頂門の一針
わたなべりやうじらうのメイル・マガジン「頂門の一針」 1530号
平成21(2009)年4月29日(水)「昭和の日」
平成21(2009)年4月29日(水)「昭和の日」
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平手造酒・小澤一郎
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渡部 亮次郎
「演歌『大利根月夜』の2番の歌詞に、「男 平手と もてはやされて、今じゃ 今じゃ 浮世を 三度笠」とありますが、どういう意味でしょうか?」
「平手造酒 ひらてみき ?‐1844(弘化1)
江戸後期の博徒の用心棒。出身などはいっさい不明である。江戸の神田お玉ヶ池の千葉道場の俊英であったが破門され,田舎回りの剣術指南で歩く浪々の身となった。
下総(千葉県)の笹川で博徒の親分繁蔵と知り合い,その客分となり,
大利根河原の決闘で斬り結ぶうち全身に傷を負い,後に死んだ。
この平手造酒のイメージは,講談,浪曲の《天保水滸伝》で作られたものである。実名は平田深喜という。一説によると,笹川繁蔵は平田を飯岡助五郎方のスパイと疑い,出入りの直前に刀を取りあげてしまったので,平田はやむをえず,やくざ物の脇差で戦ったが,すぐに鍔元より折れ,11ヵ所の切傷を受け落命したという。37~38歳ごろであった。森 安
彦」世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービス
自民党を追われた小澤一郎は、あろうことか野党党首となって自民党苛めに懸命だった。なんだか平手造酒みたいな哀れさも漂っていた。「世が世であれば、殿の招きの月見酒、男平手ともてはやされて・・・それが今じゃやくざ(民主党)の用心棒・・・」
平手造酒を用心棒に雇った「笹川の繁蔵」の血筋の末裔が家人である。
繁蔵の兄のそれらしい。なぜかそれに触れられるのが一番の苦手らしい。
小澤と繁蔵を並べるのは失礼だが、何しろ小澤は自ら作った政治資金規正法を甘く見て進退を過まった。法律を作ったのは自分だから運用にも自信があったのだろうが、そうは行かなかった。
2008年秋、防衛利権に絡んだ秋山直紀の事件で東京地方検察庁に3日にわたって参考人事情聴取を受けた。その時に感じたことだが政治家やその
周辺居住者たる私のような者と、検事との間には政治運営について大きな隔意がある、ということだった。
早い話が、検事は政治制度の事は知っていても、日本政界事情は全く知らない。小澤の常識となっていることを検事は全く知らない。政治資金の取り扱いについても、小澤は修正申告で済むと考えていたとしても検事は原理主義で押して来るから、修正申告では済まない。
それなのに小澤が「修正申告で済む」「それなのに担当の秘書をいきなり逮捕というのは権力の濫用だ」と喚いた。だが、これは小澤の誤解だった。
政治資金規正法という法律を作った小澤は政治家に都合の良いように解釈して作った心算だが、検事はそんなことなし、原理、原則で解釈したのだ。東京地検は今でも「小澤は何を言っているのだろう」とおもっているはずだ。
しかも逮捕された秘書は検察と妥協してしまった。落ちてしまった。小澤にとっては全くの誤算だった。おそらく大久保秘書は政界を引退する事を決意した筈である。
世間は小澤を角栄2世と簡単に呼ぶが角栄は拘置所に2度も入ったが小澤は一度もない。拘置所が怖いのだ。けつにガラス棒を突っ込まれるのが怖いのだ。「代表を辞めたらやられる」
小澤を慰めに行っているのはあまり居ないだろう。衆議院事務局事務員時代からの側近平野貞夫(前参議院議員)、その女婿で樋高剛前衆院議員ぐらいではないか。いや樋高剛は小澤の秘書だったのに立候補のポスターから小澤の顔を外し始めたというから最近は近付かないかも知れない。
小澤の側近面をしているのは鳩山だが、彼も「俺の後継者は菅ではなくお前」と小澤にいわれて子分面しているにすぎない。「東京地検は説明不足」と刑事訴訟法無視の発言をくりかえす理工系バカ丸出しだ。検察は事件について公判前に説明してはいけないと刑事訴訟法に書いてある。
いま悪夢が小澤を苛んでいる。
<1992年、東京佐川急便から5億円のヤミ献金が発覚(東京佐川急便事件)し、同年8月27日に党副総裁を辞任、事態の収拾を図った。しかし世論の反発が強く10月に衆議院議員を辞職。竹下派会長も辞任した。
裁判で徹底的に戦う事を主張した小沢一郎に対し、梶山静六は略式起訴での決着を主張した。小沢戦略なら論理は一貫しているが長期的な体力が必要で党のイメージダウンも長く続くことになり、梶山戦略は短期で決着がつくように見えた。
しかし、結果的に両者とも世論の動きを読みきれていなかった。信じられないことだが金丸本人は上申書を提出するまで弁護士を立てていなかった。後に担当することになる弁護士は金丸辞任会見をTVで他人事のように見ていたと語っている。
当初の対応を小沢、生原秘書、佐藤守良に任せた結果時効がかかっていた時期を見誤った。浜田幸一の著書によると、梶山が短期決着で入れ知恵をしたかのごとく記述されているが客観的ではない。結局、対応に小沢、梶山の二股をかけたことにより両者の対立は決定的なものになり、派閥は分裂へと進んでゆく。
東京地検に政治資金規正法違反で略式起訴され、東京簡易裁判所から罰金20万円の略式命令を受けた。しかし特別捜査部さえ“巨悪”に手を出せなかったことから、地検は世間から凄まじい批判を受ける(「有力政治家には特別に計らう“特別捜査部”だ」とまで揶揄する評もあった)。
また異例ともいえる身内の検察からも批判的な意見が公にでた。刑罰の軽さに批判が大きかったものの前科一犯が確定したため、叙勲を受ける資格を失った。
一方、東京国税局は、金丸信の妻が死亡した際に受け取った遺産に着目、当時の日本債券信用銀行(日債銀)のワリシン(割引金融債)の一部が申告されていない(日債銀内では、金丸を“蟷螂紳士”とコードネームで呼び、申告漏れに協力していた)という事実を突き止めた。
1993年3月6日、東京地検は金丸本人と秘書を任意に呼び出して聴取を行い、同日脱税の容疑で逮捕。後に、自宅へ家宅捜索を行ったところ、数十億の不正蓄財が発覚する。
捜索の中、時価1千万円相当の金塊が発見された。「金丸が訪朝の際、金日成から受領した無刻印のもの」と風評されたが、実際には刻印のあるフォーナイン(金の純度が99.99%と言う意味)であったとされる(村山治『特捜検察VS金融権力』)このフォーナインは「麻原彰晃が上九一色村の本部に隠し持っていた金塊と、刻印番号が接近している」との噂もあった。
これが止めとなって同情論は消え、権威は地に堕ちた。>(「ウィキペディア」)
「金丸は副総裁を辞任したから逮捕され、身を潰した。おれもそうなる」。いまや大逆転で民主党が次期政権を担うことがあっても、その時総理が小澤だという絵は想像できない。「代表」にしがみつくわけは「逮捕よけ」だけだ。
誇り高く検察をのがれ、喝采を浴びながら凱旋する芝居が描けないだろうか、そればかりを考えるのが小澤の日々だ。
小澤は「民主党の明日を慮り選挙対策本部長に退いて挺身する」と言う道を予想する向きもあるが、それじゃまるで平手造酒。殿の招きの月見酒を渇望しながら惨殺される結末が待っているだけだ。
(文中敬称略)2009・04・28
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豚インフルエンザで「フェーズ4」
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古澤 襄
世界保健機関(WHO)はメキシコで死者が発生している豚インフルエンザについて、ヒトからヒトに感染する大流行の危険性を示す警戒信号「フェーズ4」に格上げした。
これを受けて舛添厚生労働相は28日、メキシコ、アメリカ、カナダの3か国で感染症法で規定する新型インフルエンザが発生したとする声明を発表、政府は空港などでの検疫態勢を強化する方針を打ち出している。
豚インフルエンザは鳥インフルエンザに較べてヒトに感染した場合、死亡率が低いとされている。鳥インフルエンザも、鳥から鳥への感染→鳥からヒトの感染→ヒトからヒトの感染と段階を追ってウイルスの毒性が変異している。
豚インフルエンザも鳥インフルエンザと同じ様な段階を踏むので、死亡率が高くないと楽観することは出来ない。
むしろ潜伏期間を経て秋から冬にかけて大流行の危険性がある。また医療が未整備な後進国で発生すると、対策が遅れて死亡者が増える傾向がある。メキシコの場合もそれに当たる。
2003年以来、ベトナムのメコン・デルタ地域で鳥インフルエンザが発生、当初は多数のニワトリやアヒルに斃死が目立ったが、やがてヒトに感染、3回の鳥インフルエンザの流行があって、5000羽の家禽が殺処分、ヒトへの感染は91人、41人が死亡した。
ヒトからヒトへの感染が重なる過程でウイルスの毒性が変異強化されると、世界に鳥インフルエンザが拡大し、4000万人が死亡した100年前のスペインかぜの再来になるとWHOは警告している。
豚インフルエンザも同様に危険性を孕んでいる。すでにEU域内で初めて豚インフルエンザの感染(スペイン)が認められ、アジアでも韓国で発生したといわれている。いずれもメキシコに旅行した者だが、今後は当該国の中でヒトからヒトへの感染を警戒する必要がある。
豚インフルエンザの毒性が弱い段階で、ウイルスの拡大を防止し、感染者の快復に務めれば、いたずらに怖れる必要がない。
舛添厚生労働相は「正確な情報に基づいた冷静な対応」「メキシコなどの発生国への渡航を避けることの検討」「マスクや手洗いといった個人予防策」を呼びかけている。
EUの場合もロイター通信によれば、感染が確認されたのはメキシコの大学に留学し、最近帰国したスペイン中南部出身の若い男性で。発熱と呼吸器の異常を訴えて入院した。現在、手当てを受けているが、症状は比較的軽いという。
感染地域の急速な拡大など懸念する材料があるが、東南アジアで猛威を振るった鳥インフルエンザのウイルス拡大も一応は終息している。
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GMとクライスラーの再建案、最終段階へ
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~ 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年)4月28日(火曜日)
通巻第2581号
GMとクライスラーの再建案、最終段階へ
まるで社会主義的。債務返済をほぼ放棄、債権者がこれをのむか?
