「地方分権」は各地方・地域のエゴがむき出しになり、殆どが失敗(悲惨な末路)に終わります。
地方分権の悲惨な末路
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福井 龍生
大阪市の上水道(給水)歴史は非常に古く、設備が優れており給水余力があります。一方、大阪府は、大阪市以外の市町村の給水(上水道)を一手に引き受けて、コスト高の状態にあり非常に苦労しております。
(注1) 大阪の府と市の規模: 大阪市は、大阪府の人口で約30%・面積で約10%を占めている。
地方分権を旗印にした改革論者として知られている大阪府の「橋下知事」が、大阪府と大阪市の給水事業を統合する合理化案を纏めて、実現に向けて走り出しました。
大阪市長は、橋下知事の提案に対して好意的でしたが、大阪府・大阪市双方の議会及び水道事業の職員間では、従来から互いの思惑が異質であって(対立関係にあり)、現在は、挫折してしまった(暗礁に乗り上げて前進不可能の)状況にあります。
大阪市が大阪港海岸地域(此花区南港北)に巨費を投じて建設したWTC(ワールド・トレード・センター)は、外部からの入居者(テナント)不足のため、大きな累積赤字を抱えています。
前項に目を付けた橋下知事が、WTCを大阪市から買収して、手狭で分散している大阪府庁を丸ごと移転して、府政の効率化を断行する発案を持ち出して来ました。
私は、現地(WTC及び大阪府庁関連の設備)を訪問して、実態を調査しました。大局的な観点に立てば、橋下知事の案は、両者にとってメリットがあると言えます。
しかし、WTCの売買価格が全く異なり(市は高値・府は安値)、モタモタしている間に、大阪府の職員から大反対の声(通勤不便・退庁後の利便性欠落が本音か)が上がり、大阪府議会は、橋下知事提案を拒否してしまいました。
橋下知事が、水道事業の統合や府庁移転を実現させるためには、必要とする側(大阪府)が、相手(大阪市)側に、事実上、全面的に降伏して、相手側の言いなりになる一方、自分の足元(大阪府議会・職員)を説得する必要があります。
橋下知事は、自己の主張する「地方分権」指向に対して、大阪市側の「地方分権」思想の反撃にあって、不成功に終わったと言えます。つまり「地方分権」は、各地方・地域のエゴがむき出しになり、殆どが失敗(悲惨な末路)に終わります。
「地方分権」は、各地方・地域による条件差(自然条件・産業基盤・税収規模等)によって、巨大な格差が生じます。不利な条件の地方・地域からは、人口流出が続き、一層疲弊して行きます。
更に、海外勢力(特に反日分子)に、つけ込まれて、地域の利権・権益が買収される等の侵略行為があると、日本全体の安全保障がガタガタになります。
「地方分権」は、日本が、世界(最低でもアジア)における覇権と安全保障を確立した以後に、具体的に検討し実施する案件と言わざるを得ません。
私共は、国→都道府県→市町村と言う「行政3段階」の現状を打破して、「行政2段階」を実現し、日本全体の行政コストを抜本的に削減すべきと、従前から主張し続けております。橋下知事の「大阪府不要論」とは、ある面で通じる所があります。
(注2) 国→地方の行政2段階: 人口60-80万規模で、江戸時代~明治維新の郡区(この領域で方言・風習が形成されている)を中核とした「地方」を、150-200個創設し、都道府県を廃止し、道州制は採用しない。
(日本の進路、No.0635、大阪の府と市を巡る給水闘争から始まる地方分権の悲惨な末路、完)転載。
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福井 龍生
大阪市の上水道(給水)歴史は非常に古く、設備が優れており給水余力があります。一方、大阪府は、大阪市以外の市町村の給水(上水道)を一手に引き受けて、コスト高の状態にあり非常に苦労しております。
(注1) 大阪の府と市の規模: 大阪市は、大阪府の人口で約30%・面積で約10%を占めている。
地方分権を旗印にした改革論者として知られている大阪府の「橋下知事」が、大阪府と大阪市の給水事業を統合する合理化案を纏めて、実現に向けて走り出しました。
大阪市長は、橋下知事の提案に対して好意的でしたが、大阪府・大阪市双方の議会及び水道事業の職員間では、従来から互いの思惑が異質であって(対立関係にあり)、現在は、挫折してしまった(暗礁に乗り上げて前進不可能の)状況にあります。
大阪市が大阪港海岸地域(此花区南港北)に巨費を投じて建設したWTC(ワールド・トレード・センター)は、外部からの入居者(テナント)不足のため、大きな累積赤字を抱えています。
前項に目を付けた橋下知事が、WTCを大阪市から買収して、手狭で分散している大阪府庁を丸ごと移転して、府政の効率化を断行する発案を持ち出して来ました。
私は、現地(WTC及び大阪府庁関連の設備)を訪問して、実態を調査しました。大局的な観点に立てば、橋下知事の案は、両者にとってメリットがあると言えます。
しかし、WTCの売買価格が全く異なり(市は高値・府は安値)、モタモタしている間に、大阪府の職員から大反対の声(通勤不便・退庁後の利便性欠落が本音か)が上がり、大阪府議会は、橋下知事提案を拒否してしまいました。
橋下知事が、水道事業の統合や府庁移転を実現させるためには、必要とする側(大阪府)が、相手(大阪市)側に、事実上、全面的に降伏して、相手側の言いなりになる一方、自分の足元(大阪府議会・職員)を説得する必要があります。
橋下知事は、自己の主張する「地方分権」指向に対して、大阪市側の「地方分権」思想の反撃にあって、不成功に終わったと言えます。つまり「地方分権」は、各地方・地域のエゴがむき出しになり、殆どが失敗(悲惨な末路)に終わります。
「地方分権」は、各地方・地域による条件差(自然条件・産業基盤・税収規模等)によって、巨大な格差が生じます。不利な条件の地方・地域からは、人口流出が続き、一層疲弊して行きます。
更に、海外勢力(特に反日分子)に、つけ込まれて、地域の利権・権益が買収される等の侵略行為があると、日本全体の安全保障がガタガタになります。
「地方分権」は、日本が、世界(最低でもアジア)における覇権と安全保障を確立した以後に、具体的に検討し実施する案件と言わざるを得ません。
私共は、国→都道府県→市町村と言う「行政3段階」の現状を打破して、「行政2段階」を実現し、日本全体の行政コストを抜本的に削減すべきと、従前から主張し続けております。橋下知事の「大阪府不要論」とは、ある面で通じる所があります。
(注2) 国→地方の行政2段階: 人口60-80万規模で、江戸時代~明治維新の郡区(この領域で方言・風習が形成されている)を中核とした「地方」を、150-200個創設し、都道府県を廃止し、道州制は採用しない。
(日本の進路、No.0635、大阪の府と市を巡る給水闘争から始まる地方分権の悲惨な末路、完)転載。