論説】主従関係思わせた胡錦濤と鳩山由紀夫―核安全保障サミットで
論説】主従関係思わせた胡錦濤と鳩山由紀夫―核安全保障サミットで
永山英樹(頂門の一針メルマガ)
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http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1133.html
■米紙に嘲笑された鳩山首相の無様さ
核物質の安全管理について討議する核安全保障サミットが四月十二、十三日、米ワシントンで開催された。四十七カ国の首脳、閣僚らが参加し、武力組織による核兵器入手を阻止するため、協調行動をとることなどが合意された。
さて、このサミットに関し、米紙ワシントン・ポスト(十四日)は、最も存在感を示したのは中国の胡錦濤主席で、最大の敗者は鳩山由紀夫首相だとする論評を掲載した。普天間基地移設問題で迷走続きの鳩山氏は、オバマ米大統領には非公式会談しか受けてもらえず、他方、胡錦濤氏は九十分も公式会談を行っているからだ。
論評は「ああ、ユキオ、あなたは同盟国の首相ではなかったか。核の傘をお忘れか。その上で、まだトヨタを買えというのか。鳩山首相を相手にしたのは、胡主席だけだ」と嘲笑している。
■米国から譲歩を引き出した中国の策略
胡錦濤氏はたしかに絶好調だった。
オバマ氏との会見では、核開発疑惑が高まるイランへの国連安全保障理事会での追加制裁決議に協力の姿勢を示すなど、「台湾やチベットなど2国間問題の立場の違いを超え、国際的な課題の解決では、米中が協調していくことを再確認した形」(読売新聞、十四日社説)となった。
これは胡錦濤氏にとっては好ましい展開だった。産経(十二日)も「米中再協調の背景には両国のそれぞれの実利を踏まえての柔軟な動きがあるが、中国側の譲歩がより大きいといえるようだ」と報じている。
〇八年五月、米国務省のパトリシア・マクナーニー次官補代理(拡散防止担当)は議会の公聴会で、「中国政府は拡散防止への協力を表明しているが、なお中国の企業や個人が地域の安定を崩すミャンマー、キューバ、イラン、スーダン、シリアの各国に通常兵器を輸出しており、中国政府にはそれを取り締まる輸出管理の機能がない」と証言している。
この公聴会では民間の専門家から、北朝鮮、イランの核開発も支援している」との指摘も出たが、このように中国はイランに軍事援助を行い続けてきた国なのだ。
将来米国とイランが開戦した場合、中国はベトナム戦争と同様、宣戦布告をせずに派兵するとする密約を、九〇年代末にイランとの間で交わしたとも言われているが、今回の対イラン制裁問題での米国への歩みよりは、もちろんいつもながらに利益交換が目的だろう。これは台湾、チベットなどの対立問題などでの米国の譲歩との引き換えなのだ。
すでに米国は三月、「台湾とチベットの独立に反対する」ことを中国に対して再確認を行っている。それまで中国は米国の対台湾武器売却に反撥し、対イラン制裁を拒否していた。
胡錦濤氏は米国に対する外交カードを上手に切ったと言えるだろう。そして今後も「イラン」は有効な対米カードであり続けるだろう。
■独裁国家支援こそ中国の外交戦略
胡錦濤氏は十三日、サミットで講演を行い、核の安全に関して「国の約束と責任を確実に履行する」「国際法の枠組みを確実に強化する」「国際協力を確実に強化する」などと、ここでも国際協調の姿勢を明確に示したが、その中で核テロへの打撃を訴えることで各国と協力するとも強調している。
中国は、米国が〇一年の九・一一同時多発テロを受け「テロとの戦い」を訴えたことに支持を表明したものの、それに真摯に協調してこなかったことは、テロ支援国家であるイラン、そしてさらには北朝鮮、スーダン、シリアなどを支持、支援してきたことでも明らかだ。
これら独裁国家との連帯を通じ、米国を中心とした民主国家陣営と国際社会で覇権を争うと言うのが、中国の外交戦略の基本なのである。
従って胡錦濤氏が核テロ反対の姿勢の打ち出したのは、あくまでも米国などとの利益交換の戦略と見ざるを得ないのである。
■テロ国家体制の守護者となった胡錦濤
