チュウゴクはハイエナのように死体のあるところに常にいる!
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年)9月17日(木曜日)参
通巻第2717号
西側からの援助はアフガニスタンの部族社会の闇に消えた
タリバンは一日8ドルで即席の兵隊を調達しているに過ぎない
********************
アフガニスタンの大統領選挙、投票率38%(前回は70%)、開票がおくれ、投票から一ヶ月以上が経過したのに、まだ当選が決まらない。
おそらくカルザイ大統領の再任となるだろうが、評判が凄まじいほどに悪いのは何故か。
言うまでもなく汚職、諸外国からの援助の私物化。一族だけを要職に就け、利権を独占していることへの国民多数派からの怨嗟である。
そのうえ部族対立というアフガニスタンの社会構造の揺るがぬ基層がある。
▲「北部同盟」もマスード暗殺後、腐敗は酷くなっていた
英米は反ソ戦争で80年代に「北部同盟」を支援した。この縁が重なって北部同盟の本質であるタジク人優先構造が尾を引く結果となった。タジク優先に反対するタリバンの多くはパシュトンと見られるからだ。アフガニスタンはパシュトンが半数近く、タジクは二割いるか、いないか。残りはウズベク、ハザラ人ほか多数の少数民族からなる。
たとえばアフガニスタン軍の構成である。
副大統領候補のファヒム将軍はもっとも評判が悪いが、マスード司令官の後継と目されたこともあるタジク人だ。
彼が退いてもタジク人の部下らが国防省を牛耳ることにかわりがない。軍幹部の殆どはタジク人(北部同盟)が掌握し、軍人の70%がタジク人で成立している。
「もしカルザイが再選されたら、躊躇なくタリバンに走る」と選挙中、南部を取材した欧米ジャーナリストやNGO関係者が証言している。カルザイはパシュトンだが、タジクの軍事力を計測し、かれらと妥協して政権の綱渡りをしているに過ぎない、と。
そればかりではない。『アフガニスタンの闇』を書いたセリグ・ハリソンに依れば、「軍のみならす警察、検察、司法もタジクが牛耳る。だからタリバンというのは反米の神学生と定義するのは危険である。そうではない。パシュトンで反カルザイ、基本に流れるのは“反「北部同盟」感情”だ」。
現場から帰ったアメリカ人の証言も出そろった。
「失業が最大のポイントでタリバンやアルカィーダは失業の若者に一日八ドルで即席兵士を雇用している。つまり”フリーターのタリバン!”(ラルフ・フォペズ「NGOアフガンに職を!」の創設者)。
目前の小銭で俄兵士が調達できる。そんなのを相手に米国は年間500億ドルを費消している。
▲行政が機能していないのに「機能している振り」を演じているカルザイ大統領
アフガニスタンの大統領選挙はむろん不正が横行し、十八歳以下でも年齢をいつわって投票した。
南部ではタリバンは投票をボイコットしたが、「カルザイ一族が任命した教師は、生徒全員にカルザイと書かせ、十八歳以下を大量に動員した。もっとも戸籍がない国だから投票なんてどうにでも操作できる。五年前にはイランとパキスタンに逃れた難民にも投票権があった。今度は投票できなかった」(ハジナ・シージャン、NGO「アフガンに学校を」の代表、在米)
ましてカブールのインテリは殆どが棄権した。
インテリ層と学校卒の若者はパキスタンやイランへ就労の機会をもとめ、アフガニスタンを去った。
「選挙は舞台裏で『ボス交』があり、はじめからカルザイにきまってら。選挙は茶番さ」(ミルワザ・アーマドザイ、「人権監視団体」幹事)。
アフガニスタン政府というが「政府」は名前ばかり、やっていることは汚職、利権あさりと権力の乱用。西側の援助はどぶに捨てるのと同じであると現場をみてきたアメリカ人は言う。
「カルザイ政権と連立する政党、団体をのぞけば、残りはタリバンだ」(ジョセフ・キーンズ・グッドウィン前NATO特別補佐官、ヘラルドトリビューン、9月17日)。
政府なるものは行政的にまったく機能しておらず、「学校も道路も病院も、そのための援助が来ているのに巨額は闇に消えていつまで待っても学校も道路も出来ないのさ」と農民も失業者も口を揃えてアフガニスタン政府を批判している。
それを支えてきた英米を暗に非難している。
▲泥沼から米国は這い上がれるのか?
