ポーランド軍人のロシア西部のカチンの森における大量処刑はドイツ製の銃弾を使ったソ連の偽装作戦
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成22年(2010年)2月9日(火曜日)
通巻2867号 (2月8日発行)
共和党員なのにオバマ政権の国防長官=ロバート・ゲーツに注目
F22プロジェクトを毀し、ロシアから武装ヘリを導入。軍需ロビィは怒り心頭
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日本からみれば大胆にして明白な力の信奉者、頑固親父のイメージが付帯する。
なにしろ日本が次期ジェット戦闘機の主力と考えてきたF22の開発をぷいと止めるとゲーツ国防長官は言いだし、日本訪問のおりは沖縄基地問題の決着遅延で怒りだし、昼飯会をボイコットした。
荒くれの乱暴者という印象が膨らんだ。
ところが、このロバート・ゲーツ国防長官、米国で甚だ評判が良いのである。
理由は?
F22開発中止で激怒したのはメーカー、軍需産業とそれに絡む議員、ロビィスト団体くらいで、現場の声はアフガニスタンにおける無人攻撃機「ドロン」の増加、タリバンは二千メートル級の山々に展開するので、米国製の武装ヘリ「ブラックホーク」よりもロシア製の「ミルハインド17」のほうが効率的と分かるや、さっとロシアに導入を打診する。ゲーツは自らもミルハインドに試乗して性能を確かめる。
軍需産業から見れば「愛国」の立場が疑わしいが、「ソ連はムジャヒデンとの闘いの教訓から改良した武装ヘリだから」と言い、また「無人攻撃機を有人とした場合はひとりパイロットの要請に100万ドルかかる」と効率を強調した。
F22のみならず海軍が要求した巡洋艦の新造予算要求を蹴り、情報収集機の新型開発予算もばっさり斬り、反対した海、陸の幹部を更迭するという荒技、いきり立つ軍需産業議員等は議会で、ゲーツの予算案に反対する動きだが「オバマ大統領に、そのときは拒否権発動を進言している」(英誌『エコノミスト』、2月6日号)。
履歴から類推するとゲーツは主としてCIA情報畑を歩んできているので、ベトナム、アフガニスタン、イラク情勢に精通している。
とくにCIA時代のゲーツは、パキスタンのハク大統領を通じてムジャヒデンにスティンガー・ミサイルなど大量の武器を供与した。そのムジャヒデンがいまやタリバンとして米国の刃向かっており、かれらの指導層の何人かの特徴をゲーツは掴んでいるのだ。
それが現場に精通する現地司令官とも気脈がある理由だろう。
▲アイゼンハワーとマーシャルを尊敬するという
そして先週、ペンタゴンが議会へ提出した「国防予算」は6600億ドル。
ドロンの購入予算は三倍に、膨大に金のかかる開発予算がばっさりカット。たとえばF35ステルスは実験失敗などを理由にロッキード・マーチンに対して6億五千万ドルの開発予算を抑制させる。
ゲーツは06年、前任ラムズフェルド国防長官の辞任に伴い、ブッシュ・ジュニアから指名された。そのまま政権が民主党に替わっても、引き続き「居座り」(じつはオバマが留任を要請した)、昨年師走にはオバマが直々にホワイトハウスに呼んで「少なくともあと一年、やって欲しい」と要請した。
ゲーツはれっきとした共和党員、筋金入りの反共タカ派。
だから全米マスコミとリベラル派議員から、いつも目の敵にされた。
出発はフォード政権の安全保障補佐官からでカーター政権ではCIAのソ連専門分析官としてつかえ、レーガン時代はCIA副長官。パパ・ブッシュ時代にCIA長官となった。
議会はゲーツの指名を吊し上げ大会として、なんと七週間もゲーツの指名を延期させる挙にでた。
したがってゲーツは議会とマスコミ対策に狎れ、政権をあやつる術を体得したかのように独特の動きをするという。
第一にヒラリー国務長官と週に一回はミィーテイング、最低でも毎月一回は昼飯をともにする。
ラムズフェルド前長官がコンドレーサ・ライス国務長官と昼飯をともにしたことは一度もない。
そもそも国務省予算の十倍以上の予算規模、人員に至っては百倍以上というアメリカ最大の組織を動かし、国防長官専用機は核戦争がおきても上空で戦争司令ができるように設計されている。
そうしたパワフルな組織の頂点にある人間が、国務省との関係をもっとも重視するのは、アメリカ外交は軍事と外交がセットだからである。