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クライスラーと全米自動車労組(UAW)は4月26日に会社再建策を巡り、コスト削減などで暫定合意した。退職者の医療保険基金に対してクライスラーが負っている債務の圧縮を主柱に、月末に最終合意に至る模様だという。
UAWはクライスラーと提携を交渉している伊フィアット並びに米政府との間で、労働条件の見直しなどで合意し、ひきつづき、UAWは組合員による投票を実施し、暫定合意内容の承認を目指す。
UAWとの合意により、政府が設定した再建条件達成が可能になりつつある。
王者GMはどうか。
GMは追加リストラ策を発表、政府や労働組合、債権者に対して合計440億ドル(約4兆3000億円)以上の債務圧縮を要求した。簡単に言えば「徳
政令」。
債務を株式化し、米国政府と労組がGM株の9割を保有する。社会主義だ。
詳しく中味をみると、債務削減は米政府の緊急融資(154億ドル)とUA
W医療保険基金への拠出義務(約200億ドル)を、株式で大半を返済することにして、さらに270億ドルの無担保債務の債権者には額面1000ドルの債権をGMの普通株225株と交換する。こうした措置により440億ドル以上の負債を圧縮しようとするもの。
この異例の事態、すなわち債務削減(徳政令)には債権者の合意が必要。絵に描いた餅に終わる可能性もある。
GM再建を模索するヘンダーソン最高経営責任者(CEO)は4月27日に記者会見して、主力だったGMのシンボル=「ポンティアック」を来年(2010年)までに廃止、全米47工場のうち、13工場を閉鎖する。
これにともない、7000人を解雇するなどの追加リストラ策を発表した。ディーラーも6200店から3600店に減らす。
いよいよ三大巨人のうち、GMとクライスラーの終わりが見えてきた。
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(読者の声1)26日夜のNHK教育TV。率直に、歴史とは何か、古代遺跡とは何か、歴史学者の根本的な解釈を問いたい。
国家とは何かその形成期はどう読まれるべきか。栄枯盛衰。どこの国にも国家形勢に浮沈がありローマは1日にしてならずです。
遺跡は遺跡、貴重な歴史の証で大事に保管されなければなりませんが。
所詮過去の博物館行きの保存資料であり、おどおど解説者が神経質に顔を引きつらせるようなことではないでしょう。
歴史とは引き返すことのできない大河の流れ、その時代の姿を映し出すもの。現代は現代、過去は過去。
ある韓国人が講師の横浜での歴史講座で、謙虚に聴講したのですが。日本という国は○○ヤと同じで元々国はなかった。韓国の植民地だったときました。哀号です。
講座は途中でしたが止めました。感謝、感謝すべきから謝るべき、と発展していく思考過程が見えるのです。朝鮮半島の古代人は陸づたいにどう流れたのでしょう。仏教が一人で歩いて朝鮮にやってきたってことでしょうか。(MK虎枝)
(宮崎正弘のコメント)当該番組を見ておりません。最近、はじめから立腹、激怒が予測される番組は見ない、というよりテレビそのものを見ることが稀ですので。
それはそれとして、韓国特有の事大主義、ミニ中華思想はかれらのDNA,百年の単位で改善される性格のものではないでしょう。
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(読者の声2)いつも貴重な情報をありがとうござます。
読者の声のYM子さんのご意見に私も同感でした。「韓〇が日本の歴史そのものを根本から変えようとしているのでは?」との疑問はごもっとも思います。
つい最近の民主党鳩山幹事長の「日本列島は日本人だけの所有物ではない」という発言にしても、かの隣国の政治的影響力を感じさせました。
かの隣国は自国の「歴史捏造」でも悪名高い。日本の歴史も改竄捏造し、日本人の思考形態を変えて、日本国内に勢力を伸ばそうとしているとしか思えません。
最近のインターネットを見ると、若い世代の間でもそのような認識と危機感がかなり広がっているようです。中国共産党からの情報戦争とあいまって、本当に今、日本は危機的な状況にあると思います。
日本を愛する真の日本人が世代を超えて団結し、日本の歴史と文化と伝統を守り、外国からの精神的奴隷化攻撃を撃滅すべき時ではないでしょうか。(陽山)
(宮崎正弘のコメント)ネットにおける若者たちの反乱に期待している一人です。世論はもはや朝日の社説には存在しない。ネットの議論に移行しています。
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(読者の声3)何度か私の愚文を読んで賛同されるYM子様の意見に同意いたします。これを投稿した時は天皇皇后両陛下を意識してなかったのですが、YM子様の指摘通り、マスゴミは両陛下に対し「さま」で呼び、ぺ・某は「様」付け、どうせ某国の工作を推進している某代理店が推進して、マスゴミに寄生する在日記者が両陛下を見下してそう書いたので
しょうが、どう考えてもおかしな表現ですね。
あのNHKも両陛下や皇族方全て「さま」付けですね。両陛下と親王殿下、内親王殿下と表現出来ないのか?
そうそう、某携帯会社のCM、あれも日本人を意識的に貶めて馬鹿にしている。犬の男親に黒人の息子・・。某民族の究極の蔑視と忌み嫌う黒人
を日本男子へあてがって、あからさまな蔑視の表現、このCMを私は非常に軽蔑しています。
でもこのCMの意味を理解している人間は多くないでしょう。日本人の頭はゆとり教育の成果もあって、働き盛りの男女を中心に完全にメルトダウンしていますから・・・。残念ですね。
最近マスコミを「マスゴミ」「ますごみ」と表現される方が多い由、下品かもしれませんが、一連の安倍、麻生叩き報道と小沢ヨイショ報道を見るにつけ、マスコミ=マスゴミです。
もっとも最近は、「カスゴミ」「クズゴミ」という余りに直球勝負的表現もネット上に出ているようです。
それにしても宮崎メルマガで報告のように米国の既存大メデイアが次々崩壊しつつあると言うのに、日本の大マスゴミは潰れもせず、平和で呑気ですね。
次は日本のマスゴミが崩壊の危機に有るのですが・・・。 (ID生、新潟県上越市)
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(読者の声4)貴誌投稿から引用します。「日本人の古代史研究者の学者の方々へ触手を伸ばしているような気がしたのです。時々、″聖徳太子はいなかった″のキャンペーン?もその一貫では。皇室、の根拠を根底から崩そうとしているのではないでしょうか?先日、久しぶりに図書館へ行きましたが、呉善花先生の本は隅の方ヘ追いやられ、逆に、とんで
もない類いの学説を唱える歴史学者の本が多く並べられていました」(YM子)<引用終わり>
意見:韓国の古代日本史介入問題では、以前ある朝鮮人が万葉集は朝鮮語で書かれていると主張し驚かされました。本当か、と思う人も出てくるので一言。実は朝鮮には古代史書はないし、古代朝鮮語の記録も皆無なのです。
一番古い古代史を扱った歴史書でも中世の12世紀に作られたものです。
日本では鎌倉時代です。それが今でも二百年前の世界がよく分からないのに八百年以上も前のことを記すのですから、創作の域を出ないわけです。
したがって昔も今も朝鮮人の古代朝鮮研究は日本や支那の古代史書に拠っています。なにしろほかにないのですから。
そして牽強付会あるいは、奇怪な主張をして日本人や支那人を驚かすわけです。万葉集朝鮮語説は、古代朝鮮語は存在しないので、現代朝鮮語で万葉集を分析しているようです。
方法論として不合理でまったく問題になりません。
ということで日本人は朝鮮人の古代史論や主張は真に受けず、距離を置いて見るようにしたいものです。 (東海子)
(宮崎正弘のコメント)渤海という国も本当にあったかさえ疑惑の歴史ですね。
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樋泉克夫のコラム
――驚愕、戦慄、恐怖、瞠目、やがて沈黙・・・そして暗然
『極秘 魔窟・大観園の解剖』(満洲国警務総局保安局
原書房 昭和57年)
「満洲国の存在を昂然と嘲笑侮蔑してゐるものに『傅家甸』FUCHIATIENの存在がある」の一行ではじまるこの本は、その昔、ハルピンの中国人街の傅家甸にあった大観園を舞台にした「殺人、売春、麻薬、婦女誘拐、人間・動物の死体売買といった恐るべき汚濁社会の赤裸な内部を克明に記録!」(この本の帯に記された紹介文)したものだ。
ともかくも、非日常の日常化などといった“甘っちょろい常套句”では表現しえない世界が、次から次へと登場する。
しかもそれが、『三国志』や『水滸伝』、『聊斎志異』、はたまた京劇の舞台のような絵空事の世界ではなく、1941年前後のハルピン中国人居住地の一角で日々繰り返されていた紛うことなき現実というから驚くほかはない。
「此の世界に於いてはせつぱつまつた凄惨な挿話が無限に聞かされるであらう。それ等の夥しい驚異の前にはわれわれの可能の世界は一切が青褪めてしまひ、知性と徳性の無力を感じて慄然とする。街に氾濫する執拗な因襲、因襲はやる丈のことは何だつてやる。然も此の街は虚無主義的不感症に陥つてゐる」。
なにやら映画の予告編ようで隔靴掻痒の感は免れないだろうが、もう少し「序にかへて」を読み進んでみたい。
