シルクロードは、放射能ロードだった。
わたなべりやうじらうのメイル・マガジン「頂門の一針」 1740号
平成21(2009)年11月30日(月)
第1740号
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史上最低の鳩山内閣に世界が笑っている
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クライン孝子
■2009/11/29 (日) 事業仕分けは財務省の書いたシナリオ?(2)
一国民氏より
<<日本と言う国は、実に情けない国である。意識障害の国と言うべきか、何時まで続ける史上最低の鳩山内閣、さぞかし世界が笑っているだろう。
鳩山由紀夫氏は総理大臣どころか、政治家の範疇にも入らない。どんな考えで政治家になったのか、ご本人の本音を聴きたい。
筆者が推測するに、恐らく浮かれ女房に唆されての事だろう。そりゃあ~、億の金に埋もれていれば大学教授の僅かな給料では馬鹿らしくなるのも
長崎のある医師が、既に、20年に亘って個人でアフガン支援を続けている。鳩山氏の様に、国の金を使っての支援ではない。毎日体を張って、命がけの現地での活動支援である。
鳩山家の個人資金でアフガン支援をしたらいかがですか。さすれば、アフガン支援の真実の意味が分かるだろう>>
一方で、こんながんばり屋の日本女性が米国で活躍されている。さっそくご紹介いたします。Chieko Y Heineman さんで、苗字からお見受けするところドイツ系米国の方ではないかしら。シュタイナー高校などというのも、そうですし・・・・
<<はじめまして、最近拙ブログ「モンタギューだより」が杜父魚文庫ブログhttp://blog.kajika.net/
[米国収穫を祝う感謝際をおえて 山崎千恵子ハイネマン]に掲載されるようになり、貴ブログを知りました。
私事ですが、あまりにクラインさんのプロフィールをみてて、共通点の多さと懐かしさについついメールを出しております。
わたしは岐阜育ちで、クラインさんのプロフィールページにある曾野綾子氏/三浦氏のゆかりの南山大学で人類学を学び、その後渡米、こちらの市民運動に関わる一方で教育を受け続け、多文化教育、比較児童文学、バイリンガル教育を学んで、今は日本語言語学を院で学びながら、子供や夫の通うシュタイナー高校で教えております。と自己紹介はこの位にして、
今まで知らなかったとは言いながら、これからもちょくちょくブログや著書にあたって行きたいと存じます。こちらのブログもお時間があった時にでも、お寄りください。
http://cyamazaki-heineman.blogspot.com/
>>
クラインからもお願いがあります。拙著「大計なき国家・日本の末路」をよろしく!
■2009/11/29 (日) ベネルックスでも鳩山内閣、評価を落としていた!
25,26,27の3日間、ベネルックス3国へ行って参りました。取材といえばそれをも兼ねた見学旅行。その間に会った人物達の日本に対する関心といえば、民主党=鳩山内閣における日本の政情を心配する、というか既に関心を失った投げやりな発言ばかりで、憂鬱になること!
中で彼らの発言で救われたことは日本の国民は優秀で、モノ作りは世界一。しかもその生真面目な性格には驚くと共に敬意を表してくれていること。
それだけでは、海千山千人間が大半を占める国際社会では生き残れないと、話をその方向に水を向けると、皆苦笑して黙ってしまう。彼らはその辺の日本事情を既に情報として頭の中にインプットしているのだ。、
そんな折も折り、ドバイショックニュースと同時に、26日木曜日には日本円がドルに対し約15年ぶり(1995年4月19日以来)に高値をつけ、日本株安ニュースが流れ、それに絡んで日本のデフレや日本の国債発行の異常な高さが話題になる。
ある人物は、中・米が接近して、日本はそのハザマにあって今後ますます両国に翻弄されるのではないかと杞憂する。これはもとより、EUもその例に洩れず、とばっちりを受ける、から気をつけなくてはならない、両国の動きを注意深く見守っていく必要があると語っていた。
今一つ、EUの初代大統領に選出されたことが話題になると、ベネルックス側は熱くなる。英国はかなりオカンムリでご不満のようだが、もともと英国は欧州大陸から見れば、過去その栄光を鼻にかけかなり好き勝手なことをしてきたと口を揃えていう。
その英国の得意な手法は、分断工作。戦後それをいち早く見破った仏独は今後たとえどのような分断工作を仕掛けられようと、手を組んで、仏独はオモテにでるのをなるべく控え欧州の小国に要職を与え立てることで、EU運営のカギを握ってきた。
「これこそ欧州団結のノウハウだ」としきりに説いたのはコール独元首相である。そういえば、欧州中央銀行設置の際、初代総裁地位争いで、彼は、大国は一歩身を引き、小国に華を持たせることだと主張し、最終的にオランダのドイゼンベルグを総裁の地位に据えることに成功した。
今回もそれにならい、欧州大陸は大統領を選出した。
二度もの世界大戦で敗戦国となり、その屈辱を体得したリーダー・コールの、いやドイツ国民の智恵と言っていいのかもしれない。
■2009/11/29 (日) 民主党内閣、八方塞がり。長くないですね(1)
何をやっても、ドジばかり。民主党の命、長くないのでは!それにしても産経を除いて、
耳を疑った「漢方除外」 国際医療福祉大学大学院教授 黒岩祐治さん寄稿
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091128/plc0911282227010-n1.htm
とりわけテレビなどは、民主党にやけにやさしいですね。何か仕掛けがあるのかな?それとも弱みを握られているのかしら?