アフガニスタンは人口3300万人、このうち300万前後がイランとパキスタンに難民として住み着いている。
アフガニスタンは34県、398郡、34000の村々から成立する部族国家。それこそ村が違えば、おなじ言語体系でも方言が違い、行政単位の郡が違えば民族が混在し、県が違えば民族が違うから言語が根本的に違うモザイク状態。
識字率は世界最低レベル。
それでも大部隊増派を謳うオバマ米国大統領は日本の鳩山某と同じで国際情勢に殆ど無知のようである。
なぜか。
戦略的にみれば、米国は01年911のテロ事件いらい、イラクを含めての『反テロ』戦争に年間7000億ドルを国防費に回してきた。従来の平均が年間4000億ドルだから、過去八年で余計な金を年平均3000億ドルとおおざっぱに捉えても、合計2兆4000億ドル使った計算になる。
つまりそれだけ赤字国債が増え、それを中国と日本とサウジが購入してきた。
そして米国は経済のみかわ軍事力を弱体化させ、精神を萎縮させた。
これで米軍が世界の警察官として、アジアに自由に展開する軍事的余裕がなくなれば、アジアで確実にヘゲモニーを掌握するであろう中国は、タリバン様々というパラドックスになる。
中国はタリバンにミサイルを売り、98年と01年の米艦からアルカィーダ軍事基地へのトマホーク攻撃の時は不発弾のトマホークをタリバンから買い、タリバン統治下では軍の光ファイバー通信網の工事を請け負い、そして現在の戦争事態もなんのその、アフガニスタン最大の銅鉱山開発に乗り出した。
◎◎◎
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
勇敢だった英傑らの判断力と生き様を描く
亡国政権を日々目撃していると、過去の日本とは別の国になったようだ
♪
中村彰彦『名将と名臣の条件』(中央公論新社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
日本に「異星人」の政権が誕生したタイミングで本書を読むと、わが日本の過去の英傑たちが、いかに勇断に溢れ、精神力にみち、勇気に冨み、怯懦を恥じ、死を恐れずに難局に対処したか、武士道であれ、それが近代化された日本人の道徳教育であれ、教育勅語の精神は日清戦争、日露戦争を勝利に導いた史実が対照的に浮かんでくる。
いまの政治家にこぞって本書を読ませたい、と思った。
というのも政治家は死を懼れてはいけないからだ。戦後日本政治は、というより日本人全体が生命よりも尊い価値があるということを忘れ、霊魂の不滅を信ぜず、したがって特攻隊は犬死にと総括されるようになり、三島由紀夫事件は風化し、異星人が天下を壟断しようとしても命を張って阻止する烈士はでてこない状況となった。
外国の買弁マスコミが大手を振るって嘘放送を繰り返し、国民を洗脳し、ついに亡国寸前の状況が生まれた。日本人が戦後、「死」から逃げたからである。
伊藤博文も井上馨も英国留学中に祖国の危機を知り、ロンドンから急遽もどって長州藩の藩論は誤りと説得して「開国」を説いた。教条主義に洗脳された藩士の襲撃にあってふたりは瀕死の重傷を負うが、それでもひるまずに闘った。のちに伊藤は総理となり、井上は大蔵卿となり、そして伊藤はハルビンで暗殺される。
それが政治である。
本書の特色はいくつか羅列することが出来るが、第一に教科書に出てこない人々が、いかに時代を懸命に生きたかの人生訓を行間に含んでいる。とくに東郷平八郎が自由社、扶桑社版いがいの歴史教科書から消えているのはなんたることだろう。乃木将軍も楠木正成も登場せず、建武の中興は「建武の新政」と呼称されるにいたる。
中村は歴史の埋もれた英傑を捜し当てて資料を克明に渉猟したのちに浪漫に満ちた物語を描き出す作家だが、島村速雄、伊藤祐享、立見尚文、秋山真之といった明治の激動期の凄まじき男たちの闘いを今日どれほどの日本人が知っているのだろう。
というわけで評者(宮崎)は、つい本書を鳩山ボーフラ政権と比較しつつ、大きな溜息を何度もつきながら読んだのでした。
▽
~~~~~~~~~~~~~~~~~
(おしらせ)
三島由紀夫研究会「公開講座」(第234回)のご案内
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