なぜなら、この街に実際に足を踏み入れ、この本の原型である「漢民族社会実態調査 第一編 大観園の解剖」を書き上げた「満洲国警務総局保安局」の関係者が直接肌で感じ取った漢民族が放つ強烈な“生活臭”が感じられるからだ。
「漢民族、それは所有る物の一切を葬り去る土の如き存在である。而もそれは飽く迄も鈍重で執拗なる力に溢れてゐる。
彼らは永久飢饉と一切の政治・動乱・理論、果ては道徳にすら散々に打ちのめされ、ぶち壊されながら、その何れもが彼らの存在を如何ともすることの出来なかった所の、心憎きまでに強靭に且つ民族的な存在である。・・・
彼等は本能に導かるるままに自由に奔放に生き抜かんとする。然るが故に漢民族社会にはその最初から国策を無視して行く社会構成の悪戯があるのである。人間の意志を無視し、人間の正常なる努力を冷笑する人間の根強い本能のみが漢民族社会に於ける決定的な要素である。」
かくして「此の傅家甸こそは、最初から純然たる漢民族社会として発展し続けた社会である。われわれはこの傅家甸に於いて漢民族社会のありとあらゆる現象の圧縮された縮図を見ることが出来、ハルピンと云ふ民族都市に於ける人性の独特の悪どい呼吸が聴かされる」ことになるのだ。
「序にかへて」は更に続ける。
「誠実に生き抜くためには傅家甸社会は余りにも邪悪に充ち満ちてゐる。人間と云ふ肉体を舞台にして現世的な欲望と狡智とが雑多な個性のヴエラエテイに彩られながら死闘を続けて居り、中にも大観園及びその付近に展開せらるる世界は、傅家甸社会のもつ極端な利己主義と低俗な物質主義と功利的な時代思潮と懐疑とにひしがれた、所有る混乱と矛盾との中に貧苦と憐憫と嫌悪と悲惨と汚穢とに満ちた痛烈無慙な姿である。此処に於いては人間の所有る理性は奪ひとられ、徳性は不幸なる麻痺を生
じ、魂の啓示は忘却せられ・・・凡ては壊され、凡ては流され、そして又凡ては滅んで行く。」
なにはともあれ、この本を読み終わった時、中国と中国人に対する考えは一変しているに違いない。
「信不信由你(信じる信じないは、あなた次第)」ということデス・・・が。《QED》
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世襲問題「麻生家の場合」
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岩見 隆夫
にわかに世襲論議だが、いまに始まったことではない。7年前ごろ、やはり解散含みの政情のなかで、自民、民主両党から世襲批判が起こり、当時、民主党代表の鳩山由紀夫は、
「私も4世だが、2世、3世ばかりが国会にいるのはおかしい。若い人の当選を阻んでいる。出馬制限を加えるべきではないか」
とあちこちでぶっていた。有望新人発掘論で党の魅力を高めようとしたのだ。
当時もいまも、4世議員は初代の当選が古い順から、小坂憲次(長野1区)、鳩山由紀夫(北海道9区)、鳩山邦夫(福岡6区)、古屋圭司(岐阜5区)、林芳正(参院・山口)の5人である。
3世議員は衆参で小泉純一郎元首相ら15人いるが、次期衆院選のあとは小泉家から6人目の4世が出るのかもしれない。
全体の世襲率も30年来、3割前後で、この流れは簡単に変わりそうにない。福田博元最高裁判事(元外務審議官)は先月出版した「世襲政治家がなぜ生まれるのか?」(日経BP社)のなかで、
<世界の民主主義国で例を見ない世襲政治家の多さは、すべて「1票の格差」を放置してきた最高裁の「不作為」から生まれている>
と司法を批判した。ゆがんだ選挙制度のもとで、有力議員の区割りが変わることはなく、世襲化を容易にしているという論法だ。
それも重要な指摘だが、世襲の裏側は複雑で、<土地と血と利害>がからむ日本的な政治土壌に根ざしてきた。政治と政治家の質を上げるため、見直しを図るのは遅きに失している。
ただ、世襲の内情は一様でなく、地盤・看板・カバンの3バン継承といわれるが、そうでないケースもある。たとえば麻生太郎首相は3世議員で、血のつながりはその通りだが、1世の祖父・吉田茂元首相と2世の父・麻生太賀吉元衆院議員の関係は世襲とほど遠い。
太賀吉は<石炭王>といわれた麻生太吉の孫で、豊かな資産があった。
吉田に惚(ほ)れ込んで影のように寄り添い、1938(昭和13)年、三女の和子と結婚する。
<父は祖父の吉田茂に政治資金を湯水のようにつぎ込んだ。母の和子が祖父に、
「パパ、よくこれだけのお金に無頓着でいられるものね」
と言っても、
「麻生に任せてあるんだから、そんなこと知らんよ」
とまったく意に介さなかったという。首相在職中に、
「麻生家の財産は半分ぐらいになったんじゃないか」
とよく母が言っていた>
麻生は著書「祖父・吉田茂の流儀」(PHP研究所・00年刊)に、そう書いている。
太賀吉は政治があまり好きでなかったという。49年から3期衆院議員をつとめたが、それも第2次吉田内閣が少数単独で徹夜国会が続くのをみかね、少しでも義父の助けになれたら、という動機からだった。
選挙区も、吉田(高知)と違い福岡だから、地盤は世襲でなく、カバンは逆に支援者、看板だけは多少役立ったかもしれない。54年、吉田が退陣すると、太賀吉も政界を去っている。
麻生家2代は世襲に違いないが、麻生の政界入りは79年、太賀吉との間に四半世紀の空白がある。いろいろだ。
とはいえ、今回、自民、民主両党がマニフェスト(政権公約)に世襲制限を盛り込もうとしているのは、政治不信の根に世襲がある、という認識が深まったからだろう。勇断をもって、すっきりしてほしい。(敬称
略)=近聞遠見:=毎日新聞 毎週土曜日掲載
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議員の世襲禁止は憲法違反
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平井 修一
普段は米国製マック憲法が大好きな人たちが、「議員の世襲は禁止せと」と叫んでいるが、どうみても憲法違反である。
●第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
●第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
●第44条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。
但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
世界人権宣言にも抵触するだろう。
●第2条 すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
●第23条 すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。
たまたま議員の子供として生まれたら地元で立候補できないなんて、どう考えても無理スジだ。政治家は世襲はダメ、民間はOKなんていうのはそれこそ差別だろう。
「世襲ダメ派」は「職業としての議員」を利権、特権と見ているのだろうが、医者や学者のように政治家も「天職」と捉えている人は多いだろうから、それを禁止あるいは妨害するのは卑しい嫉妬としか思えない。
小生のような卑しい国民の嫉妬心に媚び諂(こびへつら)って、天皇家、宮家をはじめ鳩山、小沢、麻生、小泉などの「ケネディー家」をイジメつぶしてどうしようというのか。共産主義者の陰謀としか思えない。
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話 の 福 袋
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◎三井住友と大和、包括提携へ…証券事業の統合も検討
三井住友フィナンシャルグループと大和証券グループ本社が包括提携へ向けた本格協議に入ることが27日、明らかになった。
三井住友は、米大手金融シティグループ傘下の日興コーディアル証券の買収で優先交渉権を獲得しており、買収と提携が実現すれば大和、日興の2大証券が三井住友と連携した巨大金融グループが誕生する。
三井住友と大和の両社首脳は27日会談し、協議入りで合意。三井住友側は、日興コーデの買収後も、大和との提携強化を図る方針を示し、大和側も基本的に了承した。連休明けにも資本・業務両面での提携の具体的な検討作業を開始する。
当面は資本関係の強化などが課題となり、三井住友の大和への出資比率を現在約2%から引き上げる案などを検討するとみられる。将来的には日興コーデを含め個人向け証券事業を再編統合する案も検討されそうだ。
三井住友は1999年、大和と合弁で法人向け証券の大和証券SBCM(現・大和証券SMBC)を設立し、三井住友が40%、大和が60%それぞれ出資している。
ただ、個人向け証券部門での提携関係はなく、他の大手行に比べ見劣りしていた。大和の社内には証券戦略の独自性を維持すべきだとの意見もあり、交渉は曲折も予想される。4月28日3時5分配信 読売新聞
◎<09年度補正予算案>審議、野党は徹底抗戦の構え 解散巡り駆け引きも
