3党連立合意について、各紙社説を見てみる。◎世界の新聞「101紙」の視点
独断と偏見はご容赦!
【最近の社説の、ここに注目】
3党連立合意について、各紙社説を見てみる。
朝日。
『衆院では圧倒的多数を手にした民主党だが、参院では過半数に少し足りない。
予算や法律をスムーズに成立させるために社民、国民新両党の協力を取りつけ、安定した政権基盤を築こうということである。』
『社民、国民新の両党にとっては、そんな民主党の事情を利用して、自らの主張を新政権で少しでも実現させようということだろう。総選挙前から連立を前提に共通政策を掲げてきた以上、連立合意は自然な流れではある。』
『ただ、両党と民主党との議席数の差はあまりにも大きい。連立内閣が総選挙で圧倒的な支持を得た民主党の主導で動いていくのもまた当然である。』
『総選挙で示されたのは、政権交代を望む民意の熱いうねりだ。社民、国民新の両党もそう主張して現在の議席を得た。』
『つまり、政権交代で誕生する新政権を維持し、国民の期待に応えられるように運営していく責任も両党は担うということだ。』
『むろん、党が違うのだから、すべての意見が一致するわけはない。(中略)
現実的な対応策を示さねばならない。それが野党時代とは違う「政権党」としての義務である。その自覚を社民、国民新の両党には持ってもらいたい。』
『その意味で、入閣する両党首が加わる「基本政策閣僚委員会」を内閣に設け、3党協議の場とすることにしたのはよかった。意思決定は内閣に一元化するという民主党の原則が貫かれた。』
『期待したいのは、民主党の議員たちとは違う「目」を政権のなかで利かせることだ。』
『民意は必ずしも民主党の政策を全面支持しているわけではない。(中略)両党が政権に入ることで政策がより複眼的になれば、有権者の期待に応えることにもなろう』
『民主党も巨大議席に慢心せず、聞く耳を持つ態度を求めたい。』
『政策協議では、外交・安全保障を中心に3党の主張がぶつかったが、最後は抽象的な表現で折り合った。まずは連立政権発足を優先した結果である。』
『今後、具体的な政策課題で結論を迫られる時に、対立が再燃する可能性もある。それをどう克服していくか。この連立の意味はそこで試される。』
産経。
『連立政権は日本の平和と安全、さらには繁栄を守り抜く責任がある。それには基軸である日米同盟関係を揺るがすことがあってはなるまい。』
『今回の合意は連立政権樹立を優先させることで、結果的に反米色が抑えられたものの、同盟関係が円滑に維持できるかに関しては疑問を提起せざるを得ない。』
『インド洋の海上自衛隊による補給支援活動を終了させる方針には(中略)
具体的な代替案は示されていないが、日本がテロとの戦いから直ちに離脱しないとの意思を示唆したものとも受け止められる。』
『鳩山由紀夫代表は、オバマ米大統領との会談で、これまでの政策を点検する意向を示しているが、信頼関係を構築できる具体案を示すべきだ。』
『政権協議の過程で、(中略)最終的には米軍再編や米軍基地のあり方について「見直しの方向で臨む」との表現で落ち着いたとはいえ、長年の日米交渉の成果を覆すことは現実的ではない。』
『日米同盟の維持・強化が必要な国際情勢を認識してほしかった。』
『郵政民営化問題では、(中略)「官から民へ」の流れを止めてしまう見直しは許されない。連立政権の改革姿勢が問われる課題である。』
『新たな政策調整が必要な場合は3党党首クラスの「基本政策閣僚委員会」で協議することにしたが、迅速な政策決定を妨げる存在となってはならないだろう。』
東京。
『合意文書は抽象さが否めない。火種は、やはり残る。』
『週末を挟んでほぼ一週間をかけた三党の連立協議は、いずれ合意は成るはず、と見られていたせいか、もう一つ切迫感を欠いた。』
『とはいえ事前に想定されたように民主と社民両党の間で協議が難航したのが、外交や安全保障に関係する文言だった。』
『ひとことで言えば、実際に政権を担当して、日米外交も無難にスタートさせたい民主の側の「現実路線」傾斜と、社会党時代の自民党との連立で安保論でも変節を強いられたトラウマ(心的外傷)が残り、簡単に譲歩はしたくない社民側の「意地」の衝突である。』
『少数党として社民は、政策決定への影響力確保へ担保を主張し、内閣への一元化を原則に譲らなかった民主をいら立たせている。巨大に膨れ上がった民主の影に埋没するのを恐れてのことだろう。』
