家庭や企業への実質増税となりそうな政策項目がズラリと並ぶ温暖化法案 | 日本のお姉さん

家庭や企業への実質増税となりそうな政策項目がズラリと並ぶ温暖化法案

温暖化法案 原発推進を明記 排出量取引、産業界に一定配慮

3月12日8時15分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 政府は11日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会を開き、温暖化対策の基本方針を定めた「地球温暖化対策基本法案(仮称)」で焦点となっていた原子力発電の扱いと排出量取引制度について詰めの調整を行い、原発の推進を明記することで合意した。排出量取引制度についても総量規制を基本に、生産量当たりの排出量に上限を設ける「原単位」方式も検討することで一致した。これを受け政府は同法案を12日閣議決定し、今国会での成立を目指す。

 法案は2020年までに温室効果ガス排出量を、1990年比25%削減する中期目標を異例の条件付きで明記。鳩山由紀夫首相の意向に沿って日本が温暖化対策で世界をリードする形を整えた。ただ化石燃料に課税する地球温暖化対策税(環境税)の導入など家計や企業に負担を強いる政策も明記しており、今後の法案審議は難航が見込まれる。

 原発については、連立を組む社民党が「脱原発」を掲げて、法案への書き込みに反発していたが、これまでの政府の国会答弁なども踏まえ原発推進で押し切った。国内排出量取引制度は、企業ごとに温室効果ガスの排出量上限枠を定める総量規制に反対する産業界の声に配慮し、原単位方式も併記する玉虫色の決着となった。

 一方、温室効果ガスの2大排出国である米国と中国が表明している20年までの削減目標は、米国が17%(05年比)。中国は、生産活動によって排出総量が増える国内総生産(GDP)当たりの数値で40~45%としており、日本の目標は飛び抜けて高い。このため法案は、日本だけが過大な負担を負わないよう、中期目標に「すべての主要国が参加する公平で実効性のある枠組みの合意を前提とする」との条件を付けた。

 昨年9月の国連演説で鳩山首相が25%削減を打ち出したにもかかわらず、その3カ月後の第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)では、経済成長にブレーキをかけられたくない中国などの新興国と、新興国にも相応の削減義務を課したい日米欧との溝が埋まらなかった。今回の基本法が成立しても、「国際枠組み交渉の促進は期待できない」(交渉関係筋)とみられており、なぜ目標を急いで法規定する必要があるのか、民主党内からさえ「わからない」との声が漏れる。

 25%削減を達成するには、環境税や、電気料金の値上げにつながる見込みの再生可能エネルギーの全量買い取り制度など、家庭や企業への実質増税となりそうな政策項目がズラリと並ぶ。(池田昇)