軍事情報
■中共、インドネシアに圧力
100211の台湾ニュースによれば、
http://tinyurl.com/ybgcyb5
中共はインドネシアに対し、台湾からの漁船購入を止めるよう圧力を加えたらしい。エッセンスは以下のとおり。
1.今年1月インドネシア政府は、台湾の造船会社に発注していたトロール船の製造を突然キャンセルした。
1.背景には中共の圧力があったと見られる。
台湾が中共からはじめて受けた経済的圧力は造船業界となった。
1.近年中共では造船業が成長しており、台湾からシェアを奪うため「船主への資金提供」等の活動が行なわれている模様。
⇒シナとの経済関係深化は、必ずこういう結果を生むと考えます。
ギリシャ哲学やローマ神話を土台にもつ文明やイスラム文明、わが文明等とシナ文明とは根っこから違うと思われます。
シナ文明が持つ特異性を把握するには、宮崎正弘さんがまとめられた
『シナ人とは何か 内田良平の『支那観』を読む』
http://tinyurl.com/ya669af
が非常に優れた内容なので一読をオススメします。
■ロシアの新軍事ドクトリン
100210のグルジアデイリーによれば
http://tinyurl.com/y9pwuow
100205にロシアが発表した「新軍事ドクトリン」で取り上げられた
「ロシアが認識する軍事的脅威」は以下のとおり。
1.「NATOの東方進出」NATOの東方進出がロシア最大の軍事的危険因子
1.「世界の不安定化」BMD配備計画、宇宙空間の軍事化、非核高精度武器の展開が世界の安定をむしばみつつある
1.「領有権の主張」内政干渉のみならずロシア及び同盟国に対する領有権の主張は脅威となる
■ベトナムがロシアから戦闘機購入
100210のDIDによれば
http://tinyurl.com/dxtpuq
1.ベトナムはロシアから、SU-30MKK(*)12機と関連武器・教育訓練等を購入する契約を正式に交わした。契約総額は10億ドル(約1000億円)とされる
1.納入は2011~2012年にかけて行なわれる。
1.この契約は、ベトナム初の原子力プラント建設をロシアが受注契約した翌日に行なわれた
⇒次は潜水艦ですね・・・
(*)ロシア空軍、複座戦闘機、KnAAPO製、Su-27派生型、TVC機能なし、NIIP/Ryazan N001EMレーダ搭載、デジタル・アビオニクスシステム装備、'99/03/09初飛行、中国空軍は40機を発注、台湾筋の'00/08/11付報道によればSu-30はロシアVolgogradを離陸して中国に向かう<空><露>
【出典 コモ辞書 http://homepage3.nifty.com/OKOMO/
】
【関連記事】
◇091221配信「軍事情報」第413号
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■ベトナムがロシアにキロ級潜水艦を6隻発注
複数情報をまとめると次のとおり
1.091215、ベトナムが、ロシアに対し6隻のキロ級潜水艦と12機のスホイSU-30MKK戦闘機を発注したことが明らかになった。同国が最新兵器で武装する本格潜水艦を保有するのは初めてのことである。
1.発注されたキロ級潜水艦は、タイプ636である。
1.潜水艦の引渡しは、年に1隻のペースとなる
1.スホイ戦闘機については、現在配備中のSU-27/SU-30とあわせて20機体制
とする
1.あわせてベトナムは、ロシアに対し原発1号機の建設を依頼しており、
2014年の建設開始、2020年までの完成を望んでいる。
1.ベトナムは近年になって生産能力を拡大させており、その多くを支那に頼っている、あわせて生産能力拡大に必要な電力を確保する必要がでている。
1.ちなみに、0901~0907における支那からの電力購入量は約22億KWとされる
1.ロシアにとって今回の潜水艦売却契約は、ソ連崩壊以降、2002年の支那への潜水艦8隻売却に続く大規模取引となる。
⇒ソ連があったころは、ソ連海軍部隊がベトナムにいたと記憶してます。
これは、米軍事力に対抗すべく潜水艦能力拡大を図っている支那と歩調を一にする行動であり、支那のシーレーン(インド洋~マラッカ海峡~南・東シナ海)確保に協力する姿勢を示すものと思われます。
ついに、東南アジア方面で軍事バランスを崩す重大な動きが出てきました。
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◇091223配信 軍事情報(Re:ベトナムがロシアから潜水艦購入)
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■Re:ベトナムがロシアから潜水艦購入
ベトナムが潜水艦6隻をロシアから買う話に興味を覚えています。
>「米軍事力に対抗すべく潜水艦能力を拡大する支那と歩調を一にする行動」とのことですが、私には「米中の勝手にはさせないぞ!」ではないか、と思えます。
それにしても勿体無い話ですね。歴史に IF はありませんが、仮に「もし、この潜水艦を我国が売ることが可能だったとしたら」を想像してみましょう。
1.輸出による経済的利益は言うを待ちません。
生産量の増加で生産単価が下がり、我国自身の軍事費の節減になります。
我国の武器製造費は「無茶苦茶に」高いのです。
(小銃の例: http://tinyurl.com/ye76btl
)
国産潜水艦1隻約500億円(魚雷や教育訓練は無し)に対して、ロシアの輸出用キロ級潜水艦は(おまけ付きで)約200億円。我国の潜水艦は量産とは程遠く、事実上正宗が名刀を鍛えるような手作り品なのです。
2.しかし、それよりも大きいのは「国際競争力にさらされる」ことです。
日進月歩の軍事科学技術を迅速に取り込んで、世界中の戦場の実相にマッチした兵器を「高性能」「安価」に生産することが求められます。
その兵器が実戦で真の性能を評価される機会も増えます。
1991年の湾岸戦争の後にペルシャ湾に派遣された掃海部隊は他の参加国から「カミカゼ掃海」と驚きの目で迎えられました。世界中の海軍がリモコンのロボットで機雷を処分する時代に、海上自衛隊は隊員が一つ一つ直接に手で触って処分したからです。
3.更に大きいのは、それだけでベトナムが我国と敵対するようになる可能性が激減することです。
過去に主要武器を売った国と買った国は必ず友好国になっています。
(例外は本国からの分離独立抗争の類だけです)
そもそも、予備品が途絶えれば武器自体が使い物にならなくなりますから首根っこを押さえる効果がありますし、同じ武器システムを使いということは戦術的、作戦的な考え方も似てきます。
武器輸入国からは必ず多数の若い軍人が輸出国の軍に留学して両軍の相互理解が大きく進展するので、これが徐々に両国の軍事政策に大きな影響を及ぼすのです。
明治の陸軍はドイツから、海軍はイギリスから指導を受けました。この影響は現在の陸上自衛隊、海上自衛隊にまで及んでいます。
ロシア、中国や北鮮が武器を盛んに輸出しているには、単に経済効果だけでなく、自国への依存度を増やし、足抜け出来なくする、という効果を狙っているのです。
4.この関係は単に軍事的関係に留まりません。
途上国から武器輸出国に留学した優秀な少壮軍人は後年しばしば政財界に進出し、国家の政策に影響力をもつ人材に育つので、政治・外交・文化の方面にまで大きな波及効果があるのです。
南シナ海は我国のシーレーンにとって死活的な重要性を持っています。
この海域でベトナムが我国とより友好的になることと、中国の影響力が今以上に増加することとの利害を、今こそ深く考える必要があるのではないでしょうか。
以上、ヨーソロの管見でした。
(ヨーソロ)
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