「頂門の一針」 1457号 | 日本のお姉さん

「頂門の一針」 1457号

鞭屍を恐れた毛沢東
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      渡部 亮次郎

中国がひた隠す毛沢東の真実」について書評を書く心算だったが、その残酷さに何回も反吐が出そうになった。あまりにも友人、同郷者を中心にした若い頃からの支持者を粛清した物語の連続。とても血の通った人間とは思えない。

この本の原著者「北海閑人」勿論仮名。北京に住む中国人男性とみられる。
相当のインテリである事は間違いないが、当局の拘束を恐れて経歴は一時教授をしたか、政府の職員をしたらしいぐらいしかわからない。

1976年は毛沢東が死亡した年だが、翌77年に香港で雑誌「争鳴」ガ創刊された。密かに民主化、自由化を望む党幹部の支持があってのオピニオン雑誌ながら、当局の弾圧を逃れて刊行がつづいている。

この「争鳴」の2001年4月号から痛烈な毛沢東批判文が掲載されるようになった。そのうちの2004年2月号までを14章に分けて翻訳したのが本書「中国がひた隠す毛沢東の真実」である。発行は草思社(電話 (営業) :03-3470-6565 書籍番号ISBN 4-7942-1443-X。

非正常死亡者。正常ならざる死亡者とは餓死させれたり治療と偽って殺された人を呼ぶ中共語。毛沢東が生涯に犯した罪による非正常死亡の中国人は統計がないから誰も判らないがおそらく1億や2億人には達するだろう。

文化大革命(文革)中には突出した事例が出現した。元国家主席劉少奇はそれまでの住まいを牢獄に改変され、3年近い日々を24時間監視されあらゆる凌辱を受けた。脚を折られ、肋骨を折られた。

3日に1度の食事を、犬のように地面に伏して舐めて食べざるを得なかった。
看守たちは洗面、風呂、調髪をさせず四肢を床柱に縛り付けた。国家主席劉少奇は死ぬ時、頭髪も髭もぼうぼうだった。

これに対して毛は拘束の指令しか与えていない。具体的な事は指令していないと逃げた。自分より人民に人気のあった劉をそれほど憎かった。
だからこそ文革まで起こして劉を逮捕したのである。

文革前夜に失脚に追い込まれた初代公安部長羅瑞卿は牢獄内の虐待に耐えられず飛び降り自殺を図ったが右足の踵の骨折だけで済んだ。しかも治療不十分だったため傷口が化膿。医師は2度目の手術をしたが、無傷の左足をも切断、義足を付けさせなかった。その2日後、羅は竹かごにおしこまれ、20万人批判闘争大会に引っ張り出された。

羅はそれでもしぶとく生き抜き1978年に当時の西ドイツで3度目の手術を受けたが急死した。毛より2年長生きしたわけだが本心,羅は失脚前に死にたかったろう。

1967年、賀龍元帥は隔離審査中、空腹でたまらず、反省調書を噛み砕いて紛らわした。医師団は糖尿病の彼に毒であるブドウ糖液を注射し、結果、欲しがる水を日にコップ2杯しか与えずに殺した。噛んだ紙くずは消化せずハラは鉄のように硬くなっていた。

彭徳懐元帥は文革中、紅衛兵に痛めつけられた末直腸がんを患ったが、医者は痛み止めの注射を拒んだ。最期の日、一目、空を見せてくれと頼んだが断られて死んだ。

かくて中華人民共和国主席・劉少奇と三軍元帥・彭徳懐の2人は死ぬまで迫害され、骨壷の姓名を変えられ、職業も「無職遊民」とされてしまった。

毛沢東が侵攻してきた日本軍のお陰で蒋介石を倒し、共産主義政府を樹立できたと親日媚日論を展開していた事は知る人も多い話だが、中国ではこの件りは今も公開文献からは削除されている。日本軍と戦ったのは共産党だとうそを教えているからである。

終いにエピソード。中国人は朝代が代るたびに前朝代の皇陵を壊すのが習いだった。鞭屍(べんし)といった。それを毛沢東は自らの重臣や党幹部の祖墓壊しを紅衛兵に許したために中国全土でそうした墓が無くなってしまった。

だが、毛自身も死後「鞭屍」に遭う事を恐れるようになり、死ぬ間際には「火葬」を遺言していた。しかし火葬にはならず「死んで生き恥」を天安門にさらしている。2009・02・26


