条約に基づき駐屯している軍に違法に攻撃を仕掛けるとそれは自国内であっても侵略行為です。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010年)3月8日(月曜日)
通巻2899号
人民元、ドルペッグ体制を離脱か
周小川人民銀行総裁、為替レートシステムの変更が必要と記者会見
************************
<速報>
8日付けウォールストリート・ジャーナルと英フィナンシャル・タイムズは、そろって中国が人民元のドル依存体制離脱の様相と報じた。
中国人民銀行の周小川総裁(日銀総裁に匹敵)は7日に緊急記者会見を行い、ドルvs人民元問題に言及した。
周は記者会見で、為替レートそのものより、「ドルペッグ体制は、そう何時までも維持されないだろう」と近未来のドルペッグ体制からの離脱を示唆した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
♪
(読者の声1)日中戦争は日本の侵略戦争である、と思い込んでいる人が日本でも非常に多いようですが、これは歴史事実に反する迷信と云わなければなりません。
戦争のきっかけといわれる盧溝橋事件は、条約によって駐屯していた日本軍に中国軍が違法な発砲をしたことから起こりました。
事件勃発の4日後に結ばれた現地停戦協定で「(中国)29軍代表は日本軍に遺憾の意を表し、かつ責任者を処分し」と云っている通りです。
この紛争が本格戦争になったのは上海事件からですが、反日的な論調のニューヨーク・タイムスも「日本軍は中国軍によって文字通り衝突へと無理やり追い込まれていったのである」(8月31日)と書いているように、中国正規軍がわずか4千の海軍陸戦隊に対して総攻撃をかけてきたのです。
中国の領土内で戦ったのだから侵略に決まっていると考えるのは、国際法を知らない人と云うべきです。条約に基づき駐屯している軍に違法に攻撃を仕掛けるとそれは自国内であっても侵略行為です。
日本国内に駐屯するアメリカ軍に自衛隊が違法攻撃を仕掛けたら、日本の侵略となるのです。こんな初歩もわきまえない論が横行しています。
Summary: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/69_S2.pdf
Full text: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/69_S4.pdf
URL http://www.sdh-fact.com
(宮崎正弘のコメント)侵略史観は、ついに生き延びて教科書の基調を飾ります。日本は精神的に完膚無きまでに米中に侵略されてしまいました。
現在二巻まででている黄文雄さんの「近現代史集中講座」は最適のテキストです。
♪
(読者の声2) 「オリンピック」について、いろいろ報道され、「日本の惨敗」とか、「韓国に負けて。。。」とか言われておりますが、私はオリンピックの成績を云々するのは、発展途上国の国威発揚には必要かと思われますが、成熟した国ではそんなに気にしなくてもいいのではないかと思います。
私の意見は少数意見なのか、それともこういう考えは間違っているのか。知りたいところですが。
(天地人)
(宮崎正弘のコメント)五輪もスポーツ全般にも興味のない小生としては、賛意を表したいと思います。しかし世の中の常識とはチトかけ離れた少数意見であることも間違いないでしょうね。
♪
(読者の声3)国民大会がふたつ行われます。広く転送してください
!)夫婦別姓に反対し、家族の絆を守る5千人国民大会
日時 平成22年3月20日(土)午後2時より。
会場 東京ビッグサイト 東4ホール(新橋から、ゆりかもめで国際展示場正門駅。
主催 夫婦別姓に反対し、家族の絆を守る国民委員会(03-6906-8998)
!)「外国人参政権に反対する1万人国民大会」
日時 4月17日(土)14時(12時半開場)
会場 日本武道館
主催 永住外国人参政権に反対する国民フォーラム
(03-3581-4822)
♪
(読者の声4)貴誌再録の北国新聞「北風抄」への《半世紀を経た日米安保、正念場》と題する寄稿文に「自立・自尊」とありました。
