「国際世論をつくる国」が勝つんです。そして、アメリカとの関係をこじらせた日本は、間違いなく負けま
ロシア政治経済ジャーナル No.642
2010/4/20号
★日米同盟の危機=いつかきた道
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!
いつもありがとうございます。
北野です。
読者の皆さまが、健康で幸せで豊かでありますように!
皆さまのご家族に、愛と信頼と調和が満ちていますように!
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「国家の気概」とは?
08年9月4日発売の「隷属国家日本の岐路」の中で、「日米安保解消」
の可能性について言及しています。
予想どおりというか、日米関係がどんどん悪化しています。
そして、日本は「いつかきた道」をまた行くのでしょうか?
え?
なんのことかわからない?
つづきをお読みください。
▼悪化する日米関係
最近開かれた「核安全サミット」について、14日付「ワシントン・ポスト」
は鳩山総理を酷評しています。
↓
<「哀れでますますいかれた鳩山首相」…米紙酷評
4月15日11時12分配信 読売新聞
【ワシントン=小川聡】14日付の米ワシントン・ポスト紙は人気コラ
ムの中で、13日に終わった核安全サミットに出席した36人の各国
首脳たちがオバマ米大統領との近さを競い合ったとしたうえで、
「このショーの最大の敗北者は断然、
哀れでますますいかれた日本の鳩山由紀夫首相だった」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と鳩山首相を酷評した。>
「ますますいかれた」とは、なかなか厳しい表現ですが・・・。
ワシントン・ポストは、なぜこんな評価を下したのでしょうか?
↓
< 米政府のこうした対応の理由について、「日米を分断している
沖縄の米軍普天間飛行場問題を通じ、鳩山首相はオバマ政権の
高官たちに、信頼できないという印象を植え付けた」と指摘した。
さらに、「ますますいかれた」との表現は、「オバマ政権高官たちの
評価」だとした。>(同上)
理由は、普天間飛行場問題である。
「ますますいかれた」というのは、米政府高官がいっているのだと。
アメリカは、もはや鳩山さんの言葉を「まったく信じていない」ことに
ついて読売新聞は。
↓
<米の鳩山政権不信、頂点…5月決着「期待せず」
4月18日3時15分配信 読売新聞
【ワシントン=小川聡】沖縄の米軍普天間飛行場移設問題をめぐ
り、オバマ米大統領が12日の非公式会談で鳩山首相の協力要請
を「きちんと最後まで実現できるのか」と突き放したことは、両首脳
間にもはや
信頼関係が成り立っていない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ことを示した。
大統領が首相に直接不信感を伝えたことで、米政府全体で鳩山
政権と距離を置く姿勢が一段と強まりそうだ。>
アメリカ政府は現在、「鳩山は信頼できない」と考えている。
しかし、反米民主党政権が長期化すると、アメリカから「日米安保を
解消しましょう」となるかもしれません。
そうなったら、どうなるのでしょうか?
歴史をふりかえりながら考えてみましょう。
▼日本を支えた日英同盟
日本は現在、アメリカと軍事同盟を結んでいます。
しかし、100年前は、当時の覇権国家イギリスと軍事同盟を結んで
いました。
幕末の状況をみると、
フランス=幕府を支援する
イギリス=薩摩・長州を支援する
という関係だった。
結局、薩長が倒幕をなしとげ明治新政府をつくった。
それで、明治政府とイギリスの関係は非常に良好でした。
しかし、当時日本がイギリスの天領だったわけではありません。
明治政府は憲法をつくる際、自分の考えでイギリスではなく、ドイツ
を真似ることにしました。
もし、日本がイギリスの天領であれば、イギリス型の政体になって
いたでしょう。
明治維新をなしとげた日本は、以後驚異的発展をしていきます。
そして、1895年には日清戦争に勝利し、「アジアNO1」の地位を確
保します。
1902年、日本とイギリスは軍事同盟を締結。
仮想敵はロシアでした。
1904年、日ロ戦争勃発。
イギリスは、軍事同盟に基づき、日本をおおいに支援します。
1905年、日ロ戦争で、日本奇跡の勝利。
覇権国家イギリスが同盟国である。
いろいろ有利な点はあるのですが、もっともよかったのは「イギリス
には国際世論をつくる力があった」ことです。
たとえば1910年、日本は韓国を併合。
イギリスは、日本の行動を認めており、日本が国際社会で非難され
ることはありませんでした。
「覇権国家の友人には、行動の自由がある」
たとえば、イスラエルは核兵器を所有していますが、誰からも非難
されません。
ところが、アメリカの仮想敵イランは、核兵器をもっていないのに、
毎日批判されています。
ダブルスタンダードなのですが、これが世界の現実。
こんなすばらしい日英同盟。
なぜ解消されることになったのでしょうか?