「おくりびと」に思う
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 馬場 伯明

映画「おくりびと」を観た。「題材(納棺師)は面白いが、普通」と思った。アカデミー賞外国映画賞の受賞自体は快挙である。だが、「日本の精神を安易にとらえ、誤解していないか」と少し違和感があった。

共演した広末涼子は「あまり好きではない」女優である。まあ、いいかと。木本雅弘は役を手堅くこなし、山崎努はあい変わらず演技がうまい。

映画では(意図的にか?)湯灌(ゆかん)が描かれていない。多くの病院では看護師が「処置(穴を詰めるなど)」や湯灌(ゆかん)をしているという。映画では象徴的な意味を込めて日本古式の納棺を見せている。

湯灌とは葬儀に際し遺体を洗浄すること。遺体の清拭(せいしき)で済ませることもある。髪を整え顔の髭を剃り薄く化粧する。とくに女性には美しく「死化粧」をする。

最近では給排水設備を搭載した洗浄専用車を保有している葬祭業者もいという。一種の「死体クリーニング」業という新規ビジネスなのである。

世の風潮が、清潔主義に陥り、自分の手を汚さず、手間をかけず、他人任せにし、体面だけを取り繕う方向に流れている。現代人の乾いた心根の「反面教師」が「おくりびと:葬儀屋稼業」というわけである。

3年前、2年9ヶ月間の自宅介護の末自宅で父(94歳)が亡くなった。そのときは家族で湯灌をした。幸い父の体や顔はやせていず顔の皺も少なかった。姉が化粧を施した。通夜のとき座敷に横たわる父を見て、きれいな死顔に訪れた人たちは驚いていた。

長崎原爆病院などで多くの死亡診断書を書いてきた姉は湯灌の方法などを知っていた。生前と同じように母(91歳)は(死)装束を用意し着せ替えをした、父の手足は動かなかったけれど。父の体を動かす力仕事には私も加わった。

死者のケースはいろいろであろうが、「おくりびと」の人たちにいいように弄(いら)われるのは好きではない。かつては家族が直接死者に向き合い、その体に触れ、名残を惜しみながら見送っていた。

今は死体という物体を、(汚らわしいとまではいわないまでも)傍にいながら手を引っ込めて眺めるようになった。そして、葬儀屋の商売は花盛り。わが世の春である。

広い駐車場付きの「○○セレモ」「○○会堂」などという派手な建物(葬儀場)が街に増えて久しい。たとえば、故郷の長崎県雲仙市(人口5万人)には葬儀場が何と11ヶ所もある。商売の採算がとれるのであろう。

そのうちに、死者をより美しく見せるための「死体整形・形成外科」という医療(?)まがいの商売が葬儀屋の関連事業に加わるのではないかと懸念する。(何!・・もう、あるって!)

今回の映画「おくりびと」に対し、新しい映画「(仮題)家族で送る」を制作・対峙したらどうだろう。湯灌などに家族全員で取り組み、少し臭いが残っていても、装束がゆがんでいても、化粧が稚拙であっても、
裸の姿を正視し、着せ替え、家族で彼岸の旅路へのお手伝いをする。

人間はこのようにして旅立っていくということを、静かにかつ赤裸々に描く。近い者の死を通して人間の最後の姿をみんなが深く見つめ、思い出を共有する。家族の絆が深まり、子供の人間教育にもよい効果があると思うが。

死者を「送る」という行為は、本来、身内・家族によるものである。自分たちがするべきことを(映画に出てくる)「おくりびと」らに丸投げし、映画館の中の他人事に、いっとき感動するだけではね・・・。

いま医療機関で死亡(野垂れ死に)する場合が大半で、自宅で死ぬことが少なくなったという現実があるけれども、湯灌などに家族や近親者が参加できるように配慮することも必要ではないか。

私は(いつか来る)母の死に際しては、他人である「おくりびと」らに頼むつもりはない。自分たちでやる。

ただし、これは私見であり他人に要求する気はない。また、失職・再就職、夫婦・親子・友人間の軋轢と和解などを盛り込んだこの映画の筋書きの是非を、ここで問うものではない。(2009/2/26千葉市在住)

話 の 福 袋
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 ◎田中義剛さんのキャラメル工場、特産メロン味で夕張進出

