朝鮮日報より
【社説】天安沈没をめぐる国民意識
哨戒沈没 | 李明博
李明博(イ・ミョンバク)大統領はきょう、哨戒艦「天安」の沈没について対国民談話を発表する。大統領府の関係者は、「北朝鮮に対して韓国政府が独自で行うことのできる対応と共に、国連安全保障理事会への上程など、国際的な対応についても、大統領は言及する予定だ」と述べた。大統領の談話に続いて、外交部・国防部・統一部の長官は、具体的な制裁の内容について発表する。
韓国政府が制裁措置について具体的に言及すれば、北朝鮮も数々の脅迫やさらなる挑発を行ってくるのは間違いない。このような危機的状況の中で、大統領は国の力を一つに結集させる決然とした姿勢を示し、同時に国家次元でのリーダーシップを発揮しなければならない。
指導者のリーダーシップ以上に重要なものが、国民の姿勢と意志だ。われわれは天安問題が起こるまで、大韓民国の繁栄がいかに危険な安全保障の土台の上にあるかについて、考えが及んでいなかった。北朝鮮の魚雷が天安を沈没させた証拠は、同時に北朝鮮の犯罪行為を示す証拠でもあり、さらには大韓民国国民が現在、どのような国で生活しているのかを思い起させる警告でもある。天安を真っ二つに切断した魚雷は、「安全保障は水や空気のように安い価格で、また時には何の代償もなく手に入る」という固定観念が、いかに大きな錯覚であるかを知らしめてくれた。タダともいえるようなわずかな見返りで手にしていた水や空気が消え去った瞬間、われわれは即座に生存そのものが脅かされてしまう。国家もやはり、安全保障という土台が揺らいだ瞬間、その上にある繁栄、平和、秩序などの価値は一瞬にして崩壊する。
1000トンあれば4000万人を殺傷できる化学兵器5000トンと、レーダーでは捕捉できないAN-2飛行機を利用して同族を殺傷しようとする18万人の特殊部隊。このように残忍な武装集団と殺傷兵器が目と鼻の先にあるのが、ほかでもない、大韓民国の国民が置かれた現実の状況だ。北朝鮮は1000万のソウル市民の頭上に、射程距離60キロの長射程砲の照準を合わせている。ところが過去10年間、韓半島(朝鮮半島)西側の延坪島近海でわが海軍が血を流しながら戦闘を行っている時にも、東側では満員の観光客を乗せたバスが金剛山を行き来するなど、われわれはあまりにも無感覚で無神経な生活をしてきた。天安の沈没は、このように「経済は勝手に成長するもので、安全保障はタダで手に入るもの」と錯覚してきた韓国人に投げかけられた警告だ。
天安問題以降、韓半島に展開された新たな安保環境は、大韓民国国民にとって物質的な費用だけでなく、日常生活や精神的な側面でも新たな負担を要求してくるだろう。大韓民国の政治指導者が負う最大かつ最高の責務は、「最小の費用で最大の安全を保証すること」にほかならない。同時に国の安全保障がいったん揺らいでしまうと、その数十倍、数百倍の代償を払わねばならないという現実も、国民に思い起こさせるべきだ。
われわれは、時には「最小の費用」ではなく、「適切な費用」を負担する覚悟も持たねばならない。このような精神的姿勢を備えた時にこそ、「最小費用による最大安保」も可能となってくる。ところがわが国の政治指導者たちは、今回の天安政局から分かるように、これとは逆の対立と混乱をあおりながら、社会的な安全保障費用をさらに膨らませてきた。「全面戦争」などと口にしながら脅迫する北朝鮮の前で、韓国の政治と国民が変わることができなければ、われわれは言うまでもなく、子孫たちも大きな代償を払わねばならなくなるだろう。
【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/news/20100524000007
【社説】中国は二大国らしく平和破壊行為を糾弾せよ
哨戒艦沈没 | 李明博
李明博(イ・ミョンバク)大統領は28日、中国の温家宝首相と会談する。これに先立ち、クリントン米国務長官と中国の戴秉国国務委員が24、25日の両日、北京で会談する。クリントン国務長官は訪中直前、「中国と『天安』事件について突っ込んだ協議を行いたい」と述べた。