とき 9月28日(月曜) 午後六時半
ところ 市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」(私学会館)四階会議室
http://www.all.co.jp/stay/tokyo/arcadiamap.html
講師 河内孝(元毎日新聞中部本社代表、ジャーナリスト)
http://www.shinchosha.co.jp/book/610325/
演題 「青嵐会と三島由紀夫」
会費 おひとり2000円(会員&学生1000円)。
(かわちたかし氏は慶応大学卒業後、毎日新聞政治部、ワシントン支局長などを経て中部本社代表。『新聞社 破綻したビジネスモデル』(新潮新書)はベストセラーに。最新作『血の政治 青嵐会という物語』(同)では、改憲を誓って結盟した政策グループ『青嵐会』の誕生秘話から、「真夏の通り雨」のように消え去って、中川一郎自裁にいたる軌跡を追求され、なかでも三島由紀夫の思想的影響力がどれほどのものだったかを振り返ります)。
▲どなたでも予約なしでご参加いただけます!
(三島研究会事務局)
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<<<<<<<<<<<<<< みしま >>>>>>>>>>>>>>>>
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♪
(読者の声1)「中華人民共和国建国60周年に抗議する三民族連帯集会&デモ」があります。三民族とは、ウィグル・チベット・モンゴルです。
60年前の建国前後に中華人民共和国の軍事侵攻を受けたチベット・南モンゴル(内モンゴル)・ウィグル(東トルキスタン)、これらの地域に住む人々は漢民族とは異なった民族であり、独自の言語、文化、歴史を持っています。しかし近代以降、中国は「密接不可分の一部」であると主張し、不当に占拠しました。
そして60年の時を経て、今まさに民族としての生命が絶たれようとしています。
自民族の言語による教育、宗教活動が制限され、民族の文化・歴史も否定され、中国への同化政策の最終段階にあります。
しかし、民族自決は国連憲章に明記された21世紀の現在を生きる人類すべての普遍の権利であると私たちは信じています。そして国連常任理事国である中国は国際人権規約を遵守し、世界に広げていく役割を担うべきです。しかし、実際には、その中国国内において、人々の人権は著しく制限され続けています。
この60年間にわたる中国政府の「少数民族政策」は完全に失敗でした。中国共産党がデモなどの政治活動に携わった人々を数十年の禁固刑や死刑としてきても、なお、各民族が彼らの人生と生命を代償として抗議行動を続けていることを見れば、この事実は明白です。今後、中国共産党がどのような経済政策を実施しようとも、どのような武力制圧を行おうとも、中華人民共和国の統治の下に生きる人々の自由への希求を止めることも、人々の権利を奪い去ることも、永遠に叶わないであろうと考えます。
私たちは、中国国内における人権抑圧に抗議します。そして、人類普遍の権利が、三民族をはじめ、中華人民共和国の統治の下で生きる全ての人々に等しく与えられることを願い、その実現のために行動しなければならないと考えています。
中国政府による残酷な民族政策を止めさせるためには、三民族が合同して立ち上がらなければならないという強い危機感の下、三民族合同の抗議集会とデモを行いたいと思います。 みなさまのご協力とご参加をよろしくお願い致します。
日時:平成21年9月26日(土)12:00 集会
13:00 デモ行進 14:00 解散
デモコース:港区六本木三河台公園(六本木4-2-27)~ 笄(こうがい)公園(港区西麻布3-12)
交通: 三河台公園は、東京メトロ・日比谷線、大江戸線「六本木駅」から徒歩10分、 南北線、「六本木一丁目」から徒歩15分
主催: 三民族連帯集会実行委員会
Website : http://3natioco.web.fc2.com
e-mail : 3natioco@gmail.com
