都は、現金持ち逃げの派遣村111人をほぼ全員特定
低モラルの派遣村、現金支給後に不明者続出
2010/01/08
年末年始に住居がない失業者に宿泊場所や食事を提供する東京都の「公設派遣村」で、当初の利用者562人のうち、8日現在で200人以上が所在不明となっていることが都の調査で分かった。こうした実態を受けて東京都の石原慎太郎知事は同日の定例会見で、「入所者のモラルの問題がある。『ごねれば言うことを聞く』とうそぶく。大きな反省の対象だ」と語った。
所在不明者は、都が就活費として現金2万円を支給した6日から続出。都は規則違反者は強制退所にし、18日で派遣村の閉所を決めた。
長妻昭厚生労働相がこの件について「残念だ。そういうことが起こらない支援態勢が必要」と会見で語ったことに対しては、石原知事は改めて「政府は反省し、ゆがんだ形で終わらないように取り組むべきだ」と指摘した。
都によると、7日現在の入所者名簿は557人。しかし、同日の夕食の配膳数は356人分で、外出したまま戻らない155人と、46人の行方不明者の計201人が施設にいないことを確認した。外出者の大半が所在不明となっている。
派遣村に残る入所者の実数はピークだった4日(833人)の約4割に“過疎化”した。都によると、新たな就労先を見つけて退所した人は1割程度という。
都には「派遣村」開設以降、都民から数十件の意見が寄せられたが、大半が「2万円の現金支給や派遣村そのものに否定的なものだった」(都幹部)。都は交通費などのため支給した就活費を酒やたばこの購入などに使用した人に対し、返金や生活保護費を差し引くなどして対処する。
施設では8日までに、支給金の盗難事件が数件発生する一方、入所者への生活保護が続々と決まった。60代の男性は「月4万円の生活保護費と住居の敷金、礼金の全額、家賃月額6万9千円が支給され、家財道具の購入費も出る」と話していた。
一時金“持ち逃げ”全員特定 派遣村入所を厳格化 都が国に緊急要望へ
1月26日11時3分配信 産経新聞
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/dompolicy/343948/
都は、派遣切りなどで失業した本来の対象者と、一時金目的など悪質な入所者を選別したい考え。要望の中身は(1)今回、入所申請時までだったハローワークでの求職登録を、入所申請の数カ月前までに求職登録を済ませ就労活動に従事している人に限定(2)東京への一極流入を避けるため、都内での生活実態を精査した上で、周辺の県などでも公設派遣村の同時実施を行うよう要望する-など。
このほか、現在、区市町村が窓口となっている住宅手当についてハローワークで行えるよう一元化することなど、第2のセーフティーネットの改善を求める。
一方、都は一時金を“持ち逃げ”した111人についてほぼ全員を特定、うち携帯電話などで連絡がつく4割程度に直接、返金を求めるほか、残る人についても受給が決まった生活保護費などから天引きする方針という。