北朝鮮に圧力をかけたうえでの対話の重要性をきちんと認識していた数少ない政治家。 | 日本のお姉さん

北朝鮮に圧力をかけたうえでの対話の重要性をきちんと認識していた数少ない政治家。

中川昭一氏死去 拉致解決へ「強い力失った」

 保守再生の担い手であった中川昭一元財務相が56歳で突如、生涯を閉じた。死因は「不明」。8月の総選挙で初の落選を経験し、最近は「眠れない」と睡眠薬を服用するなど体調を崩していたようだ。突然の訃報(ふほう)に東京・世田谷の自宅周辺は4日昼から騒然とした雰囲気に包まれた。中川氏の活動に厚い信頼を寄せていた拉致被害者家族らにも動揺が走った。

 
[フォト]拉致被害者家族を支援する集会で中川氏訃報にコメントした横田夫妻

 拉致議連会長を務めるなど拉致問題に熱心に取り組んできた中川昭一氏。拉致被害者家族らの信頼がとりわけ厚かった。家族らからは「強い力を失った」と落胆の声が漏れた。

 横田めぐみさん=拉致当時(13)=の父、滋さん(76)は、9月中旬に中川氏から総選挙落選について「力及ばず申し訳ない」とわびる手紙を受け取っていた。

 直筆で便箋(びんせん)1ページ半。「拉致問題は引き続きやっていきたい。またお目にかかれることを楽しみにしています」と書かれていた。「非常に活動に貢献してくれた。『励ます会』をしようと話していたのですが…」と滋さん。

 増元るみ子さん=拉致当時(24)=の弟で家族会事務局長の増元照明さん(53)は「涙を流す政治家に初めて会った。情の深い方だった」と振り返る。平成14年10月に拉致議連会長に就任したばかりの中川氏と会食した際、「『議連に何をしてほしいか』と熱心に聞いてくれた姿が印象的だった」と話す。

 中川氏の自宅に招かれた際には、父、一郎さんの位牌(いはい)の前で涙を流しながら拉致問題解決を誓った姿を目にしたという。

 田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄で家族会会長の飯塚繁雄さん(71)は「議員として一番早く拉致問題に取り組んでいただいた。強い力を失ったという感じで、非常に悔やまれる」と悼んだ。家族会は4日、支援組織「救う会」と運動方針などを決める会議で全国から集まっていたため、冒頭で中川氏に黙祷(もくとう)をささげた。

 ジャーナリストの櫻井よしこさんは「中川氏の原点には『国民を守れずに国家が守れるか』という思いがあった。北朝鮮に圧力をかけたうえでの対話の重要性をきちんと認識していた数少ない政治家。拉致問題とのかかわりをひけらかす政治家もいるなかで、忙しくても拉致に関係する大きな会合には必ず出席してくださった」と振り返った。

 元衆院議員、米田建三帝京平成大学教授は、13年に金正日氏の長男、正男氏が成田空港で身柄拘束された時のことを思いだす。「中川氏が何人かの政治家を集め『政府の対応がおかしい。拉致解決に向けた交渉の道具にすべきだ』と対策を協議した。彼の拉致への取り組みは信念に基づいていた」と語った

10月5日7時56分配信 産経新聞

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