首相が「村山談話」を踏襲する考えを示したことについての胡主席の反応
日中首脳会談説明、「政治主導」のはずが官僚に「助けて」
9月22日22時8分配信 読売新聞
だが、松野氏は冒頭、「鳩山外交のスタートの会談としては、いい中身だった」と感想を一言。記者団から首相と胡主席の具体的な発言について質問が相次いだが、松野氏からは不十分な回答が相次いだ。首相が「村山談話」を踏襲する考えを示したことについての胡主席の反応を聞かれると、松野氏は「非常に好意的な言葉があった」としか答えられず、「ちょっと待ってください。事務方でメモしていますか」と外務省幹部に助けを求める場面も見られた。
自民党政権下でも、官房副長官が首脳会談の中身を記者に説明することはあった。ただ、冒頭、テーマごとに会談のやり取りを詳細に説明し、説明に先立って外務省側と綿密な打ち合わせがあった。
「政治主導」を強調する民主党政権の方針に沿って、松野氏は「自分の言葉」で説明しようとしたが、準備不足は否めなかったようだ。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090922-00000727-yom-pol
首相はまた、日本の過去を植民地支配と侵略の歴史とし「痛切な反省と心からのおわび」を表明した村山談話について、「基本的に踏襲する」と発言した。村山談話について首相は「お互いの立場の違いを乗り越えられるような外交をすることが友愛外交だ」と語った上で言及した。これに対し、胡主席は、「明確な立場を示したことを評価したい」と応じた。
東シナ海のガス田開発をめぐる問題で首相は、「白樺(しらかば)をめぐる最近の中国の動きの真意が見えない。いさかいの海ではなく、友愛の海にすべきだ」と強い懸念を示した。主席は「両国の国民にとって敏感な問題だ。相互の国民の理解と支持が必要だ。平和・協力・友愛の海にしたい」と述べて、事務レベル協議を加速化させることで一致した。
北朝鮮問題では「朝鮮半島の非核化という目標に向かって協力していく」ことを確認。6カ国協議の早期再開に向け連携していくことで合意した。胡主席は首脳レベルの往来の頻度を上げることや経済、貿易関係の強化など5つを提言、首相は「基本的に正しい方向だ」と応じた。
9月23日7時56分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090923-00000014-san-pol
胡主席は日中両国は「一衣帯水」の関係にあり、特に安倍政権誕生の2006年から戦略的互恵関係を築いてきたとしてさらなる関係強化を提言している。日中関係について胡主席が提案したのは以下の5点。(1)首脳外交の促進。(2)経済貿易関係の強化。(3)青少年やメディアの交流など両国国民感情の改善。(4)アジアでの協力を促進し、朝鮮半島の無核化、国際金融危機、気候変動、エネルギー問題などの解決を促す。(5)両国間の懸案について妥当な解決を目指し、友好関係維持を図る。
鳩山首相も戦略的互恵関係の構築促進の意向を示した。また胡主席は歴史問題と台湾問題が日中関係の根幹にかかわる問題であると確認した。鳩山首相も歴史問題については村山談話の精神を守り、台湾問題については日中共同声明を順守すると回答した。(翻訳・編集/KT)東シナ海のガス田問題、中国の譲歩は不透明
9月23日11時10分配信 Record China
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【北京=矢板明夫】22日に行われた日中首脳会談で中国の胡錦濤国家主席は鳩山由紀夫首相に対し、今後の日中関係に関して民間交流の活発化など5つの提案をしたが、いずれもこれまでの日中首脳会談ですでに話しわれた内容で新鮮味はなかった。一方、鳩山首相が提唱している「東アジア共同体構想」に関し胡主席はコメントを避けた。民主党政権の対中政策を見極めてから判断したいとの中国の慎重な姿勢がうかがえる。
1972年の日中国交正常化以来、中国は自民党政権を相手に対日外交を展開してきた。歴史認識と台湾問題が両国間対立の主な火ダネで、首相の靖国神社参拝をいかに阻止するかが中国の対日外交の重要課題だった。民主党政権の誕生で、歴史認識と台湾問題の緊急性は後退したが、中国にとって好材料ばかりともいえない。
この日の会談で、鳩山首相がチベット問題に言及したように、首相が掲げる「友愛」の理念から、日本政府が今後、中国の少数民族政策や人権問題などに“口出しする”場面が増えることも予想され、中国政府は警戒している。
