【世界の新聞「101紙」の視点】 「核の傘」の信頼性には疑問を感じている。
【世界の新聞「101紙」の視点】
~2009年5月26日(火)の紙面より~
独断と偏見はご容赦!
【最近の社説の、ここに注目】
北朝鮮の核実験について、各紙社説を見てみる。
朝日。
『日本の安全保障にとってはもちろんのこと、世界の安全保障や平和にとってもゆゆしき事態である。』
『国連をはじめ核の拡散防止を課題とする国際機関の存在意義が問われている。』
『それにしても、「またか」という思いが募る。』
『いかに脅威であるからといって、軍事力で解決を目指すことが現実的でないことは米国や中国、日本をはじめ関係国が共有している認識だ。』
『であれば、国際社会は忍耐強く知恵を絞り、北朝鮮の基本的な政策転換を生み出すための努力を外交的手段で続けなければならない。』
『北朝鮮の相次ぐ核実験は、地域の今日の安全を脅かすにとどまらず、人類の明日を危うくしている。』
『世界の流れに冷や水を浴びせた北朝鮮の行動に、重ねて強い憤りを覚える。』
『中国は6者協議の議長国でもある。北朝鮮の無謀な行動を止められなかったことについて、中国に対する失望は深い。』
『北朝鮮の変化を促すことができるのは何と言っても米国だ。』
『中国の役割もはっきりしている。米国とともに東アジアの長い目で見た安全保障がどうあるべきかを考えてもらいたい。』
『日朝の直接協議で事態を動かせる可能性は、いまは残念ながら乏しい。』
『米中の連携を促し、韓国とともに地域の安全確保へ積極的に後押ししていきたい。』
産経。
『世界の平和と安全を正面から脅かす重大な挑戦である。』
『日本は米韓などとともに国連安全保障理事会の緊急協議に力を結集し、国際社会の総意をまとめて速やかに厳しい制裁を発動すべきである。』
『一方、北の核再実験は日本の防衛に重大な問題を突きつけた。長距離ミサイル発射と同様に、日米同盟の抑止力が機能不全に陥っている現実をみせつけたからだ。』
『ミサイルと核の脅威増大への備えをどうするかこそ、国の総力をあげて取り組むべき課題である。』
『今回は核弾頭小型化技術の確立を狙ったとの観測もある。弾頭を小型化してミサイル搭載が可能になれば、脅威は飛躍的に増大し、世界的な核・ミサイル拡散の危険も高まるのは明らかだ。』
『とりわけ政権交代したばかりのオバマ米大統領は、(中略)あからさまな挑戦的行動を再び突きつけられた。』
『核実験によって、核問題解決をめざす6カ国協議再開の期待は一層遠くなった。』
『北の行動を改めさせるには、明確で断固とした制裁措置の実行が不可欠である。』
『米国は金融制裁とテロ支援国家指定の再発動を真剣に検討すべきであり、中露は世界の平和と安全を担う重大な責任を自覚し、義務を果たすよう求めたい。』
『日本は自ら報復能力を持っていないが、自衛力の一環として北の核・ミサイル施設に対する先制破壊などの抑止能力を整えるべきだ。』
『日米同盟の強化も必要である。(中略)集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈の改定を急ぐとともに、米国の「核の傘」に安全を委ねる日本のあり方に関する議論も必要かもしれない。』
『国連の場での制裁論議や日本独自の制裁強化もさらに検討する必要がある。そうした外交的対応と同時に、防衛・安全保障のあり方の検討も怠ってはならない。』
東京。
『先のミサイル発射に続いての暴挙だ。国際社会に挑戦するつもりか。失うものの方が大きいことを知らせるときだ。』
『朝鮮半島の緊張を高め、北東アジアの平和と安定を損なう行為は、到底容認できない。』
『前回、追加的な核実験をしないよう求めた国連安保理決議にも明らかに違反する。(中略)国際社会は断固とした意思を北朝鮮に示す必要がある。』
『北朝鮮は、(中略)経済は破綻(はたん)寸前にあり、国民の不満・不平もたまっている。周辺国の支援なしに立て直しは不可能だが外交的孤立は深まるばかりだ。』
『内政外交にわたるさまざまな焦りが浮き彫りになる。しかし、核実験は結果として逆効果と北朝鮮は認識すべきだ。』
『日本も、(中略)効果的な北朝鮮包囲網をつくるため外交努力をすべきだ。』
『これから各国の協議、折衝が行われるだろうが、特に米国と中国には注文がある。』
『米国のブッシュ前政権は、前回の核実験で急に対話路線に切り替え、これが北朝鮮の揺さぶり戦術に勢いをつけた。』
『中国抜きの経済制裁は尻抜けになる。緩衝地帯としての北朝鮮が必要だとしても、大量破壊兵器の開発は、中国の安全保障や経済発展の大きな障害だ。』
『周辺国は、北朝鮮の揺さぶりや瀬戸際戦術に乗せられないよう腰を据えて対応する覚悟がいる。』
日経。