09年度補正予算案は28日、衆参両院の本会議で各党代表質問を行い、本格審議に入る。麻生太郎首相が「一日も早い補正成立を期していく」と強調する一方で、野党側は「一過性の選挙用ばらまきだ」(山岡賢次民主党国対委員長)として、徹底審議を求める構え。衆院解散・総選挙をにらみ、補正審議を巡る与野党の駆け引きも熱を帯びてきた。
民主党は27日、国会内で鳩山由紀夫幹事長や山岡氏、菅直人代表代行、輿石東参院議員会長らが今後の国会対応を協議。衆院と同様、参院でも28日の代表質問に応じる方針を決めた。
その後、自民、民主の衆院予算委筆頭理事が電話で話し合い、28日に補正予算案の趣旨説明を行い、基本的質疑は大型連休明けとする日程で合意した。
自民、公明両党は当初、「現下の不況には一刻も早い補正成立が必要」と強調。連休の谷間にあたる5月1日も補正質疑を行い、同8日に衆院通過を図る強硬姿勢で臨んでいた。
首相に近い自民党の大島理森国対委員長には、補正の早期成立方針を打ち出すことで、「5月解散」の可能性を残し、野党側をけん制する思惑もあった。
ただ、西松建設の違法献金事件後、低迷していた内閣支持率は上昇傾向に転じており、麻生首相に余裕が生まれつつあるのも事実。現に首相は27日の自民党役員会で、補正の早期成立に意欲を示しつつ、「海賊対処法案や国民年金法改正案など重要法案の成立を期したい」と強調した。
民主党に強まる逆風を横目に、自民党内には解散先送りを容認するムードが生まれている。
一方、補正成立を急ぐ与党の姿勢について、民主党にも「首相の求心力を維持するために示唆しているだけ」(幹部)との様子見ムードが広がる。補正の審議日程で、与党との妥協点を探る姿勢には「献金事件で、小沢一郎代表の進退問題がくすぶる中での解散は避けたい」との本音も透けて見える。
「急いでやると、(早期解散に備える)思惑があると思われる。ゆっくりやりましょう」
27日の自民党役員会。細田博之幹事長は党幹部に対し、次期衆院選の政権公約(マニフェスト)策定について、党内調整に時間をかける意向を示した。
笹川尭総務会長は同日夜、BS11デジタルの番組に出演し、「選挙をやったら、(衆院再議決に必要な)3分の2の議席は取れない。どうしても通したい法案は通してから、国民の審判をいただく」との見通しを示した。 4月28日11時45分配信 毎日新聞
◎大統領機低空旋回で避難騒ぎ=自由の女神背景に撮影-NY
【ニューヨーク27日時事】オバマ米大統領の専用機が27日、戦闘機を伴ってニューヨーク市上空を低空旋回し、旅客機が高層ビルに突っ込んだ2001年の同時テロを想起した数百人が避難する騒ぎになった。
実は軍による写真撮影の一環で、ホワイトハウスは謝罪を表明。専用機に大統領は搭乗していなかった。
低空旋回したのはボーイング747型機。F16戦闘機とともに自由の女神像や同時テロ跡地「グラウンド・ゼロ」近くなどを高度約300-450メートルで飛行した。米メディアによれば、ブルームバーグ市長は「無神経」とこれを非難、「事前に知っていれば飛行しないよう要請した」と述べた。
ホワイトハウスは飛行予定を市当局に連絡していたが、「苦痛を引き起こしたことを謝罪する」との声明を発表。一方、市長は市内部の手違いにより、予定を知らなかったという。4月28日9時48分配信 時事通信
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反 響
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1)目下政治家の世襲が問題になり、マスコミを賑わしている。民主党などは三親等以内を排除すると言い出した。自民党では憲法違反云々まで言い出した者がいる。
皆詮無い議論のように思えてならない。政治家は三親等以内でも以外でも構わないから、優れた能力がある人が成ってくれれば何の問題もないと思う。
政治ないしは政治家を家業とする一家では、政治以外のことに疎い人物が出てくる懸念がある。幼い頃から政治の駆け引きを見て育てば、所謂"politician"に育つだけで、"statesman"は生まれてこないと考えている。
総理大臣や国務大臣に相応しい見識と、能力等を立派に備えていてくれれば、世襲でも別段構わないのではないか。現在では「家業以外の人物が出て行きにくいほど世襲が多いこと」を問題視している政治家もいる。だが、私は能力や実際の世の中での経験や知識の有無を問題視したい。
それではいっそのこと、司法試験のように政治家資格試験でもやって国家資格にでもすればどうだろう等と戯けたことまで考えてしまった。しかし、実際のこのような制度が出来れば、どうしたら試験に合格するかということを教える予備校のようなものが出来てしまうのではないかなどと想像を膨らましている。しかも、何ら実社会を知らないものが政治家になれる機会を得てしまうのである。
こういう資格制度の欠陥は、アメリカのMBAがイヤと言うほど見せてくれている。すなわち、大学を出たばかりの「現実の世界」と「実務」を知らない若者を集めて「ケース・スタディー」という名の机上の空論を教
え込んで、恰もビジネスの世界を知り尽くしたと信じ込ませるようなことをした結果がどうなったか。
現在のアメリカの破綻を全てがMBAの責任とは言えないが、製造現場も知らないでも製造会社の責任ある地位につける社会システムが何を生んだかを考えれば、政治家資格試験も無意味だなと自問自答したのだった。以上(前田正晶)
2)酒井富雄です
ケーススタディーの、愚かしさ、よくわかりました。政治家でも、政治屋でもいいけど、世襲制は、おかしくない。だけど、票田は引き継がないで、だって、後優秀なご子息なのだから、どこでやったって、うまく
当選できますよ。これが持論です。以前から抱いている持論です。
それに近いのか、遠いのか、彼ら現職議員の考えていることは、分かりません。なお、このこと、http://www.nozei.com の「ヘルシーキャット」覧に、昨日だったか一昨日のに書きました。反響は、少ないです。
ご卓見の政治屋試験、これは、必要です。こんなところから、少なくとも、少しずつ改革をしていく必要はあります。是非必要な試験です。どうように、新聞記者試験も必要です。かなり難しい試験内容となるのでしょうが、是非必要です。是非ともやって欲しいと思っております、これは戯れ言ではありません。
3)熊本・天草島出身の園田直は後継者を敢えてきめなまま死んだ。後継者は後援会が決めるものと言って。しかし、3人目の妻だった未亡人は自分が腹を痛めた末っ子を立てようとした。
後援会は「あれは若すぎて駄目と否定。未亡人はならば元代議士の私が杜立候補後援会は。負けてはならじと2人目の妻との間に出来た長男を擁立。マスコミは「骨肉の争い」とはやした。長男が大差で勝った。
2世、3世といっても当事者より後援会が後継者に指名してくる例が多いのでは無いか。後援会の中の力関係を維持したいから、すわりのいい息子や娘を指名してくるのではないか。(主宰者)
4)日本の政界に世襲議員がゾロゾロいる理由、原因は2つ。
(1)前議員の周辺で、おいしい思いをしてきた後援会幹部たちが、その利権を手放さないためには2世議員が必要。これは頂門の一針でも主宰者が指摘していました。
(2)政治団体の資金には相続税がかからない。その政治資金には政党助成金として、その議員とは何の縁もない一般 国民が納めた税金も混じっているのに世襲議員はヌクヌク無税で頂戴 できるのです。こんなおいしい制度を見逃すはずはありません。
前田さん、酒井さんが取上げた「資格試験」は民主党がマニフェスト に採り入れるそうです。でも、政治は勇気と直感の商売ですから、勉強馬鹿は向きません。
自民党も民主党も急に浮上した議員世襲の是非を論じ、マスコミは尻 馬に乗り、政治評論家の中には今度の選挙の一大争点になろうと言い出す人もいる。
なのに政治資金無税相続には自民も民主も全く触れない。評論家の指摘もない。
そうか!議員世襲の根源である無税相続を国民に悟られないよう、目 くらましに何親等までとか、同一選挙区はどうだとか、憲法に照らせ ばとか、自民も民主もマスコミも暗黙の談合で焦点隠しをしているの か。
(大谷英彦)
5)大谷英彦様
「夜だって何ぞの時に備えて会社の近くで飲んだんだよ」
そんなブンヤがブンヤであった時代、本田氏の言葉を借りれば「社会部が社会部らしかった時代」の話をうかがいたいものです。ブンヤ列伝とか、雑誌、NHKを含めたマスコミ異端児列伝とかおもしろそうですね。
(平井修一)
平手造酒・小澤一郎
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渡部 亮次郎
「演歌『大利根月夜』の2番の歌詞に、「男 平手と もてはやされて、今じゃ 今じゃ 浮世を 三度笠」とありますが、どういう意味でしょうか?」
「平手造酒 ひらてみき ?‐1844(弘化1)
江戸後期の博徒の用心棒。出身などはいっさい不明である。江戸の神田お玉ヶ池の千葉道場の俊英であったが破門され,田舎回りの剣術指南で歩く浪々の身となった。
下総(千葉県)の笹川で博徒の親分繁蔵と知り合い,その客分となり,
大利根河原の決闘で斬り結ぶうち全身に傷を負い,後に死んだ。
この平手造酒のイメージは,講談,浪曲の《天保水滸伝》で作られたものである。実名は平田深喜という。一説によると,笹川繁蔵は平田を飯岡助五郎方のスパイと疑い,出入りの直前に刀を取りあげてしまったので,平田はやむをえず,やくざ物の脇差で戦ったが,すぐに鍔元より折れ,11ヵ所の切傷を受け落命したという。37~38歳ごろであった。森 安
