【世界の新聞「101紙」の視点】
【世界の新聞「101紙」の視点】
~2009年5月20日(水)の紙面より~
独断と偏見はご容赦!
【最近の社説の、ここに注目】
裁判員制度開始について書かれた社説を見てみる。
朝日。
『国民主権に立つ現憲法ができてから62年をへて、大変革が現実のものになる。』
『3権のうち、立法権と行政権は、国政選挙と、その結果にもとづく議院内閣制のもとで、国民の意思が反映される仕組みを培ってきた。』
『なのにひとり司法だけが、人々の手の届かない存在となってきた。』
『プロが行う裁判は安定性や一貫性を強みとする。だが、(中略)経済社会の変化、犯罪の多様化が逆にそうした裁判の閉鎖性、後進性を浮き彫りにした。』
『そこで(中略)司法制度改革が始まった。重い犯罪を対象にする裁判員制度の導入は、その太い柱である。』
『犯罪を繰り返させない、責任に応じた罰とは。同じ社会を構成する個人として被告に公平無私に対するとは。そうしたことをありふれた生活者の視点から考えて、法廷で判断する。』
『捜査当局は容疑者の自白にこだわり、それを記録した書面を重視する裁判は「調書裁判」と批判されてきた。』
『これを、法廷での被告や証人の供述をめぐるやり取りを中心とした本来の形に改革する必要がある。国民の代表が裁判に直接参加し、プロをチェックする。これも裁判員制度の大きな意義である。』
『民主的な社会を一層成熟させていくうえでも意味は小さくない。』
『公的な意思決定にかかわる体験が積み重なれば、「お上頼み」からの変化を促し、みんなでこの社会をつくろうという意識を高める一助になろう。だが、そう単純ではない側面もある。』
『「感情に流されやすい素人に裁判官と同等の権限を与えていいのか」「裁判員の負担を軽くするために、審理が拙速になる」「人を裁きたくないのに、呼び出しを拒んで制裁されるとしたらおかしい」』
『制度の開始が近づくにつれて、反対論や懸念も強まっているように見える。中でも、死刑を選ぶ判断について裁判員の心理的負担は大きい。』
『法務省は「重大犯罪ほど、主権者である国民に社会正義を回復してもらう意義がある」と説明するが、この考え方が根付くには時間がかかるだろう。』
『裁判員制度が始まれば、予想もしなかった問題も生じるだろう。しかし、誠実にひとつひとつ克服したい。3年後、必要に応じて制度を見直す機会が大事になる。』
『忘れてならないのは、司法の改革を裁判員制度の枠にとどめてはならないということだ。』
『市民が気軽に相談するには敷居が高く、泣き寝入りせざるを得ないことも。たとえ裁判に持ち込んでも、判決までには膨大な費用と時間がかかる。』
『法廷で交わされる専門語や手続きは複雑で、傍聴する市民は蚊帳の外。やっと出た判決は、行政には理解があるのに、市民感覚からかけ離れた論理が目立つ。そのうえ憲法判断となるととたんに慎重になる。』
『日本の民事・行政訴訟の実態は、長くこのようなものだった。国民の司法参加は、人権侵害や公害、法令や行政行為へのチェックを担う民事・行政訴訟でこそ発揮されるべきだ。』
『裁判への参加を、自由で民主的な社会を支える自然な行為と考える世代を作り出すためにも、裁判員制度を失敗させるわけにはいかない。』
産経。
『何よりも円滑な運用が求められる。国民の協力がなければ立ちゆかない。
裁判員となる国民の負担軽減にも常に気を配らなくてはならない。』
『こうした点とともに、ともすれば「自己本位」と批判される日本人が「公の精神」を取り戻す好機にしたい。』
『国民の感覚とズレがあることも指摘されてきた。裁判員制度は、国民の社会常識を広く裁判に反映させるとともに、審理の迅速化を図ることが最大の目的である。』
『公判の迅速化を優先するにしても、拙速な審理は許されない。刑事裁判の大原則は、真相の解明である。迅速化だけに目を奪われると、冤罪(えんざい)を生む要因ともなることを肝に銘じたい。』
『証拠が乏しく、被告が否認している事件も、裁判員に難しい判断を迫ることになる。審理が長期化すれば、裁判員の市民生活には大きな支障が生じる。
どのように負担を軽くしていくか、裁判員裁判定着への大きな課題である。』