生キャラメルの全国的なヒットが続く花畑牧場(北海道中札内村)は25日、財政再建中で人口流出が続く北海道夕張市内に工場を進出させると発表した。
特産の夕張メロンを原料に使った生キャラメルを製造する予定で、4月20日のオープンを目指す。
社長でタレントの田中義剛さん(50)は同市役所で記者会見を開き、「夕張の財政破綻(はたん)の話を聞いた時から、夕張のために何とかしなければならないという気持ちが続いていた」と語った。新製品については、「ヒットの自信はかなりある」と意欲満々だ。

工場の従業員数は、全国から公募した若者や地元のお年寄りら300人で、市内最大の事業所となる。記者会見に同席した藤倉肇市長は、「まことにありがたい」と歓迎した。

工場にはレストランやショップも設ける計画で、観光や雇用など、夕張再生の起爆剤としての期待が高まっている。
2月25日23時6分配信 読売新聞



 ◎非正規労働者の失業 15万人に拡大

「派遣切り」や「雇い止め」などによる非正規労働者の失業が昨年10月から今年3月にかけて15万7806人に達することが27日、厚生労働省の調査で分かった。

1月の調査に比べ約3万3000人増加した。また、派遣元事業主に実施した調査では、契約を解除された派遣労働者のうち雇用が継続されたのはわずか10%に過ぎず、8割以上が離職を余儀なくされたことも判明。派遣労働者が厳しい雇用環境に置かれていることが改めて浮き彫りになった。

2月18日時点で把握された非正規労働者の失業では、派遣労働者の失業が10万7375人と全体の約68%を占めた。期間工などの契約労働者が2万8877人、請負労働者が1万2988人だった。

厚労省が把握した事業所数が2316事業所と前月調査に比べ、510事業所増えたことなどが増加の理由だが、厚労省が把握している事業所数は一部でさらに拡大している可能性が高い。

失業した派遣労働者の雇用保険の受給状況をみると、調査した約4万人のうち、受給資格を得たのは2万3559人にとどまった。

厚労省は雇用保険の有資格者が3万1680人いると推計していることからら、資格があるのに受給できない労働者は約8000人に及ぶとみられる。

雇用のセーフティーネット(安全網)が十分に機能していないことも浮き彫りになり、失業者に対するきめ細かい政府の対応が求められそうだ。

一方、派遣契約を中途解除した場合、派遣先や派遣元に再就職先を紹介することなどが厚労省の指針で規定されているが、指針が十分に守られていない実態もみえてきた。

2万人のうち、派遣先の関連会社に紹介を受け、雇用が継続されたケースは675人とごくわずか。新たな派遣先へ派遣を受けた人も1374人に過ぎず、大半の派遣労働者は解雇された。

派遣労働者の大量失業で、与野党には製造業の登録型派遣制度の規制強化を求める声が強まっており、見直し論議に拍車がかかりそうだ。2月27
日9時33分配信 産経新聞

 ◎社内告発で制裁人事、オリンパス社員が人権救済申し立てへ

東証1部上場の精密機器メーカー「オリンパス」(本社・東京)の男性社員が、社内のコンプライアンス(法令順守)通報窓口に上司に関する告発をした結果、配置転換などの制裁を受けたとして、近く東京弁護士会に人権救済を申し立てる。

男性の名前は、通報窓口の責任者から上司に伝えられ、異動後の人事評価は最低水準に据え置かれている。公益通報者保護法では、社内の不正を告発した従業員らに対し会社側が不利益な扱いをすることを禁じているが、男性は「こんな目に遭うなら、誰も怖くて通報できない」と訴えている。

 申し立てを行うのは、東京都内に住む浜田正晴さん(48)。

代理人の岡本理香弁護士によると、浜田さんは大手鉄鋼メーカー向けに精密検査システムの販売を担当していた2007年4月、取引先から機密情報を知る社員を引き抜こうとする社内の動きを知った。

システムの追加受注を有利に進める目的の工作で、不正競争防止法違反(営業秘密の侵害)の可能性があると判断。最初は上司に懸念を伝えたが、聞き入れられなかったため、同6月、コンプライアンスヘルプライン室に通報した。その後、オリンパスはメーカーに謝罪している。

ところが同室の責任者は、浜田さんとのメールを、当事者である上司や人事部にも送信。約2か月後、浜田さんはその上司の管轄する別セクションに異動を言い渡された。

配属先は畑違いの技術系の職場で、現在まで約1年半、部署外の人間と許可なく連絡を取ることを禁じられ、資料整理しか仕事が与えられない状況に置かれているという。それまで平均以上だった人事評価も、通報後は労働協約上、原則として長期病欠者以外には適用されない評価を受けている