彦」世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービス
自民党を追われた小澤一郎は、あろうことか野党党首となって自民党苛めに懸命だった。なんだか平手造酒みたいな哀れさも漂っていた。「世が世であれば、殿の招きの月見酒、男平手ともてはやされて・・・それが今じゃやくざ(民主党)の用心棒・・・」
平手造酒を用心棒に雇った「笹川の繁蔵」の血筋の末裔が家人である。
繁蔵の兄のそれらしい。なぜかそれに触れられるのが一番の苦手らしい。
小澤と繁蔵を並べるのは失礼だが、何しろ小澤は自ら作った政治資金規正法を甘く見て進退を過まった。法律を作ったのは自分だから運用にも自信があったのだろうが、そうは行かなかった。
2008年秋、防衛利権に絡んだ秋山直紀の事件で東京地方検察庁に3日にわたって参考人事情聴取を受けた。その時に感じたことだが政治家やその
周辺居住者たる私のような者と、検事との間には政治運営について大きな隔意がある、ということだった。
早い話が、検事は政治制度の事は知っていても、日本政界事情は全く知らない。小澤の常識となっていることを検事は全く知らない。政治資金の取り扱いについても、小澤は修正申告で済むと考えていたとしても検事は原理主義で押して来るから、修正申告では済まない。
それなのに小澤が「修正申告で済む」「それなのに担当の秘書をいきなり逮捕というのは権力の濫用だ」と喚いた。だが、これは小澤の誤解だった。
政治資金規正法という法律を作った小澤は政治家に都合の良いように解釈して作った心算だが、検事はそんなことなし、原理、原則で解釈したのだ。東京地検は今でも「小澤は何を言っているのだろう」とおもっているはずだ。
しかも逮捕された秘書は検察と妥協してしまった。落ちてしまった。小澤にとっては全くの誤算だった。おそらく大久保秘書は政界を引退する事を決意した筈である。
世間は小澤を角栄2世と簡単に呼ぶが角栄は拘置所に2度も入ったが小澤は一度もない。拘置所が怖いのだ。けつにガラス棒を突っ込まれるのが怖いのだ。「代表を辞めたらやられる」
小澤を慰めに行っているのはあまり居ないだろう。衆議院事務局事務員時代からの側近平野貞夫(前参議院議員)、その女婿で樋高剛前衆院議員ぐらいではないか。いや樋高剛は小澤の秘書だったのに立候補のポスターから小澤の顔を外し始めたというから最近は近付かないかも知れない。
小澤の側近面をしているのは鳩山だが、彼も「俺の後継者は菅ではなくお前」と小澤にいわれて子分面しているにすぎない。「東京地検は説明不足」と刑事訴訟法無視の発言をくりかえす理工系バカ丸出しだ。検察は事件について公判前に説明してはいけないと刑事訴訟法に書いてある。
いま悪夢が小澤を苛んでいる。
<1992年、東京佐川急便から5億円のヤミ献金が発覚(東京佐川急便事件)し、同年8月27日に党副総裁を辞任、事態の収拾を図った。しかし世論の反発が強く10月に衆議院議員を辞職。竹下派会長も辞任した。
裁判で徹底的に戦う事を主張した小沢一郎に対し、梶山静六は略式起訴での決着を主張した。小沢戦略なら論理は一貫しているが長期的な体力が必要で党のイメージダウンも長く続くことになり、梶山戦略は短期で決着がつくように見えた。
しかし、結果的に両者とも世論の動きを読みきれていなかった。信じられないことだが金丸本人は上申書を提出するまで弁護士を立てていなかった。後に担当することになる弁護士は金丸辞任会見をTVで他人事のように見ていたと語っている。
当初の対応を小沢、生原秘書、佐藤守良に任せた結果時効がかかっていた時期を見誤った。浜田幸一の著書によると、梶山が短期決着で入れ知恵をしたかのごとく記述されているが客観的ではない。結局、対応に小沢、梶山の二股をかけたことにより両者の対立は決定的なものになり、派閥は分裂へと進んでゆく。
東京地検に政治資金規正法違反で略式起訴され、東京簡易裁判所から罰金20万円の略式命令を受けた。しかし特別捜査部さえ“巨悪”に手を出せなかったことから、地検は世間から凄まじい批判を受ける(「有力政治家には特別に計らう“特別捜査部”だ」とまで揶揄する評もあった)。
また異例ともいえる身内の検察からも批判的な意見が公にでた。刑罰の軽さに批判が大きかったものの前科一犯が確定したため、叙勲を受ける資格を失った。
一方、東京国税局は、金丸信の妻が死亡した際に受け取った遺産に着目、当時の日本債券信用銀行(日債銀)のワリシン(割引金融債)の一部が申告されていない(日債銀内では、金丸を“蟷螂紳士”とコードネームで呼び、申告漏れに協力していた)という事実を突き止めた。
1993年3月6日、東京地検は金丸本人と秘書を任意に呼び出して聴取を行い、同日脱税の容疑で逮捕。後に、自宅へ家宅捜索を行ったところ、数十億の不正蓄財が発覚する。
捜索の中、時価1千万円相当の金塊が発見された。「金丸が訪朝の際、金日成から受領した無刻印のもの」と風評されたが、実際には刻印のあるフォーナイン(金の純度が99.99%と言う意味)であったとされる(村山治『特捜検察VS金融権力』)このフォーナインは「麻原彰晃が上九一色村の本部に隠し持っていた金塊と、刻印番号が接近している」との噂もあった。
これが止めとなって同情論は消え、権威は地に堕ちた。>(「ウィキペディア」)
「金丸は副総裁を辞任したから逮捕され、身を潰した。おれもそうなる」。いまや大逆転で民主党が次期政権を担うことがあっても、その時総理が小澤だという絵は想像できない。「代表」にしがみつくわけは「逮捕よけ」だけだ。
誇り高く検察をのがれ、喝采を浴びながら凱旋する芝居が描けないだろうか、そればかりを考えるのが小澤の日々だ。
小澤は「民主党の明日を慮り選挙対策本部長に退いて挺身する」と言う道を予想する向きもあるが、それじゃまるで平手造酒。殿の招きの月見酒を渇望しながら惨殺される結末が待っているだけだ。
(文中敬称略)2009・04・28
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豚インフルエンザで「フェーズ4」
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古澤 襄
世界保健機関(WHO)はメキシコで死者が発生している豚インフルエンザについて、ヒトからヒトに感染する大流行の危険性を示す警戒信号「フェーズ4」に格上げした。
これを受けて舛添厚生労働相は28日、メキシコ、アメリカ、カナダの3か国で感染症法で規定する新型インフルエンザが発生したとする声明を発表、政府は空港などでの検疫態勢を強化する方針を打ち出している。
豚インフルエンザは鳥インフルエンザに較べてヒトに感染した場合、死亡率が低いとされている。鳥インフルエンザも、鳥から鳥への感染→鳥からヒトの感染→ヒトからヒトの感染と段階を追ってウイルスの毒性が変異している。
豚インフルエンザも鳥インフルエンザと同じ様な段階を踏むので、死亡率が高くないと楽観することは出来ない。
むしろ潜伏期間を経て秋から冬にかけて大流行の危険性がある。また医療が未整備な後進国で発生すると、対策が遅れて死亡者が増える傾向がある。メキシコの場合もそれに当たる。
2003年以来、ベトナムのメコン・デルタ地域で鳥インフルエンザが発生、当初は多数のニワトリやアヒルに斃死が目立ったが、やがてヒトに感染、3回の鳥インフルエンザの流行があって、5000羽の家禽が殺処分、ヒトへの感染は91人、41人が死亡した。
ヒトからヒトへの感染が重なる過程でウイルスの毒性が変異強化されると、世界に鳥インフルエンザが拡大し、4000万人が死亡した100年前のスペインかぜの再来になるとWHOは警告している。
豚インフルエンザも同様に危険性を孕んでいる。すでにEU域内で初めて豚インフルエンザの感染(スペイン)が認められ、アジアでも韓国で発生したといわれている。いずれもメキシコに旅行した者だが、今後は当該国の中でヒトからヒトへの感染を警戒する必要がある。
豚インフルエンザの毒性が弱い段階で、ウイルスの拡大を防止し、感染者の快復に務めれば、いたずらに怖れる必要がない。
舛添厚生労働相は「正確な情報に基づいた冷静な対応」「メキシコなどの発生国への渡航を避けることの検討」「マスクや手洗いといった個人予防策」を呼びかけている。
EUの場合もロイター通信によれば、感染が確認されたのはメキシコの大学に留学し、最近帰国したスペイン中南部出身の若い男性で。発熱と呼吸器の異常を訴えて入院した。現在、手当てを受けているが、症状は比較的軽いという。
感染地域の急速な拡大など懸念する材料があるが、東南アジアで猛威を振るった鳥インフルエンザのウイルス拡大も一応は終息している。
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GMとクライスラーの再建案、最終段階へ
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~ 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年)4月28日(火曜日)
通巻第2581号
GMとクライスラーの再建案、最終段階へ
まるで社会主義的。債務返済をほぼ放棄、債権者がこれをのむか?