現況の国難の時期に創立150年を迎えた慶應義塾では、慶賀として盛大に催しを行い「独立自尊」を中心に福澤諭吉の思想を世に再度問うべく問題提起する絶好のタイミングでした。
しかしながら一昨年からの塾長以下諸先生方の150周年記念講演、及び昨年全国3箇所で開催した福澤諭吉展のいずれも創立者の功績や人となりを持ち上げるものの、独立自尊を含めた福澤諭吉の思想には全くと言っていいほど触れずさわらずの情けなさ(唯一、NY州立大ディルワース先生の寄稿文「福澤の本質的な哲学的パラダイム」(福澤諭吉展カタログ)が、米国人哲学者らしい視点の論考で読ませました)。
戦後とりわけ近年、独立自尊の精神を教えることができる先生不在の慶應義塾が輩出する卒業生達も、総理大臣にもなって、考えぬいた上で出した私なりの結論と大見得切った後、世論の重みに充分思いを致さなかったと平謝りしたり、あるいは属国にさせて頂きますと国富・国益に反する米国発の年次改革要望書に追従し、訪米の際は主人様の前でプレスリーのモノマネをして恥ずることなく、最近では国連中心主義を唱えつつ、支那・朝鮮のご機嫌をくすぐり「脱亜論」、「帝室論」に真っ向から反して悪びれるところなく、例え「痩せ我慢の説」張りの書簡をもらっても蛙の面に水の与党幹事長に成り下がっているとの有様です。
さはさりながら旧帝国大学系の卒業生達も母親から5年間で9億円相当のお小遣いをもらっておきながら知らなかったという”友愛パラダイス教”の総理大臣を筆頭に労組、日教組系の与党幹部や大臣など、自立・自尊には程遠いことに関しては、五十歩百歩というところでしょうか。
(KU生、世田谷)
(宮崎正弘のコメント)このタイミングでの民主党の敵失は特大なのに、「平成の脱税王」と攻撃する与謝野さんの態勢を組織化さえできず、攻め時という絶妙の状況をのみこめず、批判の矛先を収めてしまった自民党。あの総裁は更迭ですね。
△
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@
――どうです、文革でヒト儲けしてみませんか
『文革遺物 収蔵与価格』(鉄源 華齢出版社 2000年)
△
この本を手にした時、文革も遂にここまで来たかと、思わず笑ってしまった。
『文革遺物 収蔵・・・』との書名のままに、毛沢東バッチや語録からはじまりポスター、切符、絵や軸、現代京劇の台本、マッチやタバコのラベル、食糧や衣料の配給切符、封筒、切手、便箋、紅衛兵の腕章、鞄、カレンダー、お菓子の包装紙から果ては茶筒などまで――文革当時に使われた品々、いわば文革グッズの写真集だが、そこはそれ中国人ではないか。
やはり転んでもタダで、いや失礼、単なる懐古趣味で終わらせるわけがない。書名に記された『・・・価格』の2文字を忘れてもらっては困るということデス。
表紙にしっかりと「十年動乱光怪陸離 遺物龐雑 歴史見証 掌握先機潜利無窮(十年動乱奇妙奇天烈 珍奇な品が山をなす これぞ歴史の証拠なり いま手にしておきさえすれば、そのうちゼッタイ儲かりマス)」と書くことを忘れてはいない。つまり、この本はオ値段付きの文革グッズの競売カタログということになる。
最もポピュラーな毛沢東バッジは七宝焼きのもので2元から10元と安いが、それだけ大量に出回ったということだろう。紅衛兵の腕章は5元から120元と各種各様。この本に収められた最高価格は李可染が描く「韶山 革命聖地毛主席旧居」と題する絵だ。1974年に制作され、大きさは141.5!)×243.1!)。毛沢東の生家を赤旗を高く掲げた紅衛兵たちが訪れる風景が描かれている。96年の時点で、なんと超高値の154万元。
ところが、である。この本の面白いところはお宝の価格だけではない。知られることの少なかった文革当時の日常の一端が、数々の文革グッズから垣間見えてくるのだ。
たとえば文庫本よりやや小ぶりなサイズの紅衛兵の身分証明証だが、写真付きで姓名、性別、年齢などの個人情報が書き込まれ、次に2ページにわたって「誓詞」が付されているが、その内容がなんとも勇ましく壮絶だ。