「かれは問題解決にすぐれ、フィクサーたることに生き甲斐を見いだす。だがフィクサーとはモラルを伴わず、所詮、かれは哲学者たりえず、理念を実現させるための政治的指導者にはなり得まい」(『TIME』、2月15日号)。
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◎読者の声◇どくしゃのこえ☆
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(読者の声1)貴著新刊『欲望大国・中国のいま』(石平氏との共著)を大変興味深く拝読致しました。
昔から中国人は、権力に対してとても我慢強いですね。しかし、いずれ政権を脅かす大乱が発生するでしょう。
その時は国民の目を外にそらすために中国は戦争を始めるのではないでしょうか。その場合、相手は台湾か日本になりますね。
台湾はまだしも日本では全く危機感が見られません。
政府は防衛費より多額を子供手当に出すと、小沢のやり方にはあきれます。
(TM生、新宿)
(宮崎正弘のコメント)拙著『増長し、無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(ワック)は売り切れの店とまだ平積みの店と不均衡状態で、やっぱり中国ものが動くのはビジネス街、学生街や高級住宅地の書店は動かない(それだけ後者ののほほんと危機意識なし?)。
この本は最新情報がかなり挿入されていて中国と商売をやっている企業人ばかりか、中国に興味があるひとにとっても面白い筈なのですが、上記の偏在分布をみていると現代日本の精神のアンバランスを象徴しています。
いや、余計なことを書きました。
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(読者の声2) 貴著『欲望の大国・中国のいま』(ワック)を拝読しました。現代日本にみなぎっている、あまりにも甘いシナ観にはどんなに厳しい警告を与え続けても、それが過ぎることはないと存じます。その意味でまたしても貴重な一石を投じられた。石平さんという絶好のお仲間を同行されたことも祝福したき慶事です。引き続きの協同のお仕事を期待します。
(KK生、世田谷)
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(読者の声3)ご質問の「第二次世界大戦戦争記念館」ですが、
これはすでに戦争前から独軍に現地まで占領させる予定であったことを示している。だからソ連軍の緒戦の大敗は計画通りだった。
なおチャーチルがモスクワ会談でスターリンに、あれほど警告したのに何故緒戦で大敗したのか、と聞くとスターリンは「知っていたよ」と答えた。第一、百五十個師団、三百万の独軍の国境接近は、海と違い隠すことはできない。だからソ連不意打ち説は完全なトリックである。
その狙いは二つ考えられる。ひとつはドイツ軍の奥地導入であるが、もう一つはフィンランド戦争で国際連盟を除名された悪役ソ連の評判回復であった。
スターリンは「人間は本能的に被害者に同情する」ことを知っていたので芝居をうったのである。これにより米国人は米政府や親ソマスコミの宣伝もあって、コロリとだまされ、残忍な独裁者スターリンをジョー伯父さん(アンクル・ジョー)と呼ぶまでに至ったのである。
スターリンの名前ヨセフは、英語ではジョーである
(東海子)
(宮崎正弘のコメント)スターリン、グルジアの狸か狐でした。スターリンが死んだとき、日本でも株価が暴落し「スターリン暴落」と言われましたから。
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(読者の声5)「カチンの森」が映画となり、いま話題になっておりますが、この事件はながらくソビエトが否定して、西側諸国の追求しなかった、問題です。
ドイツの仕業とされていました。歴史は勝者が歪曲する。現代でもそうなんですから、過去の歴史のそういう目でみないと感じています。
(天地人)
(宮崎正弘のコメント)1939年の事件ですが、ニュールンブルグ裁判ではひとことも言及されませんでした。ソ連はドイツの仕業にしようとしたのですが、米国は知っていた。あれはソ連の戦争犯罪であることを。
具体的に言えば、ポーランド将校ならびに下士官(5500名から一万)を捕虜にして、ソ連はポーランドに近い場所へ連行して全員を銃殺した事件です。それを伏せていましたが、ばれると「あれはナチスの仕業」と言いふらしました。