06年4月に施行された公益通報者保護法に関する内閣府の運用指針では、通報者の秘密保持の徹底を求めており、オリンパスの社内規則でも通報者が特定される情報開示を窓口担当者に禁じている。

浜田さんは昨年2月、オリンパスと上司に対し異動の取り消しなどを求め東京地裁に提訴し、係争中で、窓口の責任者が「機密保持の約束を守らずに、メールを配信してしまいました」と浜田さんに謝罪するメールも証拠として提出されたが、オリンパス広報IR室は「本人の了解を得て上司などにメールした。異動は本人の適性を考えたもので、評価は通報への報復ではない」とコメントしている。
2月27日3時6分配信 読売新聞

 ◎自分の卵子で体外受精出産 札幌の49歳、国内最高齢か

札幌市内の神谷レディースクリニック(神谷博文院長)で49歳の女性が自身の卵子と夫の精子を使い体外受精し妊娠、昨年11月女児を出産した。
日本生殖医学会理事長の田中俊誠(としのぶ)・秋田大教授は「自分の卵子を使った体外受精としては、国内最高齢ではないか」と話している。

神谷院長によると、女性は結婚後10年以上子供に恵まれず、2000年から同院で治療を受けてきた。昨年2月、管を使って卵子に精子を送り込む顕微授精を行い、妊娠が確認された。女性は初産で、体外受精時、48歳。
昨年11月、同市内の別の病院で2446グラムの健康な女児を出産した。

通常、40歳を超えると卵子の老化が進み、妊娠、出産率は低下する。

神谷院長は、「この女性は、実年齢より卵巣年齢が若かったのだろう。
卵巣年齢検査などを利用しながら、適切な治療を受けることで、妊娠が可能な人もいるという例になる」と話している。

田中理事長は「不妊に悩む夫婦の福音になる。ただし、いたずらに長い期間治療を続けるのは勧められず、非常にまれなケースと理解してほしい」と指摘している。北海道新聞 (02/26 08:09)

反     響
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 1)初めてその"Book 1st."という確か大阪が本拠の書店に入ってみた。広くて綺麗だが10時半頃だからだろうか閑散としていた。本の題は覚えていたが著者の名前はうろ覚えでどうやって探すかと悩んでいると、目の前に検索用の端末があった。
そこにはカタカナをキーを押して題名と著者名を入力せよとあった。こんなことを今頃知ったほど本屋さんに行っていないのであった。反省。
そして、やおら入力を開始した。題名は「日本語が亡びる時」である。何回入れても「該当無し」と出てくる。ならばと、うろ覚えの著者名に切り換えて敢行したが、「美苗さん」を「早苗さん」と入れてしまい、
これまた「該当無し」となった。
そこで万策尽きて(?)案内係の女性に尋ねた。彼女はすぐに「ありました」と端末の向きを変えて見せてくれた。そこには「ニッポンガホロビルトキ」となっていた。私は何度も何度も「ニホンゴガホロビルトキ」
と入力していたのであった。
私はこの歳になるまで「ニホンゴ」だと思い込んでいた。私は間違っていたのかと深く反省して、1,890円を支払って「日本語が亡びる時」を抱えて家路についたのであった。 前田正晶

主宰者の記憶:戦前、戦中は「ニッポン」だった。

身 辺 雑 記
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カイロプラクティックは素晴らしい。しかし、中には飛んでもない偽者も多いからくれぐれも注意を。私の信頼する渋谷カイロ院(03-3646-4803)のほぼ連日の治療のお陰で、整形外科がサジを投げた坐骨神経痛の痛みが殆ど消えた。なお曲がった脊椎を矯正していただいている。
そんな次第にて日曜日に予定していたのを繰り上げて配信する。
ご感想、ご意見をお寄せ下さい。下記まで。読者:3885人

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日本のお姉さんの意見。↓

昔は、家で家族が死者の体を拭いていたのか。

なるほどね。おくりびとという職業は最近の

ものなんだね。戦前、戦中は、ニッポンだったというのも

なんだか、初耳だよ。お年寄りが書くブログも読んでいると

いろんな知識が増えて面白いわ。

ryochan@polka.plala.or.jp
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