「盧溝橋事件は中国が仕掛けた」
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010年)3月12日(金曜日)
通巻2904号
湾岸の盟主=サウジアラビアはペルシア帝国の復活を恐れる
ゲーツ国防長官はリヤドで防御態勢の強固な支援を約束した
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湾岸にはイランの脅威が拡がっている。
3月10日、アフガニスタン訪問を終えたゲーツ米国防長官はサウジアラビアの首都リヤドを訪問し、アブドラ国王、スルタン皇太子に拝謁し、サウジ防御への協力を話し合った。
ゲーツのリヤド入りの前にはペトロウス中央軍司令官、ヒラリー国務長官、マイク・ムラン統幕議長らもサウジを訪問している。
異常なほどのサウジ重視はなにを物語るのか?
米国は核兵器開発を続行するイラン制裁を国連の場で採決したいが、ロシアが非協力的であり、中国が反対している。とくにイランの石油は中国が最大の買い手。
中国はイランに長距離ミサイルなど、夥しい武器を供与している。
サウジアラビアはスンニ派で、敵対的なイランのイーア派が国内ならびに湾岸諸国に浸透することを極度に警戒している。
世界最大の産油国サウジを防衛することは米国外交の中軸におかれている。
他方、ペルシア帝国の復活をかけて、隣国のイラク南部へシーア派の影響力を浸透させたイランは、アハマドネジャッド大統領が、ゲーツの訪問終了翌日にカブールを訪問して、カルザイ大統領と会談した。
イラクでは国会議員(定員325)の選挙が行われ、対米協力姿勢のマリキ首相が主導のスンニ派連立勢力がやや優勢だが、チャラビ率いるシーア派連合も健闘しており、政情不安はかわらず、辛うじてイラクの石油生産が日量240万バーレルにまで回復した。
この趨勢を判断材料としたのか、ロイヤル・ダッチ・シェルとインガソル・ランドはイランにおける石油生産を中止、あるいは中断する旨の発表を行った(10日、ヘラルドトリビューン)。
サウジアラビアへ米国が新しく供与する武器システムの明細は不明だが、陸海空の全領域にわたって最新鋭武器システムに変革する傾向は確実とみられる。
とくにイランからのミサイル防衛に米国はカタール、UAE、バーレン、クエートの四カ国にもミサイル防衛システム構築を構想していると事情通は判断している。
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「盧溝橋事件は中国が仕掛けた」
茂木弘道
盧溝橋事件は中国側がしかけた紛争なのである。そのことは発砲事件の4日後の7月11日に締結された現地停戦協定に明確に書かれている。
3項目からなる停戦協定の第1項目は、
「第29軍代表は日本軍に遺憾の意を表し、かつ責任者を処分し、将来責任をもって再びかくのごとき事件の惹起を防止することを声明す。」
と中国側に責任があることを明記しているのである。
29軍は宋哲元率いる北支を支配する約十五万の軍である。
対する日本駐屯軍(北京議定書に基づき駐屯)は、5千6百と極少数で、圧倒的な力にものを言わせて、理不尽な停戦協定を押し付けることなどとてもできない相談である。
その後中国側はこれはなかったかのように言うが、とんでもない話である。
▲中国の攻撃には必然性があった
そもそも日本が攻撃を行う理由は全くなかった。たった5千6百の駐屯軍が15万の29軍に攻撃をかけるなどということが馬鹿げていることは言うまでもない。さらに言えば、日本軍の全戦力、国内、満州、朝鮮、中国に駐屯する全戦力は、およそ25万であった。これに対して中国は約210万である。うち50万はドイツ軍事顧問団の指導で装備訓練とも近代化を進めていた。さらに日本の最大の仮想敵国はソ連であるが、ソ連は160万の大戦力を有し、うちおよそ40万が極東に配備されていた。このような全体状況の中で、日本が北支で戦端を開くなどという愚かなことを行うはずもないし、そのような計画は皆無であった。
一方、当時の中国では日本に対する主戦論が圧倒的に優勢で、農民を除く都市の住民は日本との戦争を熱望し、勝利を確信していたのである。当時の中国で発行されていた新聞各紙を見ればその様子は一目瞭然である。『日中戦争:戦争を望んだ中国、望まなかった日本』(北村稔・林思雲/PHP)が、この状況を詳述している。当時の主戦派には、大別して3つのグループがあった。一つは過激な知識人・学生・都市市民である。二つ目は中国共産党であり、三つ目は地方軍閥である。
特に共産党は抗日を最大の政治的な武器として使っていた。1931年11月に江西省の瑞金に成立した中華ソビエト共和国は翌1932年4月26日、中央政府の名により日本に対して「宣戦布告」を発しているのである。そして、1936年12月に西安事件が起こった。共産党討伐戦の督戦に出かけた蒋介石が、共産党の工作を受けた東北軍司令張学良によって拘束され、共産党との共同抗日闘争実行を迫られた。国民党の共産党対決路線が転換し、抗日ムードは一層高まってきたのである。
▲そして盧溝橋事件が起こった
このようにいつどこで日本攻撃事件が起ってもおかしくない状況のもと、1937年7月7日に盧溝橋事件が起ったのである。