そこで、村中 新氏より
<<11/25 (水)の貴日記
「事業仕分けは民主党にとってプラスになった?」に"そんなブレまくり鳩山首相ですが、事業仕分けだけはどうやら点稼ぎになったようです"とありました。
まさに連日マスコミを賑わせている「事業仕分け劇場」に国民大衆は見とれています。
11/23日付け産経新聞にもFNNとの合同世論調査結果として、"鳩山内閣が進めている「事業仕分け」について
「行政の無駄の洗い出しに役立つ」との回答が88・7%、「毎年行うべきだ」との回答も85・2%となり、国民に高く評価されていることが分かった。予算に関する議論を公開し、無駄を削る取り組みを目に見える形にしたことがその理由だとみられる"と報じています。
自民党政治の政官癒着による予算編成であったものが初めて公開の場で行われた画期的な予算編成作業である。仕分け人が予算担当の悪徳官僚を締め上げて、即断・即決、バッサ、バッサと無駄を削減する姿をマスコミは報道して、国民の「こんなに無駄な事業があったとはしらなかった」、「鳩山政権は無駄の削減に努力している」との声を好意的に伝え、
鳩山政権の支持率維持に役立っているーーーとの見方が一般的ですが、ここにきて一部「やりすぎではないか」、「あまりに一方的だ」との批判も出てきました。
この税金の無駄遣い削減努力のマスコミ報道が、私には民主党の夏の参議院選挙対策の広報活動の一環にみえます。
■2009/11/29 (日) 事業仕分けは財務省の書いたシナリオ?(2)
しかも、財務官僚が書いたシナリオに基づいて仕分け作業は進んでいると判断します。
理由は、各事業の問題点の指摘は事業に精通している担当者以外には知り得ないものだからです。そして事業仕分け作業にあたって事前に作成したマニュアルの存在が明らかにされました。
この仕分けマニュアルは対象事業の問題点を列挙した上で、担当省庁の反論に対する再反論の方法までも指南した内容とのことです。
【事業仕分け】マニュアルが存在していた! 背後に財務省の影
(2009.11.17 23:44)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091117/plc0911172346018-n1.htm
11月20日の産経「主張」でも「事業仕分け」が取り上げられ、仕分けにあたって論点マニュアルが事前配布されていた。対象事業の選定も財務省の意向が色濃く反映された。これでは「結論ありき」との批判が出るのも当然だろう。政治主導の看板が泣くと述べています。
この仕分け作業は、公開の場で行うことによって予算編成の透明化を図るために行うものとして、マスコミは鳩山政権のヒット政策として盛んに取り上げて報道していますが、背後に財務省官僚がうごめく不透明な印象を受けます。
さらに、ここにきて仕分け人の強引で突飛な発言に批判が出始めています。事業の廃止・削減による影響から地方の自治体や業者からは悲鳴が上がっていることも報じられ始めました。
まさに少ない補助金に命を繋いでいる地方や業者にとっては自殺しかねない事態となります。無駄削減が「国民の生活が第一」を破壊する矛盾です。
限定された財源を投入する優先順位を決定するには国家戦略に基づく判断が必要ですが、目指す国家像も示さないままの予算編成では場当たり的判断としかなりません。国家戦略未策定の現状からは国民生活の基盤となる外交・安全保障政策関連予算の削減が予想されます。
今後の予算編成過程で日本の将来を見据えた判断が加えられることを期待しています。
このままでは官僚政治から政治主導の政治を主張している鳩山政権が財務官僚の手のひらの上で踊っている漫画が見えます。
「普天間基地移転」問題とともに「策士、策に溺れる」状態となり鳩山政権の命取りとなるかもしれません。透明性を確保するためマスコミは大いに「事業仕分け劇場」の舞台裏の報道に努めるべきです>>
(「クライン孝子日記」)(フランクフルト在住 )
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これほど無能な首相はない
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加地 伸行
政府の行政刷新会議による事業仕分けの様子がテレビに何度か放映された。会議はインターネットに公開されており、会場での傍聴も自由とのこと。となると、いかにも民主主義的に話しあい、公明正大であるかのように見える。