鳩山政権が主張する「日米の対等な関係」や「日本の自立した外交」路線について中国は、東アジアにおける米国の影響力が後退し、中国の発言力の拡大につながる観点から歓迎しているが、鳩山政権が実際に実行できるかについて疑問視する見方も強い。そのため、首相が推進しようとしている「東アジア共同体構想」について、中国は現在のところ消極的だという。
日本問題の専門家で北京大学の王新生教授は「日本が本当にアジア重視に転じるなら中国は大歓迎だが、結局は米国の影響下にある日本が東アジア共同体の主導権を握ることになると予測される。そうなれば、中国にとっていいことはなにもない」と指摘している。
中国メディアは鳩山首相を「古い友人」、民主党政権を「知中政権」などと持ち上げているが、中国政府は鳩山政権の外交政策を警戒しながら冷静に見極めようとしている。当面は、自公連立政権時代の対日政策を踏襲し、日本から環境対策の技術を引き出すなど実利外交を展開するとみられる。
東シナ海のガス田開発など日中間に横たわる懸案事項は数多くあるが、胡主席が「大局的な正しい処理が必要だ。事務レベルで接触し、信頼を高めたい」と述べるにとどまったのは、「これらの問題解決を先送りにしたい」という中国側の思惑を示している。9月23日7時57分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090923-00000047-san-int
ただ、これらはいずれも、持続可能な経済発展のために日本の先進技術を獲得したい分野だ。胡政権は「靖国神社参拝など歴史問題が焦点になる可能性は低い」(中国筋)と見ている鳩山政権時代に、できるだけ、「互恵」の「うまみ」を得たい意向と見られる。
一方、中国製冷凍ギョーザ中毒事件解決や東シナ海のガス田問題などで積極姿勢を見せるかは不透明だ。「ガス田の共同開発の合意と実施は別問題」(外交筋)が本音で、大幅な譲歩となるカードを切る考えはないようだ。「東アジア共同体」構想について、中国は協調姿勢を表明。背景には構想実現で「日米同盟の弱体化、東アジアでの米軍の影響力低下につなげたい」(共産党筋)との狙いがある
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090923-00000118-yom-pol
日本側は国連海洋法条約の関連規定と国際判例から中間線を基にした境界を主張しているが、中国側は、1960年代に隣り合う国の大陸棚の境界画定に関する判例で用いられていた国際法から沖縄トラフ(海底の溝)までを主張している。
日本は沖縄トラフのような海底地形に法的な意味はなく、現在の国際法に照らすと根拠がないとしている。
外務省 「東シナ海における資源開発に関する我が国の法的立場」 より(2006年11月)
合意内容
東シナ海における日中間の協力について (2008年6月18日発表)
<日中間の東シナ海における共同開発についての了解>
1.以下の座標の各点を順次に結ぶ直線によって囲まれる区域を双方の共同開発区域とする。
北緯29度31分東経125度53分30秒、北緯29度49分東経125度53分30秒、北緯30度04分東経126度03分45秒
北緯30度00分東経126度10分23秒、北緯30度00分東経126度20分00秒、北緯29度55分東経126度26分00秒
北緯29度31分東経126度26分00秒
2.双方は、共同探査を経て、互恵の原則に従って、上述の区域の中から双方が一致して同意する地点を選択し、共同開発を行う。具体的な事項については双方が協議を通じ確定する。
3.双方は、上述の開発の実施に必要な二国間合意をそれぞれの国内手続を経て早期に締結すべく努力する。
4.双方は、東シナ海のその他の海域における共同開発をできるだけ早く実現するため、継続して協議を行う。
中国の動き
- 東シナ海ガス田における「紛争」の経緯と解決方法(1) |(2) |(3) |(4) |(5) |(2009年1月14日)
- 08年の日中関係を回顧「東シナ海での共通認識は殊勝」 - サーチナ(2008年12月17日)
- 日本けん制、中台連携で尖閣諸島での共同油田開発か - サーチナ(2008年8月29日)
- 中国外交部:尖閣諸島は「我が国領土、争議は存在」 - サーチナ(2008年7月18日)
- 外交部「日本は尖閣諸島海域での不法行為を停止せよ」 - サーチナ(2008年6月18日)
- 外交部、「尖閣諸島は中国領、違法活動は停止せよ」」 - サーチナ(2008年6月11日)