◎世界の新聞「101紙」の視点の メルマガの紹介です。
独断と偏見はご容赦!
【最近の社説の、ここに注目】
高速道路無料化について書かれている社説を見てみる。
朝日。
『国土交通省が高速道路の無料化を一部区間で6月をめどに始めると発表した。
利用者には喜ばしいが、多くの問題点を置き去りにして進めるやり方で、賛成はできない。』
『高速無料化は、昨夏の総選挙で民主党が政権公約の柱の一つにした政策だ。
まず「社会実験」として全国の高速道路の2割弱に当たる37路線50区間、約1600キロを無料化の対象にするという。』
『ドライバーには朗報で、対象地域の観光施設などにもプラスだ。しかし、政策には光と影の両面がある。さまざまな世論調査で、高速無料化に対する反対の声が多いのも、マイナスの影響を心配すればこそだろう。』
『高速無料化は基本的に自動車利用を増やす政策で、鳩山政権が力を入れようとしている温暖化対策と矛盾する。これはマイカーによる二酸化炭素の排出が増えるだけではない。』
『競合する鉄道や路線バス、フェリーなどの公共交通機関の経営にも響く。これらは本来、温暖化対策として強化すべきものだが、逆に圧迫されてゆく。』
『深刻な財政難のなかで巨額の財源を投じ続けなくてはならないことも、高速無料化の大きな問題だ。』
『鳩山政権は実験で効果や影響を検証し、2012年度に首都高速と阪神高速などを除く全国で原則無料化に移行する構えだが、それには毎年度最大1.8兆円の財源が必要となる。』
『経済効果といっても、高速道路沿線がにぎわう代わりに在来線沿いの地域がさびれるかもしれない。』
『鳩山政権は、この巨額のお金で社会保障や教育の強化など、もっとほかにすべきことがあるのではないか。』
『国の財政が赤字を垂れ流し続けている現状を考えれば、まずは高速無料化という政策を事業仕分けの対象として吟味することが先決だ。』
『無料にしてきた欧米の国々でも、環境対策から有料化の流れが強まっていることも考えてほしい。』
東京。
『全国の高速道路三十七路線五十区間の実験的無料化で影響はプラス、マイナスとも、ある程度明らかになろう。しかし、高速道路の建設・管理を総合的に考え直すのが根本的な課題ではないか。』
『民主党の政権公約の中で高速道路料金の原則無料化が、強く疑問視されたのは周知の通りである。』
『無料化への疑問は、高速利用のマイカーが増え公共交通機関がさらに衰退しないか、車自体も一般道路より高速へ集中し渋滞が悪化したり、二酸化炭素(CO2)の排出が増えないか-などだ。』
『選ばれた路線・区間からは、東名、名神など三大都市圏と直結し渋滞悪化が懸念される路線や、フェリーなど公共交通への影響が大きいと指摘された本州四国連絡道路などは、もともと除外されている。』
『交通量の少ない地方路線を対象にした実験で、他の路線にも有効な渋滞の多発、公共交通機関への影響などのデータが得られるだろうか。』
『通行料金を原資にして高速道路を建設・維持管理してきた従来の仕組みをどうするか、決断を迫られる。受益者負担の原則を放棄し、建設・維持管理を全額国費、せんじ詰めれば国民の税金で賄うのか。』
『一部の無料化と同時に、無料化しない路線を対象に車種別に上限料金を設定する新しい料金制度の検討も進んでいる。』
『つまみ食いのような無料化を進める前に、高速道路の建設・管理とその負担のあり方、料金システムを抜本的に見直し国民に示すのが先決だ。』
日経。
『民主党は全国の高速道路を原則無料化する費用を年間1.3兆円程度と見込み、国交省は来年度予算で初年度分として6000億円を要求していた。しかし、財源難から実際の予算は6分の1になった。』
『初年度に無料にする区間は極めて限定的になった。全国の2割近いといっても細切れの区間ばかりだ。これでは予算に見合う経済効果すら期待できないだろう。』
『欧米に比べて日本の通行料が高いのは事実だが、高速料金は鉄道に例えると特急料金のようなものだ。利用者に一定の負担を求めることは合理的だろう。』