しかし、その質疑応答の様子をテレビニュースを通じて見ていると、約40年前の全国の大学紛争を思い出すのであった。当時、私は名古屋大学助教授として勤務していた。
元はと言えば、共産党系の学生集団と反共産党(新左翼)系の学生集団との紛争であり両者は敵対していたが、共通の敵は大学当局(実質は教授会)であった。そこで学生らは大衆団交なるものを設営し、三者が複雑な〈子どもの喧嘩(けんか)〉をし続けて終わる。
その結果、大学は荒涼とした非学問的な〈専門学校〉と化し、騒いだ学生集団は雲散霧消し、今や大学生は〈小児化〉した。紛争は何も産まず、かつての大学にあった古き良きものまで失ってしまって今日に至っている。
口を尖(とが)らせての弾劾、相手の人格罵倒(ばとう)、数の圧力-大衆団交によって狂暴化した学生はハンターとして教授会に襲いかかっていた。その学生とは、まさに団塊の世代、すなわち現在60歳前後の人たちだった。
事業仕分け人たちは、団塊の世代のすこしあと。おそらくは団塊世代の気分。当局の各省庁は教授会か。議論は、善(よ)きことは問わず、悪しきことばかりの審問。まさにこれは大学紛争時における、学生集団と教授会との大衆団交の再現ではないのか。
このような〈暴力〉による獲得からは、建設的なものは何も生まれない。
生まれるのは荒涼とした風景だけであり、騒いだ連中は消えてゆく。無責任のまま。
このような〈暴力〉が横行するのは、どこかにそれを促す独裁権力があるからである。民主的な発言からではない。
その独裁権力とは、小沢一郎幹事長に他ならない。今の民主党ならびに民主党政府は、だれが見ても小沢一郎独裁である。
独裁者の本質は、小心者であることだ。小心だから他者からの批判は認めない。どころか、その他者を恐れて憎んで排除する。そこで小心者リーダーの下には必然的に臆病(おくびょう)な小心者が集まる。その典型が鳩山由紀夫首相である。
首相の発言には、まるで自分というものがない。自分で決めることがない、いや、決める能力がない。すべて他人まかせである。整理することさえできない。これほど無能な首相はないのではないか。その極致は、自民党原因論である。国会での所信表明演説のあと、谷垣禎一自民党総裁の質問への答弁で、今日の政治の困難はすべて、従来の自民党政治が原因だとした。
悲劇的かつ喜劇的答弁であった。旧政権の欠点に対して新政権の自分たちは新しい政策で是正してゆくのだ、それはこうだと具体的に言い切って示してこそ新政権の宰相たりうるのだ。それを他者のせいにして、何の新政策も示しえないのでは、国民はたまったものではない。
小心者は無責任な小人である。『論語』衛(えいの)霊公(れいこう)篇に曰(いわ)く、「君子は諸(これ)(責任)を己(おのれ)に求め、小人は諸を人(ひと)に求む」と。(かじ のぶゆき)
(立命館大教授)産経新聞 【古典個展】・2009.11.29 02:38
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『NHKシルクロード』の裏側
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伊勢 雅臣
■1.核ハザードの危険を隠してきたNHKシルクロード番組■
本年6月6日、「核ハザードの危険を隠してきたNHKシルクロード番組に関する公開質問状」と題する書状が、NHK会長・福地茂雄氏あてに突きつけられた。差出人は札幌医科大学・高田純教授である。その一節には、こうある。
「私は、核爆発災害研究の専門科学者として、世界の核被災地を調査してまいりました。そして、中国共産党がシルクロードの要所であった楼蘭遺跡周辺での総威力22メガトンの核爆発により世界最悪の災害が発生したことを、確認しました。
その総核爆発は、広島の核の1375発分です。現地では 100万人以上のウイグルの人たちが死傷しているのです。
・・・
その地域の被害は、広島の被害の4倍以上です。まさに世界最大の核災害です。被害者たちは、中共政府に放置されています。今、史上最悪の人権人道問題が発生しているのです。日本は唯一の被爆国ではありませんでした。
