【世界の新聞「101紙」の視点】*編集・発行、桐鳳柳雨(とうほうりゅうう) | 日本のお姉さん

【世界の新聞「101紙」の視点】*編集・発行、桐鳳柳雨(とうほうりゅうう)

独断と偏見はご容赦!
【最近の社説の、ここに注目】

1票の格差について書かれた社説を見てみる。

朝日。
『一昨年の参院選では自民党が大敗して民主党が第1党に躍進した。政権交代の前触れとなった選挙だが、一票の格差は最大4.86倍もあった。』

『著しい不平等の下で行われたこの選挙は違憲、無効だとして東京都と神奈川県の有権者が起こした裁判で、最高裁は原告たちの訴えを退けた。』

『合憲の判断だとはいえ注目されたのは、最高裁が「投票価値の平等という観点からは、なお大きな不平等がある。国会は速やかに適切な検討を」と求めたことだ。』

『さらに「現行の選挙制度を維持する限り、定数を振り替えるだけでは格差の縮小は困難であり、選挙制度自体の仕組みの見直しが必要」とまで踏み込んだ。
国会はこれを重く受け止めなければならない。』

『微調整でお茶を濁してきた国会に対し、最高裁は選挙を違憲、無効とはしないまでも、その怠慢を厳しく指弾したといえるだろう。』

『まず参院が、抜本改正に真剣に取り組まねばならない。でなければ、さまざまな政治的思惑から避けているのでは、と疑われても仕方ない。』

『次の参院選は来年夏に迫っている。時間はあまりない。とくに政権党になった民主党は、政策集に07年選挙を例に参院選の格差是正を掲げており、責任は大きい。』

『総定数を増やさずに都道府県単位で選挙区を割り振っている限り、どうしても相当の格差が生じてしまう。複数の県を合区するなど根本的な発想の転換が必要だ。』

『参院は「再考の府」と呼ばれながら、衆院のコピーのような性格が指摘されてきた。』

『選挙制度についても、衆院と似た選挙区と比例代表の組み合わせでいいかという問題も突きつけられている。』

『とはいえ、まずは一票の格差の改善に取り組むことだ。それなしでは参院の権威が泣く。』


産経。
『もはや小手先の見直しは通用しない。』

『最高裁が異例ともいえる国会への注文を付けた背景には、18年の「4増4減」以降、見直し議論を進めてこなかった国会に対するいらだちがある。』

『判決では「検討に相応の時間を要することは認める」とし、いわば猶予措置との認識も示されている。与野党ともこれを重く受け止め、早急に是正を講じなければならない。』

『本格的な少子高齢化時代に突入し、今後さらに都市部への人口集中が進むことが予想される。これに伴い「一票の格差」はより拡大していく可能性が大きい。』

『都道府県ごとの選出を続けていたのでは、いつまでも根本解決とはならないといえよう。(中略)道州制をにらんだ広域ブロックや、比例代表一本とする方法も一案であろう。』

『「一票の格差」は定数是正をすれば終わる問題ではない。求められているのは参院改革そのものだ。衆参両院の意思が異なる「ねじれ国会」にみられたように、最近の参院は党派色が強く、衆院と比べた独自性も薄まってきた。』

『一院制を含む「参院のありよう」を根本的に見直す機会にすべきだ。従来の発想にとらわれない大胆な改革にするためには、憲法の枠組みにとらわれてはなるまい。(中略)与野党は早急に具体案の検討に入る責務がある。』

『ただ、自らの議席がかかる問題に、参院議員自身がメスを入れることができるだろうか。第三者機関を設置し、検討を委ねるのが妥当であろう。』

『中途半端な改革に終わらせるようなことになっては国権の最高機関の名が泣く。』


東京。
『小手先の見直しでは、もう済まない。(中略)国会は厳粛に受け止め、早急に抜本是正に乗り出せ。』

『百年河清を俟(ま)つ…、望んでも実現の見込みがないたとえの言葉が、頭に浮かびそうだ。いっこうに抜本是正を進めぬ国会と、現状の追認に陥っている最高裁の両方についてである。』

『二〇〇七年の参院選挙での「一票の格差」をめぐる訴訟で、最高裁大法廷はまたも「合憲」の判断をした。(中略)まるで「憲法の番人」が違憲判断を回避している及び腰の印象だ。』

『一九九二年の選挙で生まれた六・五九倍の数字を「違憲状態」とした以外は、最高裁は一貫して「合憲」を繰り返している。』

『定数配分の技術的困難を考慮しても、五倍近い格差は開きすぎというべきで、一票の価値に極端な格差が許されていいはずはない。』

『今回の判決でも五人が反対意見を述べた。(中略)もはや選挙区ごとの定数をいじる小手先の改革では、限界だと指摘されたに等しい。』

『「一票の平等」は民主主義の根幹である。今、求められているのは、参院の在り方を議論し、ダイナミックな改革をすることだ。』

『都道府県の枠からもっと広いブロック制にしたり、すべての議席を比例代表にすることなども一案に考えられよう。』

『改革は待ったなしといえる。政治が問題を放置するならば、最高裁も躊躇(ちゅうちょ)なく「違憲」判決を突きつけるべきだ。』


日経。
『予想された結論ではある。しかし15裁判官中10人が賛同した法廷意見は、前回の法廷意見に比べ、より強い調子で定数配分の抜本的是正を求めている。』

『現行の定数配分を違憲とした中川了滋裁判官が指摘するように(中略)、格差を縮めるのを難しくする、都道府県単位の選挙区割りと、選挙区ごとに偶数の定数を配分する方式は、どちらも憲法を根拠にしてはいない。』

