【運動呼びかけ】日本人だからできる「一つの中国」の打破!/千葉テレビ・台湾
【運動呼びかけ】日本人だからできる「一つの中国」の打破!/千葉テレビ・台湾
誤報問題の収拾始末
永山英樹
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http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-828.html
「日本は台湾を中国に返還していない」を国民常識に!
これは中国膨張主義のアキレス腱を突く運動だ!
■国民党を狼狽させたある日本人の発言
台湾の国民党政権と中国との間で進められる「関係改善」とは、同政権が発足後、「一つの中国」(台湾は中国の一部)を認めたからこそのもの。言い換えれば、中国統一を求める中国の磁力への抵抗を、台湾側が放棄する方向に進んでいると言うわけだ。
国共内戦当時ならいざ知らず、そもそも国民党中枢を担う中国人権力者たちは、強大なる祖国中国と戦ってまで、台湾人の島を守ろうとなど考えていないのだ。
しかしそれでは台湾人はどうなる。選挙で国民党政権を選んだとは言え、中国統一を本気で望んでいる者などほとんどいないのである。
そして台湾と一蓮托生の日本はどうなる。あの島が中国の軍事基地となれば、日本を含む西太平洋地域は、その勢力範囲に転落することは目に見えている。
だが国際社会では、中国の振りかざす「一つの中国」の原則の前で、「台湾は主権国家だ」「中国の一部ではない」と、台湾併呑に反対の声を上げる国などほとんど存在しない。
それは中国との関係悪化を恐れているからだ。そして各国はそうした自らの姿勢を正当化するため、「一つの中国」の宣伝に騙されるふりをすることになる。そしてそのうち、本当にそう思い込んで行くことになる。さらにそうした誤解は、国民党政権が「一つの中国」を掲げだしたことで、今後一層拡大することだろう
。
そうしたなかの今年五月、国民党政権を狼狽させる騒動が、一人の日本人の発言によって惹起された。
■馬英九総統からボイコットされる日本の「大使」
読売新聞の七月二十二日配信の記事“「台湾は地位未確定」と失言、斎藤代表総スカン”を見てみよう。ここに出てくる斎藤氏とは日本の台湾駐在大使に当たる人物だ。
―――日本の対台湾窓口、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表が、馬英九総統や台湾の欧鴻錬外交部長(外相に相当)ら主要閣僚との面会を拒絶されている。
―――複数の日台関係筋によると、斎藤代表が5月に行った講演で「サンフランシスコ平和条約(1951年)で日本が台湾に対するすべての権利を放棄して以降、台湾の地位は未確定」と発言したのが原因だ。
―――外交部は斎藤氏が「未確定」としたことに対し、「日華平和条約(1952年)などで台湾の主権は中華民国(台湾)に戻ったことが確認されている」と抗議。
実はこの問題は四月下旬、馬英九総統が「日華平和条約で台湾の主権は中華民国に戻ったことが確認されている」と発言したことに端を発している。
中国や国民党にとり、台湾が中華民国に「戻った」(日本によって返還された)と言うのが、「台湾は中国の一部」であることの国際法上の根拠である。
だから「一つの中国」政策にひた走る馬英九総統は、同条約調印記念日であるその日、それを強調するキャンペーンを行ったわけだ。
ところがその根拠なるものが明らかなウソなのだ。
日本は連合国(中華民国も中華人民共和国も含まず)との間で五二年四月に発効したサンフランシスコ講和条約によって台湾に関する主権を放棄したのだが、その島の新たな帰属先は取り決められなかった。連合国側は台湾の住民自決に委ねることを予定したが、すでに島は国共内戦で敗退した国民党政権の独裁支配下にあり、それは果たされなかった。そしてそれ以来、台湾は「法的地位未定」の状態となったのだ。
馬英九氏が発言したその場にいたのが斎藤氏だった。この自国政府に関わる歴史捏造について、そこでは何もクレームはつけなかったが、それから数日後の講演で、「それは違う」と表明したわけだ。
■「一つの中国」は「南京大虐殺」以上にわかりやすいウソ
それを国民党政権は批判しているわけだが、実際に同党政権が調印した日華平和条約を見てみよう。
