無料メルマガ石平(せきへい)のチャイナウオッチ
2009.07.07 No.052号
~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~
石平(せきへい)のチャイナウォッチ
http://www.seki-hei.com
いくつかのショッキングニュースから見た「中国経済回復」の実態(2/2)
(1/2よりつづき)
6月30日付の「南方日報」は、
国務院発展研究センター・マクロ経済研究部
の副部長である魏加寧氏のインタピュー記事を掲載した。
その中で魏氏は、今年の前半期において、
中国の各銀行の行った莫大な融資の中、その2割程度は実は
株市場に、3割程度は不動産市場に流れたのではないかと
語っている。
製造業などの実体経済に投入されたのはただの半分であるという。
それに先立って6月28日、北京国際金融フォーラム座長を務める
高名な経済学者の成思危氏もある報告会で、
今年に入ってから中国の国有銀行から出た融資のかなりの部分が
株市場と不動産投資に流れたことは確実であると述べている。
この二人の専門家の見方は正しければ、冒頭から記している
中国の株価上昇と
不動産市場の回復の謎はすぐに解いてくるのであろう。
何のことはない。要するに国有銀行からの融資が株や不動産
に流れた結果、
この二つの市場はあたかもカンフル剤の注射を受けたかの如く、
一時的な回復の傾向を見せた、というだけのことなのである。
しかし、一方の実体経済はどうなっているのか。
もう一つのショッキング的なニュースを見てみよう。
6月28日、中国中央テレビ(CCTV)の経済番組「経済半小時」は、
中国社会科学院中小企業研究センターの研究員らを迎え、
世界的経済危機の影響で中小企業の4割が倒産の危機に
瀕していると報じた。
同センターの陳乃醒(チェン・ナイシン)研究員は
中国社会科学院の調査結果として、中国にある4200万社
以上の中小企業のうち
40%がすでに倒産、40%が倒産の危機に面している現状を
紹介した。
資金繰りに行き詰まり経営危機に陥るケースがほとんどで
あるという。
昨年末現在で、中国全体の中小企業の不良債権率(融資総額に対する)は
11.6%となった。銀行全体の平均は2%前後であることから、
中小企業にたいする銀行の貸し渋りは止まらない。
中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は05年7月、
全国の銀行の中小企業への融資を優先させるよう通達する
指導通達を出しているが、
それはまったく徹底されていないのが現状だ。
結局、「融資難」は中小企業の経営難に拍車をかけ、
多くの中小企業を倒産の危機に追い込んでいるのである。
そして、上述の経済ニュースをもう一度まとめてみれば、
今年に入ってからの中国の「経済回復」の実態はよく
分かってくるのではないか。
それは要するに、こういうことなのである。
経済回復を計るために、主要な国有銀行は
政府の指導下で何振り構わずの放漫融資を行った。
しかしそれらの融資の約半分は実体経済に投入されずにして、
株や不動産投機などに流れてしまう。
その結果、株価が上がり不動産が回復し、中国経済は
表面上では
「本格的な回復」の兆候を見せているが、その反面、
実体経済を支える中小企業の多くは融資をもらえずにして
資金繰りに苦しみ、
いずれか倒産するのではないかとの経営危機に陥っている。
このような状況下では、中国における本格的な経済回復は
果たしてありうるのかはもはや明々白々なことではないのか。
株価の上昇や不動産市場の回復などの「明るい兆し」とは
裏腹に、
中国経済は確実に衰退への道を走りはじめているのである。
( 石 平 )
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