偽装マニフェストに騙されてはならない  | 日本のお姉さん

偽装マニフェストに騙されてはならない 

坂の上の雲を
☆ 偽装マニフェストに騙されてはならない

 ───────── 紋起さん

各党がマニフェストを出し、告示前から実質的に選挙活動真っ盛りとなっているが、全く鬱陶しい気分から脱しきれないこの頃である。多くの方も同じではないかと思うのだが、

産経の正論で八木秀次氏が書いておられたように、左隠しの民主党の選挙活動の目くらましに騙されてか、本来自民を支持してきた層までが民主を支持するようになってしまうほど雪崩現象が起こってしまっているからである。

なぜこんな簡単に国民は騙されるのか?と、

愚痴の一つも言いたくなるのであるが、マスコミの影響力が非常に大きいことを改めて痛感するところである。

メルマガ「軍事情報」に掲載されていたのだが、実に見事に本質を突いたフランスのTV番組の紹介があった。未だご覧になっていない方は是非見て頂き、友人や知人にご紹介下さることをお薦めしたい。

この再生回数を、是非ともまず百万回越えにしたいものである。
http://www.youtube.com/watch?v=R6cP05l5HWw
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Youtube をご覧になるとき、映像と音声がブツブツと切れる場合もあるでしょうが、そういう場合は、見たり聞いたりせずに一度最後までプレイさせてから「もう一度見る」をクリックすると、ご自分のパソコンに記憶されていますので途切れることなく見たり聞いたりできます。ご参考まで
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このフランスのTV番組から思うのであるが、なぜマニフェストという政党側の出してくるものだけで政党を評価して良いのであろうか。ーーー自分の都合の悪いことなど出すはずもない。

しかし、マニフェストには出さないけれど、政権を取れば実行することが自明な事項がある。それは、過去に出した法案や、ホームページで言ってきたことや、色んなところで発言してきたことである。

他党も同様ではあるが、民主党の場合、外国人参政権問題、沖縄を特区にして中国人を受け入れる計画、インド洋での給油活動撤退、等々、マニフェストで言わないことにこの政党の本質があるはずであり、出しているのは単なる見せ玉にしか過ぎないのである。

このように考えると、今のマニフェストの各党比較の報道は、マスコミの偏向した、意図的に国民を騙す目的でなされているものではなかろうか。本来的には、政党がみつくろいで出すような今のマニフェストの形式ではなく、我々有権者が要求する項目に関して政党の考えを出してこなければならないはずである。

現在のマニフェスト比較について言えば、

真の重要政治課題ではなく、重要課題の従属的項目を重要事項として喧伝し続けている。すなわち、生活に係る事項は、政治の作る枠組みの結果として生じてくるものが基本になっている。

例えば年金に関していえば、経済状態と支える生産人口により決まる部分が大きく、少子化が続く限り破綻する定めにある。民主党の言うような、
最低月7万円の基礎年金を保障するには、老人が減っている----比率は高まっているが)2050年で、基礎年金を支払うだけで32兆円が必要だ。

前回にも述べたように、少子化でGDPが300兆円の経済に、これだけの負担ができるとは思われない。=生産人口の減少を考えると、基礎年金だけで年収の10%を取られる。今の世代の年金の設計をバラ色でやっても、経済が衰退すると、高額の年金は絵に描いた餅でしかない。

だから、経済が健全に成長しなくては絶対にあり得ないのであるが、経済の活性化策は何もないに等しい。これは自民党の経済成長率2%についても同じで具体策は何もない────。

いま報道されている選挙マニフェストの取り上げ方ではなく、重視すべきは次の順ではないだろうかと思う。まず、政治課題で一番重要なことは、

─── 明確な国家観の設定である


アメリカの覇権が揺らぐ中で、日本がどのような立ち位置で行動するのか、を明確にしてもらいたい。ーーー日本の主権が損なわれると、いくら裕福な年金があっても意味がないのである。

今は、全く国家観を示すことなく、無駄の排除とか、年金とか分配に関することばかりを述べているが、むなしい限りである。お金の分配は従属的ななことだから、大枠により決まるものである。

安全保障・外交問題でついでながら述べておけば、

核兵器の廃絶を掲げる党が結構あるが、核兵器が無くなった世界はどうなるのか、考えたのであろうか?ーーー核兵器が無くなれば戦争がなくなる、とでも思っているのかもしれないが、能天気もいいところである