『だから、憲法が要請する1票の価値の平等を図る妨げになるなら、正さなければならない枠組みなのである。』

『参院選の現状を見れば、各政党が議席獲得を競っており、衆院選と異なる特色は見いだし難い。』

『また参院議員の政治活動が政党の統制のもとにあるのは自明で、(中略)参院の過半数を確保するために(中略)、連立を組まざるを得ないのも、そのためだ。』

『もはや参院が衆院と違う独自性を盾にして1票の価値の格差を放置するのは許されない。』

『民主党はマニフェストで掲げた「参院選挙制度の抜本改革」を実行しなければならない。』


毎日。
『選挙制度そのものを見直さなければ抜本改革にならないと改めて迫られたのである。』

『格差について転機となったのは、6・59倍の格差が問われた96年の最高裁判決だ。(中略)それ以降、違憲の目安は6倍と見られるようになり、格差の顕著な選挙区の定数削減などが行われた。』

『ところが、04年の最高裁判決は5・06倍の格差を合憲としながら、現行定数配分規定に疑問を呈する裁判官が過半数を占め、(中略)是正を求めた』

『しかし、公選法改正に盛り込まれたのは、現議席の変動に最も影響が少ない4増4減案で、結局5倍近い格差が残ることになった。』

『衆院の場合は小選挙区比例代表並立制が導入されると同時に(中略)、10年ごとの大規模な国勢調査に基づき、1票の格差は2倍までを基本とする見直しが行われている。』

『議員以外の有識者から成り、改革案を作成して首相に勧告している。』

『参院の格差が大きいのは選挙区が都道府県単位になっているからで、総数を増やさずに抜本改革するには合区やブロック制などの論議も避けられないだろう。』

『自らの議席に直接利害が絡む議員の手でどこまで踏み込んだ改革ができるのか。小手先の是正では憲法の保障する法の下の平等を守ることはできない。』

『選挙制度を根底から見直すには、しがらみのない第三者に委ねるしかないのではないか。5倍近くの格差をこれ以上放置することは許されないだろう。』


読売。
『参院の1票の格差を巡り、最高裁はこれまでも国会に是正を求めてきた。
だが、遅々として進まぬ現状にしびれを切らし、厳しく注文したということだろう。』

『国会はこれを真摯に受け止め、抜本改革に向けた議論を進めていかなければならない。』

『現行の参院の選挙制度は、都道府県単位の選挙区選と全国単位の比例選からなっており、3年ごとに半数が改選される仕組みだ。』

『選挙区選は、都道府県代表の色合いが強く、各選挙区の定数は、最低でも2が配分されている。』

『これが格差是正の障害になっている。だが、この枠組みを崩すと、新たな問題が生じる。』

『例えば、民主党は「4増4減」が議論された当時、(中略)有権者数が最も少ない鳥取県と、隣の島根県の「合区」案を主張した。』

『仮に実施していれば、両県民から「県の代表がいなくなるのは不公平」との反発が出ただろう。』

『判決が示したように、現行制度の枠組みを維持する限り、1票の格差是正には、おのずと限界があるのは明らかだ。』

『衆参両院の選挙制度は、選挙区選と比例選の2本立てで、ともに似通ったものになっている。これには根強い批判があり、参院は比例選に一本化すべきといった意見もある。』

『二院制のあり方を含めて、選挙制度の抜本改革論議が必要だ。』


--------------------------------------------

先の衆院選の直前だったか当日朝だったかは忘れたが、「一人一票実現国民会議」という団体が、新聞1面を使った広告を掲載した。

要するに、1票の格差を認めている最高裁の裁判官を、衆院選挙投票と同時に行われる「最高裁判所裁判官国民審査」で罷免しましょうという主張だ。

この考え方については、いろいろな意見があろう。

私自身、少々過激かな…とも思えるのだが、格差を是正するための一案ではあるかもしれない。

こうした方法について、主要紙社説では一切触れていない。

有効な方法だとは思わないからだろうか。
特定の団体を支援することにつながるからだろうか。取るに足らない、或いは、よくない考え方だと思うからだろうか。

主要紙の見解を聞いてみたいところだ。
(桐鳳)


*編集・発行ha、桐鳳柳雨(とうほうりゅうう)による
*弊誌ホームページのURL 
http://rew-toho.parallel.jp/
(桐鳳)

私の実家は、東京都内の団地です。
その下に、広場…小さなグラウンドがあります。
子供のころはここでよく、野球などに興じたものです。

しかし、最近では、野球・サッカーなどをしてはいけなくなったようです。

写真には写っておりませんが、このグラウンドの両端には、黒い鉄柱が立っております。

30年以上前からの住民でなければ不可解にみえる物体かもしれませんが、この鉄柱の上にはかつて、バスケットボール用のボードが設置されておりました。

早朝からバスケットに興じる子供たちの「騒音」に、苦情が寄せられ撤去されたと聞いております。

今では、ここで遊ぶ子供をほとんど見かけなくなりました。

それは決して、少子化が原因による理由だけではないと思います。

⇒ 
http://rew-toho.parallel.jp/cat3/post-295.html
(写真はリンク先ページの下部にあります)

◎世界の新聞「101紙」の視点
のバックナンバーはこちら
http://archive.mag2.com/0000174275/index.html
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~