また中国は、「テロとの戦い」への協力を表明する一方で、東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)で独立、自治などを求めて抵抗するウイグル人をテロリストだと宣伝し、それへの弾圧政策を対外的に正当化し続けている。
しかしこうした「少数民族」弾圧こそ、中国のテロ国家体質の表れにほかならない。そして胡錦濤自身が、そのような国家体質の具現者であるということも忘れてはならない。
八九年三月、チベット自治区の党委書記に左遷されていた胡錦濤氏は、チベット人僧侶らの抗議デモに対し、中央の許可を受けることなく、自ら陣頭に立って血の弾圧の指揮をとり、大量虐殺を行った。そしてその冷酷さが!)小平氏の目に止まり、将来の指導者として抜擢されたのだった。つまりテロ国家体制の守護者とてだ。
今後も胡錦濤は反テロを理由に、各国に対して民族弾圧政策に干渉しないよう求めて行くことだろう。
■「台湾侵略」を意味する中国の「自衛」
胡錦涛氏は講演でさらに「核エネルギーの完全かつ平和的な利用は全人類共通の願いだ」とした上で、次のように述べている。
「中国は一貫して核兵器の全面禁止とし徹底した廃棄を主張し、自衛の核戦略に徹し、いかなる時、場合も核兵器の先制使用は行わないとの政策を堅持する」
「核兵器を保有しない国と地域に対して核兵器を使用しないことを無条件に承諾している」
「核兵器拡散に断固反対し、国際的な核の安全強化の努力を積極的に支持する」
「自衛の核戦略に徹し」と胡錦濤氏は言うが、中国が言う「自衛」とは常に表明されている如く「主権と領土保全の防衛」であろう。そしてそれは主に、「一つの中国」なる虚構宣伝の下で台湾を併呑することを指す。
台湾侵略が米軍に妨害されることを防ぐため、米国本土、東アジア、西太平洋の米軍の基地、空母機動艦隊などに核ミサイルの照準を合わせると言うのが、中国の所謂「自衛の核戦略」なのである。
「非核国に核兵器を使用しない」とも言うが、それではなぜ日本の米軍基地と都市に向けた核ミサイルを配備するのか。
さらに「核兵器の先制不使用」「核兵器の拡散反対」と強調しても、それを誰が保証できるのか。
核の恫喝で国際社会に臨むテロ国家の主張である以上、額面通りに受け取るわけにはいかないはずだ。
世界の国々は、今回のサミットを期に、これらのことを真剣に考えるべきだろう。
■「アジア一体化」で合意した日中首脳
さて「鳩山首相を相手にしたのは、胡主席だけだ」とワシントン・ポストは皮肉ったが、両者は現地でいかなる会見を行ったのか。
新華社の十三日の報道によると、胡錦濤氏は「中日関係は良好だ。両国の指導者の往来も密接で多くの重要な合意にも達している」とした上で、「日本側とは対話、疎通、協調し、手を携えてアジア地域の貿易、金融、インフラ建設などで協力し、ともにアジア一体化の建設に向け、実質的なステップを踏み続けよう」と呼びかけた。
これに対して鳩山氏は「日本側は中国やアジア諸国との友好協力関係の構築し、各領域で協力し、東アジア共同体形成の推進を望んでいる」と答えている。
さらに毒餃子問題に関し、「中国の関係方面による努力を称え、感謝したい」と言ったとか。
まさに旭日昇天の勢いを見せる中国と、凋落一方の日本の姿を象徴するかのような光景と言えよう。
■日本の敗北主義では中国を抑止できない
鳩山氏は東アジア共同体構想について、「日中が中核だ」と語ったそうだが、日本が日米同盟抜きで、あの強大なる暴力国家と対等に渡り合って行けるなどとは、本気で考えてなどいまい。
つまり敗北主義に染まっているのである。言い換えれば中国との主従関係を受け入れているのだ。
米国側が「あなたは同盟国の首相ではなかったか」とあきれるのも無理はない。
二〇一二年の次回の核安全保障サミッは韓国で開催されることが決まった。核開発を続ける北朝鮮に圧力をかける思惑からだろうが、国際社会で孤立するこの国を支え続けているのもまた中国である。
このように国際社会に好ましからざる中国の影響力拡大を抑止するには、やはり日米同盟の強化が必要なのだ。
日本国民はその一点の重要性をわきまえ、政権選びを行わなければならない。
『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html
