デノミ=通貨の単位(Wikipedia)
デノミネーション 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
デノミネーション(denomination)とは通貨の単位を表す言葉である。日本語においては、それを切り下げる、もしくは切り上げることとして使われることもある。国内のすべての資産と負債に対して行われる。インフレーションなどにより金額表示が大きくなると経済活動に支障をきたすので、その解決のために行われる。国の負債が増えることにより、国外に対する通貨価値が下がったりした場合にも行われる。デノミと省略されることが多い。
言葉の用法
英語の“denomination(デノミネーション)”とは「通貨の単位」のことであり、「切り下げ」や「切り上げ」といった意味は持たない。日本語において誤って使われる場合の「デノミ」に相当する英語としては“redenomination(リデノミネーション)”、あるいは“change of denomination(日本語:通貨単位の変更)”などが挙げられる。なお、デノミという略称は、英語の“denomination”、あるいはロシア語の“деноминация”に基づくとされる。
方法
たとえば、1,000円の単位を に切り下げると新10円になる。具体的には、新しい通貨を発行したり、現行通貨の数字を書き換えたりする。
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の単位で切り下げることが多い。ただし、ニュージーランドとザンビアでは通貨単位を2倍にしたことがある。
近年のデノミネーション例
1994年1月1日のユーゴスラビア・ディナールは10億分の1のデノミを行った。デノミ直前には5000億ディナール紙幣という大きな数字の紙幣が発行されていた。
2005年 1月1日、トルコは新トルコリラを発行し、事実上の100万分の1のデノミを行った。2000万トルコリラ紙幣(当時は約1,500円に相当)は20新トルコ・リラになった。
2005年 7月1日、ルーマニアは1万分の1のデノミを行った。旧10000レイ (ROL) は新1レウ (RON) になった。
2008年 8月1日、ジンバブエは100億分の1のデノミを行った。100億ジンバブエ・ドル(当時は約2円に相当)は1新ジンバブエ・ドルになった。戦争状態にない国家でこれほどのデノミが行われるのは世界でも類をみない。2009年2月2日、ジンバブエは1兆分の1のデノミを行った。ほぼ半年で再度実施するのは他の国ではみられない。
2009年 11月30日、北朝鮮は同国通貨ウォン の100分の1のデノミを行った。北朝鮮では1992年 にも「貨幣改革」と称して新旧通貨の交換が行われたことがあるが、当時の比率は1対1だった。今回のデノミには一世帯あたり10万ウォン(非公式レートで約3000円)の上限額が設けられ、それを超える現金は事実上北朝鮮政府に没収される。市民の間では不満と混乱が生じており、政府は対策として銀行預金者に10分の1の「優遇」レートを、また、1世帯あたりの交換額が旧10万ウォンに満たない世帯には「配慮金」として一人当たり新500ウォンを支給する[1] 。しかし、混乱が続出し、2010年3月18日には朴南基(パク・ナムギ)労働党計画財政部長がデノミに伴う経済混乱の責任を問われ処刑されていたことが明らかとなった[2] 。
日本におけるデノミネーション
1ドル=100円前後のときにデノミを行い、1ドル=1円前後にするといった提案が出る場合がある。ジャーナリストの木村太郎は、1990年代後半に、出演していたフジテレビ『ニュースJAPAN』においてデノミ実施を主張していたが、近年はそのことには言及していない。ほとんどの専門家は通貨単位変更に伴う膨大な費用や社会的な混乱をもたらす恐れを考えると荒唐無稽であると評している[要出典 ]。
2009年9月の民主党政権発足後、鳩山由紀夫首相がデノミネーションを検討していたことが2010年3月18日に明らかとなった。政権交代の象徴として藤井裕久財務大臣に依頼していたが、1月に藤井が辞任したことで頓挫したという[3] 。
脚注
- ^ “デノミで続く混乱=7日に新通貨流通-北朝鮮” . 時事通信社 . (2009-12-06). http://www.jiji.com/jc/zc?k=200912/2009120600060 2010-03-19 閲覧。
- ^ 山口真典 (2009-03-19). “デノミ引責?北朝鮮幹部を処刑 ”. 日本経済新聞 . http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100318ATGM1801V18032010.html 2010-03-19 閲覧。
- ^ “首相、政権発足後にデノミ検討 藤井財務相辞任で頓挫? ”. 日本経済新聞. (2009-03-19). http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20100319ATFS1803H18032010.html 2010-03-19 閲覧。