農協は日本農業のオジャマ虫 (アジアの街角から)
農協は日本農業のオジャマ虫 ─ hideおじさん
OJIN さんから「日本の農業について一本」というお話を頂きましたが、私にとっては専門外の分野なので、どこまでお話できるか判りませんが、お付き合
いください。
このメルマガ読者にも農業に関わっておられる方、また専門の方がいらっしゃると思いますので、私の話で間違っている点がありましたら、是非訂正して頂ければと思います。ーーーどんどん指摘して頂ければ、私としても勉強になりますので、宜しくお願い致します。
わが国の、カロリーベースの食糧自給率は2000年で40%、穀物自給率に至っては、現在28%まで低下しています。
50年前と比べて食生活も変りましたし、それに伴ってカロリー摂取量も変りました。エンゲル係数も変りました、いろいろな条件が変ってきたのですから単純に自給率だけを見て一喜一憂すべきではないと思います。
しかし、私たちの食糧のほとんどを外国に委ねていることは事実であり、由々しき問題であることには変りありません。
もし輸入がストップしてしまったら、今あるもので食いつないでいかなければならないでしょうから、数字的には自給率100%になるかもしれませんが、飢餓も起こるかもしれません。
ーーーそんな危ない状況にあるのが日本の、特に農業といえると思います。
穀物自給率が28%といいますが、何故このようなことになったのでしょう。
それは、農家の所得向上を名目にして、米価が重点的に引き上げられたからというのがひとつの原因ではないかといわれています。1953年までは、日本の米は国際価格より低かったのですが、今では約800%という関税を掛けなければ価格を守れないところまでいっています。
ひと頃、消費者米価が高いと問題になったことがありましたが、今でも日本人は高い米を食べていることには変りありません。主食が高くなれば、別の穀物に手が伸びるのは当然であり、食事の洋風化というのも大きく影響したでしょう。
それこそ「貧乏人は麦を食え」ということで、米を守って麦を守ることはしませんでした。安い麦が輸入されれば、当然消費は上がり、米の消費は下がります。麦は保護されてませんでしたら、生産農家は苦しくなり、生産を止めることになってしまいました。
もともと150万トンぐらい生産があった麦が、今では20万トンを切っているといわれます。
結局、ウドンやパンなどの原料は全て輸入物になってしまい、穀物自給率が28%という悲惨な結果になっています。
消費が減れば、それに伴って価格も下がるのが「経済の基本」ですが、日本の米の場合は、消費が減っても価格をキープするのに減反という方法をとりました。=少なく作れば価格が維持できるということです。
しかし、消費減がさらに進んだおかげで、いまだに減反を止めません。農家に「仕事するな」という政策が正しいかどうか、問うまでもないでしょう。
消費が減ったら、どのようにして消費を上げるか考えるのが普通ですが、日本の場合、価格はそのままで=高くして)消費だけを増やそうとしています。
まず、安くて美味しい米を作ることを考えるべきなのに、ただ「日本人は米を食べましょう」と言われても、消費が増えるはずなどありません。
結局、減反や生産者米価の調整などで年間6兆円、過剰米処理に3兆円というとてつもない無駄をすることに陥ってます。さらに、米を輸入するということもやってますが、
これはミニマム・アクセス米といわれて、日本への輸入関税を高くしているので云わば懲罰的に強制的に米を輸入させられることになってます。ーーーこの米の輸入と保管、処理によって千億円単位の税金が使われています────。
ーーーこんな、お米もお金もドブに捨てる、ようなことをやっているのが日本の米農政の実体といえるでしょう。
現状を変えるにはどうしたらいいか?