参加団体:日本ウィグル協会、チベット問題を考える会、チベット青年会議日本支援委員会、日本チベット友好協会、内モンゴル人民党、モンゴル自由連盟党、台湾研究フォーラム、在日台湾人アジア人権研究会、
♪
(読者の声2)民主党政権になったとたんに首相官邸のHPから日本国旗が消えてしまっています。
それどころか、以前のページにはトップから北朝鮮のミサイル・核問題への対応や天皇陛下御在位20年等のページリンクがありましたが、一切無くなっています。
前 http://s03.megalodon.jp/2009-0916-1822-00/www.kantei.go.jp/
後 http://s02.megalodon.jp/2009-0916-2356-27/www.kantei.go.jp/
こんなところからも、やはりこの政権は一体どこの国の政権なんだろう?と思ってしまいます。
(YT生)
(宮崎正弘のコメント)カンというサヨクがなんとか戦略大臣だそうですが、君が代を歌わないひとです。法律で明記された以上、必要とされる儀式で国歌を歌わない閣僚は法律違反で処罰の対象ではありませんか?
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< 宮崎正弘の近刊 >
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
18日 全国主要書店一斉発売
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「中国の近未来をいま一度考えてみると、これまでの固定概念的な地方軍閥、地域対立、王朝の腐敗、衰退という文脈から分裂に至るというシナリオは遠のき、むしろ現代中国に拡がった新しい空間、すなわちネットにおける反政府言論というゲリラ戦争、イスラムの思想的連帯という見えない武装戦争、利権争いの集大成としての個別経済ブロック化、他方ではグローバル化に波に乗った資産の海外逃亡などが次の舞台の開幕を告げるであろう」(あとがきより)。
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%88%86%E8%A3%82-%E4%B8%83%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1-%E5%AE%AE%E5%B4%8E%E6%AD%A3%E5%BC%98/dp/4484092344/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1253137807&sr=1-1
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(石平氏との共著、980円。ワック文庫)
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◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
平成21年(2009年)9月17日(木曜日)参
通巻第2717号
西側からの援助はアフガニスタンの部族社会の闇に消えた
タリバンは一日8ドルで即席の兵隊を調達しているに過ぎない
********************
アフガニスタンの大統領選挙、投票率38%(前回は70%)、開票がおくれ、投票から一ヶ月以上が経過したのに、まだ当選が決まらない。
おそらくカルザイ大統領の再任となるだろうが、評判が凄まじいほどに悪いのは何故か。
言うまでもなく汚職、諸外国からの援助の私物化。一族だけを要職に就け、利権を独占していることへの国民多数派からの怨嗟である。
そのうえ部族対立というアフガニスタンの社会構造の揺るがぬ基層がある。
▲「北部同盟」もマスード暗殺後、腐敗は酷くなっていた
英米は反ソ戦争で80年代に「北部同盟」を支援した。この縁が重なって北部同盟の本質であるタジク人優先構造が尾を引く結果となった。タジク優先に反対するタリバンの多くはパシュトンと見られるからだ。アフガニスタンはパシュトンが半数近く、タジクは二割いるか、いないか。残りはウズベク、ハザラ人ほか多数の少数民族からなる。