サンフランシスコ条約が発効した当日に調印されたこの条約の第二条では、サンフランシスコ条約による日本の台湾放棄が承認されているのである。
つまり同党政権も台湾が「法的地位未定」であることを承認しているのだ(それは他の条文からも確認することができる)。
だが国民党政権は、そのことを公には口を避けても言うことができなかった。言うまでも泣くそれをすれば、台湾の統治権を自ら不法なものと認めることになってしまうからだ。
一方中国は、国民党政権は内戦で滅亡したとの立場から、同政権が日本から返還を受けた台湾の領有権を継承したと主張している。
だから「一つの中国」の虚構は、「南京大虐殺」の虚構以上に、簡単に証明できるのである。もし日本政府が「台湾返還をしていない」と証言しさえすれば、その虚構は国際社会の前で明らかになるのだ。
■事勿れ主義―日本側の陳謝は禍根を残す
だからこそ、斎藤氏の発言で国民党政権は慌てふためいた。日本側が二度と真実を発言できないよう、「総スカン」と言う無礼極まりな制裁措置も辞さないわけだ。
もちろん中国外交部も日本側に強い不満を表明した。
一方日本側は、こちらも焦った。何しろ「南京大虐殺はなかった」と発言するより中国を怒らせる発言だからだ。何しろ「台湾は中国の一部」を否定してしまったのだから。
そこで読売記事によってその後の経緯を紹介すると、
―――(抗議)を受け、斎藤代表は「日本政府の立場と違う発言をしてしまった」と陳謝、発言を撤回した。日本政府は台湾の地位に関し、「独自認定をする立場にない」という立場を取っている。
「政府の立場と違う」と表明したのは、中国を恐れる日本政府の苦肉の策と思われる。
そもそも「独自認定する立場にない」と言うのは、「台湾は中国の一部と認めろ」と迫る中国に対し、「はい」とは言えない政府が、「台湾の主権は放棄した以上、それをどこどこのものとは言えない」(もはや自国領ではない以上、勝手に中国領とは認定できない)との意味で用いる公式見解だ。
もし台湾の地位が「未定」でなければ」、政府はとっくに「台湾はどこどこのもの」と言っているはずである。
―――交流協会台北事務所は「失言であった旨を説明して陳謝、発言の撤回もしており、日本政府としては、これ以上、対応のしようがない」と、困惑している。
それはそうだろう。ウソの発言をしたと言うのなら、斎藤氏をクビにすることもできようが、真実を語ったのだからそうも行くまい。
しかしいくら中国が怖いとは言え、斎藤氏に「陳謝」「発言撤回」をさせるとは、歴史問題で「反省と謝罪」を表明するのと同様、厳重なる禍根を残すものと思える。
■「台湾返還」宣伝キャンペーンに乗った千葉テレビ
斎藤氏ボイコット騒動のさなかである六月二十七日、千葉テレビ製作の「フォルモサ紀行2007~日本・台湾 新時代のベストパートナーを目指して」が同局と東京MXテレビによって放送された。
番組は馬英九政権の「日華平和条約による台湾返還」の歴史宣伝キャンペーンに利用されたらしい。「台湾が中華民国に返還される際に締結された日華平和条約」とアナウンスしてしまった。
そこで私は七月二日、同局に電話をかけ、「返還は誤り」と指摘した。担当者はすぐにそれを理解し、しかるべき措置を採ると約束、後日連絡すると言って電話を切った。
このあたりの経緯は本ブログの記事「中国人に騙された千葉テレビー望まれるNHKとは異なる対応」で詳しく報告したとおりだ。
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/?q=%C0%E9%CD%D5%A5%C6%A5%EC%A5%D3
その後十五日になり、同局から電話があった。HPで局の見解を掲載したと言うのだ。
そこで“「台湾フォルモサ紀行~日本・台湾 新時代のベストパートナーを目指して~」放送内容の補足について”と言うページを開いてみた。
http://www.chiba-tv.com/020whatsnew/2009-0715-1731-16.html
するとそこにはこうあった。
―――今回放送した番組中の“台湾が中華民国に返還”とのナレーションにより、制作意図とは異なり視聴者に誤解と混乱を与えてしまいました。
「返還」をはっきりと否定したのだ。
実はこれは画期的なことなのだ。戦後日本では、国民党や中国の宣伝により、そしてそれに反論できない日本人の姿勢により、「返還」は言わば定説になっているからだ。多くの出版物はおろか、一部の教科書でさえ、「返還」を事実として記載している。