映画は07年に制作されたはずですが、日本でも封切りされたのですね。南京大虐殺の嘘も映画にして世界に向けて日本が反論できるのは何時の日になるのやら。
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《皇紀2670年「紀元節奉祝式典」ご案内》
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神武天皇肇国の古を偲ぶ「紀元節奉祝式典」を下記の通り開催致します
とき 2月11日(祝/木)午後4時~6時
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プログラム
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【記念講演】宮崎正弘「日米中関係はどうなるのか」
【参加費】1000円(学生無料)
【直会】 式典終了後(午後6時30分。同館4階「アルデ」、会費=5000円)
【主催】 紀元節奉祝式典実行委員会(代表・三澤浩一)
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ニューオーリンズにあります。
上陸用舟艇の発案者、ヒギンズを讃えた。STEPHEN・AMBROSE(アイゼンハワーの戦史家で尊敬されている)が提唱し、スピールバーグ映画監督らがカネを出した。国立とあるから、展示物のB17や戦車や兵器は国防省のものでしょうね。
トム・ハンクスのナレーションの日本の満州建国や、天皇陛下の記述や、アメリカの参戦理由と戦争目的には歪曲と事実誤認が明らかにある。南京は中国の主張通りで、例の赤ん坊が線路に置かれた偽の写真もある。だが、だいたい良心的で、JAPなどの言葉はそこにはない。観客は地方の旅行者で疑いもなく見ている。
陸海軍の学生の団体(男女)がガイドに連れられて行儀も良い。ぼくらが写真を撮っていたら、アイムソーリーと道を明けた。底には嘗ての米兵の印象はなかった。
ただし義務と忠誠心には変わりはないです。見たくなった? または、日本も日本人の、国立WW2記念館を建てる気概を持つべきや。
(伊勢ルイジアナ)
(宮崎正弘のコメント)戦争記念館がないのは日本だけでしょう。ひめゆり、長崎と広島にもおかしな記念館はありますが。沖縄の一番肝腎の海軍要塞跡は、ガイドブックにも出ていない。
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(読者の声4)私の理解する第二次大戦の歴史観とは、独ソ戦と大東亜戦争は一つの戦争であり、それをつなぐのがスターリンの国際戦略と思っています。
スターリンはソ連占領を明言するヒトラーの「我が闘争」を読んでいた。
露訳し立派に装丁した「わが闘争」がスターリンの死後、私設図書館から発見されている。また露訳ビスマルク全集も読んでおり、ビスマルクがドイツの政治家に国家戦略として二正面作戦を避けるように述べている箇所には、「やらせろ」、と記入があるという。
スターリンは独ソ戦の切迫にそなえて、三戦略を立てたと考えられる。
1.米国の引き込み:
ルーズベルトの容共を利用して米国に大諜報網を構築し原爆を盗み米国の外交をソ連寄りに誘導した。ルーズベルト大統領特別補佐官(A・ヒス)までソ連スパイであった。戦争中115億ドルの軍事援助を獲得し戦後踏み倒した。
2.東部国境工作:東西挟撃を防ぐ。
イ、反ソ勢力の無力化=反ソの日本と反共の蒋介石の戦争=支那事変。蒋介石は損するのでいやだったが、西安事件でソ連の手先(中共、張学良)につかまり降伏したので対日戦争を始めた。支那事変である。そして戦後果たして国共内戦が再開すると、負けて支那を失った。
ロ、日本軍の南下=ルーズベルトの支那満州進出欲と欧州大戦参戦欲をスターリンが利用し、そそのかして日米戦争を起こした。ハルノート原案がソ連KGB製であることは公知。
3.ドイツ軍のソ連奥地誘導:
1941年12月、ドイツ軍はモスクワまで誘い込まれて補給が切れ、ソ連極東軍の反撃で大敗した。独軍不敗の神話は崩壊した。
1940年初めのポーランド軍人のロシア西部のカチンの森における大量処刑はスターリンは発覚を予定しており、ドイツ製の銃弾を使うなど独軍の仕業に偽装した。