日本軍第8中隊135名が、29軍に事前通告したうえで、盧溝橋城に近い河川敷で演習をしていた。盧溝橋城と中国軍のトーチカのある土手を背にして約400メートル離れた所から演習を開始しさらに400メートル先で演習を終了しようとする直前の10時40分頃に数発の銃弾が撃ち込まれた。その後土手方向から十数発の発砲があり、翌朝3時25分にも3発、5時30分4回目の銃撃があった後に初めて日本軍は反撃を開始したのである。最初の銃撃からは7時間後のことである。
11日の現地停戦協定で29軍が全面的に責任を認めているのは、したがって当然のことなのである。
徹底抗日を叫び続けてきた共産党が衝突事件を起こそうとするのは、当然のことではあるが、実は共産党は当時深刻な窮地に立っていたのである。たしかに、西安事件により、蒋介石は共産党攻撃を中止し、共産党との協力関係をつくることを約束した。しかし、その後蒋介石は次々に厳しい条件を共産党に対して突きつけ、半年後の1937年6月頃には国共決裂の寸前となっていたのである。エドガー・スノーは述べている。
「共産党の運命はふたたび蒋介石の意中にかかることとなり、--- 1937年6月には蒋介石は、--- 再度紅軍の行く手を塞ごうとしていた。--- 共産党は今一度完全降伏に出るか、包囲殲滅を蒙るか、又は北方の砂漠に退却するかを選ぶ事態になったかに見えた。」
この窮地打開のために大博打に打って出たのが共産党であった。第29軍の中に副参謀長を筆頭に大量にもぐりこませていた共産党員に隊内で反日を煽らせ、それにまぎれて発砲事件を7月7日夜10時40分に起こしたのである。
▲共産党が仕掛けた動かぬ証拠:78通電
共産党がこれを起こしたことは今や100%明らかである。発砲事件の翌日8日に、共産党は延安から中央委員会の名で長文の電報を蒋介石をはじめとする全国の有力者、新聞社、国民政府関係、軍隊、団体などに発信している。共産党の公式史で「78通電」として特筆されているものである。さらに同日に同種の電報を毛沢東ら軍事指導者7名の名前で蒋介石、宋哲元等に送っている。
日本軍は、8日午前5時30分に初めて反撃を開始したのである。当時の通信事情からして8日に始めて反撃があったのに8日にこの情報を手に入れて経過を含む長文の呼び掛け文を公式電報として作成し、中央委員会の承認を得て、全国に発信するなどと言うことは絶対的に不可能である。唯一可能なのは、事前に準備していた場合である。
実際に準備していたのである。その証拠が存在する。
支那派遣軍情報部北平(北京)支部長秋富重次郎大佐は「事件直後の深夜、天津の特殊情報班の通信手が、北京大学構内と思われる通信所から延安の中共軍司令部の通信所に緊急無線で呼び出しが行われているのを傍受した。「成功了」
(成功した)と3回連続反復送信していた。」(産経新聞平成6年9月8日夕刊)とのべている。
その時はこれが何を意味するか分からなかったという。今では明らかである。盧溝橋での謀略が成功したことを延安に報告していたのだ。早速延安では電文つくりが行われたのだ。
そして8日の朝になり、日本軍が反撃を開始したのを確認してこの長文の電報を各地に大量に発信したのである。
戦争を起こした犯人は中国共産党なのである。
エドガー・スノーは、6月の共産党の大苦境は、日本軍が引き起こした盧溝橋事件によって救われたと次のように述べている。
「いまやまた、共産党に再度の幸運が訪れ、極めて広く豊な機会を開いてくれた。翌月日本の中国一斉侵攻という、<天祐>が起こり、彼ら(共産党:筆者注)を不安定な位置から救い出したのである。こうなれば蒋としても、再び完全剿滅作戦に出る計画を放棄するほかなかった。」
自分で仕掛けておきながら、日本軍一斉侵攻という<天祐>とはよく言ったものである。すでに述べてきたように、事件を起こしたのは中国側であり、共産党である。何よりも、5千6百の兵力しかない日本軍が一斉侵攻するはずもないし、そんなことは行っていないのである。
(茂木弘道氏は「史実を世界に発信する会」事務局長)
http://hassin.sejp.net/representative.html
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(読者の声)
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(読者の声1)鳩山民主党政権を早く打倒しなければならないと思えども、どうにもならないもどかしさで気が狂いそうであります。
早くも5月期限の普天間問題に逃げを打ち始めました。鳩山には不退転の決意と言うものがまるきり無い。普天間を不退転と間違えている。
民主党がこれほどまでに腐敗政党であったとは、日本一のド厚かましさでは小沢一郎に適う者なし、無神経男を競うなら鳩山由紀夫は人後に落ちない、自民くづれの民主党議員は度し難いものばかり、50年前の密約を暴いて手柄と考えている民主党、その気力があるなら、小沢の諸悪こそ暴くべきに、こんな政権が4年も続くなら日本は確実に破滅する。
蛇足
出来損ないの民主党を象徴する替歌(元唄は八代亜紀の名曲 舟唄から)
!)
