「強い社会保障」(高度の福祉)と「強い財政」(財政再建)は、絶対に両立出来ません。 | 日本のお姉さん

「強い社会保障」(高度の福祉)と「強い財政」(財政再建)は、絶対に両立出来ません。

「日本の進路」  日本戦略の研究会   No.0752   2010/06/10

★ 表題: 強い社会保障は、国家財政の赤字を確実に増大させ、早晩財政破綻へと誘導する、菅直人氏の説は経済原則と矛盾する
                  丸野内三 
m00573@yahoo.co.jp

菅直人氏は、総理大臣への就任が確定した時点の挨拶において、「強い経済」(経済成長)・「強い財政」(財政再建)・「強い社会保障」(手厚く行き届いた福祉)を、一体として(一括して)実現したい旨を強調しました。

しかし、「強い社会保障」は、以下に述べる内容別の理由によって、極めて少ない割合しか、税収へと還流しません。つまり、福祉=社会保障関連の財政支出を増やせば増やす程、赤字財政を膨張させる要因となり、「財政再建」自体が『夢のまた夢』へと転落します。


 1、年金支給額: 年金受給者の相当多数が、所得税・地方税を全く負担しません。多少支払う場合でも、その額が小さく、「年金の内での国庫負担分」大>>「税納付額」小が、非常に明白であります。

 2、医療保険: 厚生保険・国民保険・共済保険の各被保険者(国民大衆)自身も、保険料を負担しています。しかし、国家(国庫)又は地方自治体が負担する割合が、非常に大きいです。医療機関には、大規模(収入=売上大)のものは官公営が多く、法人税の納付が殆ど期待出来ません。

 2-1、個人的な開業医は相応の所得(収入)があります。しかし、開業医も「医療法人」となっているものが相当増えており、収入規模がさほど大きくない事情もあって、多額の税収は望めません。つまり、官(国家・地方自治体)が負担(支出)した資金の大部分は、出しっぱなしとなっています。

 3、福祉関連の施設(保育所・特別養護老人ホームその他): 官公営また、民営の場合でも「社会福祉法人」等のケースが多く、税収の期待出来ないものが大多数を占めています。つまり、支出した財政資金は、大部分が歳入(税収)へ還流しません。

 4、生活保護費: 生活保護世帯が127万戸へ急増しています。かかる生活保護世帯は、完全に非課税であって、税金を一切払いません。しかも、医療保険に関する負担金も殆どありません。結局、官(財政)が負担し、税収はゼロと申せます。

 5、介護士その他福祉に携わっている人の人件費: 支出費用の過半(大部分)は、官(国家予算・地方自治体の支出)から出ています。かかる人は、さほど所得水準が高くなく、所得税の納付(負担)は微々たるもので、官の支出を極めて大きく下回っています。

 6、福祉関連の公務員等の人件~物件費用: 公務員等が所得税を負担するといっても、財政支出額に比較すれば微々たるものと言わざるを得ません。


消費税率を100%という程に、極端に引き上げれば、上記の如く法人税・所得税を現在負担していない組織・団体・個人の場合も、応分の税金を負担して、国家等の歳入(税収)に貢献します。

しかしながら、現行の税制下で、社会保障の充実を図れば(強い社会保障=手厚く行き届いた福祉を断行すれば)、国家財政は益々窮乏し、早晩、国債の新規発行が不全となり(不可能に転落し)、「日本円」の国際的な価値が暴落して、悪性のインフレーションとなります。


菅直人氏が叫んでいる、「強い社会保障」(高度の福祉)と「強い財政」(財政再建)は、絶対に両立出来ません。

日本の今後の(財政困窮時の)福祉戦略は、生活保護その他で現金支給する、或は、中途半端な(福祉がなくとも生活可能な)人に対して社会保障の恩恵を与えてはなりません。これでは、どんなに多額の財政支出(歳出)を用意しても、国民大衆の甘え(過大要請)が残ります。

菅直人氏が、財政再建(強い財政)を勘案しているのであれば、強い社会保障を抜本的に考え直し、本当に困窮している日本人(日本国籍を有する人)に限定し、医食住無料の「施設収容」方式によって、社会保障システムを完結すべきであります。

(日本の進路、No.0752、強い社会保障は、国家財政の赤字を確実に増大させ、早晩財政破綻へと誘導する、菅直人氏の説は経済原則と矛盾する、完)

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