「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 あの親中派のオーストラリアさえ
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年)5月1日(金曜日)
通巻第2583号 (4月30日発行)
あの親中派のオーストラリアさえ、中国の軍事的脅威に本格的に対抗する
十年ぶりの豪『国防白書』は中国の海軍力とどうバランスをとるかを基軸に
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いよいよもって中国の軍事力の脅威を報道しないのは日本のマスゴミだけになった。
否、報じてはいるものの、それは淡々と中国の軍事力が増加していると事実を客観的に羅列して小さく記事にしていても、実際の数字や員数など後追い記事もなければ脅威を分析する識者のコメントがつくのは産経新聞と読売新聞くらいだ。
だから日本の読者の大半は中国の軍事大国ぶりの詳細を知らない。
オーストラリア政府。ラッド首相は親中派の典型的政治家。外務省キャリアの中国担当から政治家となった。
その豪勢府さえ、国防白書は中国の軍事力に注視する。
まもなく公表される同国国防白書は十年ぶりのことで、目的は「中国海軍の躍進はシーレーンに緊張を及ぼす。さらに数十年以内に米国のパワーが大きく後退し、中国が西太平洋から南太平洋のシーレーンを抑えるだろう。米国のパワーによって過去数十年、この地域の安全は維持できた。米国の後退はアジア各地に疑心暗鬼をうませ、軍事競争が高まることになる。中国が代替するとなると備えを増やすべきである」(ニュージーランド・ヘラルド、4月27日付け)。
これに従ってオーストラリアは、国防予算を212億豪ドル(GDPの1・8%,日本の二倍の比率)に増やし、次の装備を充実する。
重戦車、空中戦攻撃機、ヘリ搭載水陸両用戦艦、F18ホーネット。
とくに弾道ミサイル防衛システム搭載の戦艦8隻(7000頓クラス)、哨戒艇。
哨戒機はP3CをP8ポセイドンに代替(2020年までに)、対潜ヘリを27機。
そして2014年配備予定でF35ジェット戦闘機を追加100機、米国に発注した。
C130ハーキュリー輸送機6機も。
白書は豪の防衛力を二倍にする計画である。
現有十二隻の潜水艦も更新し前述した新型戦闘艦と編成しなおすこと、海上保安庁に空中警戒機導入などを謳っている。
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(読者の声1)貴誌前号「1998年に中国の大学生は全部で380万だった。昨年、新卒だけで560万人、ことしの新卒学生が610万人。2008年統計で中国全土の大学生は2150万(大学院も含める)の凄まじい数字となった。上海での大学進学率は65%に迫り、重慶の15%程度と明らかな地域格差も目立つ」。
<引用終わり>
意見:
1.需給のアンバランスと政治問題:
戦前はどこの国でも大学卒というのは、大変なハクであり権威でした。就職すれば幹部候補生でした。しかし今は学校の数が増え学生も飛躍的に多くなりました。この結果、途上国では大卒として就職が出来ない現象がおきています。
エジプトではカイロ大卒のタクシー運転主がいます。中共も同じでしょう。
このため需給のミスマッチはこんなはずではなかった、と不満を募らせる人々を大量に生み出し、途上国では政治不安を醸成する大きな原因になっています。
2.教育内容問題:
フランスのルボンは、すでに仏の教育制度では一般教育コースの人員が多すぎると批判していました。というのはかれらは卒業しても教職しか就職がなく、未就職者はいたずらに社会批判や政治批判に走るからです。
それよりも実学である職業教育を発達させて、若いうちから職業に親しみ、地道で具体的な人生設計を立てさせることが必要と述べています。これは人間の人生は短いので、早くから人生の現実的な智慧(世渡り力)と実際の技術を身につけさせることが必要という考えです。
政治、経済、哲学、歴史、社会などの一般学問をする人は社会の一部の人でよいし、本質的にはいくつになっても学ぶことが出来るものです。
日本では一般教育よりも実業学校を軽く見る風潮がありましたが、不況の中で見直されているようです。
実業教育課程は、実務技術能力に加えて人生を考え社会の「世渡り力」を知る教科を設ければ、生徒にとって鬼に金棒になると思います。
(東海子)
(宮崎正弘のコメント)大学へ行っても無駄な人が多くいます。ドイツのように適正を早くから峻別して職業訓練的専門学校に流れるシステムに改革する必要性もあるのでは?
