やっぱり、温暖化なんです。
北極の温暖化にイッカクは対応できない!?
John Roach
for National Geographic News
April 29, 2008
北極地方の温暖化による影響で危機にさらされている海洋哺乳類の最新リストが公開された。
今回の研究調査では、北極地方のすべての海洋哺乳類がその対象となっている。温暖化により海氷が溶け、エサの量や分布区域が大きく変化しているためだ。発表された最新リストでは、ユニコーン神話を思わせる長い牙をもつイッカクがホッキョクグマよりも上位になっている。
ホッキョクグマは狩りをするために海氷が必要で、気候変動がこのまま続くと2050年までにホッキョクグマの3分の2が絶滅するとの予測もある。しかし、彼らは北極周辺全域で生息しており、その生息地域がすぐになくなるということはなく、生息域を変更する時間がないわけではない。
しかし、イッカクはカナダとグリーンランドの間の海域にほとんどが生息している。今回の研究リーダーでワシントン大学の海洋学者、クリンティン・ライダー氏によれば「イッカクは地理的分布が限定されており、さらに移動経路やエサの種類も限られているため、今回の分析で設定した基準に基づくと、危機の度合いがほかの動物を若干上回った」。
イッカクは特定の移動経路を持っており、この移動経路から外れることがない。現在はグリーンランド周辺の生息環境と主要なエサであるイカに関して、競争に直面することがほとんどないのだが、北極地方の温暖化により、別の捕食種が参入し、エサがなくなる可能性が生じるというのだ。「生息環境の変化がイッカクを絶滅に追いやるのかどうか、追いやるとしたらいつのことになるのか、それはわからない」とライダー氏は付け加えた。
Photograph by Paul Nicklen
※この記事は米国版National Geographicのニュース記事アーカイブから翻訳したものです。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=4750347&expand