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クライスラーと全米自動車労組(UAW)は4月26日に会社再建策を巡り、コスト削減などで暫定合意した。退職者の医療保険基金に対してクライスラーが負っている債務の圧縮を主柱に、月末に最終合意に至る模様だという。
UAWはクライスラーと提携を交渉している伊フィアット並びに米政府との間で、労働条件の見直しなどで合意し、ひきつづき、UAWは組合員による投票を実施し、暫定合意内容の承認を目指す。
UAWとの合意により、政府が設定した再建条件達成が可能になりつつある。
王者GMはどうか。
GMは追加リストラ策を発表、政府や労働組合、債権者に対して合計440億ドル(約4兆3000億円)以上の債務圧縮を要求した。簡単に言えば「徳
政令」。
債務を株式化し、米国政府と労組がGM株の9割を保有する。社会主義だ。
詳しく中味をみると、債務削減は米政府の緊急融資(154億ドル)とUA
W医療保険基金への拠出義務(約200億ドル)を、株式で大半を返済することにして、さらに270億ドルの無担保債務の債権者には額面1000ドルの債権をGMの普通株225株と交換する。こうした措置により440億ドル以上の負債を圧縮しようとするもの。
この異例の事態、すなわち債務削減(徳政令)には債権者の合意が必要。絵に描いた餅に終わる可能性もある。
GM再建を模索するヘンダーソン最高経営責任者(CEO)は4月27日に記者会見して、主力だったGMのシンボル=「ポンティアック」を来年(2010年)までに廃止、全米47工場のうち、13工場を閉鎖する。
これにともない、7000人を解雇するなどの追加リストラ策を発表した。ディーラーも6200店から3600店に減らす。
いよいよ三大巨人のうち、GMとクライスラーの終わりが見えてきた。
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(読者の声1)26日夜のNHK教育TV。率直に、歴史とは何か、古代遺跡とは何か、歴史学者の根本的な解釈を問いたい。
国家とは何かその形成期はどう読まれるべきか。栄枯盛衰。どこの国にも国家形勢に浮沈がありローマは1日にしてならずです。
遺跡は遺跡、貴重な歴史の証で大事に保管されなければなりませんが。
所詮過去の博物館行きの保存資料であり、おどおど解説者が神経質に顔を引きつらせるようなことではないでしょう。
歴史とは引き返すことのできない大河の流れ、その時代の姿を映し出すもの。現代は現代、過去は過去。
ある韓国人が講師の横浜での歴史講座で、謙虚に聴講したのですが。日本という国は○○ヤと同じで元々国はなかった。韓国の植民地だったときました。哀号です。
講座は途中でしたが止めました。感謝、感謝すべきから謝るべき、と発展していく思考過程が見えるのです。朝鮮半島の古代人は陸づたいにどう流れたのでしょう。仏教が一人で歩いて朝鮮にやってきたってことでしょうか。(MK虎枝)
(宮崎正弘のコメント)当該番組を見ておりません。最近、はじめから立腹、激怒が予測される番組は見ない、というよりテレビそのものを見ることが稀ですので。
それはそれとして、韓国特有の事大主義、ミニ中華思想はかれらのDNA,百年の単位で改善される性格のものではないでしょう。
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(読者の声2)いつも貴重な情報をありがとうござます。
読者の声のYM子さんのご意見に私も同感でした。「韓〇が日本の歴史そのものを根本から変えようとしているのでは?」との疑問はごもっとも思います。
つい最近の民主党鳩山幹事長の「日本列島は日本人だけの所有物ではない」という発言にしても、かの隣国の政治的影響力を感じさせました。
かの隣国は自国の「歴史捏造」でも悪名高い。日本の歴史も改竄捏造し、日本人の思考形態を変えて、日本国内に勢力を伸ばそうとしているとしか思えません。
最近のインターネットを見ると、若い世代の間でもそのような認識と危機感がかなり広がっているようです。中国共産党からの情報戦争とあいまって、本当に今、日本は危機的な状況にあると思います。
日本を愛する真の日本人が世代を超えて団結し、日本の歴史と文化と伝統を守り、外国からの精神的奴隷化攻撃を撃滅すべき時ではないでしょうか。(陽山)
(宮崎正弘のコメント)ネットにおける若者たちの反乱に期待している一人です。世論はもはや朝日の社説には存在しない。ネットの議論に移行しています。
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(読者の声3)何度か私の愚文を読んで賛同されるYM子様の意見に同意いたします。これを投稿した時は天皇皇后両陛下を意識してなかったのですが、YM子様の指摘通り、マスゴミは両陛下に対し「さま」で呼び、ぺ・某は「様」付け、どうせ某国の工作を推進している某代理店が推進して、マスゴミに寄生する在日記者が両陛下を見下してそう書いたので
しょうが、どう考えてもおかしな表現ですね。
あのNHKも両陛下や皇族方全て「さま」付けですね。両陛下と親王殿下、内親王殿下と表現出来ないのか?
そうそう、某携帯会社のCM、あれも日本人を意識的に貶めて馬鹿にしている。犬の男親に黒人の息子・・。某民族の究極の蔑視と忌み嫌う黒人
を日本男子へあてがって、あからさまな蔑視の表現、このCMを私は非常に軽蔑しています。
でもこのCMの意味を理解している人間は多くないでしょう。日本人の頭はゆとり教育の成果もあって、働き盛りの男女を中心に完全にメルトダウンしていますから・・・。残念ですね。
最近マスコミを「マスゴミ」「ますごみ」と表現される方が多い由、下品かもしれませんが、一連の安倍、麻生叩き報道と小沢ヨイショ報道を見るにつけ、マスコミ=マスゴミです。
もっとも最近は、「カスゴミ」「クズゴミ」という余りに直球勝負的表現もネット上に出ているようです。
それにしても宮崎メルマガで報告のように米国の既存大メデイアが次々崩壊しつつあると言うのに、日本の大マスゴミは潰れもせず、平和で呑気ですね。
次は日本のマスゴミが崩壊の危機に有るのですが・・・。 (ID生、新潟県上越市)
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(読者の声4)貴誌投稿から引用します。「日本人の古代史研究者の学者の方々へ触手を伸ばしているような気がしたのです。時々、″聖徳太子はいなかった″のキャンペーン?もその一貫では。皇室、の根拠を根底から崩そうとしているのではないでしょうか?先日、久しぶりに図書館へ行きましたが、呉善花先生の本は隅の方ヘ追いやられ、逆に、とんで
もない類いの学説を唱える歴史学者の本が多く並べられていました」(YM子)<引用終わり>
意見:韓国の古代日本史介入問題では、以前ある朝鮮人が万葉集は朝鮮語で書かれていると主張し驚かされました。本当か、と思う人も出てくるので一言。実は朝鮮には古代史書はないし、古代朝鮮語の記録も皆無なのです。
一番古い古代史を扱った歴史書でも中世の12世紀に作られたものです。
日本では鎌倉時代です。それが今でも二百年前の世界がよく分からないのに八百年以上も前のことを記すのですから、創作の域を出ないわけです。
したがって昔も今も朝鮮人の古代朝鮮研究は日本や支那の古代史書に拠っています。なにしろほかにないのですから。
そして牽強付会あるいは、奇怪な主張をして日本人や支那人を驚かすわけです。万葉集朝鮮語説は、古代朝鮮語は存在しないので、現代朝鮮語で万葉集を分析しているようです。
方法論として不合理でまったく問題になりません。
ということで日本人は朝鮮人の古代史論や主張は真に受けず、距離を置いて見るようにしたいものです。 (東海子)
(宮崎正弘のコメント)渤海という国も本当にあったかさえ疑惑の歴史ですね。
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樋泉克夫のコラム
――驚愕、戦慄、恐怖、瞠目、やがて沈黙・・・そして暗然
『極秘 魔窟・大観園の解剖』(満洲国警務総局保安局
原書房 昭和57年)
「満洲国の存在を昂然と嘲笑侮蔑してゐるものに『傅家甸』FUCHIATIENの存在がある」の一行ではじまるこの本は、その昔、ハルピンの中国人街の傅家甸にあった大観園を舞台にした「殺人、売春、麻薬、婦女誘拐、人間・動物の死体売買といった恐るべき汚濁社会の赤裸な内部を克明に記録!」(この本の帯に記された紹介文)したものだ。
ともかくも、非日常の日常化などといった“甘っちょろい常套句”では表現しえない世界が、次から次へと登場する。
しかもそれが、『三国志』や『水滸伝』、『聊斎志異』、はたまた京劇の舞台のような絵空事の世界ではなく、1941年前後のハルピン中国人居住地の一角で日々繰り返されていた紛うことなき現実というから驚くほかはない。