だから千葉テレビの対応は高く評価できる。
■国民党の中国人に媚びるテレビ局もある
しかしその良識に喜んだのもほんの束の間。なぜなら続けてこうも書かれていたからである。
―――番組中のナレーションでは不十分でしたが、サンフランシスコ講和条約で日本が放棄し、国際法的に不明確な状況になった台湾の所属について、台湾世論の中には『地位未定論』を含む異なる解釈、主張もあることを補足させていただきます。
「台湾世論の中には『地位未定論』を含む異なる解釈、主張もある」とはどう言うことだろう。
さらには、次のようにも。
―――また、弊社の立場はいずれかの意見を支持したり、関与したりするものではないことも付記いたします。
要するに「法的未定論」は台湾国内における一つの「解釈・主張」に過ぎず、千葉テレビとしては「返還」説にも「未定」説にも与しないと言っているわけだが、これではせっかくの「返還」に対する否定もぼかされてしまう。
だから私はその場で、「後ろの方は蛇足だ」と訴えた。「誤解を与えてしまった」だけで十分だと。
しかし相手からは、「再び検討はするが、それについてあなたには報告しない」と言われてしまった。
聞けば台湾の駐日大使館に当たる台北代表処にも相談したそうだ。ここはいまや国民党政権の出先機関だから、少なくとも「返還はウソだ」とは言われなかったと思う。だからこうした文章は、そうしたなかでの千葉テレビの、やはり苦肉の策だったのだろう。親台派とも見られる同局としては、そことの関係にも配慮しなければならなかったはずだ。
結局、二十二日になってもこの文章は修正されていない。
しかし、これでいいのか。もし本当に親台派なら、台湾人民のためにも「一つの中国」の宣伝をはっきりと打ち破るべきではなかったのか。
もし千葉テレビがそれをやっていれば、日本国内はおろか、台湾においても日本の勇気あるメディアとして名を上げることができたのだが、実に情けないことである。
中国に媚びるテレビ局は多いが、国民党に媚びる局もあることがわかった。中国人の日本人に対する影響力は、実に侮れない。
そうしたものから免れうるか否かに、今後の日本や台湾の命運がかかってくるのだ。
■これは東アジアの防衛運動だ
以上のように日本の独立と安全をも脅かす「一つの中国」の宣伝を打破することは、非常に簡単なことなのだ。ただ「日本は台湾を中国に返還していない」と言うことを政府に証言させればいい。
そうすることで国際社会は、中国のこの宣伝が虚構であることを知り、台湾問題が中国の宣伝するが如き「世界が干渉してはならない中国の内政問題」などではなく、「世界が干渉するべき中国の対外侵略問題」であると認識せざるを得なくなるはずである。
ただ、政府はもちろん自分からは動かないなら、それを動かす運動が必要だ。それは歴史事実に従うか、中国の宣伝に従うかの踏み絵を突きつける運動ともなろう。
あるいはそれとともに、国民による内外に対するアピール運動も重要だろう。「返還」と記載する出版物の是正要求も含む様々な言論活動を通じ、「返還していない」を「日本人の常識」にまで高めなければ、政府や世界を動かすことは困難だ。
そもそもチベット問題やウイグル問題を見てもわかるように、「一つの中国」なる中国の虚構宣伝こそが、あの国にとっては政権の存亡にも関わるアキレス腱にもなっているのだ。暴力立国の弱点はこのようなところにあるのである。
幸い台湾が中国に併呑されるまでにはまだ時間がある。そこで台湾のため、そして日本のため、「一つの中国」打破の運動を拡大しよう。
我が生命線であるこの島が、国民党の中国人勢力によって中国に売り飛ばされるのは座視していてはならない。これは東アジアの防衛運動なのだ。
目下台湾でも斎藤氏発言を受け、この問題に対する関心が今までになく高まっており、日本政府に証言を要請する運動も始動しようとしている。
そうしたものとの共闘体制が構築されれば、運動はさらに威力を増すはずである。
『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html
『日本之声』 http://groups.yahoo.com/group/nihonnokoe
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