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(読者の声2)貴誌通巻第2582号に「ことしの新卒学生が610万人。2008年統計で中国全土の大学生は2150万(大学院も含める)の凄まじい数字となった」とあります。
中国の大学は4年生なので、今年の卒業生が610万人なら、学部生だけで2440万人となってしまいます。どちらかの数字が違うのでない限り、今年は、4年生だけ他の学年に比べて異常に多いことになります。
進学率が急に低下してきたのでしょうか、それとも一学年あたりの人口が若年層ほど少ないのでしょうか。
全社なら中国の進学熱が正常化しつつあるということですし、後者なら急速に少子化がすすんでいることになります。
T.T氏が(読者の声4)で「この件に関して私が注目しているのが、『はたして、サヨクは米国陰謀説を唱えるかどうか?』ということです。サヨクは、そういうのが大好きでしょう。BSEの時もありましたし…」と書かれました。
サヨクのよる陰謀説ではなく、既に伝染病の専門家の間で、メキシコ南部にある大規模な豚飼育場が発生源ではないかと疑われています。その豚飼育場は米国にある会社が所有しているものです。ただしメキシコ政府も当該の会社もその疑いを否定しています。私は、この疑いが正しい可能性もかなりあると思っていますが、どちらとも主張することができるだけのデータもこの分野の専門的能力もありません。
陰謀論ではなく、ちゃんとしたデータに基づいて専門家がさまざまな可能性を調査しています。その結果が発表されるのをじっくりと待ちましょう。
(ST生、神奈川)
(宮崎正弘のコメント)911テロ直後におきた炭疽菌テロ事件を思い起こしました。結局病原菌研究所の生物科学者らが最終的に疑われNYタイムズのクリストフ記者が「あいつが犯人」を騒いだ人物はシロ、訴訟を起こされて、その裡に「もっとも疑わしい人物」が自殺し、結局、この事件はうやむやになった。報道の責任をクリストフはとったかと言えば、この名物記者は東京特派員時代に日本のことをデタラメに報じた張本人、しかし炭疽菌犯人誤報事件でも首にならず、世界を股に掛けて毎週なにかコラムを書き続けている。
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(読者の声3)映画「ジョン・ラーベ」について。
「史実を世界に発信する会」事務局長 茂木弘道
一、以前から製作が伝えられていた独・仏・中合作の映画「ジョン・ラーベ」(フローリアン・ガレンベルガー監督)が完成し、去る4月2日ドイツで封切られたと伝えられる。4月28日には中国でも上映されることになっているという。
こんな映画に跳びつく配給会社が日本にはいないようで、日本での上映の計画はないという。例によって、日本も政府が映画統制をしていると思い込んでいる無知な某国人が「日本で上映禁止!」と虚言を撒き散らしている。それに呼応して、上映をさせようと署名運動をやっている愚かな日本人もいる。
二、ラーベは昭和12年12月に日本軍が南京を占領したとき、南京に残っていた欧米人(大部分アメリカ人)15人によって組織された「安全区国際委員会」の委員長であった。「安全区」は南京の一角を中立地帯にして、一般市民を戦火から守るために設置されたものである。面積は東京で一番小さい中央区の半分弱である。
映画では、住民保護に当った国際委員会の代表ジョン・ラーベを人道主義者、「中国のシンドラー」として讃える反面、当然のことながら、日本の残虐さを強調している。ナチ党員ラーベすら憤慨する日本軍というわけである。
三、 ところで実際はどうであったのか? 先ず、何故ラーベが委員長に選ばれたのかである。ラーベは、ドイツの大電機メーカー、ジーメンスの南京支社長であった。
当時のドイツは、蒋介石政権に軍事顧問団を送り込み中国軍の近代化を指導するとともに、ドイツ製の武器を中心に大量のドイツ製品を売り込んでいた。産業連盟ぐるみで輸出を行い、中国はドイツの第一のお得意となっていた。ジーメンスもその中心メーカーであった。蒋政権と極めて親密な関係を持つドイツ人のラーベが委員長に選ばれたのは当然のことなのである。
四、 軍事顧問団のファルケンハウゼン将軍は、日本に対する先制攻撃案を蒋介石に提案していたくらいであるから、その仲間のラーベが反日的で、中国人に同情的あったのは不思議ではない。
従って、『ラーベ日記』には、日本軍に対する極めて悪意のある描写が多いのである。あの狭い「安全区」に20万の市民がいた。そこを自由に行き来していたラーベ。それでも、日記にはたったの一件も殺害を自分で見たことが書いてない。全てこう言ってる、ああ言ってるという伝聞である。
事実、国際委員会の公式記録である『南京安全区の記録』には南京の人口はずっと20万だったと書いてある。ところが、彼はヒットラーへの上申書で5万から6万の民間人が殺されたと書く。要するに全くのうそつきであるということである。
五、 こんなうそつきの反日ナチス党員が書いた記録を更に誇張して作った映画がどのようなものなのか、改めて言うまでもないことである。
どうもナチス原罪に悩むドイツ人は日本をナチス以下とけなすことで自己救済を図りたがっているようだ。残念ながらそれは虚しい試みだ。