1914年、第1次大戦勃発。
イギリスは、空前の危機に遭遇します。
それほど、敵ドイツは強かった。
イギリスは同盟国日本に、「欧州に陸軍を派兵してくれ!」とさいさ
ん要求します。
しかし、日本はこの要求を拒否しつづけました。
一方アメリカは、イギリスの求めに応じ、欧州に大軍を送り支援し
ます。
第1次世界大戦。
日本は、わずか数カ月戦って、圧勝。
欧州に物資を供給し、空前の好況にもなりました。
しかし・・・。
この頃が、明治維新からつづいた、日本の栄光のピークだったの
です。
具体的には、イギリスの信用を失った。
1921年、イギリスは「日英同盟破棄」を通告します。
1923年、同盟失効。
第1次大戦の大勝利からわずか5年後。
日本はこの時すでに、イギリス・アメリカの「仮想敵」になっていた
のです。
1929年、世界恐慌。
日本は、この危機を満州進出により乗り切ろうとします。
1932年、日本は清のラストエンペラー・溥儀をたて、「満州国」を
建国。
中国は、これに抗議し、国際連盟に訴えました。
これを受けて、イギリス人のリットンさんを長とする調査団が現地
を視察。
結論は、「日本は中国に満州を返すように」というものでした。
リットンの報告書は、国際連盟で、42対1(日本)の圧倒的支持を
受け採択されます。
日本はこの決定に激怒し、国際連盟を脱退しました。
ここでわかることがあります。
1、イギリスは、「友好国が植民地をつくることは容認するが、仮
想敵が植民地をつくることは容認しない」。
世界中に植民地をつくったイギリスが、日本の満州国に反対す
るなんて理不尽だと思いませんか?
これ理不尽なんです。
イギリスは、日英同盟があった時期、日本が韓国を併合するの
を認めました。
しかし、日本が満州国をつくったことは認めなかった。
これは、アメリカがイスラエルの核兵器保有を認め、イランの核
開発を認めないのと同じ論理。
2、日本の第2次大戦における敗北は、日英同盟破棄からはじ
まった
日本は国際連盟の常任理事国でした。
そして、世界の5大国の一国。
しかし、国際連盟加盟国はすべて「満州国」に反対。
なぜかというと、イギリスが反対だったからです。
日本は1933年の時点で、完全に孤立していた。
そして、同じく孤立しており、同じく1933年に国際連盟を脱退し
たドイツに接近していきます。
こう見ると、日本の敗戦は、
1、第1次大戦時、イギリスに不信された
2、日英同盟を破棄された
3、満州国建国に反対され、国際連盟を脱退
4、国際的に孤立した
という遠因があったことがわかります。
▼日米同盟破棄で日本は「いつかきた道」をいく
さて、私はなぜ「日英同盟」の話をしたのでしょうか?
日本がまた、「いつかきた道」をいこうとしているからです。
現在アメリカ政府は、「鳩山は信用できない」と思っている。
しかし、反米首相が何代もつづくと、
かつてのイギリスがそうだったように、「日本は信用できない」とな
る可能性がある。
そして、アメリカ側から「日米安保は解消しましょう」「後は自分で
やってください」と通告される可能性がある。
するとどうなるのでしょうか?