「此の世界に於いてはせつぱつまつた凄惨な挿話が無限に聞かされるであらう。それ等の夥しい驚異の前にはわれわれの可能の世界は一切が青褪めてしまひ、知性と徳性の無力を感じて慄然とする。街に氾濫する執拗な因襲、因襲はやる丈のことは何だつてやる。然も此の街は虚無主義的不感症に陥つてゐる」。
なにやら映画の予告編ようで隔靴掻痒の感は免れないだろうが、もう少し「序にかへて」を読み進んでみたい。
なぜなら、この街に実際に足を踏み入れ、この本の原型である「漢民族社会実態調査 第一編 大観園の解剖」を書き上げた「満洲国警務総局保安局」の関係者が直接肌で感じ取った漢民族が放つ強烈な“生活臭”が感じられるからだ。
「漢民族、それは所有る物の一切を葬り去る土の如き存在である。而もそれは飽く迄も鈍重で執拗なる力に溢れてゐる。
彼らは永久飢饉と一切の政治・動乱・理論、果ては道徳にすら散々に打ちのめされ、ぶち壊されながら、その何れもが彼らの存在を如何ともすることの出来なかった所の、心憎きまでに強靭に且つ民族的な存在である。・・・
彼等は本能に導かるるままに自由に奔放に生き抜かんとする。然るが故に漢民族社会にはその最初から国策を無視して行く社会構成の悪戯があるのである。人間の意志を無視し、人間の正常なる努力を冷笑する人間の根強い本能のみが漢民族社会に於ける決定的な要素である。」
かくして「此の傅家甸こそは、最初から純然たる漢民族社会として発展し続けた社会である。われわれはこの傅家甸に於いて漢民族社会のありとあらゆる現象の圧縮された縮図を見ることが出来、ハルピンと云ふ民族都市に於ける人性の独特の悪どい呼吸が聴かされる」ことになるのだ。
「序にかへて」は更に続ける。
「誠実に生き抜くためには傅家甸社会は余りにも邪悪に充ち満ちてゐる。人間と云ふ肉体を舞台にして現世的な欲望と狡智とが雑多な個性のヴエラエテイに彩られながら死闘を続けて居り、中にも大観園及びその付近に展開せらるる世界は、傅家甸社会のもつ極端な利己主義と低俗な物質主義と功利的な時代思潮と懐疑とにひしがれた、所有る混乱と矛盾との中に貧苦と憐憫と嫌悪と悲惨と汚穢とに満ちた痛烈無慙な姿である。此処に於いては人間の所有る理性は奪ひとられ、徳性は不幸なる麻痺を生
じ、魂の啓示は忘却せられ・・・凡ては壊され、凡ては流され、そして又凡ては滅んで行く。」
なにはともあれ、この本を読み終わった時、中国と中国人に対する考えは一変しているに違いない。
「信不信由你(信じる信じないは、あなた次第)」ということデス・・・が。《QED》
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世襲問題「麻生家の場合」
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岩見 隆夫
にわかに世襲論議だが、いまに始まったことではない。7年前ごろ、やはり解散含みの政情のなかで、自民、民主両党から世襲批判が起こり、当時、民主党代表の鳩山由紀夫は、
「私も4世だが、2世、3世ばかりが国会にいるのはおかしい。若い人の当選を阻んでいる。出馬制限を加えるべきではないか」
とあちこちでぶっていた。有望新人発掘論で党の魅力を高めようとしたのだ。
当時もいまも、4世議員は初代の当選が古い順から、小坂憲次(長野1区)、鳩山由紀夫(北海道9区)、鳩山邦夫(福岡6区)、古屋圭司(岐阜5区)、林芳正(参院・山口)の5人である。
3世議員は衆参で小泉純一郎元首相ら15人いるが、次期衆院選のあとは小泉家から6人目の4世が出るのかもしれない。
全体の世襲率も30年来、3割前後で、この流れは簡単に変わりそうにない。福田博元最高裁判事(元外務審議官)は先月出版した「世襲政治家がなぜ生まれるのか?」(日経BP社)のなかで、
<世界の民主主義国で例を見ない世襲政治家の多さは、すべて「1票の格差」を放置してきた最高裁の「不作為」から生まれている>
と司法を批判した。ゆがんだ選挙制度のもとで、有力議員の区割りが変わることはなく、世襲化を容易にしているという論法だ。
それも重要な指摘だが、世襲の裏側は複雑で、<土地と血と利害>がからむ日本的な政治土壌に根ざしてきた。政治と政治家の質を上げるため、見直しを図るのは遅きに失している。
ただ、世襲の内情は一様でなく、地盤・看板・カバンの3バン継承といわれるが、そうでないケースもある。たとえば麻生太郎首相は3世議員で、血のつながりはその通りだが、1世の祖父・吉田茂元首相と2世の父・麻生太賀吉元衆院議員の関係は世襲とほど遠い。
太賀吉は<石炭王>といわれた麻生太吉の孫で、豊かな資産があった。
吉田に惚(ほ)れ込んで影のように寄り添い、1938(昭和13)年、三女の和子と結婚する。
<父は祖父の吉田茂に政治資金を湯水のようにつぎ込んだ。母の和子が祖父に、
「パパ、よくこれだけのお金に無頓着でいられるものね」
と言っても、
「麻生に任せてあるんだから、そんなこと知らんよ」
とまったく意に介さなかったという。首相在職中に、
「麻生家の財産は半分ぐらいになったんじゃないか」
とよく母が言っていた>
麻生は著書「祖父・吉田茂の流儀」(PHP研究所・00年刊)に、そう書いている。
太賀吉は政治があまり好きでなかったという。49年から3期衆院議員をつとめたが、それも第2次吉田内閣が少数単独で徹夜国会が続くのをみかね、少しでも義父の助けになれたら、という動機からだった。
選挙区も、吉田(高知)と違い福岡だから、地盤は世襲でなく、カバンは逆に支援者、看板だけは多少役立ったかもしれない。54年、吉田が退陣すると、太賀吉も政界を去っている。
麻生家2代は世襲に違いないが、麻生の政界入りは79年、太賀吉との間に四半世紀の空白がある。いろいろだ。
とはいえ、今回、自民、民主両党がマニフェスト(政権公約)に世襲制限を盛り込もうとしているのは、政治不信の根に世襲がある、という認識が深まったからだろう。勇断をもって、すっきりしてほしい。(敬称
略)=近聞遠見:=毎日新聞 毎週土曜日掲載
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議員の世襲禁止は憲法違反
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平井 修一
普段は米国製マック憲法が大好きな人たちが、「議員の世襲は禁止せと」と叫んでいるが、どうみても憲法違反である。
●第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
●第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
●第44条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。
但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
世界人権宣言にも抵触するだろう。
●第2条 すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
●第23条 すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。
たまたま議員の子供として生まれたら地元で立候補できないなんて、どう考えても無理スジだ。政治家は世襲はダメ、民間はOKなんていうのはそれこそ差別だろう。
「世襲ダメ派」は「職業としての議員」を利権、特権と見ているのだろうが、医者や学者のように政治家も「天職」と捉えている人は多いだろうから、それを禁止あるいは妨害するのは卑しい嫉妬としか思えない。
小生のような卑しい国民の嫉妬心に媚び諂(こびへつら)って、天皇家、宮家をはじめ鳩山、小沢、麻生、小泉などの「ケネディー家」をイジメつぶしてどうしようというのか。共産主義者の陰謀としか思えない。
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話 の 福 袋
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◎三井住友と大和、包括提携へ…証券事業の統合も検討
三井住友フィナンシャルグループと大和証券グループ本社が包括提携へ向けた本格協議に入ることが27日、明らかになった。
三井住友は、米大手金融シティグループ傘下の日興コーディアル証券の買収で優先交渉権を獲得しており、買収と提携が実現すれば大和、日興の2大証券が三井住友と連携した巨大金融グループが誕生する。
三井住友と大和の両社首脳は27日会談し、協議入りで合意。三井住友側は、日興コーデの買収後も、大和との提携強化を図る方針を示し、大和側も基本的に了承した。連休明けにも資本・業務両面での提携の具体的な検討作業を開始する。
当面は資本関係の強化などが課題となり、三井住友の大和への出資比率を現在約2%から引き上げる案などを検討するとみられる。将来的には日興コーデを含め個人向け証券事業を再編統合する案も検討されそうだ。
