何よりも被害を受けるのは年金生活者だ。(二回目の掲載)
坂の上の雲を! ――――――――――― by 紋起さん
☆ 多額債務団体=日本国の未来 ――――――― 2010/04/21
日本政府に巨額の負債があっても大したことはない、大丈夫だという論は結構
多くある。金子議員の論もその一つだが、他にはコメントにもあったように、
1-日本国債の引き受け手は日本人で、外国人は非常に少ないので大丈夫だ、
という論も多い、また、
2-日本国には資産が多いから正味負債は大したことがないのだ、
という論も根強くある。金子氏の論は、
3=返済能力がある=徴税権、紙幣発行権を政府が持つ)から大丈夫。
という論だろう。しかし、
前編で論じたように、税収を大幅に上回る支出を常にせざるを得ない国が、更なる子供手当、高校無償化、高速道路無料化、ガソリン暫定税率の廃止、農家個別補償、などの出費拡大あるいは減税をすれば、更に多額の国債を発行せざるを得ない。
プライマリーバランス=国債の金利支払いを除いた政府支出と税収との差)をゼロにする必要があるという指摘に対して、民主党は、増税の話は選挙に影響するからしないでくれ、というのだから、自ら徴税権を放棄しているわけで、=返済能力は全く無いに等しい。
そもそも民主党は、昨年の衆議院選挙で、ムダの見直しをすれば財源が確保できるという出鱈目な公約で票を掴んだ、いわば詐欺まがいで票集めをしてできた政権である。
だから、金子氏の3の論は全く成り立たず、よくもぬけぬけと言いたい話だ。
では「1」の、日本国民とか日本の機関投資家が殆どの国債を保有するから大丈夫、といえるのであろうか。
国内の機関投資家、即ち年金、郵貯だとか銀行、生保等が保有するといってもその元は「預かっている国民のお金」で国債を買っているのだから、結局すべて国民の保有と変わらない。
ーーー言い換えれば、日本国民が保有していれば負債が巨額になっても大丈夫といえるのか、という問題である。
貸し手が日本国民であっても、政府と同じではなく、他人であることには変わりがない。日本人だから、満期のきた国債を償還できない、元金が返済されなくなっても仕方がないと黙って引き下がる人など皆無であろう。あるいは利子が支払われないことを了解する人がいるとも思えない。
貸した金を返してくれない、債権がパーになることをデフォルトというが、それは極めて大きな問題になることは、借り手が日本人か、外国人か、に関係がないように思う。
国債の買い手が日本人なら、増税で返済できるからデフォルトはないという説が通常である。ーーーしかし、政府といえども、国民の意向を無視して一方的に増税を押し付けられるはずはない。そして、
借り換えの資金捻出の為に増税せざるを得ない状況の時には、国債は今のように売れないから、金利は上がっているはずである。=金利を上げれば、魅力的だと判断して国債を買う人が出てくる。外人も金利が高いのなら買いにくる。
金利が上がれば、現在の10兆円の金利支払いが、簡単に倍増、3倍増する。
税収40兆円なら、金利4%強となるだけで金利支払いのみでその税収が飛んでしまう。だから、むやみに金利は上げられない、即ち国債が売れ残るわけで際限なく国債を出すことはできない。
したがって、国債の売り先が殆ど日本人であってもデフォルトはあり得る、と考えておくべきだろう。
デフォルトになると、為替が滅茶苦茶の円安になるので、外国人から借り入れしている場合には、返済が困難になるという話に比べると、借手が日本人だけの場合では、デフォルトになるとスーパーインフレになって借金をしている政府は借金が割り引かれて返済が楽になる。ーーーこの点だけは異なると思う。
しかし、デフォルトになると、債務履行されなくなるのだから、国債を持っている人は、投げ売ってでも現金化しようとするはずである。
すると国債は暴落することになり、それを大量に持っている金融機関は資産が減り倒産の危険性が増すから、それを知った預金者は我先に金融機関に預けている預金を払い戻ししようとするのである。いわゆる預金の取り付け騒ぎとなり、