日本は「自分の国は自分で守ろう」ときわめて自然な方向に進む
でしょう。
そして、「国を守る一番いい方法は『核兵器』をもつことだ」と、これ
また「常識的」な結論に行きつくかもしれない。
しかし、アメリカはこれを許しません。
アメリカばかりでなく、中国もロシアもこれを許しません。
最初は、「日本は『核拡散防止条約』(NPT)に調印しているでは
ないか!」ときわめてまっとうな批判を展開します。
そして日本は、かつて「満州国建国」に反対され、国際連盟を脱
退したように、NPTを脱退する。
その時の判断は、
・NPTは「国連常任理事国」にだけ核兵器保有を認める不公平な
条約である
・北朝鮮はNPTを脱退し、核兵器保有に踏み切った。だから日本
も大丈夫だろう
・イスラエル、インド、パキスタンはNPT未加盟なのに核兵器をもっ
ている
これらはいずれも「正論」です。
しかし、国際社会では「正論」が勝つんじゃないんです。
「国際世論をつくる国」が勝つんです。
そして、アメリカとの関係をこじらせた日本は、間違いなく負けます。
この時、現在の左翼政権の反動で、右翼政権が誕生していれば、
「日本の主張は正しい、大国が何を言おうが『核武装』するべし!」
となる。
日本は第2次大戦時同様、アメリカ、ロシア、中国を同時に敵にま
わすことになる。
再び、「ABCD包囲網」のようなきつい経済制裁が行われるかもし
れません。
何がいいたいか。
私は「日本は『自立国家』になるべし」と主張しています。
しかし、その道筋は「空想的」「非現実的」なものであってはいけな
いのです。
確かにリーマン・ショックでアメリカは没落しました。
世界的決定は、アメリカを中心とするG7ではなく、G20で行われる
ようになっている。
しかし、アメリカの軍事費は60兆円。
これは、全世界の総軍事費の約半分。
つまり、アメリカ以外の国々200カ国の軍事費の合計に匹敵するの
です。
日本には、こんな強力な同盟国がいる。
もちろん「自分の国は自分で守れる」ほうがいい。
それなら、「日米安保」を堅持しながら、10年くらいかけて「自主防衛」
体制に移行していけばいい。
ウソをつき、不信をまねき、日米同盟を破棄されれば、日本は国際的
に孤立し、また破滅にむかっていきます。
日本はイギリスとの同盟関係を軽んじ破滅した「いつか来た道」をす
すんではいけないのです。
ではどんな道を進めばいいのでしょうか?
詳細はこちらをごらんください。
↓
↓
http://tinyurl.com/6zcszc
(おわり)
○メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」
発行者 北野 幸伯
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ ) 358
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2010/4/20号
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の可能性について言及しています。
予想どおりというか、日米関係がどんどん悪化しています。
そして、日本は「いつかきた道」をまた行くのでしょうか?
え?
なんのことかわからない?
つづきをお読みください。
▼悪化する日米関係
最近開かれた「核安全サミット」について、14日付「ワシントン・ポスト」
は鳩山総理を酷評しています。
↓
<「哀れでますますいかれた鳩山首相」…米紙酷評
4月15日11時12分配信 読売新聞
【ワシントン=小川聡】14日付の米ワシントン・ポスト紙は人気コラ
ムの中で、13日に終わった核安全サミットに出席した36人の各国
首脳たちがオバマ米大統領との近さを競い合ったとしたうえで、
「このショーの最大の敗北者は断然、
哀れでますますいかれた日本の鳩山由紀夫首相だった」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と鳩山首相を酷評した。>
「ますますいかれた」とは、なかなか厳しい表現ですが・・・。
ワシントン・ポストは、なぜこんな評価を下したのでしょうか?
↓
< 米政府のこうした対応の理由について、「日米を分断している
沖縄の米軍普天間飛行場問題を通じ、鳩山首相はオバマ政権の
高官たちに、信頼できないという印象を植え付けた」と指摘した。
さらに、「ますますいかれた」との表現は、「オバマ政権高官たちの
評価」だとした。>(同上)
理由は、普天間飛行場問題である。
「ますますいかれた」というのは、米政府高官がいっているのだと。
アメリカは、もはや鳩山さんの言葉を「まったく信じていない」ことに
ついて読売新聞は。
↓
<米の鳩山政権不信、頂点…5月決着「期待せず」
4月18日3時15分配信 読売新聞
【ワシントン=小川聡】沖縄の米軍普天間飛行場移設問題をめぐ
り、オバマ米大統領が12日の非公式会談で鳩山首相の協力要請
を「きちんと最後まで実現できるのか」と突き放したことは、両首脳
間にもはや
信頼関係が成り立っていない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ことを示した。
大統領が首相に直接不信感を伝えたことで、米政府全体で鳩山
政権と距離を置く姿勢が一段と強まりそうだ。>
アメリカ政府は現在、「鳩山は信頼できない」と考えている。
しかし、反米民主党政権が長期化すると、アメリカから「日米安保を
解消しましょう」となるかもしれません。
そうなったら、どうなるのでしょうか?