『一方、ゆうちょ銀行、かんぽ生命株式などの売却凍結といった合意を踏まえて国民新は早々に連立参加を決めていた。』
『社民を加えた連立与党は衆参両院ともに過半数を確保する。多数派が衆参で異なる、安倍政権下の一昨年夏から続いていた「ねじれ」状況は、ようやく解消されることになる。』
『新政権を待ち受ける国会の波乱要因は当面摘み取られる形だが、大ざっぱな文言に覆われた。』
『具体テーマに上る度に、あらためて対応の詰めを必要とする場面がくるのは避けがたいだろう。』
『連立参加の社民は、来年夏の参院選で少なくとも現有勢力を維持するようでないと存在の意味がなくなる。国民新も同様だ。』
『民主の側にはもう、参院の単独過半数を実現すれば両党への遠慮は無用だとの声がある。』
『三党の党首クラスが調整を要する重要政策について協議する「閣僚委員会」の具体像もはっきりしていない。合意はひとまずは成った。が、安定感にはまだ程遠い。』
日経。
『一連の協議では基本政策をめぐる立場の違いが浮き彫りになった。連立が第1党である民主党の政策決定のぶれや遅れにつながらないよう、十分に配慮した運営が必要になる。』
『最終的に地位協定は(中略)、社民党へ配慮がにじんだ。基地問題は(中略)
民主党のマニフェスト(政権公約)を踏襲する表現に落ち着いた。』
『連立に参加する以上、社民党がこだわりのあるテーマで発言権の確保を目指して不思議でない。しかし日本外交の基軸は日米同盟だ。』
『同盟関係に直接影響を及ぼす重要課題について、民主党が少数党の主張に引きずられて妥協を重ねるようなことがあれば本末転倒だ。』
『経済政策でも3党の主張は一致しているとは言い難い。』
『景気の先行きがなお予断を許さないなか、調整に手間取り政策運営が遅れると、企業や家計に負の影響を及ぼしかねない。国民生活という基本を忘れてはならない。』
『郵政民営化への対応も極めて問題点が多い。』
『国民新党の要求に引きずられた面はあるにしろ、民主党は今回の衆院選で郵政事業について明確な将来像を示してはいない。』
『民主党内では「官製金融」を民営化する方向そのものは評価する声も根強い。問題点を整理しないまま、時間を逆戻りさせる議論には疑問を禁じ得ない。』
『社民、国民新両党が求めた与党の協議機関について、党首級が入閣して閣僚委員会で議論する方向となった点は評価したい。民主党が掲げる「内閣の下の一元的な政策決定」という目標に沿った決着といえる。』
『3党が緊密に連携し、有権者の期待に応える体制を早く国民に示してほしい。』
毎日。
『協議は(中略)、内閣に一元化する政策決定の仕組みも含め、ほぼ民主党のマニフェストに沿った内容となった。おおむね妥当な合意だろう。』
『ただし、課題も残った。やはり民主、社民両党間のネックは安全保障問題だということだ。(中略)
当初から目指す方向性は大きくは違っていないにもかかわらず合意には手間取った。』
『社民党内には連立政権の中で埋没しかねないとの懸念がある。だが、(中略)
仮に存在感をアピールすることだけを目的にするのであれば国民の理解は得られない。』
『先の衆院選は民主党が圧勝したというのが民意であり、議席数には大きな差がある。』
『無論、民主党は連立政権を組む以上、連立相手の声に十分耳を傾けなければならないが、社民党も今後、抑制的な対応が必要となる。』
『一方、国民新党が最優先する郵政事業の見直しでは、(中略)
今の4分社化を見直すとはいうものの、これも具体的には今後の作業だ。』
『細川政権以降、今の自・公政権まで、日本の政治は一時期を除いて連立時代が続いてきた。』
『しかし、与党内調整に時間がかかり過ぎる一方、各党の主張を「足して2で割る」手法で決着して政策が中途半端になったり、まとまらない難問は先送りする例も多かった。』
『政策の実行にスピードも要求される時代だ。』
『民主党は首相直属の機関として新設する国家戦略局を政策決定の中心とし、今回の合意では3党の意見調整も内閣の中に置かれる「基本政策閣僚委員会」が担当することになった。』
『政府と与党の二元的行政を排し、内閣主導を進める仕組みは一応整ったことになる。これがうまく機能するかどうかが政権運営のカギを握るだろう。』
『3党合意文書の冒頭には「政権交代という民意に従い、国民の負託に応える」とある。今後もことあるたびにそれを確認し、政権運営を進めてもらいたい。』
『期待されているのは何を具体的に変えてくれるかだ。それができなければ待っているのは「しょせん数合わせ」の批判である。』
読売。
