企業の「脱中国」の動きはすでに出始めていたが、最近の賃上げムードは、こうした傾向に拍車をかけそうだ。>(同上)
もとからあった「賃上げ圧力」に「人民元切上げ」の影響が加われば「中国離れ」はさらに進んでいきそうですね。
で、具体的に中国を離れてどこにいくの?
< 例えば、ベトナムのハノイの最低賃金は、上海の約半分とされる。
バングラデシュのダッカでは、平均賃金が上海の4分の1程度とも言われる。
日本のアパレル業界では、バングラデシュを視察する企業が増えている。
ユニクロを展開するファーストリテイリングが09年にバングラデシュで商品調達を始めたことなどが影響している。同社は中国での生産比率を下げ、バングラデシュやベトナムでの生産を増やすことを検討しているという。>(同上)
これからはベトナム、バングラディッシュであると。
こうしたながれは、今後も止まらないでしょう。
私はいつも、「中国はライフサイクルで日本より30年遅れている」という話をしています。
60年代の日本=「安かろう悪かろう」の時代。
90年代の中国=「安かろう悪かろう」の時代。
70年代の日本=「安くて質がいい」の時代。「世界の工場」。
00年代の中国=「安くて質もまあまあ」の時代。「世界の工場」。
80年代の日本=日本一人勝ちの時代。日本経済のピーク。
10年代の中国=中国一人勝ちの時代。中国経済のピーク。
ライフサイクル理論により、私は流行りの「中国崩壊論」に同調しませんでした。
05年1月発売の「ボロボロになった覇権国家」の中で、中国の未来について、こう書いています。
<このようにさまざまな問題を抱えている中国経済ですが、私は2008年・2010年の危機を乗り越え、中国は2020年くらいまで成長を続けると見ています。>(123p)
5年経ったいまでも、この見方に変更ありません。
中国は、この10年で1980年代の日本のような力を得ることになるでしょう。
GDPは軽く日本を追い抜き、2010年代の後半にはアメリカにせまる勢いを見せるかもしれません。
しかし、それは「ライフサイクルパワー」というもの。
別に「中国モデルがすぐれているから」というわけではないのです。
中国はこの10年がピーク。
そして、今度はインドが「世界の工場」として浮上してくることでしょう。
▼人民元切上げと日本
次に「人民元切上げの日本への影響」を考えてみましょう。
これも「ゆるやかな切上げ」ですので、すぐ目に見える影響があるわけではないでしょうが。
中長期的に。
プラスもマイナスもあります。
人民元が高くなり、円が安くなる。
ということは、「中国人にとって日本製品は安くなる」。
よって、日本の対中輸出が増加する。
逆に日本に輸入されている中国製品は高くなります。
中国で生産し、日本に逆輸入している企業は苦しくなりますね。
ユニクロを展開するファーストリテイリングは、早速対応策をうちだしています。
同社は現在、製品の85%を中国で生産している。
しかし、人件費上昇をみこし、生産拠点を分散化する。
中国における生産比率を現在の85%から65%程度にまで下げる方針なのです。
もう一つ、人民元高で中国人にとって「日本旅行」が安くなります。
それで、中国人旅行者がマスマス増えてくることでしょう。
私は、中国人の3K大量移民や外国人参政権付与には断固反対の立場。
しかし、中国人が旅行に来て、バンバンお金を落としてくれるのは大歓迎です。
最後に、人民元高になると、日本企業の買収が容易になります。
そのため、今後「中国企業に買収される日本企業」が増えてくることでしょう。
これも仕方ないですね。
バブル・円高の時代、日本はアメリカ企業を買収しまくっていました。
それでアメリカ人はムカついていた。
今度は、中国が日本企業を買収するのです。
これは残念ながら避けられない流れです。
というわけで、「人民元切上げ」の影響について考えてみました。
中国は「これから10年がピークだ」と。
じゃあ、その後はどうなるの?
日本は落ち目のアメリカを捨てて、中国につくべきなのでしょうか?
これを知るためには、もっと長期的展望に立つ必要があります。
詳しく知りたいからは、北野の新刊「国家の気概」をご一読ください。
現在第4章まで読めます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1章では世界史における日本の役割を明らかにし、「自虐史観」か
ら永遠におさらばしてもらいました。
2章では、20世紀大国の興亡を例に、「人類歴史に流れる法則性」
を明らかにしました。
3章では、1991~2008年、アメリカ一極時代のはじまりから終焉ま
でをとりあげます。
【NEW!】4章では、否定できない中国のダークサイドに触れています。
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(おわり)
▼おたよりコーナーへ
★イエメン在住Kさまからのおたより
以前メールにご返事をいただき感激したイエメン在住の読者です。
毎号勉強させていただき、なおかつ楽しみにさせていただいてい
ます。
新著「国家の気概」をとても読みたいのですがパソコンでは不可能
とのこと。
時間はかかっても良いので実際に出版ということはできないでしょ
うか。
きっと同じような意見が雪崩の如く届いているかと思いますが…。
是非是非ご考慮ください。
たとえ海外にいて、直接日本のために働いている訳ではなくても自
分の国は特別です。
今度の選挙在外投票します。
本当に国益にかなう選択をしたいと思っています。
お忙しいことと思いますが、どうかくれぐれも健康に気をつけて。
またメルマガ、そして新しいご著書を楽しみにしております。
▼編集後記へ
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