「無趣味のすすめ」幻冬舎刊 (1200円+税)村上龍 | 日本のお姉さん

「無趣味のすすめ」幻冬舎刊 (1200円+税)村上龍

2009年3月27日発行JMM [Japan Mail Media] No.524 Extra-Edition2
 最新刊!  村上龍 
 無┃趣┃味┃の┃す┃す┃め┃
            ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛
 幻冬舎刊 1200円+税)
   ( http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344016610/jmm05-22 )
▼INDEX▼
□ 「無趣味のすすめ」    村上龍
  □ ブログからの言葉
  □ 目次
■「無趣味のすすめ」

 まわりを見ると、趣味が花盛りだ。手芸、山歩き、ガーデニング、パソコン、料理、スポーツ、ペットの飼育や訓練など、ありとあらゆる趣味の情報が愛好者向けに、また初心者向けに紹介される。趣味が悪いわけではない。だが基本的に趣味は老人のものだ。好きで好きでたまらない何かに没頭する子どもや若者は、いずれ自然に
プロを目指すだろう。

 老人はいい意味でも悪い意味でも既得権益を持っている。獲得してきた知識や技術、それに資産や人的ネットワークなどで、彼らは自然にそれらを守ろうとする。だから自分の世界を意図的に、また無謀に拡大して不慣れな環境や他者と遭遇することを避ける傾向がある。

 わたしは趣味を持っていない。小説はもちろん、映画制作も、キューバ音楽のプロデュースも、メールマガジンの編集発行も、金銭のやりとりや契約や批判が発生する「仕事」だ。息抜きとしては、犬と散歩したり、スポーツジムで泳いだり、海外のリゾートのプールサイドで読書したりスパで疲れを取ったりするが、とても趣味とは言
えない。

 現在まわりに溢れている「趣味」は、必ずその人が属す共同体の内部にあり、洗練されていて、極めて安全なものだ。考え方や生き方をリアルに考え直し、ときには変えてしまうというようなものではない。だから趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエク
スパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している。
 つまり、それらはわたしたちの「仕事」の中にしかない。
           村上龍

■ブログからの言葉

「いっそのことすべてを仕事と考えよう」と思ったのだった。そしたらタイムマネージメントをしっかりしだし、わりとうまく回るようになった。刺激も達成感も増大した。無意識に村上龍の「無趣味のすすめ」を実践していたのかもしれない。
ブログ さとなお「WWW.さとなお.com」より
http://www.satonao.com/archives/2005/11/post_1480.html

真の達成感や充実感は、コストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、失意や絶望と隣り合わせに存在している、つまり「仕事」の中にしかない。この「無趣味のすすめ」も、百回くらい読めば、自分の中で本物になるかなと思っています。
ブログ 出張勝也「黒犬通信」より
http://blog.odyssey-com.co.jp/kuroinu/2006/03/post_d758.html

趣味の一つや二つ挙げられないなんて、ホントに僕は余裕がないんだなぁと思う。ギスギスした毎日を送っているのかなぁと。でも「無趣味のすすめ」を読むとちょっと安心するのである。何故なら今のところ趣味に生きがいを見出すつもりは毛ほどもないからである。
ブログ ちゃんす「血の騒ぎを聴け」より
http://changsu.jp/article/110106829.html
■目次
「無趣味のすすめ」
★趣味の世界には、心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。