『北東アジアや世界の安全を揺るがす北朝鮮の蛮行は断じて容認できない。国際社会は国連安全保障理事会の決議を通じて直ちに、拘束力かつ実効性のある厳しい制裁を科すべきである。』
『06年の安保理決議1718への明確な違反である。』
『核軍縮や核不拡散への機運が盛り上がるなか、北朝鮮の核実験は世界の潮流に逆行する危険な行為といえる。』
『国際社会は今度こそ、挑発や威嚇行為がもはや通用しないことを北朝鮮に認識させる必要がある。』
『日本政府は米韓などとの連携を軸に、安保理を通じた制裁決議の早期採択を目指してほしい。』
『06年の安保理決議は、(中略)十分な効果があったとは言い難い。いくら厳しい文言が並んでいても、実効性の伴わない制裁決議では意味がない。』
『北朝鮮の暴走には中国やロシアも重い責任を負う。中ロは(中略)、安保理決議の採択に反対した。その結果が核実験である。(中略)実際の経済制裁に二の足を踏んできた中ロのあいまいな態度が背景にある。』
『対話の道を閉ざす必要はないが、協議参加を条件に妥協的な態度を取るべきではない。重要なのは挑発が孤立を深めるだけだと、北朝鮮に知らしめる国際社会の結束である。』
毎日。
『各国の観測データは、十分な成功ではないとの見方が強かった06年の実験より、はるかに強い爆発が起きた可能性を示している。』
『発表通りの核実験なら国際社会のルールを無視した暴挙であり、決して容認することはできない。』
『先月の弾道ミサイル発射の際には(中略)偽装の努力もしたが、今度はそんな遠慮さえない。(中略)国連安全保障理事会の制裁決議への違反には、一点の疑問の余地もない。』
『日米韓の連携も改めて確認した。もっともなことである。挑発的なルール違反に、安保理は断固たる姿勢で臨むべきだ。』
『国連レベルでの対応には限界もある。(中略)事態を打開するには、北朝鮮の意図を冷徹に見定め、的確な対策をとる必要がある。』
『米国にとって北朝鮮はさしたる脅威ではない。核兵器がテロ集団の手に渡るような事態を封じることを条件に、北朝鮮の核保有を黙認するのではないか。そんな観測も流れている。』
『北朝鮮の脅威に直面している日本としては、とうてい受け入れられない。』
『オバマ大統領は(中略)、まず北朝鮮の核の脅威を完全除去するという具体的な目標達成に尽力してほしい。』
『同盟国日本の懸念だけが問題なのではない。北朝鮮の核保有を小規模であれ事実上認めるような事態になれば、他の国も同様に国際ルールを無視して核開発に走る危険を排除できまい。』
『北朝鮮の最大の狙いは米国との関係改善なのだから、この状況を活用して北朝鮮を非核化に導くことも不可能ではないはずである。6カ国協議の枠組みを再稼働させる努力も必要だ。』
『中国もこれまで以上に強い姿勢で対処すべきである。』
『表立って北朝鮮の体面をつぶし、事態を悪化させる必要はない。ただ、国際ルールを無視すれば利益より損害が大きいという事実を理解させるべきである。』
『異様な体制ではあるが、核兵器を使えば北朝鮮も破局を迎える。日本政府も国民も北朝鮮の暴挙に過剰反応せず、米中や韓国との協調を重視しつつ対応していくこと。それが当面、最善の選択肢であろう。』
読売。
『核兵器の小型化に通じる核実験の実施は、核ミサイルの早期獲得に執念を燃やす北朝鮮の姿勢を鮮明にした。』
『北朝鮮の度重なる挑発行動により、北東アジア地域の安定は一層損なわれ、緊張は一段と激化している。』
『北朝鮮は先月、安保理が弾道ミサイル発射を非難する議長声明を採択した直後、「不当千万」と逆に安保理を非難した。みずからの違反を棚に上げた詭弁である。』
『北朝鮮が野放図に進める核ミサイル開発をどう阻止するのか。国際社会は、冷静に判断し、緊密に連携して対処する必要がある。』
『日本は(中略)、今回も先頭に立って、安保理で制裁強化決議の採択を目指すべきだ。』
『日本政府は独自の追加制裁も検討することにしている。ただ、それだけでは、北朝鮮は痛痒を感じまい。国際的な包囲網の実効をあげることが肝要だ。』
『現状では、北朝鮮が経済的に依存する中国の役割が、北朝鮮に核放棄への圧力をかけるうえできわめて重い。首相は、慎重な態度を示すと予想される中国、ロシアに積極的に働きかけるべきだ。』
『6か国協議は、交渉を通じて、北朝鮮の核放棄の実現を目指そうという枠組みだが、2度目の核実験強行により、事実上、その存在意義は失われた。』
『北朝鮮が、6か国協議つぶしを狙っていたのは明らかだ。(中略)核放棄ではなく、核兵器保有の既成事実化が北朝鮮の本音だ。』
『だが、日米韓中露の5か国にとって、北朝鮮の非核化という共通の目的が失われたわけではない。核保有の既成事実化を決して許さず、実効性ある措置をとることが5か国の喫緊の課題だ。』