歴史をふりかえりながら考えてみましょう。
▼日本を支えた日英同盟
日本は現在、アメリカと軍事同盟を結んでいます。
しかし、100年前は、当時の覇権国家イギリスと軍事同盟を結んで
いました。
幕末の状況をみると、
フランス=幕府を支援する
イギリス=薩摩・長州を支援する
という関係だった。
結局、薩長が倒幕をなしとげ明治新政府をつくった。
それで、明治政府とイギリスの関係は非常に良好でした。
しかし、当時日本がイギリスの天領だったわけではありません。
明治政府は憲法をつくる際、自分の考えでイギリスではなく、ドイツ
を真似ることにしました。
もし、日本がイギリスの天領であれば、イギリス型の政体になって
いたでしょう。
明治維新をなしとげた日本は、以後驚異的発展をしていきます。
そして、1895年には日清戦争に勝利し、「アジアNO1」の地位を確
保します。
1902年、日本とイギリスは軍事同盟を締結。
仮想敵はロシアでした。
1904年、日ロ戦争勃発。
イギリスは、軍事同盟に基づき、日本をおおいに支援します。
1905年、日ロ戦争で、日本奇跡の勝利。
覇権国家イギリスが同盟国である。
いろいろ有利な点はあるのですが、もっともよかったのは「イギリス
には国際世論をつくる力があった」ことです。
たとえば1910年、日本は韓国を併合。
イギリスは、日本の行動を認めており、日本が国際社会で非難され
ることはありませんでした。
「覇権国家の友人には、行動の自由がある」
たとえば、イスラエルは核兵器を所有していますが、誰からも非難
されません。
ところが、アメリカの仮想敵イランは、核兵器をもっていないのに、
毎日批判されています。
ダブルスタンダードなのですが、これが世界の現実。
こんなすばらしい日英同盟。
なぜ解消されることになったのでしょうか?
1914年、第1次大戦勃発。
イギリスは、空前の危機に遭遇します。
それほど、敵ドイツは強かった。
イギリスは同盟国日本に、「欧州に陸軍を派兵してくれ!」とさいさ
ん要求します。
しかし、日本はこの要求を拒否しつづけました。
一方アメリカは、イギリスの求めに応じ、欧州に大軍を送り支援し
ます。
第1次世界大戦。
日本は、わずか数カ月戦って、圧勝。
欧州に物資を供給し、空前の好況にもなりました。
しかし・・・。
この頃が、明治維新からつづいた、日本の栄光のピークだったの
です。
具体的には、イギリスの信用を失った。
1921年、イギリスは「日英同盟破棄」を通告します。
1923年、同盟失効。
第1次大戦の大勝利からわずか5年後。
日本はこの時すでに、イギリス・アメリカの「仮想敵」になっていた
のです。
1929年、世界恐慌。
日本は、この危機を満州進出により乗り切ろうとします。
1932年、日本は清のラストエンペラー・溥儀をたて、「満州国」を
建国。
中国は、これに抗議し、国際連盟に訴えました。
これを受けて、イギリス人のリットンさんを長とする調査団が現地
を視察。
結論は、「日本は中国に満州を返すように」というものでした。
リットンの報告書は、国際連盟で、42対1(日本)の圧倒的支持を
受け採択されます。
日本はこの決定に激怒し、国際連盟を脱退しました。
ここでわかることがあります。
1、イギリスは、「友好国が植民地をつくることは容認するが、仮
想敵が植民地をつくることは容認しない」。
世界中に植民地をつくったイギリスが、日本の満州国に反対す
るなんて理不尽だと思いませんか?