「我らは毛主席の紅衛兵である。我らは革命の次の世代である。我らは紅旗の下で厳かに宣言する。/我らは永遠に毛主席に従って革命をやりぬくぞ! 革命のためなら、刀の山も敢えて登るぞ! 火の海だって飛び込むぞ! 我らが目指す先には毛沢東思想の赤い灯があり、我らは毛主席に従って決然と前進するぞ!/毛主席は我らの最高統帥であり、紅衛兵の心の中の最も赤い真っ赤な太陽なのだ! 大胆不敵にも毛主席に反対し、偉大なる毛思想に反対する奴ドモに対しては、我らは断固として徹底的に戦い抜く。/我らは懸命に最高指示を学習するぞ! 決然と最高指示を実行するぞ! 熱烈に最高指示を広めるぞ! 勇敢に最高指示を防衛するぞ! /山を揺さぶるは易く、紅衛兵を揺さぶるのは難し。プロレタリア文化大革命の徹底的勝利を奪取させないために、我らは休むことはない。
全世界における共産主義の徹底的勝利を略取させないために、我らは死んでも目を閉じることはない」
どうやら紅衛兵は、この誓詞を声高く読み上げ自らを奮い立たせて街頭で暴れまわっていたということか。それしても「刀の山も敢えて登るぞ! 火の海だって飛び込むぞ!」とは、なんとも勇ましく大袈裟。やはり“白髪三千丈式伝統”がシッカリと生きていた。
その元紅衛兵世代が「刀の山も敢えて登るぞ! 火の海だって飛び込むぞ!」の精神でカネ儲けに邁進した結果が現在の経済大国。
これぞ文化大革命の徹底的勝利だ。
《QED》
~~~~~~~~~~~~~~~~
宮崎正弘最新刊
『中国のひとり勝ちと日本のひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
宮崎正弘 v 西部邁
『日米安保、五十年』(海竜社、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/
<宮崎正弘のロングセラーズ>
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有)宮崎正弘事務所 2001-2010 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
平成22年(2010年)3月8日(月曜日)
通巻2899号
人民元、ドルペッグ体制を離脱か
周小川人民銀行総裁、為替レートシステムの変更が必要と記者会見
************************
<速報>
8日付けウォールストリート・ジャーナルと英フィナンシャル・タイムズは、そろって中国が人民元のドル依存体制離脱の様相と報じた。
中国人民銀行の周小川総裁(日銀総裁に匹敵)は7日に緊急記者会見を行い、ドルvs人民元問題に言及した。
周は記者会見で、為替レートそのものより、「ドルペッグ体制は、そう何時までも維持されないだろう」と近未来のドルペッグ体制からの離脱を示唆した。
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(読者の声1)日中戦争は日本の侵略戦争である、と思い込んでいる人が日本でも非常に多いようですが、これは歴史事実に反する迷信と云わなければなりません。
戦争のきっかけといわれる盧溝橋事件は、条約によって駐屯していた日本軍に中国軍が違法な発砲をしたことから起こりました。
事件勃発の4日後に結ばれた現地停戦協定で「(中国)29軍代表は日本軍に遺憾の意を表し、かつ責任者を処分し」と云っている通りです。
この紛争が本格戦争になったのは上海事件からですが、反日的な論調のニューヨーク・タイムスも「日本軍は中国軍によって文字通り衝突へと無理やり追い込まれていったのである」(8月31日)と書いているように、中国正規軍がわずか4千の海軍陸戦隊に対して総攻撃をかけてきたのです。
中国の領土内で戦ったのだから侵略に決まっていると考えるのは、国際法を知らない人と云うべきです。条約に基づき駐屯している軍に違法に攻撃を仕掛けるとそれは自国内であっても侵略行為です。
日本国内に駐屯するアメリカ軍に自衛隊が違法攻撃を仕掛けたら、日本の侵略となるのです。こんな初歩もわきまえない論が横行しています。
Summary: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/69_S2.pdf
