小沢グループは、選挙前の約50人から150人規模に膨れあがる見通しだ。
「小沢支配」膨らむ懸念…<巨大民主>1
◆308人中、143人が新人◆
「落選した自民党前議員の秘書を急いで雇うと、後で問題になりかねないから、新人議員にはあわてないように指導してほしい」
民主党のベテラン議員は31日、党職員にこう伝えた。
308人の民主党衆院議員のうち、新人は実に143人。党幹部は「議会の仕組みさえよく知らないような素人もいる」と打ち明ける。自民、公明両党に代わって「巨大与党」となる民主党にとって、新人教育は喫緊の課題だ。党執行部は新人を対象にした勉強会の準備などに追われている。
新人の大量当選は、選挙担当の小沢代表代行の手腕に負うところが大きい。
30日深夜、大勝に沸き立つ党の開票センターの控室で、小沢氏は浮かぬ顔だった。愛媛1区で新人の永江孝子氏(比例復活)が自民党の塩崎恭久・元官房長官に競り負けたためで、「永江が負けるとはなあ……」とぼやいた。
多くの新人は、小沢氏が公認調整から選挙態勢づくりまで手がけ、小沢チルドレンと呼ばれる。小沢グループは、選挙前の約50人から150人規模に膨れあがる見通しだ。
◆閣僚・党役員人事が試金石◆
小沢氏が「数の力」を背景に、鳩山政権の運営に強い影響力を発揮するのではないか――。党内外にくすぶる「小沢支配」の懸念。鳩山政権にとって大きな問題だ。鳩山カラーを貫けるかどうか最初の試金石が閣僚・党役員人事だ。
「小沢さんには、『こう致していいでしょうか』と言う必要はない。『こう致しました』でいいんだ」
藤井裕久・党最高顧問は最近、鳩山氏にこう助言した。小沢氏と距離を置く議員も積極的に登用すべきだという勧めだ。鳩山氏の側近はひそかに、「国家戦略局」や「行政刷新会議」などのプラン作りも進めている。
こうした鳩山氏周辺の動きに、小沢氏側近らは「小沢外しではないか」と、不信感を募らせ、「小沢さんに引き続き仕事を頼みたいなら、鳩山さんはまず小沢さんに頭を下げないといけない」との声も出ている。
小沢氏は来年の参院選対策に専念する構えだ。業界の自民党離れを進め、自民党復権を防ぐ狙いから、「最低でも2年間は、民主党政権で予算編成しないといけない」と周囲に漏らす。
しかし、党内基盤を厚くした小沢氏が、自民党を巻き込んだ形で政界再編に動くのではないかと警戒する向きもある。300超の議席は逆に、民主党のアキレスけんになる危険性もはらんでいる。
9月1日3時9分配信 読売新聞
見えてこぬ「国家戦略局」…<巨大民主>2
「小沢支配」膨らむ懸念…<巨大民主>1
「落選した自民党前議員の秘書を急いで雇うと、後で問題になりかねないから、新人議員にはあわてないように指導してほしい」
民主党のベテラン議員は31日、党職員にこう伝えた。
308人の民主党衆院議員のうち、新人は実に143人。党幹部は「議会の仕組みさえよく知らないような素人もいる」と打ち明ける。自民、公明両党に代わって「巨大与党」となる民主党にとって、新人教育は喫緊の課題だ。党執行部は新人を対象にした勉強会の準備などに追われている。
新人の大量当選は、選挙担当の小沢代表代行の手腕に負うところが大きい。
30日深夜、大勝に沸き立つ党の開票センターの控室で、小沢氏は浮かぬ顔だった。愛媛1区で新人の永江孝子氏(比例復活)が自民党の塩崎恭久・元官房長官に競り負けたためで、「永江が負けるとはなあ……」とぼやいた。
多くの新人は、小沢氏が公認調整から選挙態勢づくりまで手がけ、小沢チルドレンと呼ばれる。小沢グループは、選挙前の約50人から150人規模に膨れあがる見通しだ。
◆閣僚・党役員人事が試金石◆
小沢氏が「数の力」を背景に、鳩山政権の運営に強い影響力を発揮するのではないか――。党内外にくすぶる「小沢支配」の懸念。鳩山政権にとって大きな問題だ。鳩山カラーを貫けるかどうか最初の試金石が閣僚・党役員人事だ。
「小沢さんには、『こう致していいでしょうか』と言う必要はない。『こう致しました』でいいんだ」
藤井裕久・党最高顧問は最近、鳩山氏にこう助言した。小沢氏と距離を置く議員も積極的に登用すべきだという勧めだ。鳩山氏の側近はひそかに、「国家戦略局」や「行政刷新会議」などのプラン作りも進めている。
こうした鳩山氏周辺の動きに、小沢氏側近らは「小沢外しではないか」と、不信感を募らせ、「小沢さんに引き続き仕事を頼みたいなら、鳩山さんはまず小沢さんに頭を下げないといけない」との声も出ている。
小沢氏は来年の参院選対策に専念する構えだ。業界の自民党離れを進め、自民党復権を防ぐ狙いから、「最低でも2年間は、民主党政権で予算編成しないといけない」と周囲に漏らす。
しかし、党内基盤を厚くした小沢氏が、自民党を巻き込んだ形で政界再編に動くのではないかと警戒する向きもある。300超の議席は逆に、民主党のアキレスけんになる危険性もはらんでいる。
9月1日3時9分配信 読売新聞
◆「脱官僚依存」◆
民主党は今後、官僚との関係をどう築くつもりなのか。民主党の動向に最も神経をとがらせているのが官僚自身だ。
民主党は衆院選政権公約(マニフェスト)で「政治家主導の政治」を掲げた。政策や予算の優先順位を官僚任せにせず、国民の目線で考えるといううたい文句だ。鳩山氏は衆院選勝利を受けた8月31日未明の記者会見で「脱官僚というのは正確ではない。脱官僚依存と言うべきだ」と説明した。
その推進役となるのが、首相直属の新組織「国家戦略局」だ。従来の党の政策にはなかったが、鳩山氏が5月の代表選公約で掲げた。
国家ビジョンや予算の骨格を策定するというが、その具体像は依然明らかではない。
典型例は、国家戦略局のスタッフに官僚を入れるかどうかだ。
政権公約では「官民の優秀な人材を結集」と明記しており、党内では「各省から民主党の理念、政策に共鳴する官僚を集める」という構想が持ち上がっている。しかし、鳩山氏に近いベテラン議員は「官僚は入れない。予算の骨格を作るにしても、財務官僚など入れる必要はない。財務省に指示すればいいだけだ」と語る。
◆不明確な権限◆
権限も不明確だ。
鳩山氏は衆院選前、「力、権限を与えて、その結論が最終的な意思決定になっていけるような、閣議に匹敵するもの」と説明した。
民主党は、国会で法案を通すには時間がかかるため、政令を根拠に「国家戦略室」としてスタートさせる方針だが、法律に明記しなければ権限が不明確になるとの指摘が強い。
大蔵省OBの藤井裕久最高顧問は31日、国家戦略室のスタッフが各省を指示できるかどうかテレビ番組で問われ、「人の問題だ。国家戦略室に入る人は、各大臣に指示権を持つべきだ。本当の指示権を持たせるには法律の制定が必要だが、実質上、指示できる人をそこに置く」と語った。
自民党政権と長く付き合ってきたある省の幹部はこう懸念する。