たとえばアフガニスタン軍の構成である。
副大統領候補のファヒム将軍はもっとも評判が悪いが、マスード司令官の後継と目されたこともあるタジク人だ。
彼が退いてもタジク人の部下らが国防省を牛耳ることにかわりがない。軍幹部の殆どはタジク人(北部同盟)が掌握し、軍人の70%がタジク人で成立している。
「もしカルザイが再選されたら、躊躇なくタリバンに走る」と選挙中、南部を取材した欧米ジャーナリストやNGO関係者が証言している。カルザイはパシュトンだが、タジクの軍事力を計測し、かれらと妥協して政権の綱渡りをしているに過ぎない、と。
そればかりではない。『アフガニスタンの闇』を書いたセリグ・ハリソンに依れば、「軍のみならす警察、検察、司法もタジクが牛耳る。だからタリバンというのは反米の神学生と定義するのは危険である。そうではない。パシュトンで反カルザイ、基本に流れるのは“反「北部同盟」感情”だ」。
現場から帰ったアメリカ人の証言も出そろった。
「失業が最大のポイントでタリバンやアルカィーダは失業の若者に一日八ドルで即席兵士を雇用している。つまり”フリーターのタリバン!”(ラルフ・フォペズ「NGOアフガンに職を!」の創設者)。
目前の小銭で俄兵士が調達できる。そんなのを相手に米国は年間500億ドルを費消している。
▲行政が機能していないのに「機能している振り」を演じているカルザイ大統領
アフガニスタンの大統領選挙はむろん不正が横行し、十八歳以下でも年齢をいつわって投票した。
南部ではタリバンは投票をボイコットしたが、「カルザイ一族が任命した教師は、生徒全員にカルザイと書かせ、十八歳以下を大量に動員した。もっとも戸籍がない国だから投票なんてどうにでも操作できる。五年前にはイランとパキスタンに逃れた難民にも投票権があった。今度は投票できなかった」(ハジナ・シージャン、NGO「アフガンに学校を」の代表、在米)
ましてカブールのインテリは殆どが棄権した。
インテリ層と学校卒の若者はパキスタンやイランへ就労の機会をもとめ、アフガニスタンを去った。
「選挙は舞台裏で『ボス交』があり、はじめからカルザイにきまってら。選挙は茶番さ」(ミルワザ・アーマドザイ、「人権監視団体」幹事)。
アフガニスタン政府というが「政府」は名前ばかり、やっていることは汚職、利権あさりと権力の乱用。西側の援助はどぶに捨てるのと同じであると現場をみてきたアメリカ人は言う。
「カルザイ政権と連立する政党、団体をのぞけば、残りはタリバンだ」(ジョセフ・キーンズ・グッドウィン前NATO特別補佐官、ヘラルドトリビューン、9月17日)。
政府なるものは行政的にまったく機能しておらず、「学校も道路も病院も、そのための援助が来ているのに巨額は闇に消えていつまで待っても学校も道路も出来ないのさ」と農民も失業者も口を揃えてアフガニスタン政府を批判している。
それを支えてきた英米を暗に非難している。
▲泥沼から米国は這い上がれるのか?
アフガニスタンは人口3300万人、このうち300万前後がイランとパキスタンに難民として住み着いている。
アフガニスタンは34県、398郡、34000の村々から成立する部族国家。それこそ村が違えば、おなじ言語体系でも方言が違い、行政単位の郡が違えば民族が混在し、県が違えば民族が違うから言語が根本的に違うモザイク状態。
識字率は世界最低レベル。
それでも大部隊増派を謳うオバマ米国大統領は日本の鳩山某と同じで国際情勢に殆ど無知のようである。
なぜか。
戦略的にみれば、米国は01年911のテロ事件いらい、イラクを含めての『反テロ』戦争に年間7000億ドルを国防費に回してきた。従来の平均が年間4000億ドルだから、過去八年で余計な金を年平均3000億ドルとおおざっぱに捉えても、合計2兆4000億ドル使った計算になる。
つまりそれだけ赤字国債が増え、それを中国と日本とサウジが購入してきた。
そして米国は経済のみかわ軍事力を弱体化させ、精神を萎縮させた。
これで米軍が世界の警察官として、アジアに自由に展開する軍事的余裕がなくなれば、アジアで確実にヘゲモニーを掌握するであろう中国は、タリバン様々というパラドックスになる。