「少数派という原則」
★多数派への誘惑を断固として拒絶すること、それがヴェンチャーの原則である。

「グローバリズムは思想ではない」
★グローバリズムは目に見えない大きな潮流のようなものだ。思想ではない。

「好きという言葉の罠」
★説明可能なわかりやすい「好き」は、何かを生み出すような力にはなり得ない。

「仕事と人生のパートナーシップ」
★ビジネスにおけるパートナーと夫婦はいろいろな面で似ている。

「最高傑作と『作品群』」
★完成前に「これを最高傑作にするんだ」と公言するような表現者がいたら彼は偽物
である。

「オーラの正体」
★その人物に関する物語性を伴った情報がその人物のオーラを形作る。

「夢と目標」
★目標は封印されていなければならない。目標を持つのは基本的に憂うつなことなの
である。

「情熱という罠」
★情熱について語ることと、情熱という概念を自らの能力の一部とすることは、まっ
たく違う。

「集中と緊張とリラックス」
★集中と緊張はまったく別のものだ。緊張しているときには何かに集中できない。

「トラブルの種類」
★必要なのは充分な準備とていねいな原因究明で、闘志も根性も気概も不要だ。

「どんなファッションで臨むか」
★ファッションだけが印象に残るビジネスマンは、無能です、とアピールしているの
と同じだ。

「もてなしと接待」
★もてなしや接待にマニュアルはない。誠意を相手に伝えるための、想像力が問われ
る。

「優れた道具」
★問題は、メモを取らなければいけないほど重要な情報に常に飢えているかどうかだ。

「ビジネスと読書」
★どんな本を読めばいいでしょうか、と他人に聞くような人は最初から可能性がない。

「品格と美学について」
★仕事に美学や品格を持ち込む人は、よほどの特権を持っているか、よほどのバカだ。

「リーダーの役割」
★リーダーは、「何をすればいいのか」わかっている人でなければならない。

「謝罪という行為は」
★重要なのは、桜の木を切ったワシントンは謝罪はしていないということだ。

「スケジュール管理」
★仕事とプライベートにおけるその人の優先順位が、その人の人生なのだ。

「『交渉術』という能天気な言葉」
★徹底的に相手の立場に立って考えること、交渉はその地点からしかスタートできな
い。

「仕事における有用な人脈」
★「強い絆」と「弱い絆」という2種類の人的ネットワークがある。

「モチベーションと希望」
★希望が生まれなければ、モチベーションという言葉はただの呪文に堕してしまう。

「ライバルという他者」
★ライバルを持っているプロは、高い能力を持ち、評価をすでに得ている人なのだ。

「グローバリズムと日本社会」
★グローバリズムに適応するためには、国家ではなく地方に帰属意識を持つほうが健
康的だ。

「部下は『掌握』すべきなのか」
★問題は、部下との接し方ではない。取り組んでいる仕事に本当に価値があるか、だ。

「効率化とゆとり」
★農耕と国家が生まれてから、ゆとりを持って生きることができた人は全体の
1%もいない。

「後悔のない転職」
★頼むから辞めないでくれと上司や同僚に慰留される人ほど、転職は合理的だという
ことになる。

「ときに投資は希望を生むが…」
★貯蓄が提供するのは「安心」だが、投資はときに「希望」を生むことがある。

「労働者と消費者」
★労働者としての生きがいを感じているのか、それとも消費者としての生きがいしか
ないのか。

「決断する力」
★もっともやっかいで、もっともむずかしく、もっとも面倒な選択肢が正解というこ
とだ。

「金融不安と大不況」
★新鮮な空気を吸うためには、外に出る必要がある。

「アドバイスについて」
★過度期である09年、他人のアドバイスに依存する人は、路頭に迷うかも知れない。

「ワークライフバランス」
★バランスどころか、仕事がなくなり生活が破壊されるという不安が日本中に広がりつつある。

「ビジネスにおける文章」
★正確で簡潔な文章という理想があるだけである。

「語学の必要性」
★たとえ五カ国語、あるいは十カ国語をマスターしても、それで一生安泰ということはない。

「企画の立て方」
★アイデアは「組み合わせ」であって、発見などではない。

「失敗から得るもの」
★成功者の「輝ける失敗」と、「ただの失敗」の間には、埋めようのない溝がある。

「盆栽を始めるとき」
★でもいつか盆栽をはじめるときが来るのかなと、今でもときどき考える。

JMM [Japan Mail Media]    No.524 Extra-Edition2
【発行】  有限会社 村上龍事務所
【編集】  村上龍
【発行部数】128,653部

~~~~~

日本のお姉さんの意見。↓

タイトルだけでも面白い。本も面白そうです。

なんでも「趣味」にしないで、これで生きていきたいと

思いながらするのがいいのかなあ。

知り合いの画家は、「絵がうまい人が画家になるんじゃない。

続ける人が画家になるんや。僕より絵がうまい人はいくらでも

いたけど、みんなサラリーマンになった。」と言っていた。

知り合いの画家は、子供に絵を教えたりしているけど、

常に絵を描いていて、時々、個展を開いている。

個展に出す絵を描くために外国に行く。

奥さんは、仕事をしていたのに、やめてしまって

専業主婦になったから

知り合いの画家は、絵を売って生活するしかないので

真剣に絵を描いている。生活はそんなに豊かではないと思うけど、

絵を描くことがその人にとっては生きることなのだと思う。

知っている別の画家もすごい才能の持ち主で、時々

描いた絵を個展で発表している。

やっぱり、絵を描くことがその人の天職なんだろうと思う。

知っているPOPアーティストも、絵を描くことだけで生きている。

金銭的にはそんなに豊かではないと思うけど、

海外でアートを発表したり、絵を描きに行ったり、

していることはかなり楽しそう。知っているアーティストの

奥さまは、みんな可愛くてきれいな人だ。そのへんは

アーティストのこだわりが感じられる。作品が売れるかどうか

分からない相手と生涯を共にする勇気もある

外見が美しいだけでなく、心も美しいすごい女性たちだ。

お金はなくても、他人から見るとうらやましいほど

豊かな生活をしている。自分の腕だけで生きるというのは、

厳しいものだと思うが、自由はたっぷりある。

世の中に認められる日がいつくるのかは分かないけれど、

何かを創らずにはおれない人がアーティストとして

生きているんだろう。

日本が、そんな人たちを大事にする国であってほしい。

才能がある人は、周りがほおっておかないから

自然に有名になっていくものなのだと思う。

画家や彫刻家は死んでから認められたりするけど、

できれば、生きている間に認められてほしいなと思う。

ときどき賞をとっていた棚田康司(たなだ こうじ)という人の

アーティストの作品がSAPIOの表紙に使われていた。

会ったことはないけど、気になっていた人が

ちょっとずつでも有名になっていくのは、なんだか嬉しい。

どんな奥様なんだろう。子供は作品のモデルにもなっている。

冒険家や登山家の妻もすごいなと思う。

ずっと前、会社にいた女子社員の父親は写真家で、

ずっと家にいないで、外国で写真を撮っていて、今、

どこにいるのかも分からないと言っていた。

家にいないんじゃ、結婚している意味もないじゃん。

いつも家にいて、家族を巻き込んだりしない安全な趣味を

持っている普通の人の方が、結婚には向いていると思う。