『日本之声』 http://groups.yahoo.com/group/nihonnokoe (Big5漢文)
永山英樹(頂門の一針メルマガ)
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■米紙に嘲笑された鳩山首相の無様さ
核物質の安全管理について討議する核安全保障サミットが四月十二、十三日、米ワシントンで開催された。四十七カ国の首脳、閣僚らが参加し、武力組織による核兵器入手を阻止するため、協調行動をとることなどが合意された。
さて、このサミットに関し、米紙ワシントン・ポスト(十四日)は、最も存在感を示したのは中国の胡錦濤主席で、最大の敗者は鳩山由紀夫首相だとする論評を掲載した。普天間基地移設問題で迷走続きの鳩山氏は、オバマ米大統領には非公式会談しか受けてもらえず、他方、胡錦濤氏は九十分も公式会談を行っているからだ。
論評は「ああ、ユキオ、あなたは同盟国の首相ではなかったか。核の傘をお忘れか。その上で、まだトヨタを買えというのか。鳩山首相を相手にしたのは、胡主席だけだ」と嘲笑している。
■米国から譲歩を引き出した中国の策略
胡錦濤氏はたしかに絶好調だった。
オバマ氏との会見では、核開発疑惑が高まるイランへの国連安全保障理事会での追加制裁決議に協力の姿勢を示すなど、「台湾やチベットなど2国間問題の立場の違いを超え、国際的な課題の解決では、米中が協調していくことを再確認した形」(読売新聞、十四日社説)となった。
これは胡錦濤氏にとっては好ましい展開だった。産経(十二日)も「米中再協調の背景には両国のそれぞれの実利を踏まえての柔軟な動きがあるが、中国側の譲歩がより大きいといえるようだ」と報じている。
〇八年五月、米国務省のパトリシア・マクナーニー次官補代理(拡散防止担当)は議会の公聴会で、「中国政府は拡散防止への協力を表明しているが、なお中国の企業や個人が地域の安定を崩すミャンマー、キューバ、イラン、スーダン、シリアの各国に通常兵器を輸出しており、中国政府にはそれを取り締まる輸出管理の機能がない」と証言している。
この公聴会では民間の専門家から、北朝鮮、イランの核開発も支援している」との指摘も出たが、このように中国はイランに軍事援助を行い続けてきた国なのだ。
将来米国とイランが開戦した場合、中国はベトナム戦争と同様、宣戦布告をせずに派兵するとする密約を、九〇年代末にイランとの間で交わしたとも言われているが、今回の対イラン制裁問題での米国への歩みよりは、もちろんいつもながらに利益交換が目的だろう。これは台湾、チベットなどの対立問題などでの米国の譲歩との引き換えなのだ。
すでに米国は三月、「台湾とチベットの独立に反対する」ことを中国に対して再確認を行っている。それまで中国は米国の対台湾武器売却に反撥し、対イラン制裁を拒否していた。
胡錦濤氏は米国に対する外交カードを上手に切ったと言えるだろう。そして今後も「イラン」は有効な対米カードであり続けるだろう。
■独裁国家支援こそ中国の外交戦略
胡錦濤氏は十三日、サミットで講演を行い、核の安全に関して「国の約束と責任を確実に履行する」「国際法の枠組みを確実に強化する」「国際協力を確実に強化する」などと、ここでも国際協調の姿勢を明確に示したが、その中で核テロへの打撃を訴えることで各国と協力するとも強調している。
中国は、米国が〇一年の九・一一同時多発テロを受け「テロとの戦い」を訴えたことに支持を表明したものの、それに真摯に協調してこなかったことは、テロ支援国家であるイラン、そしてさらには北朝鮮、スーダン、シリアなどを支持、支援してきたことでも明らかだ。
これら独裁国家との連帯を通じ、米国を中心とした民主国家陣営と国際社会で覇権を争うと言うのが、中国の外交戦略の基本なのである。
従って胡錦濤氏が核テロ反対の姿勢の打ち出したのは、あくまでも米国などとの利益交換の戦略と見ざるを得ないのである。
■テロ国家体制の守護者となった胡錦濤
また中国は、「テロとの戦い」への協力を表明する一方で、東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)で独立、自治などを求めて抵抗するウイグル人をテロリストだと宣伝し、それへの弾圧政策を対外的に正当化し続けている。