韓国は先週、国際軍民調査団による科学的検証と北朝鮮製魚雷の残がいによって、北朝鮮が哨戒艦「天安」を爆沈し、国連憲章や停戦協定に違反したことを突き止めた。その後、国際社会は一斉に政府レベルで北朝鮮を非難し、国際的制裁を強調している。
しかし、国連安全保障理事会で拒否権を持ち、対北朝鮮制裁のカギを握る中国はこれまで、北朝鮮に対するいかなる政府レベルでの行動も取っていない。中国外務省報道官が20日、「各国は冷静に節制した態度で問題を処理すべきだ」と「冷静に」論評しただけだ。
中国は中朝友好協力相互援助条約で北朝鮮と血盟関係を結んでおり、鉱物資源開発、羅津港を通じた東海(日本海)への輸出ルート確保など、北朝鮮がかかわる経済的利益も少なくない。そうした事情は理解できるとしても、中国は現在、米国とともに外交、経済、軍事的に世界的な秩序を構築、維持していく二大国として評価されている。安保理常任理事国として、世界平和を守る責務もある。停戦協定の当事者として、停戦状況を維持させる義務、それを破壊するいかなる行為に懲罰を加える権利も持っている。
英国は19世紀半ばに農民の被害や反発を承知で、穀物法を廃止し、世界の自由貿易体制の門を開き、世界の経済秩序の中心に立つことができた。中国も今、二大国らしい使命感を持ち、対北朝鮮関係で少々の自己犠牲を払っても、「犯罪者・北朝鮮」を厳しく糾弾、制裁し、世界の平和秩序を守る大義と原則を守り抜かなければならない。中国を後ろ盾とする北朝鮮が明らかに海の平和的秩序を乱した以上、中国は北朝鮮との特殊な関係よりも、普遍的な平和と安全の保護という原則を掲げ、それを実践するという国家的な意思を表明すべきだ。中国が今週、韓米と持つ対話がその最初の機会となることを期待する。
【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没
http://www.chosunonline.com/news/20100524000019
哨戒沈没 | 李明博
李明博(イ・ミョンバク)大統領はきょう、哨戒艦「天安」の沈没について対国民談話を発表する。大統領府の関係者は、「北朝鮮に対して韓国政府が独自で行うことのできる対応と共に、国連安全保障理事会への上程など、国際的な対応についても、大統領は言及する予定だ」と述べた。大統領の談話に続いて、外交部・国防部・統一部の長官は、具体的な制裁の内容について発表する。
韓国政府が制裁措置について具体的に言及すれば、北朝鮮も数々の脅迫やさらなる挑発を行ってくるのは間違いない。このような危機的状況の中で、大統領は国の力を一つに結集させる決然とした姿勢を示し、同時に国家次元でのリーダーシップを発揮しなければならない。
指導者のリーダーシップ以上に重要なものが、国民の姿勢と意志だ。われわれは天安問題が起こるまで、大韓民国の繁栄がいかに危険な安全保障の土台の上にあるかについて、考えが及んでいなかった。北朝鮮の魚雷が天安を沈没させた証拠は、同時に北朝鮮の犯罪行為を示す証拠でもあり、さらには大韓民国国民が現在、どのような国で生活しているのかを思い起させる警告でもある。天安を真っ二つに切断した魚雷は、「安全保障は水や空気のように安い価格で、また時には何の代償もなく手に入る」という固定観念が、いかに大きな錯覚であるかを知らしめてくれた。タダともいえるようなわずかな見返りで手にしていた水や空気が消え去った瞬間、われわれは即座に生存そのものが脅かされてしまう。国家もやはり、安全保障という土台が揺らいだ瞬間、その上にある繁栄、平和、秩序などの価値は一瞬にして崩壊する。