核兵器が無くなれば、秘密裏に核兵器を持った集団が世界を制覇するかもしれない。それをどうやって防ぐのであろうか。核兵器を保持しているかどうかを完全に査察できる能力は、どの国も、どの機関も持っていない。

腹黒い人々は、世界中で、これから先にも必ず存在することは確実である。
----8/9日の「たかじんの・・」で同様の意見が述べられていた。

─── 次に明確にしてもらいたいのは、

グローバリゼーションの中で、何を強みとして日本が世界経済競争で存在していくのか、ということである。これは、企業の活動分野(自動車とか電機等)を示す必要はないが、----それは政治や官僚が示す能力がないのだから、企業家に任せる分野である)

高付加価値産業、サービス業(観光等)、などを示すとともに、そのために必要な手段=規制緩和、教育のレベルアップ等)を明示することである。

─── そして3番目に重要なことは、

国家のエネルギー戦略である。エネルギーは国家間の争いの原因となり、戦争を引き起こすほど国家の存立に必要なものである。この重要なことを、今まではないがしろにしてきた。

しかし世界各国は、エネルギーに関しては国家が明確な方向を示し、誘導している。日本もそうならねばならない局面に達している。

─── 4番目は、世代間格差の解消に関する方針である。

まず世代間格差を明示することから始めるべきであろう。そして、それを解消する必要性を今の年寄り世代に認識させねばならない。民主党の「赤字国債構わない」路線----本音ではそうだろう)は、次世代のツケで今の世代が宴会をする様相を呈している────。

これらの問題は長期の問題である。いま、マニフェストに関して、政権の期間4年間に達成できることに限定すべきだと解説する専門家が多い。そうすると短期にブツ切りされたものの繰り返しでよいのであろうか。

長期の問題に関しては、長期の到達目標値と達成方法を示すと共に、その選挙の期間の4年間での達成目標を示せば良いだけのはずである。


ーーーこの4項目に関して、中長期的な方針と目標を出している党はない。

自民党は能書きだけのものだし、民主党は左隠しの偽装されたものだ。

ただ、その中で具体的なことが書かれているのが、民主党のエネルギーに関する項目にあるので指摘しておこう。

2020年までに「温暖化ガスを25%削減する」という公約を出している。

TVで見たのだが、岡田幹事長が聴衆からの質問で、産業界はその負担が重過ぎると思う、という類の意見を聞いた途端に、これは地球全体の問題で大変なことなのだから、何があってもやらねばならぬことだ、と厳しい顔で言っていた。~~~まあ、それは悪くないだろう。

しかしそれなら、

・ガソリンの暫定税率の廃止はどう説明するのか?
・高速道路の無料化はどう関連付けるのであろうか?

2008/02/04の拙稿「近視眼の国現代日本」を是非お読み頂きたい。
http://chinachips.fc2web.com/argue3/080204.html

実はCO2を減らすことと、ガソリンなどの石油系エネルギーから電気にエネルギー転換することとはリンクしているのである。エネルギーの転換は、日本のエネルギー戦略でも非常に重要なものである。

すなわち石油の輸入量を下げることは、石油が枯渇するオイルピークに対応するためにも重要な政策であり、日本の輸入外貨を低減させるためにも必要な施策である。

そのためには、ガソリンエンジンから電気自動車への転換を促進する必要があるが、その経済的動機を強めるために、ガソリンの価格は高くなくてはならない。ーーーせっかく電気自動車が上市されるというのに、ガソリン価格が安くなったのでは、普及は遅々として進まないであろう。

高速道路無料化も同じである。

これは、貨物のトラック輸送を有利にし、トラックの8倍ぐらい効率の良い鉄道貨物への転換を阻害するだけの効果しかない。輸送のモード(様態)を変えるのでモーダルシフトとも呼ばれているが、

金のあるうちに、鉄道輸送や船舶輸送などの、手間がかからず省エネできる貨物輸送への設備投資がなされなければならないのであるが、これが起こらないであろう。

片や温暖化ガスの25%削減を言いながら、片や温暖化ガスを増加させる施策を実行せんとして平然としている姿は、思考能力がないのか?鉄面皮であるのか?ーーー私には分からないが、

金をばら撒いて票を獲得するだけ、の思惑を並べたマニフェストであるという

ーーー正体を露呈していることは確かである。