しかしこうした「少数民族」弾圧こそ、中国のテロ国家体質の表れにほかならない。そして胡錦濤自身が、そのような国家体質の具現者であるということも忘れてはならない。
八九年三月、チベット自治区の党委書記に左遷されていた胡錦濤氏は、チベット人僧侶らの抗議デモに対し、中央の許可を受けることなく、自ら陣頭に立って血の弾圧の指揮をとり、大量虐殺を行った。そしてその冷酷さが!)小平氏の目に止まり、将来の指導者として抜擢されたのだった。つまりテロ国家体制の守護者とてだ。
今後も胡錦濤は反テロを理由に、各国に対して民族弾圧政策に干渉しないよう求めて行くことだろう。
■「台湾侵略」を意味する中国の「自衛」
胡錦涛氏は講演でさらに「核エネルギーの完全かつ平和的な利用は全人類共通の願いだ」とした上で、次のように述べている。
「中国は一貫して核兵器の全面禁止とし徹底した廃棄を主張し、自衛の核戦略に徹し、いかなる時、場合も核兵器の先制使用は行わないとの政策を堅持する」
「核兵器を保有しない国と地域に対して核兵器を使用しないことを無条件に承諾している」
「核兵器拡散に断固反対し、国際的な核の安全強化の努力を積極的に支持する」
「自衛の核戦略に徹し」と胡錦濤氏は言うが、中国が言う「自衛」とは常に表明されている如く「主権と領土保全の防衛」であろう。そしてそれは主に、「一つの中国」なる虚構宣伝の下で台湾を併呑することを指す。
台湾侵略が米軍に妨害されることを防ぐため、米国本土、東アジア、西太平洋の米軍の基地、空母機動艦隊などに核ミサイルの照準を合わせると言うのが、中国の所謂「自衛の核戦略」なのである。
「非核国に核兵器を使用しない」とも言うが、それではなぜ日本の米軍基地と都市に向けた核ミサイルを配備するのか。
さらに「核兵器の先制不使用」「核兵器の拡散反対」と強調しても、それを誰が保証できるのか。
核の恫喝で国際社会に臨むテロ国家の主張である以上、額面通りに受け取るわけにはいかないはずだ。
世界の国々は、今回のサミットを期に、これらのことを真剣に考えるべきだろう。
■「アジア一体化」で合意した日中首脳
さて「鳩山首相を相手にしたのは、胡主席だけだ」とワシントン・ポストは皮肉ったが、両者は現地でいかなる会見を行ったのか。
新華社の十三日の報道によると、胡錦濤氏は「中日関係は良好だ。両国の指導者の往来も密接で多くの重要な合意にも達している」とした上で、「日本側とは対話、疎通、協調し、手を携えてアジア地域の貿易、金融、インフラ建設などで協力し、ともにアジア一体化の建設に向け、実質的なステップを踏み続けよう」と呼びかけた。
これに対して鳩山氏は「日本側は中国やアジア諸国との友好協力関係の構築し、各領域で協力し、東アジア共同体形成の推進を望んでいる」と答えている。
さらに毒餃子問題に関し、「中国の関係方面による努力を称え、感謝したい」と言ったとか。
まさに旭日昇天の勢いを見せる中国と、凋落一方の日本の姿を象徴するかのような光景と言えよう。
■日本の敗北主義では中国を抑止できない
鳩山氏は東アジア共同体構想について、「日中が中核だ」と語ったそうだが、日本が日米同盟抜きで、あの強大なる暴力国家と対等に渡り合って行けるなどとは、本気で考えてなどいまい。
つまり敗北主義に染まっているのである。言い換えれば中国との主従関係を受け入れているのだ。
米国側が「あなたは同盟国の首相ではなかったか」とあきれるのも無理はない。
二〇一二年の次回の核安全保障サミッは韓国で開催されることが決まった。核開発を続ける北朝鮮に圧力をかける思惑からだろうが、国際社会で孤立するこの国を支え続けているのもまた中国である。
このように国際社会に好ましからざる中国の影響力拡大を抑止するには、やはり日米同盟の強化が必要なのだ。
日本国民はその一点の重要性をわきまえ、政権選びを行わなければならない。
『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html
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