「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 についていた読者の声 | 日本のお姉さん

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 についていた読者の声

(読者の声3)人民元切り上げが米中間で話題になっていますが、勿論その原因は中国の大幅な対米貿易黒字にあります。しかし、あまり日本のマスコミは取上げていませんが、この巨大な中国の貿易黒字を吹き飛ばしてしまうかも知れない事態がじわじわと進行しています。
『エルオネス』4月号83ページにある「恐怖の『移転価格税制』到来」という記事を読んでついに来るべき物が着たかという感慨に耽りました。

移転価格税制は米国が1990年代に導入した税制で(エルオネスの記事にある「十年前に米国で始まり」は間違い)、外国にある子会社に対し不当に高い値段で輸出するか不当に低い価格で輸入して、利益を付加価値をつけた国から親会社の方に移転する、あるいは税率の安い国に移転することを禁じ、不当に移したと思われる利益を税金として徴収する税制のことです。


平成21年に中国でもこの税制が導入され中国に工場を持っている外国の会社から追徴金を「5年前まで遡って請求して」(エルオネス記事)きているそうです。

人件費の高騰と優秀な人材の確保の難しさに加えこの動きが進めば中国に工場をもつメリットが急速に少なくなり、何事も極端にはしる国のことですから中国の輸出の6割を占める外資による輸出が急速に減少する可能性があります。
その際、日系企業、特に司法対策を十分に行なう余裕のない中小企業が狙い撃ちされ、散々ひん剥かれてほうほうのていで逃げ出すことになりかねません。


中国の現政権は実施しないとおもいますが、中国の人民の利益を考えた場合、元の切り上げをするより、農産物価格を引き上げその結果、国内市場が拡大をするとともに、労働者の賃金を上昇させて輸出競争力を適正なレベルまで下げる方がはるかに良い方策とおもいます。
しかし国民の利益を考えるような政権ではないので、このアプローチをとることは、当面ないでしょう。
  (ST生、千葉)