【パリ2日AFP=時事】ダイエットでグレープフルーツを食べていた42歳の女性が、危険な血栓のため左脚切断寸前の状態になったことが、英医学誌ランセットに掲載された特異な事例の研究で分かった。(写真はグレープフルーツの果肉)
同誌によると、米西海岸のワシントン州オリンピアの緊急医師団が昨年11月、息切れ、めまい、歩行困難などの症状で入院した女性を治療した。この女性を超音波スキャンで診断し、左脚の静脈をふさぐ大きい血栓があることを突き止めた。女性は壊疽(えそ)で左脚を失う危険が迫った状態だったが、医師団が血栓溶解剤を直接血栓に投与し、安全に血栓を溶かすことができた。
医師団によれば、この女性は車に乗る時間が約1時間半と比較的長いほか、エストロゲン経口避妊薬を毎日服用していた。またV因子ライデン遺伝子突然変異と呼ばれる遺伝子リスク因子を持っていた。この因子は血栓性疾患と関連がある。これらはすべて深部静脈血栓症(DVT)を引き起こす要因として知られている。DVTはエコノミークラス症候群とも呼ばれている。
しかし女性が入院する3日前から始めたダイエットで、毎朝グレープフルーツを食べていたのが決定的な要因になった可能性があるという。グレープフルーツジュースは避妊薬のエストロゲンを分解する酵素の働きを阻止することが知られている。このためエストロゲンのレベルが高まり、血液の凝固を助長するという。 〔AFP=時事〕(2009/04/03-19:18)
http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_sci&k=20090403021775a