総理は間抜けの鳩(金持息子・由紀夫)がいい
雑魚(民主党議員)は毒(小沢批判)がなけりゃいい
新人(小沢チルドレン)は可愛い美人がいい
政権は交代するだけでいい
しみじみ考えれば金だけよ
疑惑は報道だけが行過ぎる
涙がポロリとこぼれたら(代表辞任のとき)
思い出すのさ角(田中角栄)さんを
地検のはしり(検事)に深酒させてよ
いとしあの娘とヨ 朝寝さすダンチョネ
!)
石川(鼻くそ議員)は当分務所(刑務所)でいい
大久保(元秘書)はその内忘られよう
総理(鳩山)の辞任はなくていい
ときどき反省(意味不明の言い訳)すればいい
存じ上げないトラストミー
内心ハラハラドキドキよ~
あの頃あの金(母親からの小遣い)貯めてたら
思い出すのさ。その額(数億円の)を
(宮崎正弘のコメント)憂さ晴らしにしては哀しい歌詞ですね。
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サイバーと安全保障公聴会
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(サイト情報)10日、米下院外交委員会はインターネットを活用したサイバー技術政策と民主主義、安全保障、貿易などの外交課題の推進に関する公聴会を開き、Googleなどから証言者が出席した。
公聴会 The Google Predicament: Transforming U.S. Cyberspace Policy to Advance Democracy, Security and Trade、U.S. House Committee on Foreign Affairs, March 10, 2010
http://www.internationalrelations.house.gov/hearing_notice.asp?id=1160
バーマン委員長の開会声明
http://www.internationalrelations.house.gov/111/berman031010.htm
証言内容
Testimony of Nicole Wong, Vice President and Deputy General Counsel, Google Inc.
http://www.internationalrelations.house.gov/111/won031010.pdf
Testimony of Rebecca MacKinnon, Visiting Fellow, Center for Information Technology Policy, Princeton University
http://www.internationalrelations.house.gov/111/mac031010.pdf
Testimony of Robert Holleyman, President and CEO, Business Software Alliance
http://www.internationalrelations.house.gov/111/hol031010.pdf
Testimony of Larry M. Wortzel, Commissioner, U.S.-China Economic and Security Review Commission
http://www.internationalrelations.house.gov/111/wor031010.pdf
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三島由紀夫研究会『公開講座』のお知らせ
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次回『公開講座』は3月24日
●どなたでも予約なしでご参加いただけます! 当日サイン会も予定しております!
桜林美佐さんが三島事件以後、不在となっている防衛問題を基軸に語ります。
記
とき 3月24日(水曜日) 午後六時半
ところ 市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」四階会議室
http://www.arcadia-jp.org/access.htm
(JR、地下鉄市ヶ谷駅徒歩二分)
講師 桜林美佐さん 「ひとり語り『拉孟に散った花』」
http://www.geocities.jp/misakura2666
会場分担金 おひとり2000円(会員&学生は1000円)
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三島さん不在の日本を生きてきて、また、防衛問題に携わっての感想などからひとり語りに移ります。
<<< 桜林美佐さんのプロフィール >>>
昭和45(1970)年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を制作。その後、ジャーナリストに。著書に『奇跡の船「宗谷 ―昭和を走り続けた海の守り神』『海をひらく ―知られざる掃海部隊』(ともに並木書房)、『終わらないラブレター 祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(PHP研究所)。
現在、国防問題を中心に取材・執筆。 ニッポン放送『上柳昌彦のお早うGoodDay』「ザ・特集」にリポーターとして出演。
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宮崎正弘最新刊
『中国のひとり勝ちと日本のひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
宮崎正弘 v 西部邁
『日米安保、五十年』(海竜社、1680円) 増刷出来!
http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/
<宮崎正弘のロングセラーズ>
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
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