村上龍氏「日本は大人になる憂鬱を味わっている」
村上龍氏「日本は大人になる憂鬱を味わっている」 政権交代で米紙に寄稿
【ニューヨーク=松尾理也】作家の村上龍氏は8日付米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、日本の有権者が政権交代にもかかわらず、喜びを爆発させる様子でもないのは、「政府がすべての問題を解決してくれるわけではないということに気付いた」からだと指摘した上で、「日本はようやく成熟しつつある」と変化を前向きにとらえた。
村上氏は、過去の日本では政府があらゆる問題の解決を担ってきたと述べつつ、「今日の政府はもはやすべてを良くするようなカネをもっていない」と分析した。
さらに、地滑り的大勝によって民主党が必要なカネを得るわけでもないとした上で、「日本人は政権交代によって生活が改善されると信じるほど幼稚ではない」と述べた。
村上氏は、日本人はこうした事情を理解しているからこそ、マスコミで紹介される街角の表情が政権交代にもかかわらずどこか暗い印象を与えるのだとし、「だがそれは日本が衰退のふちにあるということを意味するのではない。単に、子供が大人になろうとするときの憂鬱(ゆううつ)な気持ちを味わっているにすぎないのだ」と、肯定的な評価で結んでいる。
9月9日9時8分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090909-00000514-san-pol
2009年9月7日発行
JMM [Japan Mail Media] No.548 Monday Edition
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▼INDEX▼
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
◆編集長から
【Q:1027】
◇回答(寄稿順)
□真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
□中島精也 :伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト
□水牛健太郎 :評論家
□菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
□津田栄 :経済評論家
□北野一 :JPモルガン証券日本株ストラテジスト
□杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
□土居丈朗 :慶應義塾大学経済学部教授
□山崎元 :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
□金井伸郎 :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
■■ 編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■
Q:1027への回答ありがとうございました。総選挙の結果と政権交代について、ニューヨークタイムス紙から原稿の依頼を受けました。「掲載するかどうかは内容を見て決めたいが、それでも書いていただけるだろうか」ボツにすることもありうるが、というような依頼の仕方は日本の新聞などではあり得ないことですが、編集方針と内
容がフィットしなければ掲載しないというのはいさぎよい感じがして嫌いではありません。政権交代にともなう日本社会のムード、というのがテーマでした。
わたしは、ほかの仕事があってあまり時間がなかったのですが、前に某月刊誌に書いた政治に関するエッセイに少し加筆すればいいかと簡単に考えて承諾しました。でも、月刊誌のエッセイは、当たり前ですが日本人に向けて書いたもので、これではダメだ、と気づき、画期的な政権交代が起こるわけだが大半の日本人は興奮していないし、依然どこか憂うつなままだ、という印象を書くことにしました。それで、字数の制限もあって、自民党の凋落と民主党の簡単な歴史みたいな記事を書いたのですが、もっと具体的な人々のムードを書いて欲しい、というリクエストがあって、改稿しました。
民主党が最初に対峙する重要なイシューとして、新型インフルエンザについて、国産のワクチンが足りないことと、海外の製薬メーカーとの「免責条項」を巡る問題を書いたのですが、厚労省の対応を書いても「まったく理解できない」という反応がありました。日本社会とメディアが、副作用と薬害を混同する傾向を持っている例としてタミフルを挙げたのですが、「どうしてそんな非合理なことが代表的先進国である日本で起こるのか、まったくわからない」と、理解されませんでした。
結局、数日間メールと電話でやりとりをして、何とか草稿は完成したのですが、良い経験になりました。ニューヨークタイムスとしては、民主党政権が発足することで日本人がエキサイトしていると予想していたようです。オバマ新政権発足時の熱狂と比べると、違いがはっきりしますが、歴史的な政権交代だというのに、騒いでいるのはマスメディアだけで大半の日本人はどこか覚めているような感じがします。ひょっとしたら歴史的な変化などもう起きないのだと、日本人の多くがどこかでそう思っているのかも知れません。ニューヨークタイムスですが、掲載するとしたら今週初めだという知らせが来ました。ただし、まだボツになる可能性は残っているようです。
■次回の質問【Q:1028】
先週、消費者庁が発足しました。消費者、生活者にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
村上龍
■ 村上龍、金融経済の専門家たちに聞く
■Q:1027
7月の完全失業率は過去最悪の5.7%でした。雇用を回復させるためには何が必要なのでしょうか。
※JMMで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
(カット)
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ボツにならなかったようです。