倒産する銀行が出たりして、国が銀行の窓口閉鎖を指示するだろうし、預金の引き出しができなくなることも想定される。これが長期継続する時は、預金封鎖といわれるものであり、銀行からおろせる額に制限が加えられる可能性が高い。
敗戦直後のハイパーインフレ時には、預金封鎖並びに引き出し額の制限が行われ、それに加えてタンス預金のお金を無効にする目的で新しい貨幣が発行されそれ以前の通貨は一定期間後流通させなくした。=これを新円切替といっている。
現金を持たせない仕組みにし、引き出せる額は生活費程度にしているのだから預金はハイパーインフレで瞬く間に減価していくのである。またその時は、保有している資産=動産、不動産、書画骨董にいたるまで)を申告させ、資産に課税することが行われた。かくして、
インフレと増税により、膨大な戦時国債は楽々と償還されたのである。
このように、政府は国民の資産を犠牲にすることなどなんとも思っていないことは肝に銘じておくべきである。
さて、デフォルトになった時の混乱の源は、
A)銀行が大量に持っている国債が暴落することで
銀行の体力が著しく低下し お金の流通が滞ること、
B)新たな国債が、発行しても引き受け手がいないので、
国家予算の規模を縮小せざるを得ないこと、
C)通貨の信用が落ちて大インフレが起こり、加えて
円が外国通貨と交換して海外に逃避する=マネー
フライトという)ことで、大幅な円安となり輸入が
滞ることなどである。
ーーー国民生活を想像してみよう。
債務不履行なのだから、政府の信用は地に落ち、通貨に対する信用がなくなっていることから、インフレが急激に発生する。これは、日銀や政府が止めようとしても止まらない。
銀行が倒れそうなのに、預金が引き出せない、企業活動も資金の流通が悪いの
で資金繰りが難しく、黒字倒産も出るだろう。特定物資が品切れとなることも頻発するだろうから、不安にかられた国民は買い貯めに走ったりするだろう。
兎に角お金は日々価値を失うのだから、早くお金をモノに変換するように人々は遮二無二行動するものと思われる。国の予算規模は大幅に縮小せざるを得ないのだから、公務員給与は遅配やカットされるものがでるだろう。
いろんな公的サービスがなくなるものと思われる。
生活保護なども満額出せなくなり減額せざるを得ないのではなかろうか。民間でも、給料が上がるのは物価上昇にかなり遅れてからやっと上がるし、頼りの企業の経営状態が悪化する中では、従業員も仕事に専念できないだろう。
何よりも被害を受けるのは年金生活者だ。
年金支給そのものが欠配したり遅配したりする。貰っても額は目減りしている訳だし、支給額の物価調整は遅れるから、実質的にズルズルと年金をカットさ
れているようなものだ――――。
どの国の経験においても、ハイパーインフレがくると治安は必ず悪化する。それは警察などの公的サービスが縮小されることで抑止力が弱くなる上に、食えなくなることで、経済犯や強盗の動機の源が増えることは間違いない。
為替レートは大幅な円安になり、この円安が原因で国内の輸入物価は上がる。
上がるだけでなく、下手をすると決済できないので、物資が輸入できなかったりするかもしれない。
円安は輸出産業にとって有利との話もあるが、それは経済が安定している時の話で、原材料の輸入がスムースに行えなかったり、銀行が半ば機能不全となっているのだから、部品生産会社の活動が不完全だったりして、製造等も滞りがちになり、輸出もままならないだろう。
今述べてきたことは、国債の買い手が誰であるかに関係なく、デフォルトになれば発生することである。一般に言われているのは、経済活動は大混乱となり貧しい層ほど厳しい打撃を受け、年金生活者は更に厳しい影響を受けるということだ。
このような大混乱となることから、デフォルトを政府が選択することはないだろうと言われている。
デフォルトにならないように、先述のように増税の道は理論的にはある。
