ネットゲーム「メープルストーリー」のとりこになり、不登校となった。
ネトゲ廃人:【2】目立つ不登校 禁止すると暴力
オンライン上で複数の人が同時にゲームに参加するネットゲーム。気のあう仲間とチャット(会話)したり冒険に繰り出したり、自分でストーリーを進行する楽しさがある。日本では02年ごろから流行し始めた。月の基本料金は千数百円程度で、無料で提供されるゲームもある。
中学時代に1日10時間ネットゲームをしていた浪人生(18)は言う。「年代の違う人といろんな話ができて疑似家族のようになった。会うことはないのでわずらわしさはなく、腹を割って話せる」一方、架空の世界に魂を奪われ不登校となるケースは数年前から目立ち始め、深刻化している。
「ネットゲームをやめるよう説得すると子どもから暴力をふるわれている、という相談が半年前から目立ち始めた」。不登校やひきこもりの相談に乗るNPO法人「教育研究所」(横浜市)の牟田武生理事長は話す。
「リモコンをテレビに投げつけ、食卓をひっくり返し、手にかみつき、首を絞められることも。殺されるのではないかと思うくらいです」。中3長男のゲーム依存に悩む母親はうつむいた。
長男は昨秋からネットゲーム「メープルストーリー」のとりこになり、不登校となった。成績のよい息子に期待していた両親は焦った。今年4月、ゲームの運営会社「ネクソン」に頼み込みログインできないようにしたが、ひどい暴力をふるわれ、警察を呼んだ。半狂乱の長男は2階の窓から身を乗り出し「ゲームできないなら死ぬ」と叫んだ。根負けして会社に再懇願、ゲーム環境を復活した。
長男は日に15時間、パソコンの画面に向かう。やんちゃで表情豊かだったのに「目元がきつくなり人相が変わった」と母は嘆く。「親にはつっけんどんなのに、画面に向かうと突然クスッと笑ったりするんです……」
「成長期の子がネット漬けになる。なぜ業界は子どもが24時間アクセスできるようにしているのか」と父親。
メープルストーリーは、魔法使いや海賊などのキャラクターにふんし冒険を楽しむ子ども向けのゲーム。ユーザーの8割が小中高生。「保護者に安心してもらいたい」と同社は昨年末、親が子どものゲーム時間を制限できるシステムを導入した。しかしシステム利用にはパスワード入力が必須。長男がパスワードを教えてくれず、この父親は制限をかけられずにいる。
http://mainichi.jp/life/electronics/news/20090624mog00m040019000c.html