Full text: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/69_S4.pdf
URL http://www.sdh-fact.com
(宮崎正弘のコメント)侵略史観は、ついに生き延びて教科書の基調を飾ります。日本は精神的に完膚無きまでに米中に侵略されてしまいました。
現在二巻まででている黄文雄さんの「近現代史集中講座」は最適のテキストです。
♪
(読者の声2) 「オリンピック」について、いろいろ報道され、「日本の惨敗」とか、「韓国に負けて。。。」とか言われておりますが、私はオリンピックの成績を云々するのは、発展途上国の国威発揚には必要かと思われますが、成熟した国ではそんなに気にしなくてもいいのではないかと思います。
私の意見は少数意見なのか、それともこういう考えは間違っているのか。知りたいところですが。
(天地人)
(宮崎正弘のコメント)五輪もスポーツ全般にも興味のない小生としては、賛意を表したいと思います。しかし世の中の常識とはチトかけ離れた少数意見であることも間違いないでしょうね。
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(読者の声3)国民大会がふたつ行われます。広く転送してください
!)夫婦別姓に反対し、家族の絆を守る5千人国民大会
日時 平成22年3月20日(土)午後2時より。
会場 東京ビッグサイト 東4ホール(新橋から、ゆりかもめで国際展示場正門駅。
主催 夫婦別姓に反対し、家族の絆を守る国民委員会(03-6906-8998)
!)「外国人参政権に反対する1万人国民大会」
日時 4月17日(土)14時(12時半開場)
会場 日本武道館
主催 永住外国人参政権に反対する国民フォーラム
(03-3581-4822)
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(読者の声4)貴誌再録の北国新聞「北風抄」への《半世紀を経た日米安保、正念場》と題する寄稿文に「自立・自尊」とありました。
現況の国難の時期に創立150年を迎えた慶應義塾では、慶賀として盛大に催しを行い「独立自尊」を中心に福澤諭吉の思想を世に再度問うべく問題提起する絶好のタイミングでした。
しかしながら一昨年からの塾長以下諸先生方の150周年記念講演、及び昨年全国3箇所で開催した福澤諭吉展のいずれも創立者の功績や人となりを持ち上げるものの、独立自尊を含めた福澤諭吉の思想には全くと言っていいほど触れずさわらずの情けなさ(唯一、NY州立大ディルワース先生の寄稿文「福澤の本質的な哲学的パラダイム」(福澤諭吉展カタログ)が、米国人哲学者らしい視点の論考で読ませました)。
戦後とりわけ近年、独立自尊の精神を教えることができる先生不在の慶應義塾が輩出する卒業生達も、総理大臣にもなって、考えぬいた上で出した私なりの結論と大見得切った後、世論の重みに充分思いを致さなかったと平謝りしたり、あるいは属国にさせて頂きますと国富・国益に反する米国発の年次改革要望書に追従し、訪米の際は主人様の前でプレスリーのモノマネをして恥ずることなく、最近では国連中心主義を唱えつつ、支那・朝鮮のご機嫌をくすぐり「脱亜論」、「帝室論」に真っ向から反して悪びれるところなく、例え「痩せ我慢の説」張りの書簡をもらっても蛙の面に水の与党幹事長に成り下がっているとの有様です。
さはさりながら旧帝国大学系の卒業生達も母親から5年間で9億円相当のお小遣いをもらっておきながら知らなかったという”友愛パラダイス教”の総理大臣を筆頭に労組、日教組系の与党幹部や大臣など、自立・自尊には程遠いことに関しては、五十歩百歩というところでしょうか。
(KU生、世田谷)
(宮崎正弘のコメント)このタイミングでの民主党の敵失は特大なのに、「平成の脱税王」と攻撃する与謝野さんの態勢を組織化さえできず、攻め時という絶妙の状況をのみこめず、批判の矛先を収めてしまった自民党。あの総裁は更迭ですね。
△
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@
――どうです、文革でヒト儲けしてみませんか