中国はタリバンにミサイルを売り、98年と01年の米艦からアルカィーダ軍事基地へのトマホーク攻撃の時は不発弾のトマホークをタリバンから買い、タリバン統治下では軍の光ファイバー通信網の工事を請け負い、そして現在の戦争事態もなんのその、アフガニスタン最大の銅鉱山開発に乗り出した。
◎◎◎
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勇敢だった英傑らの判断力と生き様を描く
亡国政権を日々目撃していると、過去の日本とは別の国になったようだ
♪
中村彰彦『名将と名臣の条件』(中央公論新社)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
日本に「異星人」の政権が誕生したタイミングで本書を読むと、わが日本の過去の英傑たちが、いかに勇断に溢れ、精神力にみち、勇気に冨み、怯懦を恥じ、死を恐れずに難局に対処したか、武士道であれ、それが近代化された日本人の道徳教育であれ、教育勅語の精神は日清戦争、日露戦争を勝利に導いた史実が対照的に浮かんでくる。
いまの政治家にこぞって本書を読ませたい、と思った。
というのも政治家は死を懼れてはいけないからだ。戦後日本政治は、というより日本人全体が生命よりも尊い価値があるということを忘れ、霊魂の不滅を信ぜず、したがって特攻隊は犬死にと総括されるようになり、三島由紀夫事件は風化し、異星人が天下を壟断しようとしても命を張って阻止する烈士はでてこない状況となった。
外国の買弁マスコミが大手を振るって嘘放送を繰り返し、国民を洗脳し、ついに亡国寸前の状況が生まれた。日本人が戦後、「死」から逃げたからである。
伊藤博文も井上馨も英国留学中に祖国の危機を知り、ロンドンから急遽もどって長州藩の藩論は誤りと説得して「開国」を説いた。教条主義に洗脳された藩士の襲撃にあってふたりは瀕死の重傷を負うが、それでもひるまずに闘った。のちに伊藤は総理となり、井上は大蔵卿となり、そして伊藤はハルビンで暗殺される。
それが政治である。
本書の特色はいくつか羅列することが出来るが、第一に教科書に出てこない人々が、いかに時代を懸命に生きたかの人生訓を行間に含んでいる。とくに東郷平八郎が自由社、扶桑社版いがいの歴史教科書から消えているのはなんたることだろう。乃木将軍も楠木正成も登場せず、建武の中興は「建武の新政」と呼称されるにいたる。
中村は歴史の埋もれた英傑を捜し当てて資料を克明に渉猟したのちに浪漫に満ちた物語を描き出す作家だが、島村速雄、伊藤祐享、立見尚文、秋山真之といった明治の激動期の凄まじき男たちの闘いを今日どれほどの日本人が知っているのだろう。
というわけで評者(宮崎)は、つい本書を鳩山ボーフラ政権と比較しつつ、大きな溜息を何度もつきながら読んだのでした。
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(おしらせ)
三島由紀夫研究会「公開講座」(第234回)のご案内
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とき 9月28日(月曜) 午後六時半
ところ 市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」(私学会館)四階会議室
http://www.all.co.jp/stay/tokyo/arcadiamap.html
講師 河内孝(元毎日新聞中部本社代表、ジャーナリスト)
http://www.shinchosha.co.jp/book/610325/
演題 「青嵐会と三島由紀夫」
会費 おひとり2000円(会員&学生1000円)。
(かわちたかし氏は慶応大学卒業後、毎日新聞政治部、ワシントン支局長などを経て中部本社代表。『新聞社 破綻したビジネスモデル』(新潮新書)はベストセラーに。最新作『血の政治 青嵐会という物語』(同)では、改憲を誓って結盟した政策グループ『青嵐会』の誕生秘話から、「真夏の通り雨」のように消え去って、中川一郎自裁にいたる軌跡を追求され、なかでも三島由紀夫の思想的影響力がどれほどのものだったかを振り返ります)。
▲どなたでも予約なしでご参加いただけます!