1000トンあれば4000万人を殺傷できる化学兵器5000トンと、レーダーでは捕捉できないAN-2飛行機を利用して同族を殺傷しようとする18万人の特殊部隊。このように残忍な武装集団と殺傷兵器が目と鼻の先にあるのが、ほかでもない、大韓民国の国民が置かれた現実の状況だ。北朝鮮は1000万のソウル市民の頭上に、射程距離60キロの長射程砲の照準を合わせている。ところが過去10年間、韓半島(朝鮮半島)西側の延坪島近海でわが海軍が血を流しながら戦闘を行っている時にも、東側では満員の観光客を乗せたバスが金剛山を行き来するなど、われわれはあまりにも無感覚で無神経な生活をしてきた。天安の沈没は、このように「経済は勝手に成長するもので、安全保障はタダで手に入るもの」と錯覚してきた韓国人に投げかけられた警告だ。
天安問題以降、韓半島に展開された新たな安保環境は、大韓民国国民にとって物質的な費用だけでなく、日常生活や精神的な側面でも新たな負担を要求してくるだろう。大韓民国の政治指導者が負う最大かつ最高の責務は、「最小の費用で最大の安全を保証すること」にほかならない。同時に国の安全保障がいったん揺らいでしまうと、その数十倍、数百倍の代償を払わねばならないという現実も、国民に思い起こさせるべきだ。
われわれは、時には「最小の費用」ではなく、「適切な費用」を負担する覚悟も持たねばならない。このような精神的姿勢を備えた時にこそ、「最小費用による最大安保」も可能となってくる。ところがわが国の政治指導者たちは、今回の天安政局から分かるように、これとは逆の対立と混乱をあおりながら、社会的な安全保障費用をさらに膨らませてきた。「全面戦争」などと口にしながら脅迫する北朝鮮の前で、韓国の政治と国民が変わることができなければ、われわれは言うまでもなく、子孫たちも大きな代償を払わねばならなくなるだろう。
【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/news/20100524000007
【社説】中国は二大国らしく平和破壊行為を糾弾せよ
哨戒艦沈没 | 李明博
李明博(イ・ミョンバク)大統領は28日、中国の温家宝首相と会談する。これに先立ち、クリントン米国務長官と中国の戴秉国国務委員が24、25日の両日、北京で会談する。クリントン国務長官は訪中直前、「中国と『天安』事件について突っ込んだ協議を行いたい」と述べた。
韓国は先週、国際軍民調査団による科学的検証と北朝鮮製魚雷の残がいによって、北朝鮮が哨戒艦「天安」を爆沈し、国連憲章や停戦協定に違反したことを突き止めた。その後、国際社会は一斉に政府レベルで北朝鮮を非難し、国際的制裁を強調している。
しかし、国連安全保障理事会で拒否権を持ち、対北朝鮮制裁のカギを握る中国はこれまで、北朝鮮に対するいかなる政府レベルでの行動も取っていない。中国外務省報道官が20日、「各国は冷静に節制した態度で問題を処理すべきだ」と「冷静に」論評しただけだ。
中国は中朝友好協力相互援助条約で北朝鮮と血盟関係を結んでおり、鉱物資源開発、羅津港を通じた東海(日本海)への輸出ルート確保など、北朝鮮がかかわる経済的利益も少なくない。そうした事情は理解できるとしても、中国は現在、米国とともに外交、経済、軍事的に世界的な秩序を構築、維持していく二大国として評価されている。安保理常任理事国として、世界平和を守る責務もある。停戦協定の当事者として、停戦状況を維持させる義務、それを破壊するいかなる行為に懲罰を加える権利も持っている。
英国は19世紀半ばに農民の被害や反発を承知で、穀物法を廃止し、世界の自由貿易体制の門を開き、世界の経済秩序の中心に立つことができた。中国も今、二大国らしい使命感を持ち、対北朝鮮関係で少々の自己犠牲を払っても、「犯罪者・北朝鮮」を厳しく糾弾、制裁し、世界の平和秩序を守る大義と原則を守り抜かなければならない。中国を後ろ盾とする北朝鮮が明らかに海の平和的秩序を乱した以上、中国は北朝鮮との特殊な関係よりも、普遍的な平和と安全の保護という原則を掲げ、それを実践するという国家的な意思を表明すべきだ。中国が今週、韓米と持つ対話がその最初の機会となることを期待する。
【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没
http://www.chosunonline.com/news/20100524000019