『北朝鮮が直接対話を望むオバマ米政権の責任はきわめて大きい。核を持つ北朝鮮との正常化はあり得ないことを肝に銘じさせ、核廃棄へ向かわせるよう、毅然とした態度を貫いてもらいたい。』
『核を持たない日本にとって、米軍の核抑止力こそが北朝鮮に核使用を思いとどまらせる唯一の対抗手段だ。いわゆる「核の傘」が確実に機能するよう日米同盟関係の信頼性を確保する必要がある。』
『ミサイル防衛(MD)システムの一層の充実も欠かせない。迎撃ミサイルの着実な配備はもちろん、米国との情報共有や、相互運用性の向上など、システムの実効性を高めることが重要だ。』
赤旗。
『北朝鮮が核実験を強行し、核兵器開発に新たに拍車をかけていることは、日本と北東アジアの平和と安全を真っ向から損なうものです。』
『核兵器の廃絶を切望する国際世論への重大な挑戦です。決して容認できるものでなく、北朝鮮に厳しく抗議するものです。』
『今回の核実験が、国際社会が核兵器廃絶に向かってかじを切るなかで強行されたことはきわめて重大です。』
『核兵器は残虐な大量破壊兵器であり、その廃絶は人類の悲願です。(中略)今回の核実験強行が核兵器廃絶を求める国際世論に逆行することは明らかです。』
『国連安保理の決定が自らの意に沿わないからといって、国際世論を踏みにじり核兵器開発を強行するのはまったく道理がありません。』
『北朝鮮がこうした瀬戸際政策を続けるなら、国際社会からの孤立をますます深めるだけです。』
『核兵器開発は北朝鮮の安全を保障するどころか、逆に国際環境を不安定化させます。(中略)北朝鮮にとっても、世界的な核兵器廃絶こそが自国の安全を確保する道です。』
『核兵器開発の放棄こそ北朝鮮がとるべき選択です。北朝鮮はただちに無条件で(六カ国:編者注)協議に復帰すべきです。日本をはじめ関係各国には、北朝鮮を復帰させる粘り強い交渉が求められます。』
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表現に差はあるものの、おおむね主張する内容は同じだ。
核実験を行った理由として、社説では主に、
「国際社会への反発」
「アメリカに対するアピール」
「存在感の誇示」
「後継体制作り」
ということが挙げられている。
社説ではあまり触れられていないが、個人的には「盧武鉉前大統領の死去」ということも関係しているように思える。
北朝鮮に友好的だった盧前大統領を死に追いやった、現政権への抗議・挑発といったところだろうか。
日本に対する脅威が言われているが、北朝鮮が日本に向けて核ミサイルを発射する可能性は極めて低いだろう。
しかし、ゼロではない。
前回のような発射実験をして失敗することもあるかもしれない。
また、施設の事故等もあるかもしれない。
あらゆる可能性は考えておく必要はあろう。
いわゆる『米国の「核の傘」』について、産経紙と読売紙で触れている。
個人的には、「核の傘」の信頼性には疑問を感じている。
前にも書いたが、例えば日本が北朝鮮から核攻撃を受け、数百~数千万人規模の被害者が出たとする。
その報復としてアメリカが北朝鮮に核ミサイルを撃ち込んだとしたら、その一撃で反撃力をゼロにしない限り、今度はアラスカあたりが北朝鮮から核の報復を受けることになる可能性がある。
日本のカタキを打つためだけの目的で、多数のアラスカ州民が犠牲になるかもしれない攻撃を、アメリカは北朝鮮に対して本当に行うものだろうか。
そんな「仇討ち」など、アメリカの世論が許さないのではあるまいか。
アメリカ首脳は、その世論に抗ってまで日本のカタキをとってくれるだろうか。
日本にそれほどまでの被害が発生したとしても、アメリカの報復はせいぜいが、表現は悪いが「イラク攻撃」程度の規模だったりするのではあるまいか。
「核の傘」だけに頼ることは、個人的には極めて不安に感じている。
(桐鳳)
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日本のお姉さんの意見。↓
アメリカが日本のために報復なんか
してくれるものかとわたしは思っている。
聖書の預言の話だけど、
ヨーロッパの独裁者が出てくる大変な時代に
どこかのクレージーな国が、貿易で栄える美しい国の
街を焼いてしまうのだけど、
世界中がその炎と煙を見て「ああ、あの美しい街が、、、。」
と、惜しみながら泣くんだけど、報復したって話は
書いてないです。報復してくれたって、核が落ちた後では
どうしようもないでしょう。
イスラエルのように、自国を守るためには、積極的に
隣の国の核施設を壊しにいくような国なら
アメリカは真剣に助けてくれるのでは?
助けはしなくても、「黙って攻撃にいかないように。」ぐらいは
声をかけてくれるんですよ。