NHKは中国軍に引率されて、核爆発が強行された周辺にある楼蘭遺跡を、1980年に取材しました。その後に放送したシルクロードロマン番組は、その核の事実を隠蔽した、全くもって偏向した内容になっています。すなわち偽装番組でした。・・・」
NHKのシルクロード番組に魅せられて、核爆発が続いた 1996年までに日本人観光客27万人が現地を訪れたという。そこが放射能に汚染された危険地域だとも知らされずに。
■2.「危険地域だったという認識は、持っておりません」■
20日ほど後、NHK大型企画開発センター長・佐藤幹夫氏名で、以下のような回答書が寄せられた。
「NHK特集 シルクロード」は、東西文明の壮大な交流の道をたずね、その悠々の歴史と現在の姿を紹介したシリーズで、1980年に放送が始まりました。
シルクロードのほぼ全域で外国メディアによる本格的な取材を行ったのはこの番組が初めてで、学術的にも貴重なエリアを紹介したことはきわめて意義深いことだったと考えております。
この番組の撮影を起こった場所が、核実験によって放射能に汚染された危険地域だったという認識は、放送当時も現在も持っておりません。
以上、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。」
高田教授がさまざまなデータをもとに科学的に放射能被害を推定しているのに対して、根拠もなにも示さずに「危険地域だったという認識」はない、と言い切る剛胆さは見上げたものだ。
真実については、次のように当時のシルクロード取材班自身があきらかにしているのである。
■3.「特に楼蘭は撮影困難です」■
取材班が執筆し、NHKから1980年に発行されたNHKシルクロード第3巻『幻の楼蘭・黒水域』には、以下のような記述がある。
<超近代兵器ICBMは私たち取材班と無関係ではなかった。CCTV(中国中央電子台)とシルクロードの取材撮影を交渉するなかで、最大のネックとなったのが、実はこの点であった。
シルクロード全域の取材を主張する私たちに対して、CCTVはその一部は不可能でしょうと繰り返すのであった。
「シルクロードのどの地域が撮影できないのですか?」
「楼蘭と黒水域です。特に楼蘭は撮影困難です」
「理由は?」
「それはみなさんが想像されるとおりです」
私たちは楼蘭が重要な軍事基地、おそらく核実験場ではないかと想像していた。1964年から25回にわたって行われた核実験は、いずれもこの地域で行われたといわれている。
1949年の中華人民共和国の誕生以来この地域は、国家の最高機密の地として、外国人はもとより、中国人でさえ特別の要人以外は立ち入ることができない。
■4.立ち入り許可の思惑■
しかし、中共政府は取材を許可した。ある思惑を秘めていたようだ。
<しかし、その楼蘭に入ることを、日中共同取材班はついに許可された。
たび重なる交渉の末である。これはCCTVのスタッフにとっても思いがけない喜びであったのか、「楼蘭に入るのは、解放後私たちが初めてです」と何度も繰り返すのであった。
ただし一部分は中国側だけで撮影することが条件であった。したがってこの取材記のある部分は、私自身の実見によらないで中国側の屠団長の報告、および撮影したフィルムをもとに記述していることをお断りしておく。>
1980(昭和55)年4月、初の外国人メディアとして、NHKのテレビカメラが砂漠の楼蘭遺跡を撮影した。取材班は、現地の核爆発実験や核軍事演習のすべてを知る中国軍の新彊部隊 に引率されていたのだった。
中共政府がNHK取材班に「立ち入り許可」を与えた思惑は、想像に難くない。軍が引率するのだから、核爆発を思わせるような場所は見せなければよい。そういう場所の撮影は中国側が撮影しているのだから、周到な「編集」が可能である。
そして、出来上がった映像は「NHKの取材によるもの」として西側世界に公開される。核実験の災害などおくびにも出さず、シルクロードの歴史ロマンのみを映し出す番組により、中共政府は核実験の事実を糊塗できる。NHK取材班は、中共政 府のプロパガンダに使われたのである。
■5.「核の砂漠」■
1980年3月29日、NHK取材班は敦煌を出発し、西方430キロメートルの楼蘭を目指した。NHK取材班5人、考古学者の九州大学・岡崎敬教授、それに中国中央電子台職員が加わって、総勢15人からなる一行であった。翌日、中国共産党軍が合流し、それに引率される形となった。