(三島研究会事務局)
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(読者の声1)「中華人民共和国建国60周年に抗議する三民族連帯集会&デモ」があります。三民族とは、ウィグル・チベット・モンゴルです。
60年前の建国前後に中華人民共和国の軍事侵攻を受けたチベット・南モンゴル(内モンゴル)・ウィグル(東トルキスタン)、これらの地域に住む人々は漢民族とは異なった民族であり、独自の言語、文化、歴史を持っています。しかし近代以降、中国は「密接不可分の一部」であると主張し、不当に占拠しました。
そして60年の時を経て、今まさに民族としての生命が絶たれようとしています。
自民族の言語による教育、宗教活動が制限され、民族の文化・歴史も否定され、中国への同化政策の最終段階にあります。
しかし、民族自決は国連憲章に明記された21世紀の現在を生きる人類すべての普遍の権利であると私たちは信じています。そして国連常任理事国である中国は国際人権規約を遵守し、世界に広げていく役割を担うべきです。しかし、実際には、その中国国内において、人々の人権は著しく制限され続けています。
この60年間にわたる中国政府の「少数民族政策」は完全に失敗でした。中国共産党がデモなどの政治活動に携わった人々を数十年の禁固刑や死刑としてきても、なお、各民族が彼らの人生と生命を代償として抗議行動を続けていることを見れば、この事実は明白です。今後、中国共産党がどのような経済政策を実施しようとも、どのような武力制圧を行おうとも、中華人民共和国の統治の下に生きる人々の自由への希求を止めることも、人々の権利を奪い去ることも、永遠に叶わないであろうと考えます。
私たちは、中国国内における人権抑圧に抗議します。そして、人類普遍の権利が、三民族をはじめ、中華人民共和国の統治の下で生きる全ての人々に等しく与えられることを願い、その実現のために行動しなければならないと考えています。
中国政府による残酷な民族政策を止めさせるためには、三民族が合同して立ち上がらなければならないという強い危機感の下、三民族合同の抗議集会とデモを行いたいと思います。 みなさまのご協力とご参加をよろしくお願い致します。
日時:平成21年9月26日(土)12:00 集会
13:00 デモ行進 14:00 解散
デモコース:港区六本木三河台公園(六本木4-2-27)~ 笄(こうがい)公園(港区西麻布3-12)
交通: 三河台公園は、東京メトロ・日比谷線、大江戸線「六本木駅」から徒歩10分、 南北線、「六本木一丁目」から徒歩15分
主催: 三民族連帯集会実行委員会
Website : http://3natioco.web.fc2.com
e-mail : 3natioco@gmail.com
参加団体:日本ウィグル協会、チベット問題を考える会、チベット青年会議日本支援委員会、日本チベット友好協会、内モンゴル人民党、モンゴル自由連盟党、台湾研究フォーラム、在日台湾人アジア人権研究会、
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(読者の声2)民主党政権になったとたんに首相官邸のHPから日本国旗が消えてしまっています。
それどころか、以前のページにはトップから北朝鮮のミサイル・核問題への対応や天皇陛下御在位20年等のページリンクがありましたが、一切無くなっています。
前 http://s03.megalodon.jp/2009-0916-1822-00/www.kantei.go.jp/
後 http://s02.megalodon.jp/2009-0916-2356-27/www.kantei.go.jp/
こんなところからも、やはりこの政権は一体どこの国の政権なんだろう?と思ってしまいます。
(YT生)
(宮崎正弘のコメント)カンというサヨクがなんとか戦略大臣だそうですが、君が代を歌わないひとです。法律で明記された以上、必要とされる儀式で国歌を歌わない閣僚は法律違反で処罰の対象ではありませんか?
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< 宮崎正弘の近刊 >
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
18日 全国主要書店一斉発売
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「中国の近未来をいま一度考えてみると、これまでの固定概念的な地方軍閥、地域対立、王朝の腐敗、衰退という文脈から分裂に至るというシナリオは遠のき、むしろ現代中国に拡がった新しい空間、すなわちネットにおける反政府言論というゲリラ戦争、イスラムの思想的連帯という見えない武装戦争、利権争いの集大成としての個別経済ブロック化、他方ではグローバル化に波に乗った資産の海外逃亡などが次の舞台の開幕を告げるであろう」(あとがきより)。
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実――日本人は中国人のことを何も分かっていない』
(石平氏との共著、980円。ワック文庫)
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
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