しかし税率は、IMFの提示する数字をベースに計算すれば、税率は40%となるようだ。5%に税率を上げるだけで橋本政権が倒れたぐらいだから、40%もの数字を国民が認めるはずもなく、小額の増税を数度繰返すのが方法だろうが、政権が幾つあっても足りないのではなかろうか。
だから、増税でプライマリーバランスをゼロにするのは難しい――――。
されば政府支出を絞れるかといえば、今の体制では極めて困難である。=バラマキで票が集まるからである。
先週のサンデーフロントライン=サンプロの後続番組)で、私がいつも詰まらない議員の代表として名指しする山井和則厚労省政務官が、自慢そうに「私達は医療費を上げた」と言っていた。ーーー財源なしで支出を増やすことを自慢できるこのセンスは一体何なんだろう。
「敗者の楽園」の湯浅誠氏と全く同じで、借金を増やして作った、自分の金でもない税金をばら撒いて人助けをした気分になる、この似非博愛主義者に対して、その論理矛盾を誰も指摘しない。同席していたみんなの党の江田議員は何も言わなかった。
=みんなの党は民主党に尻尾を振る党だったのか、と、少し気になっている。
したがって、残るのは大インフレである、この道しかないように思われる。
ーーーそれはどういう経緯を経て至るのであろうか。
日本国債の2010年3月末の発行残高は725兆円で、前年同期比で約6.6%増えている。現状は3業態=年金80兆円、郵政236兆円、銀行128兆円=合計444兆円)で61.2%の国債が保有されている。
エコノミストの矢口氏によれば、検討した前記3業態の最大国債保有限界は、年金90兆円、郵政598兆円、銀行128兆円=合計816兆円となり、現在の112.6%までの消化が見込まれることになる。
年金とは、年金積立金管理運用独立行政法人=GPIF)で、2010─2014年度の新中期計画において、現行の基本ポートフォリオを維持することを決めたので、日本国債に10兆円の増加割当がある。
郵政が増えるのは、限度額が倍増されることでそれだけ預金等が増えるとした場合で計算されているが、郵貯・かんぽ生命が増えるに従い、個人等で持っていた国債は郵貯に集約されると考えられている。
また、銀行はこれ以上国債を増やさないだろう、と見ている。
今年と同じ国債の増加率ならば、816兆円+その他保持の国債額にいつ達するかと計算すれば、2012年となるそうだ。これを過ぎると、政府は法律を変えて日銀に国債を買わせることになると予想される。
日銀が国債を買うようにする目的は、国債消化不良懸念を払拭し、国債価格の下落を食い止めるために日銀が国債を引き受けることにするのにある。
亀井大臣のお好みの形だが、原資は?=どこにもありません。=つまり、大量の日銀券を印刷し、市場に放出することになります。
=政府は自分で紙幣を印刷して、自分に貸し出すという財政破綻への道を進み日本円は通貨としての信認を失うことになる。
円は、増刷されることと金利差によって、円安外貨高となりますから、どのように考えてもインフレとなります。これは、モノの値段が上がるというより、円と円の金融資産の価値が下がるという意味です。
これも、郵政での流れから推測すると「現政権が続く限り既定の事実」と見ていていいでしょう。=郵政拡大、日銀による国債引き受けという流れは、強烈な円安トレンドの始まり=大インフレの始まり、と見ていて間違いなかろうかと思います。
= この稿つづく =
(^^) OJIN です(^^)
うーーーむ、毎度鋭い紋起節! わたしも日本が進んでいく道は今のままならこのとおりだろうと予想しています。ーーーこの予測が万が一外れ!
という幸運に恵まれた場合、ウチの読者に限ってそういうトンチキはいないと思いますが、「結果は総て自己責任」がアジアの街角からのテーゼですから、
見込み違いで損をされるのも、或いは大儲けをされるのも、総て「自己責任」で泣き笑いなさっていただけますよう♪(^^) ただ、・・・大儲けの暁の謝意ご寸志まで固辞するものではございませんから、それはヨロシク!(^○^)
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