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チュウゴクで、子供の売り買いが盛んになっている!

中国:子供が消えた 誘拐多発、「都会の死角」 狙われる農民工の子

 <世の中ナビ ワイド NEWS NAVIGATOR>

 中国の「都会の死角」で農民工(出稼ぎ農民)の子供たちがさらわれる被害が後を絶たない。子供が売られる先は子だくさんを望む地方の農村が多く、誘拐・売買ビジネスも横行。豊かさを夢見たはずの親たちは稼ぎの中から懸賞金を出し、わが子を捜し続ける。

  【深セン(しんせん)(中国広東省)で鈴木玲子】

 仕事帰りの人々でにぎわう深センの駅前。雑踏の中で孫海洋さん(34)が声をしぼり出す。「ここでさらわれたんだ」。07年10月9日夜、3歳だった一人息子の卓君が消えた。妻の彭四栄さん(33)と営む肉まん店からわずか20メートルの距離だった。

 1人で外にいた卓君が行方不明になったのは開店から6日後。すぐに駆け込んだ派出所では「帰って来るかもしれない。不明になって24時間がたたないと捜索できない」と突き放された。「子供を捜しています」。いてもたってもいられない孫さんは翌日、店にこんな看板を掲げ、5万元(約73万円)の懸賞金をかけた。

 「都会で息子にいい教育を受けさせたい」。湖北省出身の孫さんが親子3人で深センに来たのはそんな理由からだ。近くの雑貨店の防犯カメラに白いワイシャツを着た中年の男が卓君を誘い出す姿が映っていた。チラシ10万枚を配った。懸賞金を20万元(約292万円)に増やしたが、1年半が過ぎた今も有力情報はない。

 店先に電話機数台を置き、通話手数料を得る彭高峰さん(30)は昨年3月25日夜、店の前で遊んでいた3歳の息子、文楽君がいないのに気づいた。文楽君とともに街の防犯カメラに映っていた「黒ジャケットの男」が連れ去った模様だ。

 げっそりやせた妻の熊依〓さん(26)を故郷の湖北省に帰し、息子捜しを続ける。1人きりの店にあるパソコンの画面には「普段はつらいので見ない」息子の画像。彭さんはその笑顔をなでながら「世界の果てまでも捜し出す」と誓う。

 ◇子捜す親、警察が監視

 深セン北郊に住む蔡興全さん(34)を記者が訪ねると、直後に蔡さんの携帯電話が鳴った。「外国メディアの取材を受けるな」。地元警察からだった。蔡さんの娘、佳玲ちゃん(4)は08年6月、自宅近くで行方不明になっていた。

 10分もたたないうちに警官3人が駆けつけ「取材は警察が受けている」と説明。当局が親の動きを監視していたのだ。記者は「政府の『外国報道機関・記者取材条例』では相手が了承すれば取材できる」と主張したが、「知らない」と答え蔡さんへの取材を阻んだ。

 我が子を捜し続ける孫さんらは昨年4月、捜査の強化を中央政府に訴えようと列車で北京に向かった。だが、情報をつかんでいた警察に北京駅で待ち伏せされ、深センに連れ戻されたという。

 ◇難航する捜査

 「多子多福(子供は多ければ多いほど幸せが訪れる)」。中国の農村部にはこんな伝統的価値観が根強く、多発する誘拐の背景になっている。特に後継ぎや働き手になる男児をほしがる傾向は強い。貧しさから子供を裕福な家に「売る」習慣も残り、「買う」側も罪の意識が乏しい。統計によると、女性と子供の誘拐事件は07年、全国で2378件あった。

 彭さんは昨年夏、子供が売られているという広東省東部に向かった。人口10万人の地域でたった3カ月で3~5歳の男児2000人近い出生届が出されていた。年齢が違い、顔も似つかぬ「双子」があちこちにいた。

 子らは児童労働や物ごい、スリなど犯罪グループに売られる例もある。新華社通信によると、子供約300人を中米コスタリカに密入国させようとしたとして広東省の男2人が北京の公安当局に拘束された。

 政府は昨年から女性や児童の誘拐・売買摘発に本腰を入れる。だが複数の仲介者が介在し広大な中国では捜査当局間の連携も難しい。売買がわかっても親が判明せず、結局売られた先の家に戻される子供もいる。

 深センに近い東莞市では15日、子供が誘拐された親ら約20人が「尋ね人」の横断幕やポスターを掲げデモを行った。彭さんは「世論喚起と全国的な情報ネットワークが必要」と訴える。

 ◇2~6歳で多発

 「子供をほしがる家は男児を望む傾向が強いが、老後の面倒を見てもらおうと女児を望むケースも増えている」。児童売買の実態を調査した浙江省社会科学院の王金玲・社会学所長は話す。

 王所長の調査では農民工の子供が狙われやすく、女児は3000(約4万円)~8000元、男児は8000元~5万元で売られていた。誘拐被害は2~6歳児が多い。親や自分のことがよく分からず、乳児に比べ世話もかからないためだ。王所長は「だましたり無理やり連れ去るなど手口は悪質になっている」と話す。http://mainichi.jp/select/world/news/20090420ddm012030090000c.html?link_id=RSH04