4月11日、「さまよえる湖」と呼ばれるロブノールがあるとされる720地点についたが、それらしい湖は見つからなかった。13日、80キロを北上し楼蘭の女王のミイラを撮影した。
その後、なぜか取材班は南方の720地点に戻り、そこから北西50キロに位置する楼蘭遺跡に移動した。なぜわざわざV字型の移動をしたのか。中共軍は、まっすぐ移動する道のりは悪路だと説明した。
しかし、高田教授がNHK取材班の足取りと、核爆発の地点をあわせて地図化すると、その理由が見えてきた。V字の中に、4メガトン、2・5メガトン、2メガトン、0・6メガトンの核爆発ゼロ地点があったのだ。核弾頭が炸裂してできたクレーターなどの目撃を避けるための迂回路であっ
たようだ。
それだけではない。4年前に行われた4メガトンの核爆発は、長崎に投下された核爆弾の200倍の規模である。高レベルの放射能が残留する「核の砂漠」なのだ。「核の砂」が高エネルギーのガンマ線を放射しており、それを浴びれば、白血病や発ガンのリスクが増大する。
高田教授は、取材班が10日ほどの楼蘭付近に滞在したうち、5日間、核爆発ゼロ地点に接近したとして、彼らが「核の砂」から浴びたガンマ線の量を、84から260ミリシーベルトと推定計算した。
これは原子力発電所や病院で核放射線作業に従事する職業人の年間限度の50ミリシーベルトを超える危険な量をわずか5日ほどで被曝したことになる。
■6.非人道的な核実験■
この東トルキスタン地域は、中国共産党が1949(昭和24)年に軍事侵攻し、支配下においた土地である。そしてこの地で最初の核実験が1964(昭和39)年10月の東京オリンピック期間中に始まり、1996(平成8)年まで続けられた。
この東トルキスタンと国境を接するカザフスタンは、かつてソ連の支配下にあり、そこにはソ連によるセミパラチンスク核実験場が設けられていた。中国の核実験の非道ぶりは、ソ連と比較しても明らかである。
ソ連の核実験場は四国ほどの面積の土地から人々を外部に移住させ、周囲に鉄線で囲いを設け、実験場につながる道路の出入りを厳重に管理していた。
その広大な面積においても、場外の民衆の安全に配慮して、最大0・4メガトンに抑えていた。さらに核爆発を実施する際には、核の砂が降ると予想された風下の村の人々を、事前に避難させる措置も一部とっていた。
一方、中国は、鉄条網で囲んだ実験場など設けていなかったと、現地の人々の証言からも推察される。しかも、最大4メガトンと、ソ連の10倍もの規模の核爆発を行った。
さらに住民に警告して避難させるなどという措置もとらなかった。逆に現地の農民は「(核爆発)基地では、漢人の住む方向に向かって、つまり西から東に風が吹く時は核実験をしない。西に吹いた時に行っていた」と憤っている。
■7.「太陽の100倍もの明るさ」■
ウイグル人医師アニワル・トフティー氏は、イギリスに亡命し、核爆発災害のドキュメンタリー番組"Death on the Silk Road" 『シルクロードの死神』の制作に協力した人物だが、93年に故郷クルムの老羊飼いから聞いた体験談を東京でのシンポジウムで紹介した。
その老羊飼いは「自分は神を見たことがある」と言った。それは太陽の100倍もの明るさだった。そして地面が大きく揺れて、凄まじい嵐になったという。
彼は半身ケロイドとなった。軍人たちが彼を病院に連れて行き、検査をした。そして彼の 100頭以上の羊をすべて買い取ったという。老人は、それから2年後に亡くなった。
高田教授は、核弾頭を浅い地下に埋めたか、山裾のトンネルの入口から近いところでの核爆発であった、と推定している。火球が噴出し、核の砂が大量に舞い上がる。広範囲に核汚染をまき散らす最も危険なタイプの核爆発である。
中国は90年代にこの地域で11回もの核爆発を行っており、東トルキスタン南部のタリム盆地での石油・天然ガス油田開発が始まった時期と一致していることから、高田教授は資源開発に核兵器が使われたと推定している。
核爆発により地震を人工的に起こし、そこで発生した地震波の伝わり方を調べて、地下の構造を分析する手法である。ソ連もこの目的で12回の核爆発をシベリアで行っている。
■8.急性死亡19万人、急性放射線障害129万人■
東トルキスタンの人口は2005(平成17)年で2千万人である。中共政府はその地で、住民を退避させることもなく、核爆発を行った。
