不正改造はガス会社がチェックすると思っていた
パロマ有罪「公正な判決に感謝」と涙の母
5月12日3時4分配信 読売新聞
「あなたの死は無駄ではなかった」――。パロマ工業製の湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故で、同社元社長・小林敏宏被告(72)ら2人を有罪とした11日の東京地裁判決は、事故が起きる危険性を認識しながら対策を取らなかったとして、メーカートップらの過失責任を明確に認めた。
事故で若い命を落とした息子の無念を晴らそうと公判の傍聴を重ねてきた母は判決後、「公正な判決に感謝したい」と涙を浮かべた。
小林被告と、元品質管理部長・鎌塚渉被告(60)は午後1時半、同地裁の104号法廷に、ともに紺色のスーツ姿で入廷。無罪を主張してきただけに、半田靖史裁判長が有罪を宣告した瞬間、小林被告はぼう然としたような表情を浮かべた。
「被告は使用者の安全を優先すべきだった」「遺族の悲しみは深く大きい」。判決理由が読み上げられる間、小林被告はハンカチで額の汗をぬぐったり、何度もまばたきしたりするなど落ち着かない様子だった。
判決後、事故で亡くなった上嶋(じょうしま)浩幸さん(当時18歳)の母、幸子さん(56)らが東京・霞が関で記者会見。幸子さんは「あなたの死は無駄ではなかったと言いたい。母の日は過ぎたけど、(判決は)ヒロくんからの贈り物だと思う」と話した。幸子さんの前には、事故の約7か月前、大学に合格した直後の浩幸さんの写真が置かれていた。
幸子さんは2008年12月の初公判からこの日まで計35回の公判を、体調不良で欠席した1回を除き、すべて傍聴してきた。法廷で書き取ったメモはA5判のノート6冊にもなる。
昨年10月の公判で、小林被告が小さな声で「不正改造はガス会社がチェックすると思っていた」と証言するのを聞き、幸子さんは「メーカーのトップが、自分の製品の責任をほかになすりつけるのはおかしい」と怒りがこみ上げたという。
幸子さんは会見で、「パロマの湯沸かし器がなかったらヒロくんは死なずに済んだと思うと悔しい」「被告には命の尊さを真剣に考えてほしい。18歳の浩幸を返してと言いたい」と訴えた。
幸子さんら遺族がパロマ工業などを相手取った損害賠償訴訟で、遺族側の代理人を務める中村雅人弁護士は、「判決には、社会がより安全な方向に向かうようにというメッセージが込められている」と評価した。
一方、判決を受け、パロマ工業は「引き続き製品の点検・回収作業に万全を尽くし、こうした事故が二度と起こらないよう、消費者の安全確保に全力を尽くすことがメーカーとしての社会的役割だと痛感している」とのコメントを発表した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100512-00000101-yom-soci
わたしがパロマ工業の責任者だったら、やっぱり、
不正改造はガス会社がチェックするものだと思い込んでいると思う。
ただ、死者が出た時点で、動かないのはよくなっかったと思う。
もっと早く、不正改造をやめるよう、全国の工事屋さんやガス会社の下請けの人々に厳しい要請を出すとか
不正改造ができなくなるような構造に作り変えて、
危ない製品を自主的に引き取るなど、がんばるべきだったと思う。
でも、ガス器具の取り付けを不正に行う取り付け業者が悪いのは確かだ。
悪い工事屋さんがいるというのは事実なのだから、悪い工事屋が改造できないように構造を変えるなどして頑張らねばならないのも確かだ。
すべては、工事屋の取り付け方にかかっているが、今回の東京地裁判決は、事故が起きる危険性を認識しながら対策を取らなかったとして、メーカートップらの過失責任を明確に認めた。
メーカーは、辛いよね!ガス器具などは、ちょっとのことがいのちにかかわることになるから、大変だわ。
ガス器具の会社のトップになるのは恐いわ。
わたしは、パロマ工業に、ちょっと同情する。
悪い工事屋さんは、どうしたら排除できるのだろう。
きちんと毎年テストを受けさせて工事屋を管理しないと、
今後も、いい加減な工事をして
他人を死なせる人が出てくるのではないだろうか?