三井住友は1999年、大和と合弁で法人向け証券の大和証券SBCM(現・大和証券SMBC)を設立し、三井住友が40%、大和が60%それぞれ出資している。
ただ、個人向け証券部門での提携関係はなく、他の大手行に比べ見劣りしていた。大和の社内には証券戦略の独自性を維持すべきだとの意見もあり、交渉は曲折も予想される。4月28日3時5分配信 読売新聞
◎<09年度補正予算案>審議、野党は徹底抗戦の構え 解散巡り駆け引きも
09年度補正予算案は28日、衆参両院の本会議で各党代表質問を行い、本格審議に入る。麻生太郎首相が「一日も早い補正成立を期していく」と強調する一方で、野党側は「一過性の選挙用ばらまきだ」(山岡賢次民主党国対委員長)として、徹底審議を求める構え。衆院解散・総選挙をにらみ、補正審議を巡る与野党の駆け引きも熱を帯びてきた。
民主党は27日、国会内で鳩山由紀夫幹事長や山岡氏、菅直人代表代行、輿石東参院議員会長らが今後の国会対応を協議。衆院と同様、参院でも28日の代表質問に応じる方針を決めた。
その後、自民、民主の衆院予算委筆頭理事が電話で話し合い、28日に補正予算案の趣旨説明を行い、基本的質疑は大型連休明けとする日程で合意した。
自民、公明両党は当初、「現下の不況には一刻も早い補正成立が必要」と強調。連休の谷間にあたる5月1日も補正質疑を行い、同8日に衆院通過を図る強硬姿勢で臨んでいた。
首相に近い自民党の大島理森国対委員長には、補正の早期成立方針を打ち出すことで、「5月解散」の可能性を残し、野党側をけん制する思惑もあった。
ただ、西松建設の違法献金事件後、低迷していた内閣支持率は上昇傾向に転じており、麻生首相に余裕が生まれつつあるのも事実。現に首相は27日の自民党役員会で、補正の早期成立に意欲を示しつつ、「海賊対処法案や国民年金法改正案など重要法案の成立を期したい」と強調した。
民主党に強まる逆風を横目に、自民党内には解散先送りを容認するムードが生まれている。
一方、補正成立を急ぐ与党の姿勢について、民主党にも「首相の求心力を維持するために示唆しているだけ」(幹部)との様子見ムードが広がる。補正の審議日程で、与党との妥協点を探る姿勢には「献金事件で、小沢一郎代表の進退問題がくすぶる中での解散は避けたい」との本音も透けて見える。
「急いでやると、(早期解散に備える)思惑があると思われる。ゆっくりやりましょう」
27日の自民党役員会。細田博之幹事長は党幹部に対し、次期衆院選の政権公約(マニフェスト)策定について、党内調整に時間をかける意向を示した。
笹川尭総務会長は同日夜、BS11デジタルの番組に出演し、「選挙をやったら、(衆院再議決に必要な)3分の2の議席は取れない。どうしても通したい法案は通してから、国民の審判をいただく」との見通しを示した。 4月28日11時45分配信 毎日新聞
◎大統領機低空旋回で避難騒ぎ=自由の女神背景に撮影-NY
【ニューヨーク27日時事】オバマ米大統領の専用機が27日、戦闘機を伴ってニューヨーク市上空を低空旋回し、旅客機が高層ビルに突っ込んだ2001年の同時テロを想起した数百人が避難する騒ぎになった。
実は軍による写真撮影の一環で、ホワイトハウスは謝罪を表明。専用機に大統領は搭乗していなかった。
低空旋回したのはボーイング747型機。F16戦闘機とともに自由の女神像や同時テロ跡地「グラウンド・ゼロ」近くなどを高度約300-450メートルで飛行した。米メディアによれば、ブルームバーグ市長は「無神経」とこれを非難、「事前に知っていれば飛行しないよう要請した」と述べた。
ホワイトハウスは飛行予定を市当局に連絡していたが、「苦痛を引き起こしたことを謝罪する」との声明を発表。一方、市長は市内部の手違いにより、予定を知らなかったという。4月28日9時48分配信 時事通信
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反 響
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1)目下政治家の世襲が問題になり、マスコミを賑わしている。民主党などは三親等以内を排除すると言い出した。自民党では憲法違反云々まで言い出した者がいる。
皆詮無い議論のように思えてならない。政治家は三親等以内でも以外でも構わないから、優れた能力がある人が成ってくれれば何の問題もないと思う。
政治ないしは政治家を家業とする一家では、政治以外のことに疎い人物が出てくる懸念がある。幼い頃から政治の駆け引きを見て育てば、所謂"politician"に育つだけで、"statesman"は生まれてこないと考えている。
総理大臣や国務大臣に相応しい見識と、能力等を立派に備えていてくれれば、世襲でも別段構わないのではないか。現在では「家業以外の人物が出て行きにくいほど世襲が多いこと」を問題視している政治家もいる。だが、私は能力や実際の世の中での経験や知識の有無を問題視したい。
それではいっそのこと、司法試験のように政治家資格試験でもやって国家資格にでもすればどうだろう等と戯けたことまで考えてしまった。しかし、実際のこのような制度が出来れば、どうしたら試験に合格するかということを教える予備校のようなものが出来てしまうのではないかなどと想像を膨らましている。しかも、何ら実社会を知らないものが政治家になれる機会を得てしまうのである。
こういう資格制度の欠陥は、アメリカのMBAがイヤと言うほど見せてくれている。すなわち、大学を出たばかりの「現実の世界」と「実務」を知らない若者を集めて「ケース・スタディー」という名の机上の空論を教
え込んで、恰もビジネスの世界を知り尽くしたと信じ込ませるようなことをした結果がどうなったか。
現在のアメリカの破綻を全てがMBAの責任とは言えないが、製造現場も知らないでも製造会社の責任ある地位につける社会システムが何を生んだかを考えれば、政治家資格試験も無意味だなと自問自答したのだった。以上(前田正晶)
2)酒井富雄です
ケーススタディーの、愚かしさ、よくわかりました。政治家でも、政治屋でもいいけど、世襲制は、おかしくない。だけど、票田は引き継がないで、だって、後優秀なご子息なのだから、どこでやったって、うまく
当選できますよ。これが持論です。以前から抱いている持論です。
それに近いのか、遠いのか、彼ら現職議員の考えていることは、分かりません。なお、このこと、http://www.nozei.com の「ヘルシーキャット」覧に、昨日だったか一昨日のに書きました。反響は、少ないです。
ご卓見の政治屋試験、これは、必要です。こんなところから、少なくとも、少しずつ改革をしていく必要はあります。是非必要な試験です。どうように、新聞記者試験も必要です。かなり難しい試験内容となるのでしょうが、是非必要です。是非ともやって欲しいと思っております、これは戯れ言ではありません。
3)熊本・天草島出身の園田直は後継者を敢えてきめなまま死んだ。後継者は後援会が決めるものと言って。しかし、3人目の妻だった未亡人は自分が腹を痛めた末っ子を立てようとした。
後援会は「あれは若すぎて駄目と否定。未亡人はならば元代議士の私が杜立候補後援会は。負けてはならじと2人目の妻との間に出来た長男を擁立。マスコミは「骨肉の争い」とはやした。長男が大差で勝った。
2世、3世といっても当事者より後援会が後継者に指名してくる例が多いのでは無いか。後援会の中の力関係を維持したいから、すわりのいい息子や娘を指名してくるのではないか。(主宰者)
4)日本の政界に世襲議員がゾロゾロいる理由、原因は2つ。
(1)前議員の周辺で、おいしい思いをしてきた後援会幹部たちが、その利権を手放さないためには2世議員が必要。これは頂門の一針でも主宰者が指摘していました。
(2)政治団体の資金には相続税がかからない。その政治資金には政党助成金として、その議員とは何の縁もない一般 国民が納めた税金も混じっているのに世襲議員はヌクヌク無税で頂戴 できるのです。こんなおいしい制度を見逃すはずはありません。
前田さん、酒井さんが取上げた「資格試験」は民主党がマニフェスト に採り入れるそうです。でも、政治は勇気と直感の商売ですから、勉強馬鹿は向きません。
自民党も民主党も急に浮上した議員世襲の是非を論じ、マスコミは尻 馬に乗り、政治評論家の中には今度の選挙の一大争点になろうと言い出す人もいる。
なのに政治資金無税相続には自民も民主も全く触れない。評論家の指摘もない。
そうか!議員世襲の根源である無税相続を国民に悟られないよう、目 くらましに何親等までとか、同一選挙区はどうだとか、憲法に照らせ ばとか、自民も民主もマスコミも暗黙の談合で焦点隠しをしているの か。
(大谷英彦)
5)大谷英彦様
「夜だって何ぞの時に備えて会社の近くで飲んだんだよ」
そんなブンヤがブンヤであった時代、本田氏の言葉を借りれば「社会部が社会部らしかった時代」の話をうかがいたいものです。ブンヤ列伝とか、雑誌、NHKを含めたマスコミ異端児列伝とかおもしろそうですね。
(平井修一)