『焦点の外交・安全保障政策では、社民党の求める「米軍再編や在日米軍基地のあり方の見直し」や「日米地位協定の改定の提起」が盛り込まれた。』
『民主党は難色を示していたが、国民新党も社民党に同調し、押し切られた。』
『鳩山内閣は対米外交で、この連立合意に一定の縛りを受ける。将来の火種となりかねない。』
『米政府は、日米が合意した海兵隊普天間飛行場の沖縄県内移設計画の再交渉に応じない立場だ。沖縄県も、計画の微修正を求めつつ、飛行場の早期返還を優先して県内移設自体は容認している。』
『現実的な代案もないまま、米側も地元自治体も納得している計画の見直しを提起することが、政府として責任ある態度だろうか。日米同盟の信頼関係も傷つく。』
『民主党は今後、連立政権の維持を優先するあまり、国家の基本にかかわる外交・安保政策などで、社民党に安易に妥協することを繰り返してはなるまい。』
『民主党は、給油活動の代案としてアフガニスタンへの人道復興支援の増額などを検討している。』
『だが、海自の人的支援とアフガンへの資金支援は本来、「車の両輪」だ。人的支援がなくなることは、日本の国際協調行動の大きな後退を意味する。民主党は、海自の撤退を再考すべきだ。』
『連立協議では、社民党が求めていた与党の政策協議機関の代わりに、政府内に3党の党首級協議機関を設けることでも一致した。』
『政権内での発言権を確保したい社民党と、政策決定に与党が関与せず、内閣に一元化する体制を目指す民主党の折衷案である。』
『今後、懸念されるのは、社民、国民新両党が存在感を示そうとして、独自の主張に固執し、政権を混乱させる事態だ。過去の連立政権でも、少数党が多数党を振り回した例が少なくない。』
『社民党は「3党の対等な立場」を強調する。だが、(中略)衆院選の獲得議席数を踏まえれば、その主張には無理があろう。』
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不安視しているという点では、どの新聞も一致している。
その中でも特に、右系の新聞では、日米同盟を懸念しているようだ。
『先の衆院選は民主党が圧勝したというのが民意であり、議席数には大きな差がある』
『社民党も今後、抑制的な対応が必要となる』
(以上、毎日紙)
『社民党は「3党の対等な立場」を強調する。だが、(中略)衆院選の獲得議席数を踏まえれば、その主張には無理があろう』(読売紙)
上記の見解。
左系・右系関係なく同じような主張となっているのが興味深い。
「あまり民意を得ていない社民党は控えるべき」というところだろうか。
『新政権を待ち受ける国会の波乱要因は当面摘み取られる形だが、大ざっぱな文言に覆われた』
『具体テーマに上る度に、あらためて対応の詰めを必要とする場面がくるのは避けがたいだろう』
以上の、東京紙の一節に共感する。
実際、たとえばインド洋における海上自衛隊による補給支援活動など、どうするのだろう。
終了か、延長か、何らかの代替案を出すのか、その時になって、もめたりしないのだろうか。
同じく東京紙の、
『連立参加の社民は、来年夏の参院選で少なくとも現有勢力を維持するようでないと存在の意味がなくなる。国民新も同様だ』
『民主の側にはもう、参院の単独過半数を実現すれば両党への遠慮は無用だとの声がある』
との一節は、穿った見方をすれば、「東京紙の願望」とも受け取れる。
「船頭多くして船山に登る」ことにならなければいいのだが。
(桐鳳)
【編集後記】
ビートルズのアルバムをデジタル技術で高音質処理した、リマスター盤が発売
されました。
http://tinyurl.com/mevdof
私は、その世代ではありませんが、ビートルズの曲が大好きです。
ちなみに、「音楽界の3大B」といえば、
「バッハ」「ベートーベン」「ブラームス」
ですが、私にとっての3大Bは、
「バッハ」「ビートルズ」「ビリージョエル」
ということになります。
上記リンク先だと、他で買うより比較的安く、それぞれのアルバムに関する
ミニ・ドキュメンタリーを収録したDVD付きだとのこと。
しかし、初回入荷分は完売。
現在は、第2次予約を受付中とのことです。
やっぱり、人気があるんですね。
う~ん…、ほしい!
買うにあたっては、ビートルズに全く興味のない、ウチの連れ合いを説得する
必要があるのですが…。
(桐鳳)
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