小沢氏の存在抜きでは政権運営できないことが運命づけられた | 日本のお姉さん

小沢氏の存在抜きでは政権運営できないことが運命づけられた

政権基盤強化へ危険な賭け?小沢幹事長

2009/09/03 23:34更新

 民主党の鳩山由紀夫表が小沢一郎代表代行(選挙担当)を幹事長に起用したのは、衆院選での圧勝の功績を高く評価し、引き続き選挙の陣頭指揮に当たらせることで自らの政権基盤を強化するためだ。「小沢チルドレン」の大量当選で308議席に膨れあがった衆院を統率するにも、小沢氏の力に頼らざるを得ない。ただ、小沢氏には、平成5年に発足した細川護煕連立政権を、政府と連立与党の「二重権力構造」で退かせた“前例”があるだけに、鳩山氏は危険な賭けに出たといえる。(加納宏幸)


唐突な出来事だった。3日夜、党本部8階の役員室から出てきた鳩山氏は、待ち構える記者団に、「今から小沢さんに来てもらいます」と漏らした。トイレから戻った鳩山氏は、確認を求める記者団に「小沢代表代行に幹事長になってもらう」と表明した。

 選挙対策、党運営、国会対策、連立与党との調整-。いずれにおいても鳩山氏の政権運営は小沢氏の存在抜きでは成り立たない。特に政権獲得後、最初の国政選挙となる10月25日の参院静岡・神奈川両選挙区補選や来年7月の参院選は政権の試金石となるため、小沢氏の手腕は不可欠だ。

 ただ、小沢氏の幹事長就任に関し、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で約束した「内閣の下の政策決定に一元化」という政権構想の原則が崩れるとの懸念はつきまとう。

 連立政権協議で社民、国民新両党が求める「与党協議機関」が設置されれば、与党内での小沢氏の権限はさらに強まり、政府を揺さぶりかねない。

 「中野幹事長ショックをはるかに上回る衝撃で、もう放心状態だ」

 小沢氏への幹事長打診を聞いた幹部の1人はこう吐き捨てた。“中野ショック”とは、鳩山氏が平成14年9月、代表選で3選を決めた日に副代表の中野氏を指名して、「旧民社系への論功行賞」と批判された一件だ。求心力を失った鳩山氏は旧自由党との合併騒動もあり、3カ月後に代表辞任に追い込まれた。

 細川政権時代、自民党と旧自由党の自自連立時代など、与党の政策調整で政府に揺さぶりをかけた小沢氏と、常に「人事下手」が指摘される鳩山氏。中堅議員は、「二元支配というパラダイム(一つの考え方)は時代遅れだ」と語る。しかし、今月16日の鳩山政権発足を前に、小沢氏の存在抜きでは政権運営できないことが運命づけられたことだけは間違いないようだ。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/297839/