すべての日本人が、「他人を死なせるような、いい加減な仕事をしないこと」を願う。
(チュウゴクになら、いい加減な工事屋は山ほどいそう。)
大勢いる工事屋の中で、ほんの何人かの無知で無責任でおろかで、いい加減な仕事をする悪い工事屋がいたんだよね。それで、不幸なことが起きたんだ。
悪い工事屋と、がんばって回収作業に万全を尽くさなかったパロマ工業のせいで、全国で15人も
死んでしまった、、、。かわいそうだよ。それでも、わたしはパロマ工業にちょっと同情している。
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【主張】パロマ事故判決 安全確保への義務に警鐘
2010.5.12 03:55
このニュースのトピックス:主張
パロマ工業(名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、東京地裁は業務上過失致死傷罪で被告の元社長(求刑禁固2年)ら2人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
製品そのものの欠陥ではなく、湯沸かし器の修理業者による不正改造から起きた事故だが、元社長らは事故防止の対策を取る義務があったと判断した。メーカートップには状況に応じて厳しい注意義務が課せられるとした判決であり、産業界は「他山の石」として重く受け止めるべきだ。
都内の大学生がパロマ製のガス瞬間湯沸かし器の不正改造による一酸化炭素中毒で死亡し、兄も重症にさせた。同じような中毒事故は全国各地で起き、判決によると昭和60年以降、平成13年までに計15人が亡くなった。
元社長らは「パロマは修理業者を指揮監督する立場にはない」と無罪を主張したが、東京地裁は「パロマ側が製品の点検や回収を適切に行っていれば、死傷事故を未然に防止できた」と被告側の過失を認めた。
判決でも指摘する通り、生命の危険を伴う製品を提供する企業は、機器それ自体の安全性の向上を図るだけでなく、消費者が安全に使用できるよう配慮することも求められている。
今回の事故はパロマの系列業者も改造工事を担当しており、元社長らは事故の多発を認識する立場にあった。消費者の安全を守るためには、メーカー責任をより厳格にとらえるのは当然だろう。
監督官庁にも、責任の一端がある。この問題は平成8年に起きた別の事故の遺族の要望で再捜査した警視庁が経済産業省に連絡し、18年7月に事故情報を公表して表面化した。
それまで、経産省内で情報が集約化されていなかったことも明らかになっている。もっと早く行政が手を打っていれば、少なくとも同様の事故が相次ぐ事態だけは防止できた可能性がある。
この事故を契機に、安全点検や重大事故の報告などを義務付ける消費生活用製品安全法が強化された。省庁ごとの縦割りの弊害が指摘された消費者保護を一元的に管理するため、昨年9月には消費者庁も創設された。今後とも行政とメーカーが情報を共有し、実効性のある安全対策を講じてゆくことが何よりも重要だ。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100512/trl1005120356000-n1.htm
パロマ事故判決 安全軽視の姿勢が指弾された(5月12日付・読売社説)
事故の危険性を知りながら安全対策を怠り、漫然と放置し続けた――。製品事故の被害拡大を許した企業トップの刑事責任を明確に認めた司法判断である。
ガス器具大手のパロマ工業製ガス湯沸かし器による一酸化炭素中毒死事故で、東京地裁は同社の元社長と元品質管理部長に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
業務上過失致死傷罪に問われ、無罪を主張していた元社長らについて、判決は「抜本的な事故防止対策をとるべき義務を怠り、事故を招いた」と結論付けた。
最優先すべき安全対策をおろそかにした経営者の姿勢を戒めた、妥当な判断といえよう。
問題のガス湯沸かし器には、不完全燃焼を防ぐ安全装置が装着されていた。だが、装置の故障が多発したことから、修理業者の間では、装置を作動させないようにする不正改造が横行していた。
その結果として、中毒事故が相次ぎ、1985~2001年の死者は15人に上った。
それにもかかわらず、元社長らは、一斉点検や自主回収などを指示せず、05年に東京都内のマンションで兄弟が死傷する事故につながった。判決はそう認定した。
判決が重視したのは、パロマ側が、消費者に注意を促す努力をしなかった点である。「マスメディアなどを利用した方法で、全国の使用者に注意喚起を行うことは可能だった」と指摘した。
松下電器産業(現パナソニック)の石油温風機で中毒事故が多発した際、同社は新聞広告やテレビCMで注意を呼びかけた。パロマ工業には、消費者保護の姿勢が欠けていたということだろう。
今回の事故の背景には、不正改造という特殊な事情があったことは確かだ。
だが、判決は、パロマ側の責任について、「機器それ自体の安全性の向上を図ることはもちろん、その機器が消費者のもとで安全に使用され続けるように配慮することも求められる」とした。
製品事故が発生した際のメーカーの責任を考えるうえで、一つの指標となる判断であろう。
この事故をきっかけに、製品に関連する重大事故が発生した場合、メーカーは10日以内に、国に報告するよう義務付けられた。国に事故情報が集まらず、行政の対応が後手に回った教訓からだ。
被害の拡大を防ぐには、メーカーと行政が事故情報を共有し、素早い対応を講じる。それが不可欠であることを銘記すべきだ。
(2010年5月12日01時31分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100511-OYT1T01241.htm