『法曹3者は裁判員が理解しやすいように、常に心がける必要がある。難解な法律用語は使わずに、懇切丁寧な審理の進め方がこれまで以上に求められよう。』
『裁判官は、裁判員が評議の席で自分の意見を述べやすいようにする努力が必要だ。裁判員も臆(おく)することなく、感じたことを堂々と述べればよい。
それだけに、裁判官の訴訟指揮の力量も問われる。』
『制度スタート後は、徹底した検証作業が欠かせない。裁判員経験者が体験談や審理の感想などを国民に伝えることが、制度をさらに充実させることにつながる。』
『大改革だけに、さまざまな課題や問題点が浮き彫りとなろう。(中略)制度の不備が見つかれば、速やかに対応したい。』
『裁判員制度を将来にわたって定着させるには、小学生ぐらいからの教育が重要な役割を担う。制度の意義や仕組みを学校の授業に組み入れていくことを提案したい。裁判員裁判を実際に傍聴するだけでも、理解は深まる。』
『当面は生活や精神面で負担となる面もあるが、一人一人の参加を通じて国民の義務と責任を果たす意義は小さくない。』
『裁判員制度への理解と協力を深めることによって、司法分野にとどまらずに、日本人の公共意識をさらに高めていく機会につなげていきたい。』
日経。
『制度の効用は、大きく分けて、2つの方面で期待できる。』
『1つは刑事司法を良くする効果だ。(中略)長い時間がかかる裁判は、裁判員裁判用に設けた「整理手続」を適用すれば、争点を絞り込んで審理を短くできると実証されている。』
『調書裁判と批判されるところも改まろう。(中略)現状は、自白偏重の捜査を助長し、裁判を分かりにくいものにしている。』
『法廷で見て聞いた証拠を基に、普通の国民が有罪無罪と刑罰を判断する裁判員裁判は、調書裁判から脱却しなくては立ち行かない。当然、警察や検察の証拠収集つまり捜査のやり方も変わらざるをえない。』
『もう1つの効用は、長い目で見ないと測れない。』
『それは「司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資する」(裁判員法1条)効果であり、また国民が司法権の一端を担い社会秩序と人権を守る刑事司法の任務を分担すれば主権者としての自覚が高まる。そういう効果だ。』
『ただ、制度の効用は国民の負担と引き換えで生まれる。』
『裁判員に選ばれなくても国民は、これまでの刑事裁判と異なって、量刑判断がばらつき、事件の細部までは明らかにならない裁判員裁判の特性を受け入れるよう迫られる。』
『裁判員を務める負担を超えて、これは権利でもある、と国民が感じ進んで協力するようになるには、まず裁判員を務めた人々が経験を広く伝えることが欠かせない。』
『負担感の大きな要因になっている刑事罰付きの裁判員の守秘義務は、経験を伝える妨げである。』
『裁判員法は付則で、3年後に制度を改善する「所要の措置を講ずる」と定める。守秘義務の見直しは、真っ先に検討すべき課題だ。』
毎日。
『実際の裁判は7月下旬に始まるというが、先月末以降の逮捕者から対象事件の被告が出るはずなので、制度は既に始動していると言うべきかもしれない。』
『この際、司法参加を義務であると同時に市民の権利と位置付け、制度を軌道に乗せたい。』
『一部で被害者の思いを裁判に反映させることが主目的のように受け止められているのは残念だが、当然ながら被害者、被告双方の権利を重視するのが裁判員の役割にほかならない。』
『制度の眼目は冤罪(えんざい)の防止にある。裁判官は(中略)検察側の主張になびいたり、自白偏重に傾くきらいがあることも踏まえ、健全な市民の常識で証拠の矛盾などを虚心坦懐(たんかい)に見抜くことが期待されている。』
『残された課題は少なくない。被告が追起訴された場合に同じ裁判員が担当すべきかどうか、制度の理念上、控訴審の裁判官は裁判員の判断をどこまで尊重すべきか……といった未確定の問題もある。』
『審理の迅速化などを目的に公判前整理手続きが先行導入されたが、弁護士側が十分に対応できているか、証拠や矛盾点を見落とすような欠陥はないか、といった点についての点検はまだまだ不十分だ。』
『残虐な写真の扱いなどをめぐって早くも問題点が指摘されている。自白の信用性の判断に役立てる取り調べの可視化も、大方が支持する制度として確立されてはいない。』