『少なくとも、維持管理や修繕などの費用は通行料でまかなわないと、受益者負担の原則から外れてしまう。』
『無料化すれば料金収入がなくなり、旧道路公団がずさんな経営で積み上げた巨額の債務を税金で返済することになる。将来世代にこれ以上、ツケを回すのは望ましくない。』
『今後の財源の見通しが立たないなかで、なし崩し的に進めることは責任ある政策とはいえないだろう。』
『税金を使った無料化は一種の民業圧迫でもある。JRやフェリー会社など高速道路と競合する業界が反発するのは当然だ。交通混雑を懸念するバス会社なども反対している。』
『無料化が進み、車の利用頻度が増えれば、ガソリン消費を促す可能性がある。
鳩山政権が掲げる地球温暖化対策に逆行しかねない。』
『政府は無料化に向けた実験をする一方で、麻生前政権時代の「上限1000円」などの割引制度は廃止する方針だ。代わりに車種別に上限額を設けるというが、具体額はまだ示していない。』
『これまでよりも負担が増す利用者も出るだろう。これでは何のための社会実験なのかわからなくなる。』
『通行料の引き下げは本来、高速道路各社の経営努力で実施するのが筋である。
各社が発足して4年半近くたつ。高速道路改革を抜本的に見直し、民営化を推し進めることこそ、必要な政策である。』
毎日。
『無料化のための予算が、概算要求の6分の1の1000億円に削られたことから、実験の規模が限定されるのは最初からわかっていた。』
『しかし、地方中心の細切れの区間で、社会実験と呼べるような成果が、期待できるのだろうか。』
『実験と言うなら、達成目標を立て、実際にどうなるのかを検証するという作業が必要なはずだ。なのに、どのような目標を設定しているのか、なぜこの路線と区間が選ばれたのかはっきりしない。』
『そもそも、高速料金の無料化は、物流などのコストを下げて、経済の活性化につなげることが目的だったはずだ。』
『幹線からはずれた通行量の少ない部分開通した区間や、有料と無料が混在する区間での実験で、その効果をちゃんと測ることができるのか、疑問だ。』
『公約違反と言われないようにするため、取り繕ったというのが実態ではないだろうか。』
『鉄道やバス、フェリーなどへの影響を十分に考慮する必要がある。無料化から受ける影響は限定的でも、上限料金の導入で、高速道路へのシフトが全国に広がり、休日だけでなく常態化する恐れもある。』
『また、高速料金の割引の原資として高速道路会社に投入されている資金を、高速道路の建設に回せるようにしようとする動きもある。』
『必要な道路は建設すべきだが、経済効果が見込めない無駄な道路の建設に拍車がかからないか心配だ。』
『高速道路、新幹線、空港、港湾などの整備を、相互の関連性を考えずにバラバラに続けた結果、日本の交通政策は行き詰まりをみせている。』
『交通機関の役割分担を考えたうえでの交通網の再構築も、政権交代で期待されているところだ。』
『公約違反とならないための取り繕いではなく、社会実験と呼ぶにふさわしいものになるよう、無料化に取り組んでもらいたい。』
読売。
『当初の予定から大幅に縮小はされたが、なお、1000億円の予算が、高速道路会社の収入を穴埋めするためにつぎ込まれる。財政難の折、これだけのお金を使う価値があるとは思えない。政府は無料化を撤回すべきであろう。』
『国交省が当初、要求していた6000億円の無料化の予算は、1000億円に削られた。』
『これは当然である。各種世論調査では国民の多くが、無料化に反対と回答していた。渋滞の増加でかえって不便になりかねず、地球温暖化対策にも逆行すると判断したようだ。』
『無料化すれば、旧日本道路公団などが残した膨大な借金の返済も難しくなる。』
『民主党は、予算編成の最終段階で方向転換したが、ならば無料化を断念すべきではなかったか。』