それは「米の価格を下げる」ことに尽きると思います。
米の価格が下がれば、一般消費も上向くでしょうし、家畜の餌用の米、生分解性プラスチックの原料、代替ガソリンエタノール原料などにも転用が可能になります。安くても大量消費ができれば、さらにコスト削減にもなり、利益も上がるでしょう。
何より、国際価格と同じような価格にすれば、無理して米を輸入することもしなくてよくなりますし、無駄な税金を使うこともありません。いざとなったら米を食べて食いつなぐこともできるでしょうし、余れば優秀な日本の米を輸出することも可能です。
食糧に困っている国に安く提供できれば、これも立派な国際貢献となるでしょう。
ーーーこんな、素人が考え付くことすらできないのが今の日本の農業です。
何故なら、米は全て国と農協が押さえているからです。ーーー価格も流通も、全て握られています。
国に保護され、国公認の価格カルテルがあり、農協という巨大なコンツェルンに民間企業が立ち向かうには、あまりにも非力です。独占禁止法にもならない組織、それが農協です。
米の値段を下げたら農家が困窮する、ということを言ってますが、米だけを生産して生活している農家がどれだけいるのでしょう?ーーー今では、ほとんど兼業農家です。収入のほとんどを農業以外で得て、米の生産は土日だけの作業といっても過言でない状況で、本当に困るのかどうか疑問です。
本当に困るのは、真面目に米だけを作っている農家であり、彼らこそ守るべき人たちだと思います。
米価が高く設定されていれば、農協の手数料は変らない。兼業農家が増えれば農用機械もたくさん台数が売れる。手間隙掛けられないから農協から言われるままに稲を選び、農薬もたくさん使って米を生産する。
田んぼ一枚あたりの生産が増えては困るから、品種改良も必要最低限のことしかしていない、だからどんどん田んぼの力は落ちていく。
貯金も農協、借金も農協、機械も農協、肥料も農協、普段の買い物も農協、勿論作物の買い入れも農協、売りも農協、保険も農協、葬式も農協です。
農協の方針に逆らえば、融資のストップ、村八分など、嫌がらせまである。農協組織を守る為の農業、農協組織を存続させるための利益確保の米価、これで本当に日本の農家が生きていけるのか、考えなければなりません。
本来ならば、若者も少なくなった、年寄りしかいない、などというならば田んぼの規模を大きくしてコストダウンを計り、効率よく生産しスケールメリットを充実させるべきなのに、全て反対のことしかしない────。
彼らは、「中山間農地が多いので大規模化できない」と説明しますが、北海道の大きな田んぼではなくとも、地理的特性を生かした、時期をずらした作付けなど考えれば、スケールメリットのほうが大きくなるはずです。
でも、「できない・無理だ」と言います。
それは、虫食いのように田んぼを切り売りしているからです。
減反して空き地になった田んぼを住宅地にしたり、駐車場にしたり、パチンコ屋にしたりしたことによって、まとまった田んぼが作れない状態になっているからです。
とにかく、いろいろな問題が散在しているのが日本の、特に米農業です。
本来、田んぼというのは保水に富み、治水・灌漑にも役立っているといわれています。さらに気温調整の役割もあるという人もいます。CO2の削減になるという人もいます。都会のヒートアイランド現象がいわれていますが、都会に水田や畑が少なくなったためだと指摘する人もいます。
田んぼというのは、単に米生産だけでなく、自然と調和した日本独自の環境保護という面もあります。それが日本文化の原点ではないかと私は思います。
これらはどこまで本当かは判りませんが、日本人が自分で食べていけるだけの田んぼは残さなければならず、農家が少なくなったというならば、スケールを大きくして農業の効率化を計り、コストダウンをする。
農業が事業として成り立つ法人化なども進めていく、それによって各法人の生産物のブランド化や特殊化を計る等々、できることはたくさんあります。
手間隙掛かるから日本の米は高くて輸出できない、などというウソはやめて、どんどん輸出することをやっていかなければなりません。
極端に言えば、米は充分戦略物資になります。今後食糧不足に陥るアジアの国があれば、「言うこときかないと米を売らないぞ」ということも言えます。武器を持つより有効な手段になるかもしれません。
高い高いと言われた日本の米も、世界中の食糧事情によって価格差も狭まってきているとも言われています。 高い税金を掛けなくても太刀打ちできるところに手が届きそうです。
とにかく、減反などという馬鹿なことは直ちに止めて、大規模農家を育成し、米のコストを下げる。そして、民間企業も含めて日本の米を世界に輸出する。