『今後の運用を通じての検証と見直しが欠かせないが、緻密(ちみつ)な立証や審理から「精密司法」と呼ばれてきた裁判のあり方が様変わりすることに、市民も理解を深める必要がある。』
『肝心なのは、お上意識の呪縛から脱却することだ。』
『役所に任せきりにせず、正邪や是非善悪などを自ら判断する習慣を身につけて“丸投げ民主主義”とやゆされる社会のありようを一新しなければなるまい。』
『「開かれた裁判」の実現だけでなく、市民の意識変革を促すことも、裁判員制度の大きな目的と心得たい。』
裁判員制度が明日から始まる。
「実際の裁判は7月下旬に始まる」との表現が多い中、毎日紙の、『先月末以降の逮捕者から対象事件の被告が出るはずなので、制度は既に始動していると言うべきかもしれない』
の一節は、独特だ。
産経紙の、
『ともすれば「自己本位」と批判される日本人が「公の精神」を取り戻す好機にしたい』
『日本人の公共意識をさらに高めていく機会につなげていきたい』
の一節は、産経らしい考え方だ。
産経紙の『国民の社会常識』、及び毎日紙の『健全な市民の常識』という部分。
個人的には、少し心配だ。
以前から何度か書いていることだが、「国民・市民」は、各種マスコミからも当該裁判に関係する情報を得ることになる。
当然その情報には、各マスコミの価値観が反映されている。
光市の母子殺害事件がいい例だ。
私もこの被告には激しい憤りを感じるし、死刑で当然とも思う。
しかし、こうした感情は全て、マスコミ報道により生じたものだ。
死刑賛成論者と反対論者の主張を同等に取り上げているとは思えないし、「死刑で当然」という価値観ありきで番組が構成されているように思えてならない。
『国民の社会常識』或いは『健全な市民の常識』ではなく、「マスコミの価値観」が裁判に反映されてしまうことを危惧する。
毎日紙の、
『残虐な写真の扱いなどをめぐって早くも問題点が指摘されている』
の一節。
東京・江東区における殺人事件の裁判の際にも、正視に堪えない画像・映像が使われたと聞く。
個人的には、これが一番嫌なところだ。
(桐鳳)
【編集後記】
裁判員制度。
被告人や被害者が、親族等ではない単なる知り合い程度の場合なら、参加することになるようです。
どうなんでしょう?
特に、「性被害」の場合など。
日経紙のように、「守秘義務はいらない」との論調もあります。
いろいろ試行錯誤が続くことになるのでしょうか。
(桐鳳)
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日本人は、おとなしいから
自分の意見で他人の人生が変わってしまうのが
嫌なので、裁判員になろうとしないと思う。
そうすると、日本の中に住む、ずうずうしい人々が
裁判員を独占してしまうかもしれない。
日本で犯罪を犯す人の中の在日韓国・朝鮮人の比率は
すごい率らしい。犯罪者が在日韓国・朝鮮人や
在日チュウゴク人だったとき、
それだけで、在日の外国人たちが軽い刑で終わらせようと、
いろいろ工作しないか、心配だ。
日本人は、個人情報をそんなに保護されていないから、
裁判員になった後で、加害者や関係者に身元を調べ
あげられて、殺されたり、イジメられるかもしれない。
または、裁判中に、刑を軽くしたり、重くするよう、
依頼者が雇った探偵(?)に脅されるか、または金を
握らされるかもしれない。
または、在日韓国・朝鮮人系のメディアやチュウゴク関係の
メディアが、いろんなよけいな教えを吹き込んで
裁判員の考え方を変えてしまうかもしれない。
殺人現場のエグイ写真を見た裁判員が、ショックで
ノイローゼやうつ病になったら、誰が治療費を
出してくれるのか?わたしのような、神経の太い人でも
悪い夢を見るかもしれない。
精神状態や体調が裁判のせいでおかしくなったとき、
誰か、ケアをしてくれるのか?
会社に、「裁判員に選ばれました。」と言った場合、
「それなら給料を減らす。」と言われたり、「出ないように。」と
暗に命令されたらどうするのか?国はちゃんと、裁判員を
守ってくれるのか?
http://archive.mag2.com/0000174275/index.html