これ理不尽なんです。
イギリスは、日英同盟があった時期、日本が韓国を併合するの
を認めました。
しかし、日本が満州国をつくったことは認めなかった。
これは、アメリカがイスラエルの核兵器保有を認め、イランの核
開発を認めないのと同じ論理。
2、日本の第2次大戦における敗北は、日英同盟破棄からはじ
まった
日本は国際連盟の常任理事国でした。
そして、世界の5大国の一国。
しかし、国際連盟加盟国はすべて「満州国」に反対。
なぜかというと、イギリスが反対だったからです。
日本は1933年の時点で、完全に孤立していた。
そして、同じく孤立しており、同じく1933年に国際連盟を脱退し
たドイツに接近していきます。
こう見ると、日本の敗戦は、
1、第1次大戦時、イギリスに不信された
2、日英同盟を破棄された
3、満州国建国に反対され、国際連盟を脱退
4、国際的に孤立した
という遠因があったことがわかります。
▼日米同盟破棄で日本は「いつかきた道」をいく
さて、私はなぜ「日英同盟」の話をしたのでしょうか?
日本がまた、「いつかきた道」をいこうとしているからです。
現在アメリカ政府は、「鳩山は信用できない」と思っている。
しかし、反米首相が何代もつづくと、
かつてのイギリスがそうだったように、「日本は信用できない」とな
る可能性がある。
そして、アメリカ側から「日米安保は解消しましょう」「後は自分で
やってください」と通告される可能性がある。
するとどうなるのでしょうか?
日本は「自分の国は自分で守ろう」ときわめて自然な方向に進む
でしょう。
そして、「国を守る一番いい方法は『核兵器』をもつことだ」と、これ
また「常識的」な結論に行きつくかもしれない。
しかし、アメリカはこれを許しません。
アメリカばかりでなく、中国もロシアもこれを許しません。
最初は、「日本は『核拡散防止条約』(NPT)に調印しているでは
ないか!」ときわめてまっとうな批判を展開します。
そして日本は、かつて「満州国建国」に反対され、国際連盟を脱
退したように、NPTを脱退する。
その時の判断は、
・NPTは「国連常任理事国」にだけ核兵器保有を認める不公平な
条約である
・北朝鮮はNPTを脱退し、核兵器保有に踏み切った。だから日本
も大丈夫だろう
・イスラエル、インド、パキスタンはNPT未加盟なのに核兵器をもっ
ている
これらはいずれも「正論」です。
しかし、国際社会では「正論」が勝つんじゃないんです。
「国際世論をつくる国」が勝つんです。
そして、アメリカとの関係をこじらせた日本は、間違いなく負けます。
この時、現在の左翼政権の反動で、右翼政権が誕生していれば、
「日本の主張は正しい、大国が何を言おうが『核武装』するべし!」
となる。
日本は第2次大戦時同様、アメリカ、ロシア、中国を同時に敵にま
わすことになる。
再び、「ABCD包囲網」のようなきつい経済制裁が行われるかもし
れません。
何がいいたいか。
私は「日本は『自立国家』になるべし」と主張しています。
しかし、その道筋は「空想的」「非現実的」なものであってはいけな
いのです。
確かにリーマン・ショックでアメリカは没落しました。
世界的決定は、アメリカを中心とするG7ではなく、G20で行われる
ようになっている。
しかし、アメリカの軍事費は60兆円。
これは、全世界の総軍事費の約半分。
つまり、アメリカ以外の国々200カ国の軍事費の合計に匹敵するの
です。
日本には、こんな強力な同盟国がいる。
もちろん「自分の国は自分で守れる」ほうがいい。
それなら、「日米安保」を堅持しながら、10年くらいかけて「自主防衛」
体制に移行していけばいい。
ウソをつき、不信をまねき、日米同盟を破棄されれば、日本は国際的
に孤立し、また破滅にむかっていきます。
日本はイギリスとの同盟関係を軽んじ破滅した「いつか来た道」をす
すんではいけないのです。
ではどんな道を進めばいいのでしょうか?
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