『文革遺物 収蔵与価格』(鉄源 華齢出版社 2000年)
△
この本を手にした時、文革も遂にここまで来たかと、思わず笑ってしまった。
『文革遺物 収蔵・・・』との書名のままに、毛沢東バッチや語録からはじまりポスター、切符、絵や軸、現代京劇の台本、マッチやタバコのラベル、食糧や衣料の配給切符、封筒、切手、便箋、紅衛兵の腕章、鞄、カレンダー、お菓子の包装紙から果ては茶筒などまで――文革当時に使われた品々、いわば文革グッズの写真集だが、そこはそれ中国人ではないか。
やはり転んでもタダで、いや失礼、単なる懐古趣味で終わらせるわけがない。書名に記された『・・・価格』の2文字を忘れてもらっては困るということデス。
表紙にしっかりと「十年動乱光怪陸離 遺物龐雑 歴史見証 掌握先機潜利無窮(十年動乱奇妙奇天烈 珍奇な品が山をなす これぞ歴史の証拠なり いま手にしておきさえすれば、そのうちゼッタイ儲かりマス)」と書くことを忘れてはいない。つまり、この本はオ値段付きの文革グッズの競売カタログということになる。
最もポピュラーな毛沢東バッジは七宝焼きのもので2元から10元と安いが、それだけ大量に出回ったということだろう。紅衛兵の腕章は5元から120元と各種各様。この本に収められた最高価格は李可染が描く「韶山 革命聖地毛主席旧居」と題する絵だ。1974年に制作され、大きさは141.5!)×243.1!)。毛沢東の生家を赤旗を高く掲げた紅衛兵たちが訪れる風景が描かれている。96年の時点で、なんと超高値の154万元。
ところが、である。この本の面白いところはお宝の価格だけではない。知られることの少なかった文革当時の日常の一端が、数々の文革グッズから垣間見えてくるのだ。
たとえば文庫本よりやや小ぶりなサイズの紅衛兵の身分証明証だが、写真付きで姓名、性別、年齢などの個人情報が書き込まれ、次に2ページにわたって「誓詞」が付されているが、その内容がなんとも勇ましく壮絶だ。
「我らは毛主席の紅衛兵である。我らは革命の次の世代である。我らは紅旗の下で厳かに宣言する。/我らは永遠に毛主席に従って革命をやりぬくぞ! 革命のためなら、刀の山も敢えて登るぞ! 火の海だって飛び込むぞ! 我らが目指す先には毛沢東思想の赤い灯があり、我らは毛主席に従って決然と前進するぞ!/毛主席は我らの最高統帥であり、紅衛兵の心の中の最も赤い真っ赤な太陽なのだ! 大胆不敵にも毛主席に反対し、偉大なる毛思想に反対する奴ドモに対しては、我らは断固として徹底的に戦い抜く。/我らは懸命に最高指示を学習するぞ! 決然と最高指示を実行するぞ! 熱烈に最高指示を広めるぞ! 勇敢に最高指示を防衛するぞ! /山を揺さぶるは易く、紅衛兵を揺さぶるのは難し。プロレタリア文化大革命の徹底的勝利を奪取させないために、我らは休むことはない。
全世界における共産主義の徹底的勝利を略取させないために、我らは死んでも目を閉じることはない」
どうやら紅衛兵は、この誓詞を声高く読み上げ自らを奮い立たせて街頭で暴れまわっていたということか。それしても「刀の山も敢えて登るぞ! 火の海だって飛び込むぞ!」とは、なんとも勇ましく大袈裟。やはり“白髪三千丈式伝統”がシッカリと生きていた。
その元紅衛兵世代が「刀の山も敢えて登るぞ! 火の海だって飛び込むぞ!」の精神でカネ儲けに邁進した結果が現在の経済大国。
これぞ文化大革命の徹底的勝利だ。
《QED》
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宮崎正弘最新刊
『中国のひとり勝ちと日本のひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
宮崎正弘 v 西部邁
『日米安保、五十年』(海竜社、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/
<宮崎正弘のロングセラーズ>
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有)宮崎正弘事務所 2001-2010 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。