『利用する車の少ない地方の高速道路を、細切れに約1600キロタダにしても経済効果は限られる。まるで公約を守るための、アリバイ作りとしか思えない。』
『むしろ1000億円は、ほかに有効利用すべきであろう。』
『現在、高速道路では、大都市圏を除き、土日祝日に限り「1000円走り放題」のサービスが実施されている。行楽客らには好評だが、週末に激しい渋滞が起きるなど、問題点も指摘されている。』
『このため、民主党はこれを廃止し、(中略)新たな割引制度の導入を検討している。』
『「1000円走り放題」の費用は年2500億円だ。これに1000億円を加え、現行の料金制度を合理的に見直すための財源にしてはどうか。』
『景気の先行き不透明感が増すなか、料金の値下げ・割引が拡大すれば、経済活性化に役立つのは間違いあるまい。』
『渋滞緩和効果の大きい、首都圏の環状高速道路の整備などに充てるのも一考であろう。』
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もう少し好意的な論評もあるかと思ったが、各紙から不評を買っている。
良いところなど1つもないといっていいくらいだ。
個人的にも、「高速道路無料化」の公約については、選挙前からあまりメリットを感じていなかった。
この公約に好感を持って民主党に票を投じた人というのが、果たしてどのくらいいたのだろうかと思うくらいだ。
何だか、かつての「定額給付金」が想起される。
与党以外、やはりどこからも不評だった。
定額給付金については、結果的にありがたく頂戴したのだが、高速無料化については首都圏在住ということもあり、個人的にはありがたみを感じない。
定額給付金が奏功しなかったのか、或いはかえってマイナスに作用してしまったのかはわからないが、先の衆院選で与党は惨敗してしまった。
高速道路無料化が、来たる参院選に何らかの影響を及ぼすのか、興味が湧く。
(桐鳳)
【編集後記】
以前、朝日新聞「あの人とこんな話」に掲載された、俳優・菅原文太さんの言葉です。
http://www.asakyu.com/anohito/?id=782
「生涯現役で仕事をすることはあたりまえだと思う。それは金を稼ぐというような狭い定義ではなく、生きている限りできることをして働くということだ」
「若いうちだけではない。十分な年月仕事をして蓄えができ、勤め先はリタイアしても、友だちと群れて趣味ざんまいで満ち足りるだろうか。自分の人生を全うするというのは、どんな時点でも働きがいを見つけることだと思う」
…など。
古い考え方だという人もいるかもしれません。
しかし私には、感じるところが多くありました。
(桐鳳)
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
あなたに素敵なことがいっぱいありますよう…。
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奈良の山奥に
平家の落人が固まって住んでいる集落があるんだけど
その付近に高速道路ができてからというもの、
まつたけが
ぜんぜん生えなくなって
毎年まつたけをたくさんもらっていた
B子ちゃんは、
「まつたけがもらえなくなったのは
高速道路のせいや。」と言っている。
(ブログには以前、書いたことがある。)
どんどん、山の中に道路を作って
動物のケモノ道を切断して
交通事故で死なせ、空気を汚して
日本は何をしているのだろう。
道路が増えるといいことがあるのかな。
土地の安い山奥に大きな工場を作って、商品を都会に
運びやすいってことはあるか。その場合、
ちゃんと汚染物質を浄化して川に流しているんでしょうね?
チュウゴクみたいに、垂れ流してないと思いたい。
でも、山奥に道が増えると
マイカーで、人の山に入り込んで
すかんぽ、くり、まつたけ、あけび、ぜんまい、
せり、ふき、つくし、たけのこ、
自生している野生のランなど
勝手に盗っていく人が増える。