高田教授は楼蘭地域での3発のメガトン級核爆発の影響を計算した。その値は1千キロ離れたカザフスタンの報告値と良く 一致した。それは胎児が奇形となるレベルのリスクであった。
その核放射線影響を現地の人口密度に当てはめて推定すると、核の砂による急性死亡は19万人となった。
2メガトン地表核爆発では、風下およそ245キロメートル、すなわち横浜-名古屋間に及ぶ範囲で、急性死亡のリスクがあった。
この地域では核の砂が降って、住民が全員死亡した村がいくつもあったということになる。
また、死亡には至らないが、白血病などを誘発する急性放射線障害のリスクのある地域は、風下およそ440キロメートルに及ぶ。東京-大阪間に相当する距離である。この地域で白血病などを誘発する急性症を起こした人々は129万人と推定された。
前述のアニワル・トフティー医師が、現地で命がけの調査を行った結果では、漢民族でも30年以上ウイグル地域に住んでいる人は、発ガン比率が中国全土と比べて35パーセント高い。
■9.被爆地に呼び寄せられる日本人観光客■
こういう危険な被爆地を、NHKは歴史ロマン番組として紹介し、その結果、多くの日本人が観光客として訪問した。
楼蘭遺跡付近の核爆発は東京オリンピック開催中の1964(昭和39)年に始まり、1996(平成8)年まで続けられた。NHKのシルクロード番組が放映されたのは1980(昭和55)年からであるが、それ以降も核爆発は続いていたのである。
ウイグル地域への日本人観光客の人数は1995年に35,071人、 1996年に36,278人というデータがある。これから、高田教授は核爆発が続いていた1996年までの総数を27万人程度と推定している。
これに加えて、核爆発が終了した1997年から2008年までの日本人観光客数は57万人と見積もられている。このペースだと今後、数年のうちに合計100万人に到達するだろう。
急性死亡につながる核種は一か月ほどで弱まるが、高エネルギーのガンマ線は「核の砂」として長期間、残留し、近寄った観光客は被曝を受ける。同時に砂塵を吸い込むことによって、プルトニウムが肺に吸着し、以後、アルファ線が肺細胞を突き刺す。
高田教授はシルクロード観光者の被災調査を始めたが、すぐに2件の情報が寄せられた。2人とも1980年代にウイグル観光をした後、悪性リンパ腫や白血病を発症し、そのうちの1人は亡くなった。
これは謂わば、広島で1375発分の核爆発が行われている最中に瀬戸内海の歴史ロマン番組を放送し、その危険性はいっさい隠蔽して、毎年数万人規模の観光客を呼び寄せるのと同じことである。『シルクロード』は今もビデオとして販売されており、人類史上最悪の被爆地に観光客を呼び寄せ続けている。
■リンク■
a. JOG(523) シルクロードに降り注ぐ「死の灰」
中国に植民地支配されたウイグル人の土地に、核実験の死の
灰が降り注ぐ。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h19/jog523.html
b. JOG(186) 貧者の一燈、核兵器~中国軍拡小史
9回の対外戦争と数次の国内動乱を乗り越えて、核大国を目
指してきた中国の国家的執念。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h13/jog186.html
■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
→アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。
1. 高田純、『核の砂漠とシルクロード観光のリスク─NHKが放送し
なかった楼蘭遺跡周辺の不都合な真実』★★、医療科学社、H21
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860034023/japanontheg01-22%22
■■ Japan On the Globe(625) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■
史上最悪の危険な被爆地に、毎年数万の日本人観光客
■転送歓迎■ H21.11.29 ■ 38,418 Copies ■ 3,220,203 Views■
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