世界に太刀打ちできる農家を作ることが、本当の意味での保護であり、国家の自衛に繋がるものではないでしょうか。
ーーー最後に、もうひとつみなさんに考えて頂きたいことがあります。
自給率が低いといわれる中、流通上や加工によるロスなど仕方ないものもありますが、輸入の約1/3がゴミとして捨てられているという統計があります。
身近なところでは、コンビニで一日に廃棄処分される食料品は8.4~12キロ/店舗だそうです。トップスリーのコンビニで考えると、全国一日あたり約246トンから352トンの弁当やおにぎり等が捨てられている計算になります。
一年でみると、少なく見積もっても、
約「9万トン」もの弁当やおにぎりが捨てられているということです。
これが他の中小のコンビニやスーパーを含めたら、いったいどれほどの食糧が手を付けられずに捨てられているのか判りません。
カロリーだけでみると、イタリア程度の国が一年間食べていけるだけの食糧を捨てている計算になるという話もありますが、これはどう見たってまともな姿じゃないと思うのです。
自給率が低いと言われながら、年間数千億円ともいわれる食糧を捨てている、これほどの無駄がいつまでも許されるのか? たかだか1億数千万の人口=世界人口の2%で、世界の食糧輸入の1割強を占め、実質世界一の輸入国となっているところからも、私たちはどれほど無駄なことをしているのか考え直すところにきているのではないでしょうか。
好きなものを好きなだけ食べ、見栄えの良いものしか買わない。「安全第一」といいながら生産国に高負担を強いている。安くて良いものと言いながら、余れば簡単に捨てている日本。
ーーー無駄にしている食糧の幾分かを、飢餓に喘ぐ国に回せたらなどと考えもしていない私たち────。
・これで「環境に優しい国」を目指すと世界に向けて言えるのか?
・これがまともな国の姿なのか?
・金さえ払えばなんでも手に入ると勘違いしていないか?
これは、自分のことしか考えていず、金さえ払えば誰かが守ってくれると考えている国の安全保障問題と何等変わりないものではないか、とさえ思ってしまいます。
勿論「綺麗ごと」と言われるのは重々承知してますし、経済効率を考えればある程度の無駄も廃棄処分も致し方ないことだと思います。しかし、「無駄を省く努力をする」というのは、経済とは別次元の話だと思うのです。
我々消費者が無駄を省く努力をせず、「食べ捨て」を繰り返すことは、最終的に自分で自分の首を絞めることになるのではないでしょうか。
ウソはいけないけれど、賞味期限が切れた食品を再加工して袋叩きに遭った会社が幾つかありますが、無駄を省くという点から、再利用に問題なければ社会がそれを容認することも考えたほうがいいのではないかと思うのです。
さらに、賞味期限・消費期限を1日見直すだけでも、相当な食品の無駄を省けるのではないでしょうか? 素人考えですが、私たちが今からでもできる「日本の食」に対する努力があると思います。
食糧自給率や米の問題も、結局私たちが食糧に無頓着になっていたから起こった問題だと言えないでしょうか。
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<食料自給率>1ポイント上昇 11年ぶり41%に
8月11日11時25分配信 毎日新聞
石破茂農相は11日の閣議後会見で、08年度の食料自給率(カロリーベース)が前年度より1ポイント上昇し、41%になったと発表した。41%は97年度以来11年ぶり。サトウキビや大豆の国内生産が増え、大豆やチーズの輸入が減少したことが背景。政府は自給率を15年度に45%、長期的には50%に引き上げることを目指している。
食料自給率は1960年度の79%からほぼ一貫して低落傾向をたどり、89年度に49%となった後は40%台が定着。大凶作で政府がコメを緊急輸入した93年度には史上最低の37%を記録した。その後は40%台に戻ったが、06年度に39%に落ち込み、07、08年度は1ポイントずつ回復した。
長期低落傾向の主因はコメの消費減だが、08年度は1人当たりの年間コメ消費量が59キロと前年度より2.4キロ減ったにもかかわらず自給率が上昇した。
一方、生産額ベースの自給率は65%となり、前年度より1ポイント低下した。国際的な穀物価格の高騰を受け、畜産用飼料の輸入額が増えたことなどが響いた。
主な先進国の食料自給率(カロリーベース)は米国128%▽フランス122%▽ドイツ84%▽英国70%など(いずれも03年)で、日本の低さが際立っている。【行友弥】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090811-00000038-mai-bus_all