ゲームに依存しやすいのは「人生で何かが欠落している人」
ネトゲ廃人:【3止】進まぬ対策 統計もなし 運営会社社長「因果な商売」
学生や主婦など「廃人」25人を取材、「ネトゲ廃人」(リーダーズノート)を出版したジャーナリストの芦崎治さん(55)は言う。「頭がよくて回転の速い人が多い。でもどこかに心の空白があって、ずるずると続けてしまう。バーチャルな世界で時間をつぎ込むほど、レベルが上がって尊敬され存在価値が得られる。一方、現実で生きがいを見いだしにくくなる」
芦崎さんは、ネットゲーム大国の韓国も訪れた。86時間ゲームを続けたことによる死者まで出ている。「韓国では国が主導し、ゲーム業界が10億円出して若者の更生プログラムを組んでいる。日本も早急な対策が必要です」
しかし国内では対策はおろか、ネットゲーム依存者の統計もない。人気ゲーム、FF11を運営するスクウェア・エニックスは「長時間プレーする人が何人いるのか、把握していない。わかっても、外に出す数字ではない」という。
「普段の生活に影響を及ぼさないよう自己管理してください」。ゲーム会社21社でつくる日本オンラインゲーム協会は、3年前に定めたガイドラインでうたう。しかし親のクレジットカードで代金を引き落とすなど子どもをめぐるトラブルが絶えず、ガイドライン改訂を決めた。事務局は「未成年対策を充実させ、利用時間についてもさらに注意を呼びかけたい」という。
「企業なので利益を上げなくてはいけない。でもその裏で人が壊れていくとしたら、因果な商売です」
ネットゲームを運営する「ハイファイブ・エンターテインメント」の澤紫臣(しおん)社長(33)は率直に語る。幼少時からテレビゲームに親しんできた澤さんだが「廃人でもゲーム脳でもありません」。ゲームに依存しやすいのは「人生で何かが欠落している人」だと分析する。「ネットでのコミュニケーションが社会との唯一の窓になっている人もいるけれど、ほどよい距離感が必要です」
最近は低年齢のゲーマーが気になるという。ひらがな交じりの幼稚な書き込みが、以前より多くなっている。澤さんはいう。「ゲームに抵抗の少ない世代の親に育てられた子がどうなるか、不安です」
http://mainichi.jp/life/electronics/news/20090624mog00m040020000c.html