ユダヤ人対策要綱(昭和13年12月6日五相会議決定)でユダヤ人差別をせずと正式に宣言した日本に、ウソによって刃向おうとしているに過ぎないからである。
(宮崎正弘のコメント)ご存じでしょうが、南京の例の「大虐殺記念館」でラーベは銅像(トルソ)まで作られて「英雄」扱いを受けています。
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(読者の声4)最近、アメリカから中国の企業や大学に転職する中国人が増えています。アメリカの大手企業に数年勤務した後に本国で自分の会社を立ち上げたり、大学の教員として採用された中国人を私も何人か個人的に知っていますが、例外なくアメリカ国籍を取得した後に中国に渡っています。
そのうちの一人は、現在、中国で150人以上の部下を持つ幹部社員として活躍中。ビジネスとして本当に成り立っているのか疑問がありますが、本人はまんざらでもなさそうな様子です。
一方、口を開けば中共の悪口ばかり言っていた台湾人の知人が最近はおとなしくなってしまいました。彼は国立某研究所に勤める傍ら大学の教壇に立つという経歴の持ち主ですが、今月会ったときは中共についての話は全く無し。どうなっているのかと思い、帰りがけにこちらから話題を振ってみました。
「馬になって中共と接近し過ぎてないか?」と私が聞くと、「仕方ないだろ。交渉しながらやっていくしかないのさ。軍事力ではアメリカも恐れるくらいに成長したわけだから・・・」とあきらめムードでした。
CNBCのコメンテーターとして2ヶ月に一度くらいの頻度で出演する某ファンドマネージャーも中国の経済成長を確信しているようです。
中国政府に招聘され講演した際に頂いた講演料はすべて中国の銀行に開いた口座に預金したそうです。できれば、もっと人民元建ての預金がしたいのだけど、Everbank.com経由は勘弁とのことでした。
日本についてのコメントを求めると、問題は日本政府に基本の哲学をともなった対策がないことと、先生と同じ答えが返ってきました。
(MI5)
(宮崎正弘のコメント)見透かされる日本、ですか。
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(お知らせ)黄金週間中、小誌はカレンダー通りに休日が休刊となります。次の発行は5月6日か、7日になります。それでは良いゴールデンウィークをお過ごし下さい!
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宮崎正弘講演会は16日
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ウォール街から始まった株式暴落と世界同時不況から次の変革が目の前に来ている。
これから米国の大不況、消費激減とロシア、中国の陥没などが世界的なシステムの変更を否応なく促されるだろう。
この「百年に一度の危機」が、日本にとって最大のチャンスである。起死回生のバネにするため、我々は何をなすべきだろうか。
記
とき 平成21年5月16日(土) 18時(開場:17時45分)
講師と演題 宮崎正弘「どうなる世界と日本のこれから」
ところ 文京シビック三階 第1・2会議室(文京シビックセンター内)
東京都文京区春日1-16-21 03-3812-7111
(東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分。都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分)
http://www.b-academy.jp/b-civichall/about/about02_04.html
参加費 1000円 (事前申込の女性・学生500円)
懇親会 20時~22時。参加費:3800円 (事前申込の女性・学生3500円)
当日、宮崎本のサイン即売会も行われます。
◎会場の都合により、懇親会参加者は必ず事前にお申し込みください。
【申込先】 士気の集い・青年部 TEL 090-3450-1951 FAX 050-1282-2472
(千田 昌寛宛て) E-mail:morale_meeting@yahoo.co.jp
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宮崎正弘先生講演会「どうなる世界と日本のこれから」申込書(FAX用)
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お名前 お電話 ( )
FAX ( )
□講演会 □懇親会 (チェックを入れて下さい)
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宮崎正弘・石平 共著
『絶望の大国、中国の真実――日本人は中国人のことを何も分かっていない』
(定価980円。ワック文庫)
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『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
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